「君か。爆発寸前の圧力鍋ってのは?」
「爆発寸前の圧力鍋・・・ですか?」
「ああ。だって君が司の秘書のマキノさんだろ?」
「はい。牧野ですが・・あの失礼ですが?」
「ああ。ごめん、俺、美作あきら。司の幼馴染みで美作商事の専務。司に会いたいんだけど、大丈夫だよね?ちょっと聞いてみてくれないかな?」
あきらはそう言って名刺を差し出すと、君の名刺もくれないか、と言い女から名刺を受け取った。
そして丁寧にお辞儀をした女は、大変失礼いたしました。
少々お待ち下さいませ、と言い副社長室へ電話をしていた。
そして電話を切ると、どうぞこちらへと言って55階の廊下を歩き始めた。
あきらが受け取った名刺に書かれていた名前は牧野つくし。
幼馴染みの男が言った時々爆発寸前になる女。
その女が目の前を歩く小さな女性だと知り、意外だと感じていた。
何故なら、爆発するような女ならもっと迫力がある女だと思っていたからだ。
だが女は、ヒールの高さを引いたとして160センチそこそこ。細く薄い身体つきをしており、胸の大きさが目立つ女が好きなのでは、という親友の傍では見かけたことのないような女だった。
そして道明寺司という男は、簡単に感情が揺り動かされる男ではない。
特に女に関しては冷たい男だと言われ、情に流されることは決してなく、自分から恋におちたことがない。
それは、自分たちのようなジュニアと呼ばれる立場の人間に擦り寄って来る大勢の計算高い女たちを知っているからだ。
だから、女を軽蔑し、身体の関係があったとしても、心の奥まで踏み込ませたことはない。
そしてそんな男は、恋というもの自体を軽蔑している。
だが恋については人並み以上の経験を持つあきらも、恋が長続きするものではないということは知っている。だから既婚女性と付き合う方が気楽なのだ。
そして、あきらの付き合う人妻は、金持ちの夫を持つ美人が多いが、そういった女はプライドが高く、別れるとき修羅場を演じることがない。
だから情事の終わりには、楽しかった、と言って別れることが出来る。
だが一度だけ修羅場になったことがあった。出張に出ていた旦那が予定より早く帰宅し、バレた。
今あきらの前を歩く女は、特に美人でもなければ、スタイルがいいわけでもない。
サラサラの真っ黒い髪をしたどこにでもいる平凡な女。
特徴はと問われれば、大きな瞳、とでも言うはずだ。
そんな女があの道明寺司の感情を揺り動かした。それが信じられない気持ちもあるが、もし、牧野つくしと言う女が、本当に司の心を揺り動かしているとすれば拍手喝采ものだ。
そして親友が牧野つくしという女にどんな感情を抱き始めているのか。
男二人で飲んだあの日から自分の目で確かめることが出来る日を楽しみにしていた。
「よう、司」
「ああ、あきらか。なんか用か?」
「お前、なんか用かってその言い方はないだろ?」
「じゃあなんの用があって来た?」
「なんの用って・・どっちも同じ言い方じゃねぇか。まったくお前は随分とつれない男だな。まあそうは言っても特に用はねぇんだ。近くまで来たから顏を見に寄っただけだ」
あきらはソファに腰を下ろし、執務デスクに座る男へ視線を向けた。
そして目を向けることなく、口だけで返事をした男が、引き締まった表情でパソコンを叩いている様子を見ていた。
男の少年時代を知るあきらからすれば、あの司が真面目に仕事をしている姿を目にするようになるとは思いもしなかったが、やはり蛙の子は蛙ということだと今では納得していた。
そして、あきら自身も家業の商社で後継者として仕事をしているのだから、人の一生は生まれたときある程度決まっているのかもしれないと思うこともあった。
司はあきらの突然の訪問を気にしなかった。
ビジネスでも関わることがある美作商事は、ライバルだが、幼い頃からの親友であるあきらとは、ビジネスはビジネス、友情は友情として付き合っている。
そして何か用があるのかと訊いたが、用があろうがなかろうが、関係なく訪れる男には慣れていた。
そしてあきらが口を開いた。
「司、今出て行った女。お前の新しい秘書だよな?牧野つくし。例の時々爆発寸前になる女って彼女だろ?」
司は自分があきらにそういった言葉で彼女を表現したことを思い出していたが、幼馴染みで親友の口ぶりは、まさに興味津々といったところだ。
「ああ。・・秘書の牧野つくしだ」
「ふうん。そうか。彼女が爆発寸前の圧力鍋女牧野つくしか」
