「ああ、もう、何なのよ?あの二人は?いい年して目のやり場に困るわ」
まさにどこか壊れてしまったのかと思えるほどのイチャつきに、桜子は嫉妬を通り越し呆れていた。
″自然のままでも愛らしい。″
と言われた33歳の女は彼氏の前で照れていた。
人に愛されるということは、こんなにも人間を変えてしまうものかと思えるほど、牧野つくしは変わっていた。だが相変わらず外見を気にしない女は、金持ちの婚約者がいても以前と変わらない生活を送り働いている。
しかし服装は、以前より明るい色を着るようになり、そのせいか表情が以前より明るく見えていた。そんな女をなによりも輝かせるのは、やはり愛する人から惜しみなく注がれる愛情だ。
その愛情を受け、素直じゃなかった女が素直に彼氏の横に座ってその顔を見上げている。
当然その彼氏は頬が緩みっぱなしで、まるで愛玩犬でも見るように女を見ていた。
この2人は慣れ親しむほど互いの存在以外、そしてその外見は全く気にならなくなっているようだ。だが彼氏は何一つ見逃しはしない。大切な女になにかあれば、もし仮に危害を加えるような人間がいれば、その人間の人生を狂わせてしまうことだろう。何しろそれだけの力がある人間だ。
道明寺司のようなタイプの人間は、自分の女には甘いが、他の女には厳しいもので、これは世界どの国でも、このタイプの男性には言えることだ。そして桜子は司の少年時代を知っている。道明寺司が本気で怒りを爆発させると手に負えないということを知る人間だ。
だからこそ、目の前の男の変わりように目を疑いたくなっていた。
「それにしても牧野係長のことを、自然のままでも愛らしいなんて・・道明寺支社長ってキャッチコピーみたいなこといいますよね?もし僕が女性だったら、こんな言葉を言われたら倒れちゃいますよ」
紺野は少し離れた場所での二人のイチャつきぶりに言った。
「確かに牧野係長は何もしなくてもお肌が綺麗ですよね?男の僕がいうのもなんですが、まるでゆで卵みたいにツルツルしてるんです。お化粧品なんてそんなに高いものを使ってるとは思えませんし、やはり色白は七難隠すっていいますものね。牧野係長は生まれ持ったその色の白さに感謝すべきです。それに今の係長が輝いてるのは道明寺支社長の愛のおかげですね?そう思いませんか三条さん?」
捉えようにもよるが、紺野の言葉は聞く者によっては棘があるように感じられる。
「あのねぇ、紺野くん。牧野先輩は特別なのよ。いい?ほとんどの女性は顔のシミや皺を伸ばそうと必死なの。だから高い化粧品を買って塗り込めるだけ塗り込むの。本来女性が美しくいるためには努力が必要なの」
桜子は沢山の努力の結果が今の自分だと言いたいのだ。
ほったらかしで綺麗でいることなんて絶対出来ないと信じている。だから、つくしが知り合った頃と同じように肌が綺麗なのは、ある意味奇跡だと言いたいのだ。もしかすると、手入れをしないことで、自らの内にある何かが溢れ出ているのかもしれない。思えば牧野つくしは免疫力が高そうな人間だ。
「・・でも、だからって顔にベタベタ塗ったところで、どうにもならないこともありますよね?」
紺野は意味ありげに桜子を見た。
「ちょっと、紺野君。あなたあたしにケンカを売る気?」
「ち、違いますよ。そんなつもりじゃないです。三条さんはまだ全然大丈夫ですから!・・・それよりどうして僕たちここにいるんでしょうね?」
「どうしてって、あたしが紺野君を呼び出したからでしょ?」
「違いますよ、そんな理由なんかじゃなくて、どうして道明寺支社長と牧野係長があの方達に会うのに三条さんが呼ばれるんですか?それに三条さんもどうして僕を呼び出すんです?」
桜子は今夜この場所に紺野を呼び出した理由を話して聞かせた。
つくしの婚約者である司が、親友たちから早く牧野つくしを紹介しろと言われた結果が、この場所にいる理由だ。彼ら御用達の会員制高級クラブならひと目を気にすることなく、ゆっくり出来る。そんな彼らの同伴者として桜子と紺野はこのクラブにいた。
「いいじゃない、別に暇なんでしょう?それにどうせあの人たちは牧野先輩に興味があって来たわけで、あたしに興味があるわけじゃなんだし、あたしが牧野先輩に呼ばれたのは、道明寺さんのお友達に会うのに女は自分ひとりだってのが嫌だからで、それにあたしは英徳出身だからあの二人のことを色々と知ってて会話が弾むんじゃないかと思ったのよ。だから呼ばれたの」
