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2018
09.10

凶暴な純愛 1

こちらのお話は短編ですが、黒い彼がいます。
そういった彼を受け付けない方はお控え下さい。
**********************










「クッ….面白い…..世の中にこんな便利なものがあるとは知らなかった。西田お前は知ってたか?」

「はい。これはどこにでも売っているものですから」

椅子に腰かけた男が手にしているのは筒状のウエットティッシュの容器。
その容器には小さな穴があり、そこからズルズルと引き出すことが出来る紙が濡れた状態で出て来ることが面白いと思った。
そしてこれがこんなにも便利なものだとは知らなかった。何しろ彼はそんなものを手にしたことがなかったからだが、それを引き出すと丁寧に広げてみた。
だが一枚では足りないと感じた。
だから二枚三枚と取り出し重ねた。
すると、これならいいだろうと納得することが出来た。
そして今までに見たいことがないほど表情を崩して笑った。

「そうか。俺が知らなかっただけか?」

「はい。ところで最後まで御覧になられますか?」

「いや。いい。見る必要はない。あとはお前に任せる」

そう言った男は立ち上がった。











誰もが見惚れる冷たい美貌を持ち世間の常識など関係ないと言われる男がいる。
彼の名前は道明寺司。道明寺ホールディングス副社長で道明寺財閥の後継者。
男の深い声質と鋭さを宿す瞳は相手に対し威圧感を与えるが、その瞳に見つめられたい。その瞳に自分の姿を写して欲しいと願う人間は男女問わず大勢いた。

そして彼は多くの人間が注目する存在だが、そこにあるのは憧れではなく畏怖というもの。
何故なら彼は極限に至ったとしても、その表情を変えることがないのではないかと言われるほど感情を表さないからだ。
そして全身から危険な雰囲気を漂わせ、触れれば火傷をすると言われているが、その火に触れてみたいと思う女が多いのもの事実。
だが彼が女を抱くのは男としての生理的欲求を解放するためであり、己の下で女が啼く様子は、薄汚いメス豚の喚き以外の何ものでもなかった。
だからどんなに美しい女が裸で目の前に横たわっていたとしても、身体の一部を与えるだけで唇を合わせることも、身体から流れ出るものをすすることもなかった。

女は醜い。
女は平気で嘘をつく。
下手な芝居をして近づいて来る女たちの目に浮かんでいるのは、愛ではなく己の欲望を満たそうとする浅ましい心。
だから女たちの思惑など嘲笑うにしか値しないものばかりであり、女は低俗な動物と見下し嫌悪する以外なかった。

本当の自分を見てくれる女などこの世の中にはいない。
幼い頃から周りにいたのは、媚びへつらう人間ばかり。
大人も自分と同じ年頃の子供たちも全てが彼の顔色を窺い、彼が望むなら自分の大切なものを差し出すことを躊躇いはしなかった。
それは男の持つ力は強大であり、彼の力には誰も逆らうことは出来ないからだが、もし逆らえば、スイカ割りのスイカのように頭を叩き割られるかもしれない。
何しろかつて人間凶器と言われ、ひと蹴りで完膚なきまでに相手を叩きのめすことが出来る男は、喧嘩相手の少年たちの腕をへし折り、地面に転がって呻く彼らに執拗に暴力を振るい情け容赦がなかった。
そしてそんな時、酷薄の笑みが唇に浮かぶが、それが表情を変えない男に見ることが出来る唯一の笑みだとすれば、彼が外道と呼ばれてもおかしくはないはずだ。


ある日そんな男が欲しくてメープルの彼の部屋で待ち伏せした女がいた。
それはどこかの企業のご令嬢。
自分ならそんな男を落すことが出来る。絶対に落としてみせるといった強気の女だった。
だがその女が部屋から運び出されたとき、右目が塞がるほど腫れあがり、頬骨にはひびが入るという重傷を負っていた。また別の女は左の鼓膜が破れ、歯が折れていたという話しもあった。そして別の女は鼻からポタポタと血をこぼしながら部屋から出て来たという。

嘘とセックスとスキャンダルはタブロイド紙が求める三原則で、その時の様子を撮影しようとしたカメラマンがいたが行方不明だと言われている。
だがそれは道明寺司のことを記事にしようとしたからなのか。
それともまた別な理由からなのか。どちらにしても、その男は禁忌を破った。だから処分されたと囁かれていた。
それに記者やカメラマンとて命は惜しい。好き放題書こうものなら潰されることは分かっている。だから今では誰も彼のことは書かなかった。



女は醜い。
女は平気で嘘をつく。
だから男は恋愛に夢中になる人間をバカにしていた。
そして男にとっての人生は、我が身を振り返ることなどなく、いつ死んで惜しくはなかった。
だがそんな男が恋をした。
特別でも何でもない日に出会ったあの時から心が惹かれ魂が震えた。
目に見えない絆を感じた。そして、気付けば太陽の行方をひまわりが追いかけるように、彼女を追いかけていた。
そうだ。あの日からずっと彼女のことだけを考えていた。






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コメント
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dot 2018.09.10 06:10 | 編集
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dot 2018.09.10 08:09 | 編集
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dot 2018.09.10 10:36 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
黒い彼。久し振りの登場となりましたが今回は前後編ではなく少し回数があります。
そしてウェットティッシュは.....。
短編ですから結果は早いと思います。
コメント有難うございました^^

アカシアdot 2018.09.10 21:42 | 編集
小*様
おはようございます^^
え?黒い坊ちゃんが恋しかったんですか?ありがとうございます。
そしてお待たせ致しましたとなるでしょうか。
過去2作....。
道明寺邸には鯉がいるお池がありますが、あの池には....そんな話もありましたが、あの坊っちゃんが後を引いていたんですね?
つくしを手に入れるためならどんなことでもする。そんな男は今回も黒いです(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.09.10 21:48 | 編集
さ***ん様
凶暴だけど純情。
それが本気で人を好きになった時の司なのかもしれません。
そして黒い司は今回は何をしてくれるのでしょう。
気になるのはウエットティッシュ(笑)
何に使うんでしょうねぇ(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.09.10 21:54 | 編集
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dot 2018.09.11 19:14 | 編集
T*****x様
はじめまして^^
黒い司お好きですか?ありがとうございます(低頭)
それにしてもこの坊ちゃん、何をするのでしょうねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.09.11 22:07 | 編集
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