あきらの何かを含んだような言い方に司はパソコンを叩く手を休めた。
ひと前では決して笑うことがない司が仲間の前だけでは笑顔を見せることがあるが、あきらの言葉には明らかに笑いが含まれていた。そしてその笑いが向けられているのは、牧野つくしではなく、自分だということに気付いた。
「あきら。何が言いたい?言いたいことがあるなら早く言ってくれ。俺は暇じゃねぇんだからな」
司は1時間後に始まる会議について、事前にメールで送られて来た資料に目を通していたが、あきらはそんな時間を狙ったように現れた。
「ああ、忙しいところ悪かったな。けど秘書の牧野ちゃんからOKを貰ったからな」
その言葉に司はジロリとあきらを睨む。
親友たちの前ではつい本音が出ることがある。
彼らの前でなら、本当の己を晒すことが出来る。
だからと言って互いの性癖まで詳しいとは言わないが、ある程度のことは知られていても仕方がないといった思いが仲間の間にはある。そしてあの日、新しい秘書の話をしたばかりに、あきらは彼女に興味を持ったようだ。そしてその興味を満足させるため来たということだろう。
「ところで司。お前のところ、菱信興産と業務提携が決まったようだが、あそこの専務。新堂巧って男。なかなかの男だな。仕事に取り組む姿勢ってのが経済誌に特集されてたぞ。あの男、俺たちと同じ年、俺たちと同じで社長のひとり息子って立場の御曹司だ。けど浮いた話ってのがひとつもない。真面目な男って話だ」
司は新堂巧の名前にあの日のことが頭を過った。
料亭での会食のとき、天の配剤といった言葉で牧野つくしに一目惚れをしたことを表した男のことが。
あの男の言葉はひと言ひと言がはっきりとしていた。そしてたった一秒ほどの短い間だったが新堂巧の目には司をライバルと捉えたような色があった。
それは動物のオスが一匹のメスを巡り争うときライバルであるオスに向ける目だ。
動物の世界でオスがメスの取り合いをした結果というものは、いつも決まっている。
相手を殺す。もしくは早々に自分の負けを認め、すごすごと引き下がるかの二つにひとつだ。
まさにメスを巡るオス同士の闘いといったものは、命がけであり、闘いに勝ったオスだけがそのメスとの間に自分の子孫を残すことが出来る。そしてそれが強い遺伝子を子孫に残すことになる。
だが石器時代ならまだしも、人間の男がひとりの女を巡って殺し合いをするといった話はあまり聞かないが、決して無いとは言えず、本当に好きな女がいれば、そこまでする男がいてもおかしくはない。
それは、今は眠らせているオスの本能が甦らないとは限らないからだ。
あの夜、新堂巧の目の中にあったのは、それに近いものなのか。
好きな女を手に入れるためなら、どんなことでもするといった男の目なのか。
だがそこまで考えるのは大袈裟なことなのかもしれないが、結局あの夜は、何故かあの男の言葉が耳に残り彼女を自宅まで送っていった。
そしてあの日から牧野つくしのことが脳裏をちらついている。
そのとき、ノックの音がした。
司の入れという声の後、執務室の扉が開かれた。
そしてコーヒーの入った二つのカップが運ばれてきた。
「失礼いたします。コーヒーをお持ちいたしました」
つくしは、入室するとソファに座るあきらの前にカップを置いた。
「ありがとう、牧野ちゃん。牧野ちゃんはコーヒーを淹れるのが上手だって聞いたから楽しみにしてたんだ。やっぱり男の西田さんより女性が淹れてくれたコーヒーの方が美味さも倍増って感じだしな」
あきらは何気に言ってつくしに笑いかけた。
そしてつくしは、司のデスクの傍に来ると彼の前にカップを置いた。
一礼をして退出する女は、自分のことを牧野ちゃんと呼んだあきらにぎこちなかったが、あきらは一向に気にしていなかった。何故なら、わざとそう呼んでみたからだ。
それは司がどんな顔をするのか見たかったからだ。もし全く興味がない女なら気にも留めないはずだが、あきらが見た男の反応は不機嫌そうに目を細めた姿だ。それは明らかに嫉妬と言える感情。そしてその感情は、道明寺司という男が今までの人生の中で感じたことがない感情のはずだ。
「おい司・・睨むな。お前なんで俺を睨む?」
つくしが退出したあと、無言で睨む男にあきらはニヤッと微笑みを浮かべ言った。
「睨んでなんかねぇぞ、俺は」
男のどこかむきになった口調が、あきらにはおかしかった。
