呆気にとられている司を尻目にスタスタと自分の席に戻り、再びナイフとフォークを手に取って食事の続きを始めたつくし。
「おまえわかって言ってるのか?」
司は椅子に背を預け、右手でバーボンを煽る。
「何よ?」
つくしは自分のとった行動を何事もなかったような態度で食事を続けている。
「わかってんのか?」
「だから何が?」
一生懸命に小さな口を動かすつくし。
「結婚したってことは、夫婦生活もあるんだぞ?」
一瞬、つくしは食事をする手を止め、黙って司を見つめた。
「・・・フーフ・・セーカツ?・・・ぐっ・・うっ・・」
胸を叩きながらも、なんとか口の中のものを飲み込んだ。
「そ、それは・・どう言う意味でしょうか、道明寺・・さん」
喉を詰まらせ、うろたえながらも目を大きく見開き司を見た。
「お前、俺の言ってる意味、分かっているよな?」
「 I don’t understand ! 」(解りません!)
「てめ、何ばっくれてんだ?」
「Je ne comprends pas ! 」(解りません!)
「フランス語なんかで誤魔化すんじゃねぇよ!」
「さすが道明寺。フランス語も分かるんだね。あはは」
笑ってる場合ではなかった。
言うまでもなく、奥手のつくしは司と付き合っていたとはいえ、まだ一度もそういった関係にさえなってなかった。でも、もしそんな関係になっていた男に忘れられたとなると、それはそれでショックだったはずだ。
「おまえ、笑って誤魔化すんじゃねぇぞ? 夫婦ってもんになったらそれはお互いの義務だろ? それに婚前契約書にもちゃんと書いてあるしな」
司はわざとニヤリと笑った。
「な、なによそれ」
司はつくしの手が震えているのを見ると煽った。
「ナニもカニもなぁ牧野、おまえ契約書にサインしたよな?日本語版もわざわざ!お前のために!作らせたのによぉ、こんなもの私には関係ありませ~ん、なんてろくに読まずにサインしちまったもんなあ。やっぱり契約書は隅々までよく読まねえと、何が書いてあるか分かんねぇよな?」
司はくつくつと笑い、隣の部屋から契約書の写しを持ちだしてくると、つくしに手渡してきた。
「ココ、読んでみろよ?」
つくしは司が持ってきた契約書の内容に愕然とすることになる。
「ど、、、、、」
絶句するつくし。
「ドもレもねーぞ?」
「な、何よこれ!何なのよコレは!」
真っ赤に茹で上がったタコのようになったつくしは、目を大きく見開くと司を睨んだ。
「ナニってナニだよ? そこに書いてある通りだ」
司はつくしの顔が困惑から驚愕へと変わる様子を楽しんでいた。司が手渡した契約書の写しを、それこそ目を皿のようにして読んでいる。眉間に皺が寄り、コロコロと変わる表情と、一言一句噛みしめているかの様に口を開いてはブツブツと言う姿。
もうオカシイったらありゃしない。
やがてひと通り読み終えたのか、百面相をしていたつくしは、まるでギリギリと音がする様に首を巡らせて司の方を向くと、立ち上がった。
「こ、こんな契約書、い、意味なんてないんだから!!」
と叫んだ女。
さっき飲んでいたワインが回ったのか、また椅子に座り込むとテーブルに突っ伏した。
「わけわかんねぇ、コイツ」
司はその様子を呆気に取られて見ていた。
おもしれぇ女。
「酒、弱いんならそんなに飲むなよ」
笑いが止まらなくなった。
「仕方ねぇな」
司は女の身体を横抱きにして抱え上げ、ベッドルームへと運んで行った。
もう可笑しくて・・・
この女、牧野つくし・・
いや、もう道明寺つくしだ。
俺がコイツを意識し始めたのは、この時からだ。

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「わかってんのか?」
「だから何が?」
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「結婚したってことは、夫婦生活もあるんだぞ?」
一瞬、つくしは食事をする手を止め、黙って司を見つめた。
「・・・フーフ・・セーカツ?・・・ぐっ・・うっ・・」
胸を叩きながらも、なんとか口の中のものを飲み込んだ。
「そ、それは・・どう言う意味でしょうか、道明寺・・さん」
喉を詰まらせ、うろたえながらも目を大きく見開き司を見た。
「お前、俺の言ってる意味、分かっているよな?」
「 I don’t understand ! 」(解りません!)
