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2017
02.10

エンドロールはあなたと 61

15分後、つくしの乗った車は区役所の正面玄関に横付けされた。
「つかさ・・いったいなに?」
「なんだ?」
「だから、区役所になんの用があるの?」
「なんの用があるってそんなの決まってるだろ?入籍するんだ。今日で抱えてた仕事も終わったんだろ?その仕事が終ったら俺と結婚するって言ったよな?」

えっ?と言った表情で何も言わないつくしに、まさかとは思うが気が変わったなどは考えたくない。司は少しのあいだ待ってかたら尋ねた。

「どうした?俺と結婚することを後悔してるんじゃないんだろ?」
つくしは激しく首を振って否定した。
「違う・・ただ・・」
「ただ?」
「なんだか想像出来なくて。あたしが結婚するなんてことが・・だって・・」
「だってなんだ?」

つくしは今の自分の気持ちを正直に伝えるべきだと思った。
勿論結婚するつもりでいる。その気持ちに変わりはない。

「あたしみたいに30を過ぎて仕事一筋の女なんて、世間じゃ扱いにくいって言うじゃない?プライドばかり高いとか言わたり、可愛げが無いとか言われてたから、なんだかまだ信じられなくって・・」

司はつくしの頭を掴み、何かと心配する女を諭そうと、額を合わせた。

「相変らずだな。おまえはいつも必要以上のことを考える傾向がある。俺とおまえは短い間に恋に落ちて、結婚することに決めたんだ。仕事を片づけて、結婚することに決めたんなら潔く結婚しろ。それともあれか?式場で大々的な式を挙げてからじゃねぇと入籍するのは嫌か?」

もしそれが望みなら、メープルですぐにでも準備させるつもりでいた。
コイツが結婚を決心してから、今の仕事が終わるまでは猶予を与えたつもりでいた。自由な時間を与え、今後道明寺つくしという立場になることを考えさせる時間でもあった。
だが、司は早く自分と同じ苗字になってくれることを望んでいた。今、目の前の女は司の目をまっすぐに見て待ち望んだ答えをくれると信じていた。

「まさか・・30過ぎてそんな派手な式なんてしたくないわよ。あたしは地味にひっそり・・出来れば家族だけっていうのが理想って言うか、結婚する予定がなかったからそんなこと考えたことが無かったっていう方が正しいかも―」

司が指を一本つくしの口に当てた。そんな話しはいいから早く結論が聞きたいと。

「もういいだろ?お喋りは。俺と結婚するって意志は変わってねぇよな?」

目の前の女は″うん″と頷いた。
やっと求めていた答えがもらえたと嬉しくなった司は、つくしを見つめ、キスせずにはいられなかった。唇に軽くキスをし、用意していた赤いバラの花束を渡した。

「お疲れさん。とりあえず今の仕事は終わったんだろ?」

つくしはその言葉にパッと明るい笑顔を浮かべた。
それは司が見たかった彼女のほほ笑み。

「あたし今日から道明寺つくしね?つかさ、これからよろしくお願いします」

と、はっきりと言った。




その夜、ふたりはメープルから必要な電話をかけた。
二人の両親へ入籍したこと。友人達への連絡を済ませ、司はやっと望みがかなったと思った。
そしてもうひとつ叶えたいことがあった。それはあのワインのCMの再現だ。
司は二人が知り合うきっかけとなった仕事の話を持ち出した。

「なに恥ずかしがってんだ?あのCMの撮影のとき俺は言ったよな?湯の下に隠れてる部分を使って教えてやるって」

ワインのCMの撮影で、男女がジャグジーバスに浸かっている場面。
俺たちならあんな風に身体を寄せ合ってるだけじゃ済まねぇよな?と言って面白そうにニヤリと笑った男がいた。あのときのつくしは、そんな男の隣でしかめっ面して鼻に皺を寄せていたが、まさか本当に実行するとは思もってもいなかった。だが司はそれを実行するつもりでいた。

「晴れて結婚したんだ。今夜は記念日だろ?俺とおまえの共同作業であのCMは出来たんだろ?」
と、司はニヤッと笑った。








メープルのプレジデンシャルスイートにあるバスルームは、最高級の深緑色の大理石が使われた贅沢な空間。水洗金具にゴールドを使い、浴槽は円形で、二人は十分に入れる大きさだ。

水がパシャっと音を立て、何かが跳ねたような音がした。
だが、そこにいたのは、ジャグジーバスが作り出す泡に包まれ、身体全体をほんのりとしたピンクに染め、しっとりとした肌が真珠のように輝く女。

入籍を済ませ、司の妻となった女は円形の浴槽に遠慮がちに入っていた。
あのCMの場面を再現したいと言った言葉に頬を染めていた。
今まで一諸にシャワーを浴びようと誘っても、恥ずかしがる女だったが、「いいよな」と言った俺に可愛らしく息を漏らし頷いた。