そして司の気持ちがひとりの女のことを考え揺れてるな、ということが分かり、コーヒーをひと口飲んだが、そのコーヒーは確かに美味かった。
味も香りもよく、ブルマンの特徴である爽やかな酸味といったものが感じられた。
「いや。睨んでる。・・その目は遠い昔見たことがある目だ。まあいい。それにしても新堂巧って男もお前ほどじゃないが女の視線を独占することが出来る男だな。最近メディアに登場することも多い。業務提携契約調印式でお前らが握手した写真が雑誌に載れば売れること間違いなしって感じだ。けど、やっぱ社長が来るんだろうな。それで、調印式はいつだ?ここであるんだろ?」
道明寺HDと菱信興産の業務提携契約調印式。
司は、社長である新堂健一郎が来るのではなく、息子であり専務の新堂巧が現れる予感がしていた。
そして、あきらの話す契約調印式より、ここに来るであろう新堂巧のことが気になっていた。
「ああ。ここである。道明寺で」
そしてあの日以来、あの男が一目惚れをしたという自分の秘書の存在が、頭の中から離れなかった。

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あきらはそう言って名刺を差し出すと、君の名刺もくれないか、と言い女から名刺を受け取った。
そして丁寧にお辞儀をした女は、大変失礼いたしました。
少々お待ち下さいませ、と言い副社長室へ電話をしていた。
そして電話を切ると、どうぞこちらへと言って55階の廊下を歩き始めた。
あきらが受け取った名刺に書かれていた名前は牧野つくし。
幼馴染みの男が言った時々爆発寸前になる女。
その女が目の前を歩く小さな女性だと知り、意外だと感じていた。
何故なら、爆発するような女ならもっと迫力がある女だと思っていたからだ。
だが女は、ヒールの高さを引いたとして160センチそこそこ。細く薄い身体つきをしており、胸の大きさが目立つ女が好きなのでは、という親友の傍では見かけたことのないような女だった。
そして道明寺司という男は、簡単に感情が揺り動かされる男ではない。
特に女に関しては冷たい男だと言われ、情に流されることは決してなく、自分から恋におちたことがない。
それは、自分たちのようなジュニアと呼ばれる立場の人間に擦り寄って来る大勢の計算高い女たちを知っているからだ。
だから、女を軽蔑し、身体の関係があったとしても、心の奥まで踏み込ませたことはない。
そしてそんな男は、恋というもの自体を軽蔑している。
だが恋については人並み以上の経験を持つあきらも、恋が長続きするものではないということは知っている。だから既婚女性と付き合う方が気楽なのだ。
そして、あきらの付き合う人妻は、金持ちの夫を持つ美人が多いが、そういった女はプライドが高く、別れるとき修羅場を演じることがない。
だから情事の終わりには、楽しかった、と言って別れることが出来る。
だが一度だけ修羅場になったことがあった。出張に出ていた旦那が予定より早く帰宅し、バレた。
今あきらの前を歩く女は、特に美人でもなければ、スタイルがいいわけでもない。
サラサラの真っ黒い髪をしたどこにでもいる平凡な女。
特徴はと問われれば、大きな瞳、とでも言うはずだ。
そんな女があの道明寺司の感情を揺り動かした。それが信じられない気持ちもあるが、もし、牧野つくしと言う女が、本当に司の心を揺り動かしているとすれば拍手喝采ものだ。
そして親友が牧野つくしという女にどんな感情を抱き始めているのか。
男二人で飲んだあの日から自分の目で確かめることが出来る日を楽しみにしていた。
「よう、司」
「ああ、あきらか。なんか用か?」
「お前、なんか用かってその言い方はないだろ?」
「じゃあなんの用があって来た?」
「なんの用って・・どっちも同じ言い方じゃねぇか。まったくお前は随分とつれない男だな。まあそうは言っても特に用はねぇんだ。近くまで来たから顏を見に寄っただけだ」
あきらはソファに腰を下ろし、執務デスクに座る男へ視線を向けた。
そして目を向けることなく、口だけで返事をした男が、引き締まった表情でパソコンを叩いている様子を見ていた。
男の少年時代を知るあきらからすれば、あの司が真面目に仕事をしている姿を目にするようになるとは思いもしなかったが、やはり蛙の子は蛙ということだと今では納得していた。
そして、あきら自身も家業の商社で後継者として仕事をしているのだから、人の一生は生まれたときある程度決まっているのかもしれないと思うこともあった。