「ふーん。そうですか。でもどうして三条さんは僕を呼び出したんですか?それなら別に僕がいなくても三条さんなら皆さんお相手してくれますよ。だって道明寺支社長以外に男性が二人もいるじゃないですか!」
「紺野君、あの状況を見てあの二人があたしに気を遣うと思う?」
紺野が見たあの二人と言われる西門総二郎と美作あきらは、つくしと話しに花が咲いていた。
つまり、つくしが心配したどこかぎこちなさのある場にはならなかったということだ。
「・・確かにそうですね?今のこの状況じゃあ無理ですね?」
「でしょ?そんなの退屈じゃない?こうなることは目に見えてわかってたから紺野君を呼び出したのよ」
紺野の視線の先にいるいい年してイチャつく男女と、その男の友人二人の様子。
どう考えても桜子に興味はない様子だ。
「・・つまり牧野係長はご自分の不安を打ち消そうと三条さんを呼び出し、三条さんは退屈しのぎに僕を呼び出し・・・三条さんってお綺麗ですけど、性格に問題があるんですね?」
「う、うるさいわね・・それよりもあの二人がわざわざ牧野先輩の顔を見に来るなんて、凄いことなのよ?あともう一人揃えば英徳花の4人組って言われてたF4揃い踏みなんだけど・・」
桜子は自分のことは話すつもりはないと話題を変えていた。
「やっぱり花沢さんは道明寺さんの婚約者なんて興味がないのかもしれないわね?とにかく、その4人に束になって歩かれるだけで、学園中の女子生徒は熱狂したの。4人の端正な顔立ちと、その財力と家柄と・・もう凄かったんだから!」
「・・4人組だなんて・・文化大革命じゃあるまいし、誰がそんな名前をつけたんでしょうね?そのセンスを疑いたくなりますよ。僕なら道明寺支社長にもっと素敵な名前を考えて差し上げます!」
「もう!うるさいわね!そんなことどうでもいいのよ!とにかく、あの頃の道明寺さんたちは_」
そんな二人の前を通り過ぎたのは、ふわふわとした雰囲気の一人の男性。
特徴的な瞳の持ち主と言われるが、その瞳でじっと見つめられると、何かを探られているのではないかと感じさせる人物。
「は、花沢さん?!」
「三条さん、誰です?」
「あのね、道明寺さんの幼馴染みなのよ。英徳学園の花の4人組のひとりなんだけど、ある意味道明寺さんのライバルみたいな存在なのよ。今はお仕事でパリに住んでるの。だから日本で見ることは滅多にないの。だからお見かけできるなんて貴重よ!・・でもね、道明寺さんと花沢さんって全く違うようでどこか似てるの。でも何が似てるのかと言われても困るんだけど・・」
桜子は去っていく類の背中を見送った。
「・・三条さん、好きな女性のタイプが似てるとか・・そんなことないですよね?」

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しかし服装は、以前より明るい色を着るようになり、そのせいか表情が以前より明るく見えていた。そんな女をなによりも輝かせるのは、やはり愛する人から惜しみなく注がれる愛情だ。
その愛情を受け、素直じゃなかった女が素直に彼氏の横に座ってその顔を見上げている。
当然その彼氏は頬が緩みっぱなしで、まるで愛玩犬でも見るように女を見ていた。
この2人は慣れ親しむほど互いの存在以外、そしてその外見は全く気にならなくなっているようだ。だが彼氏は何一つ見逃しはしない。大切な女になにかあれば、もし仮に危害を加えるような人間がいれば、その人間の人生を狂わせてしまうことだろう。何しろそれだけの力がある人間だ。
道明寺司のようなタイプの人間は、自分の女には甘いが、他の女には厳しいもので、これは世界どの国でも、このタイプの男性には言えることだ。そして桜子は司の少年時代を知っている。道明寺司が本気で怒りを爆発させると手に負えないということを知る人間だ。
だからこそ、目の前の男の変わりように目を疑いたくなっていた。
「それにしても牧野係長のことを、自然のままでも愛らしいなんて・・道明寺支社長ってキャッチコピーみたいなこといいますよね?もし僕が女性だったら、こんな言葉を言われたら倒れちゃいますよ」