先に行っててくれないか、と声をかけ、少し遅れてバスに近づいた。
それは己の裸を未だ恥ずかしがる妻への気遣い。
先に風呂に浸かれば泡に隠され、全てが見えることがないからだ。

だが、それも時間の問題だ。

先ほどバラの花を抱え、頬を染め、嬉しそうにほほ笑んだ妻の顔も今は別の意味で赤く染まっていた。

浴槽に身体を沈めると、水位が上がった。
女は司と反対側に座っていた。
片肘を浴槽の縁に乗せ、脚を伸ばし、妻に向かって手を差し伸べた。

「・・つくし」

呼びかけに、恥ずかしそうに首まで湯に浸かり、髪の毛の先端が湯に浸かっていた。
恥ずかしいさが全身から感じられる。けど、いつまでもそんなんじゃのぼせちまうだろ。
そんなことになれば、お楽しみどころじゃねぇよな?

夫になった男に何をいまさらだと思うが、羞恥の気持ちというのはそう簡単には無くならない。それはこいつの性格だから仕方がない。
俺はそんなところが好きだ。俺だけに愛されることを待っていてくれた妻が。

俺はそんなおまえを愛したい。
今、この場所で。

「・・つくし、こっちへ来い」

司はつくしが動くのを待たず、手を掴んで身体の向きを変えさせ、自分の開いた脚の間に収まるようにした。背中を自分の胸にあずけさせ、両腕で優しく抱きしめた。
両耳まで赤く染まり、目の前にさらけ出された細い首筋が艶めかしく、思わず喰らいつきたくなる。

「楽にしろ、つくし。嫌ならいつでも出ていいぞ?」

気持ちをなだめるため言ってはみたが、決して本気ではない。
長い指と大きな掌で妻の乳房を包みこんだ。

「・・あっ・・」

上がった声に完全に立ち上がった自身が、水の中で重みを増す。
司はそんな自分に口の中で笑いを堪え、乳房の先端にある小さな蕾を指先で挟み、優しく揉んだ。そして、目の前にある白い首に歯を立て、痛くない程度に噛み、唇で自分の印をつけた。
いつもと違う場所、そしていつもと違う行為が、甘美な陶酔を与えた。それは自分のものになった雌馬を噛み、印をつける牝馬のように、腕の中にいる女が自分の女だという印をつけたいという思い。倒錯的な思いとも言える気持ちが湧き上がっていた。

腕の中で呼吸が早くなった女。
のぼせる前に思いを遂げた方がいいかと、ひとりごちた。
首筋にキスをしながら身体を持ち上げ、太腿の上へ乗せ、脚を開きながら、膝で妻の脚も開かせた。素直に脚を開いた女の硬く尖った乳首から手を放し、指を下の泉へと挿れた。

「・・んっあっ・・・」

腕の中で俺の人魚が跳ねた。
けど、逃がさねぇようにと、回した腕に更に力を入れた。

「・・すげえ、中が蕩けてぐちょぐちょだな・・」
「・・やっ・・」
「なにがヤなんだ?言ってみろ?」
「・・やぁ・・」
「・・俺が欲しくないのか?・・ん?どうした?」

そうか。言えないか?
それなら俺が言わせてやろうか?
はっきり言葉に出来ねぇなら、俺が言わせてやる。
俺が欲しいって。

けど、ベッドの上と違う体位に、あまり優しくない俺に、妻となった女もいつもと違った。
水の中でヤルってのは初めてだったな?
こんな体位でどうしたらいいか分かんねぇんだろ?
けど、あのとき言っただろ?湯の下に隠れてる部分を使って教えてやるって。
だから教えてやるよ。

司は大きく開いた太腿をさらに大きく開き、妻の太腿を開き、ジェット水流が噴き出す方へと身体を向けた。

「!!・・やぁっつ・・だめっ・・やめて・・」

「・・やじゃねぇだろ?」

激しい水流を脚の奥へと流れこませる行為に耳元で囁いた。

「・・言っただろ?あのとき。・・な?あの湯の下で何が起きてるか教えてやるって」

司は楽しんでいた。
決して自分の腕から逃れられないというのに、身体をよじって逃げようとする女のその痴態を。夫と妻となった二人のはじめての夜だというのに、司は妻を煽って楽しんでいた。

「・・つくしのナカは水の中なんかより、ずっと気持ちいいよな?そこに俺が欲しいだろ?つくしのココ、水の中だってのにトロトロに蕩けて俺のコト欲しいって締め付けてくる・・どうする?それともこのまま、イカせてやろうか?」

激しい水流を当てられたまま、逃げることが出来ない女。

「・・やぁ・・だめっ・・つかさが・・い・・の・・」

「なんだ?はっきり聞こえねぇな?」
指で抽出を繰り返され、激しい水流を受ける女はもう泣きそうな声。
「・・ほら、イケよ、イッてもいいんだぜ?・・ん?どうした?」

ほら、どうだよ?もっと、当ててほしいか?