司はあきらの突然の訪問を気にしなかった。
ビジネスでも関わることがある美作商事は、ライバルだが、幼い頃からの親友であるあきらとは、ビジネスはビジネス、友情は友情として付き合っている。
そして何か用があるのかと訊いたが、用があろうがなかろうが、関係なく訪れる男には慣れていた。
そしてあきらが口を開いた。
「司、今出て行った女。お前の新しい秘書だよな?牧野つくし。例の時々爆発寸前になる女って彼女だろ?」
司は自分があきらにそういった言葉で彼女を表現したことを思い出していたが、幼馴染みで親友の口ぶりは、まさに興味津々といったところだ。
「ああ。・・秘書の牧野つくしだ」
「ふうん。そうか。彼女が爆発寸前の圧力鍋女牧野つくしか」
あきらの何かを含んだような言い方に司はパソコンを叩く手を休めた。
ひと前では決して笑うことがない司が仲間の前だけでは笑顔を見せることがあるが、あきらの言葉には明らかに笑いが含まれていた。そしてその笑いが向けられているのは、牧野つくしではなく、自分だということに気付いた。
「あきら。何が言いたい?言いたいことがあるなら早く言ってくれ。俺は暇じゃねぇんだからな」
司は1時間後に始まる会議について、事前にメールで送られて来た資料に目を通していたが、あきらはそんな時間を狙ったように現れた。
「ああ、忙しいところ悪かったな。けど秘書の牧野ちゃんからOKを貰ったからな」
その言葉に司はジロリとあきらを睨む。
親友たちの前ではつい本音が出ることがある。
彼らの前でなら、本当の己を晒すことが出来る。
だからと言って互いの性癖まで詳しいとは言わないが、ある程度のことは知られていても仕方がないといった思いが仲間の間にはある。そしてあの日、新しい秘書の話をしたばかりに、あきらは彼女に興味を持ったようだ。そしてその興味を満足させるため来たということだろう。
「ところで司。お前のところ、菱信興産と業務提携が決まったようだが、あそこの専務。新堂巧って男。なかなかの男だな。仕事に取り組む姿勢ってのが経済誌に特集されてたぞ。あの男、俺たちと同じ年、俺たちと同じで社長のひとり息子って立場の御曹司だ。けど浮いた話ってのがひとつもない。真面目な男って話だ」
司は新堂巧の名前にあの日のことが頭を過った。
料亭での会食のとき、天の配剤といった言葉で牧野つくしに一目惚れをしたことを表した男のことが。
あの男の言葉はひと言ひと言がはっきりとしていた。そしてたった一秒ほどの短い間だったが新堂巧の目には司をライバルと捉えたような色があった。
それは動物のオスが一匹のメスを巡り争うときライバルであるオスに向ける目だ。
動物の世界でオスがメスの取り合いをした結果というものは、いつも決まっている。
相手を殺す。もしくは早々に自分の負けを認め、すごすごと引き下がるかの二つにひとつだ。
まさにメスを巡るオス同士の闘いといったものは、命がけであり、闘いに勝ったオスだけがそのメスとの間に自分の子孫を残すことが出来る。そしてそれが強い遺伝子を子孫に残すことになる。
だが石器時代ならまだしも、人間の男がひとりの女を巡って殺し合いをするといった話はあまり聞かないが、決して無いとは言えず、本当に好きな女がいれば、そこまでする男がいてもおかしくはない。
それは、今は眠らせているオスの本能が甦らないとは限らないからだ。
あの夜、新堂巧の目の中にあったのは、それに近いものなのか。
好きな女を手に入れるためなら、どんなことでもするといった男の目なのか。
だがそこまで考えるのは大袈裟なことなのかもしれないが、結局あの夜は、何故かあの男の言葉が耳に残り彼女を自宅まで送っていった。
そしてあの日から牧野つくしのことが脳裏をちらついている。
そのとき、ノックの音がした。
司の入れという声の後、執務室の扉が開かれた。
そしてコーヒーの入った二つのカップが運ばれてきた。
「失礼いたします。コーヒーをお持ちいたしました」
つくしは、入室するとソファに座るあきらの前にカップを置いた。
「ありがとう、牧野ちゃん。牧野ちゃんはコーヒーを淹れるのが上手だって聞いたから楽しみにしてたんだ。やっぱり男の西田さんより女性が淹れてくれたコーヒーの方が美味さも倍増って感じだしな」
あきらは何気に言ってつくしに笑いかけた。
そしてつくしは、司のデスクの傍に来ると彼の前にカップを置いた。