「てめ、何ばっくれてんだ?」
「Je ne comprends pas ! 」(解りません!)
「フランス語なんかで誤魔化すんじゃねぇよ!」
「さすが道明寺。フランス語も分かるんだね。あはは」
笑ってる場合ではなかった。
言うまでもなく、奥手のつくしは司と付き合っていたとはいえ、まだ一度もそういった関係にさえなってなかった。でも、もしそんな関係になっていた男に忘れられたとなると、それはそれでショックだったはずだ。
「おまえ、笑って誤魔化すんじゃねぇぞ? 夫婦ってもんになったらそれはお互いの義務だろ? それに婚前契約書にもちゃんと書いてあるしな」
司はわざとニヤリと笑った。
「な、なによそれ」
司はつくしの手が震えているのを見ると煽った。
「ナニもカニもなぁ牧野、おまえ契約書にサインしたよな?日本語版もわざわざ!お前のために!作らせたのによぉ、こんなもの私には関係ありませ~ん、なんてろくに読まずにサインしちまったもんなあ。やっぱり契約書は隅々までよく読まねえと、何が書いてあるか分かんねぇよな?」
司はくつくつと笑い、隣の部屋から契約書の写しを持ちだしてくると、つくしに手渡してきた。
「ココ、読んでみろよ?」
つくしは司が持ってきた契約書の内容に愕然とすることになる。
「ど、、、、、」
絶句するつくし。
「ドもレもねーぞ?」
「な、何よこれ!何なのよコレは!」
真っ赤に茹で上がったタコのようになったつくしは、目を大きく見開くと司を睨んだ。
「ナニってナニだよ? そこに書いてある通りだ」
司はつくしの顔が困惑から驚愕へと変わる様子を楽しんでいた。司が手渡した契約書の写しを、それこそ目を皿のようにして読んでいる。眉間に皺が寄り、コロコロと変わる表情と、一言一句噛みしめているかの様に口を開いてはブツブツと言う姿。
もうオカシイったらありゃしない。
やがてひと通り読み終えたのか、百面相をしていたつくしは、まるでギリギリと音がする様に首を巡らせて司の方を向くと、立ち上がった。
「こ、こんな契約書、い、意味なんてないんだから!!」
と叫んだ女。
さっき飲んでいたワインが回ったのか、また椅子に座り込むとテーブルに突っ伏した。
「わけわかんねぇ、コイツ」
司はその様子を呆気に取られて見ていた。
おもしれぇ女。
「酒、弱いんならそんなに飲むなよ」
笑いが止まらなくなった。
「仕方ねぇな」
司は女の身体を横抱きにして抱え上げ、ベッドルームへと運んで行った。
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この女、牧野つくし・・
いや、もう道明寺つくしだ。
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コメント
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もっ*★様
きましたか?
想像通りの展開となりましたでしょうか?(笑)
本当に契約書はきちんと確認しましょうね?
もっ*★様の早朝の楽しみが出来て良かったです。
明日の朝もお待ちしております。
きましたか?
想像通りの展開となりましたでしょうか?(笑)
本当に契約書はきちんと確認しましょうね?
もっ*★様の早朝の楽しみが出来て良かったです。
明日の朝もお待ちしております。
アカシア
2015.08.07 19:58 | 編集

ny***3様
はじめまして。
ご訪問有難うございます。
こちらこそ拙宅のお話を読んで頂き、有難うございます。
テンポ良く進めて行きたいと思っていますので
ぜひまたお寄り下さいね。
はじめまして。
ご訪問有難うございます。
こちらこそ拙宅のお話を読んで頂き、有難うございます。
テンポ良く進めて行きたいと思っていますので
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アカシア
2015.08.07 20:07 | 編集