「・・やっ・・つかさが・・いい・・おねがい・・つかさが欲しい・・」

嘘つけ。ホントはもっとこれが欲しいんじゃねぇのか?
散々煽ってもっと俺を求めさせたい。
湯の中で燃え上がったこの身体をもっと蕩けさせたい。

けど、
本当はもっと色々教えてやりてぇけど、今夜はこれくらいにしてやる。
結婚したんだ。これからはおまえが欲しいっていうなら毎日でも愛してやる。
ま、そうは言ってもまだ初心者だからな。
あんまり無理させるわけにもいかねぇ。

司は抗うことの出来ない身体を後ろから抱えなおし、水とは違うヌメリに己を後ろから挿入した。

「!!あっ・・・ああっ・・」

蕩けたナカは俺を締め付け、奥へ奥へと呑み込んで行く。
クソッ!
たまんねぇ・・
けど・・いいんだ。
もっと欲しがって俺を持っていけばいい。
・・ほら?・・どうだ?
これから先、もっと色々与えてやるよ。
この身体は全部おまえのモンだ。
・・けど・・マジで持ってかれそうになる・・
深く暖かいその奥をいっぱいに満たしてもまだ俺を欲しがる。
もっと欲しいと締め付け、喰らいついて来る。

突き上げるたび、泡立つ湯が波打っても、どんなに動いても離さねぇから安心しろ。
どんなに大声で叫んでも、構わねぇ。
その声が俺を好きだと言ってくれるなら、いくらでも大声をあげさせてやる。
のけ反るように天を仰ぐ姿に、我を忘れたような嬌声に、俺を締め付ける妻が絶頂を感じたことがわかった。それを見届け、追いかけ上り詰め、腕の中の女を抱きしめた。


今まで味わったことのない甘美なひととき。
そして愛する女を永遠に手に入れた歓びがあった。

司は浴槽から出ると、バスローブを羽織った。
そして、つくしを湯の中から引き上げ、タオルの中へ包み込み、大切にベッドへ運んでいった。





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コメント
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dot 2017.02.10 13:37 | 編集
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dot 2017.02.11 02:16 | 編集
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dot 2017.02.11 10:08 | 編集
司×**OVE様
こんにちは^^
司、つくし入籍おめでとうですね^^
CMの再現。泡の下で何が?(笑)
司は初めてのつくしに教えたいことが沢山あるはずです。
つくしは恥じらいながらも妻として、女として司を喜ばせてくれることでしょう。
つくしはこれから道明寺HDへ移る・・はい。そのようです。
紺野くんの運命?(笑)支社長の大ファンですからねぇ。
それにグループ会社になりましたので、どうなるのでしょうねぇ。
えーあまりご質問にお答えできず申し訳ございません(笑)(低頭)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2017.02.12 00:12 | 編集
マ**チ様
こんばんは^^
とうとうゴールイン。ありがとうございます。
そうですよね、御曹司張りのエロ攻撃(笑)
なぜか、どうしても御曹司が乗り移ってしまうんです(笑)
御曹司は妄想ですが、こちらは実戦!どちらが本物のエロなのか?(笑)
そして焼きそばをすする紺野くんの姿!失恋してしまいましたね。
つくしに対し「年増の胸ペタ、色気ゼロ!」さすが紺野くん、言いますね!
しかし、類の言葉に何故か大きな勘違いをする。
『夕焼けのなか幸せそうに微笑む男』その手にワセリン!
まだまだ諦めてないんですね?面白くて終わらせられない!!今後どうなるのか気になります。
紺野くん、元気出してね。といいつつ、面白すぎてお腹が痛かったです(≧▽≦)
コメント有難うございました^^
ハナキンはバリバリどころか、ヘロヘロでした(笑)
アカシアdot 2017.02.12 00:27 | 編集
サ*ラ様
こんにちは^^
入籍しました。30代の坊っちゃん、余裕がありますか?(笑)
時々つくしちゃんを求めて必死な時もあるんですよ(笑)
「金持ちの御曹司」の坊っちゃん、妄想の中でも酷くつくしちゃんを傷つけたと反省(笑)
きっと別れを告げられると思ったショックがあったんでしょうね。
「Collector」も続き早く書かなくてはと思いつつ、遅筆になっていますねぇ。
いつもお待たせして申し訳ないです。
コメント有難うございました^^

アカシアdot 2017.02.12 00:34 | 編集
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