一礼をして退出する女は、自分のことを牧野ちゃんと呼んだあきらにぎこちなかったが、あきらは一向に気にしていなかった。何故なら、わざとそう呼んでみたからだ。
それは司がどんな顔をするのか見たかったからだ。もし全く興味がない女なら気にも留めないはずだが、あきらが見た男の反応は不機嫌そうに目を細めた姿だ。それは明らかに嫉妬と言える感情。そしてその感情は、道明寺司という男が今までの人生の中で感じたことがない感情のはずだ。
「おい司・・睨むな。お前なんで俺を睨む?」
つくしが退出したあと、無言で睨む男にあきらはニヤッと微笑みを浮かべ言った。
「睨んでなんかねぇぞ、俺は」
男のどこかむきになった口調が、あきらにはおかしかった。
そして司の気持ちがひとりの女のことを考え揺れてるな、ということが分かり、コーヒーをひと口飲んだが、そのコーヒーは確かに美味かった。
味も香りもよく、ブルマンの特徴である爽やかな酸味といったものが感じられた。
「いや。睨んでる。・・その目は遠い昔見たことがある目だ。まあいい。それにしても新堂巧って男もお前ほどじゃないが女の視線を独占することが出来る男だな。最近メディアに登場することも多い。業務提携契約調印式でお前らが握手した写真が雑誌に載れば売れること間違いなしって感じだ。けど、やっぱ社長が来るんだろうな。それで、調印式はいつだ?ここであるんだろ?」
道明寺HDと菱信興産の業務提携契約調印式。
司は、社長である新堂健一郎が来るのではなく、息子であり専務の新堂巧が現れる予感がしていた。
そして、あきらの話す契約調印式より、ここに来るであろう新堂巧のことが気になっていた。
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司*****E様
おはようございます^^
あきら君執務室まで押しかけて来ました(笑)
そして爆発寸前の圧力鍋と形容されたつくし。
そして親友がその女性をとても気にしている様子を自分の目で確かめました。
菱信興産との業務提携契約調印式に来るのは新堂巧と予想している司。
一波乱起きそうな予感がしますか?さて、どうなるのでしょう。
お買い物。いかがでしたか?お目当てのものは購入できたのでしょうか?
寒い中、お疲れさまでした^^
コメント有難うございました^^
おはようございます^^
あきら君執務室まで押しかけて来ました(笑)
そして爆発寸前の圧力鍋と形容されたつくし。
そして親友がその女性をとても気にしている様子を自分の目で確かめました。
菱信興産との業務提携契約調印式に来るのは新堂巧と予想している司。
一波乱起きそうな予感がしますか?さて、どうなるのでしょう。
お買い物。いかがでしたか?お目当てのものは購入できたのでしょうか?
寒い中、お疲れさまでした^^
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.12.02 21:53 | 編集

か**り様
雄ライオンが雌ライオンをめぐって闘う!
そうですよね~。負けた雄はとても惨めです。
司がそうならないことを祈りたいですが、言い寄られてもふられた事がない男も一度はふられてしまえ!(笑)
と思ったりもします(笑)
そうです。つくしがセクハラ副社長より新堂巧を好きになったらそれで終わりです!
どうする?司?(笑)
コメント有難うございました^^
雄ライオンが雌ライオンをめぐって闘う!
そうですよね~。負けた雄はとても惨めです。
司がそうならないことを祈りたいですが、言い寄られてもふられた事がない男も一度はふられてしまえ!(笑)
と思ったりもします(笑)
そうです。つくしがセクハラ副社長より新堂巧を好きになったらそれで終わりです!
どうする?司?(笑)
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.12.02 21:57 | 編集

H*様
気にして下さってありがとうございます^^
恋は司の目の前にあると思うのですが、さあ、これからどうなるのでしょうねぇ(笑)
拍手コメント有難うございました^^
気にして下さってありがとうございます^^
恋は司の目の前にあると思うのですが、さあ、これからどうなるのでしょうねぇ(笑)
拍手コメント有難うございました^^
アカシア
2017.12.02 22:02 | 編集