紺野は少し離れた場所での二人のイチャつきぶりに言った。
「確かに牧野係長は何もしなくてもお肌が綺麗ですよね?男の僕がいうのもなんですが、まるでゆで卵みたいにツルツルしてるんです。お化粧品なんてそんなに高いものを使ってるとは思えませんし、やはり色白は七難隠すっていいますものね。牧野係長は生まれ持ったその色の白さに感謝すべきです。それに今の係長が輝いてるのは道明寺支社長の愛のおかげですね?そう思いませんか三条さん?」
捉えようにもよるが、紺野の言葉は聞く者によっては棘があるように感じられる。
「あのねぇ、紺野くん。牧野先輩は特別なのよ。いい?ほとんどの女性は顔のシミや皺を伸ばそうと必死なの。だから高い化粧品を買って塗り込めるだけ塗り込むの。本来女性が美しくいるためには努力が必要なの」
桜子は沢山の努力の結果が今の自分だと言いたいのだ。
ほったらかしで綺麗でいることなんて絶対出来ないと信じている。だから、つくしが知り合った頃と同じように肌が綺麗なのは、ある意味奇跡だと言いたいのだ。もしかすると、手入れをしないことで、自らの内にある何かが溢れ出ているのかもしれない。思えば牧野つくしは免疫力が高そうな人間だ。
「・・でも、だからって顔にベタベタ塗ったところで、どうにもならないこともありますよね?」
紺野は意味ありげに桜子を見た。
「ちょっと、紺野君。あなたあたしにケンカを売る気?」
「ち、違いますよ。そんなつもりじゃないです。三条さんはまだ全然大丈夫ですから!・・・それよりどうして僕たちここにいるんでしょうね?」
「どうしてって、あたしが紺野君を呼び出したからでしょ?」
「違いますよ、そんな理由なんかじゃなくて、どうして道明寺支社長と牧野係長があの方達に会うのに三条さんが呼ばれるんですか?それに三条さんもどうして僕を呼び出すんです?」
桜子は今夜この場所に紺野を呼び出した理由を話して聞かせた。
つくしの婚約者である司が、親友たちから早く牧野つくしを紹介しろと言われた結果が、この場所にいる理由だ。彼ら御用達の会員制高級クラブならひと目を気にすることなく、ゆっくり出来る。そんな彼らの同伴者として桜子と紺野はこのクラブにいた。
「いいじゃない、別に暇なんでしょう?それにどうせあの人たちは牧野先輩に興味があって来たわけで、あたしに興味があるわけじゃなんだし、あたしが牧野先輩に呼ばれたのは、道明寺さんのお友達に会うのに女は自分ひとりだってのが嫌だからで、それにあたしは英徳出身だからあの二人のことを色々と知ってて会話が弾むんじゃないかと思ったのよ。だから呼ばれたの」
「ふーん。そうですか。でもどうして三条さんは僕を呼び出したんですか?それなら別に僕がいなくても三条さんなら皆さんお相手してくれますよ。だって道明寺支社長以外に男性が二人もいるじゃないですか!」
「紺野君、あの状況を見てあの二人があたしに気を遣うと思う?」
紺野が見たあの二人と言われる西門総二郎と美作あきらは、つくしと話しに花が咲いていた。
つまり、つくしが心配したどこかぎこちなさのある場にはならなかったということだ。
「・・確かにそうですね?今のこの状況じゃあ無理ですね?」
「でしょ?そんなの退屈じゃない?こうなることは目に見えてわかってたから紺野君を呼び出したのよ」
紺野の視線の先にいるいい年してイチャつく男女と、その男の友人二人の様子。
どう考えても桜子に興味はない様子だ。
「・・つまり牧野係長はご自分の不安を打ち消そうと三条さんを呼び出し、三条さんは退屈しのぎに僕を呼び出し・・・三条さんってお綺麗ですけど、性格に問題があるんですね?」
「う、うるさいわね・・それよりもあの二人がわざわざ牧野先輩の顔を見に来るなんて、凄いことなのよ?あともう一人揃えば英徳花の4人組って言われてたF4揃い踏みなんだけど・・」
桜子は自分のことは話すつもりはないと話題を変えていた。
「やっぱり花沢さんは道明寺さんの婚約者なんて興味がないのかもしれないわね?とにかく、その4人に束になって歩かれるだけで、学園中の女子生徒は熱狂したの。4人の端正な顔立ちと、その財力と家柄と・・もう凄かったんだから!」
「・・4人組だなんて・・文化大革命じゃあるまいし、誰がそんな名前をつけたんでしょうね?そのセンスを疑いたくなりますよ。僕なら道明寺支社長にもっと素敵な名前を考えて差し上げます!」
「もう!うるさいわね!そんなことどうでもいいのよ!とにかく、あの頃の道明寺さんたちは_」
そんな二人の前を通り過ぎたのは、ふわふわとした雰囲気の一人の男性。
特徴的な瞳の持ち主と言われるが、その瞳でじっと見つめられると、何かを探られているのではないかと感じさせる人物。
「は、花沢さん?!」
「三条さん、誰です?」
「あのね、道明寺さんの幼馴染みなのよ。英徳学園の花の4人組のひとりなんだけど、ある意味道明寺さんのライバルみたいな存在なのよ。今はお仕事でパリに住んでるの。だから日本で見ることは滅多にないの。だからお見かけできるなんて貴重よ!・・でもね、道明寺さんと花沢さんって全く違うようでどこか似てるの。でも何が似てるのかと言われても困るんだけど・・」
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コメント
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司×**OVE様
こんにちは^^
そうですね(笑)このお話は桜子&紺野くんの夫婦漫才かもしれません(笑)
桜子が紺野くんを誘ったのは、ペットみたいな感じだったのかもしれませんね?(笑)
桜子、さすが総二郎とあきらのこともよくご存知で(笑)
紺野くんの毒舌は健在でしたね?(笑)
本当ですね?結構ひどいこと言ってますよね?それにしても紺野くん、相変らず女子力高いですね(笑)
類くん登場。さて次回は・・。類くんと紺野くんが話しをすると、どんな会話になるんでしょうね(笑)
コメント有難うございました^^
こんにちは^^
そうですね(笑)このお話は桜子&紺野くんの夫婦漫才かもしれません(笑)
桜子が紺野くんを誘ったのは、ペットみたいな感じだったのかもしれませんね?(笑)
桜子、さすが総二郎とあきらのこともよくご存知で(笑)
紺野くんの毒舌は健在でしたね?(笑)
本当ですね?結構ひどいこと言ってますよね?それにしても紺野くん、相変らず女子力高いですね(笑)
類くん登場。さて次回は・・。類くんと紺野くんが話しをすると、どんな会話になるんでしょうね(笑)
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.02.05 00:27 | 編集

このコメントは管理人のみ閲覧できます

マ**チ様
こんばんは^^
紺野くん曰く、肌も女の強力な武器のようです。
司、白く柔らかい肌の虜になっていることでしょう(笑)
紺野くん、相手が誰でもグングン行きますね?(笑)
そして、ここで花沢類が!そんな類にイヤラシイ期待をする紺野くん(笑)
諦めない紺野くん・・どうしてこんなに紺野くんは前向きなんでしょう。
昨夜は同盟脱落してしまいました。突然の睡魔に襲われるという事態に!
本当に仰るとおり、身体を休めることも大切ですよね。
でもわかります。夜中、ひっそりと過ごせる時間も大切ですよね?
お肌はもう曲がりに曲がってます(笑)本当につくしちゃんの肌が羨ましいです。
本日、久しぶりの御曹司となりましたが、楽しんでいただけたでしょうか?(笑)
コメント有難うございました^^
こんばんは^^
紺野くん曰く、肌も女の強力な武器のようです。
司、白く柔らかい肌の虜になっていることでしょう(笑)
紺野くん、相手が誰でもグングン行きますね?(笑)
そして、ここで花沢類が!そんな類にイヤラシイ期待をする紺野くん(笑)
諦めない紺野くん・・どうしてこんなに紺野くんは前向きなんでしょう。
昨夜は同盟脱落してしまいました。突然の睡魔に襲われるという事態に!
本当に仰るとおり、身体を休めることも大切ですよね。
でもわかります。夜中、ひっそりと過ごせる時間も大切ですよね?
お肌はもう曲がりに曲がってます(笑)本当につくしちゃんの肌が羨ましいです。
本日、久しぶりの御曹司となりましたが、楽しんでいただけたでしょうか?(笑)
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.02.05 17:26 | 編集
