「社長。井坂が先日の調査結果を報告したいと見えております」
「そうか。わかった。通せ」
執務室で書類に目を通していた司に秘書が声をかけた。
現れたのは黒いスーツを着た背の高い男。
井坂は司お抱えの調査員とでも言えばいいだろうか。主に企業買収に掛かる情報の収集を任せていた。決して穢い仕事をすることを専門にする男ではない。元は日本を代表する巨大総合金融機関で為替ディーラーとして働いていた。そんな男は為替ディーラーの中でもインターバンクディーラーとしてはスペシャリストだった。
インターバンクディーラーと言えば銀行間の為替取引を行う仕事だ。銀行間の外貨取引の単位は100万通貨。1米ドルが100円とすると1億円となる。一瞬の判断で億単位の売買を成立させ、いかに利益を生み出すかを求められる仕事だ。給料は高いが常に極度の緊張感とストレスに見舞われる仕事でもある。そんな高給取りが、仕事を辞めた理由はただ単に疲れたからだというのだから、人生というのは、ある日突然なんの前触れもなく変わることがあることを体現したような男だ。ただ、その為替取引で鍛えられた精神力の強さと勘の良さは今でも健在だ。
井坂は手にしたアタッシュケースから書類を取り出し、司のデスクの上に置いた。
「社長、こちらが牧野浩(ひろし)、牧野つくしの父親に関する情報になります」
類の話から父親が牧野つくしと関係があると知った。
俺の父親から守るためあの女を邸に住まわせたといった類。その言葉が意味するものはいったい何なのか。類の言葉によって新しく回り始めた歯車がある。
当時高校生だったあの女になにかあるはずもなく、あるとすれば家族だろう。司が調べさせたのは一家の主である父親だ。
受け取った書類の表紙には何も書かれてはいない。
司はつくしの父親に何度か会ったことがある。
今思えば牧野つくしの両親は、彼女の悲劇的弱点と呼んでもいいほどの存在だろう。
上昇志向の強い母親と金にだらしのない父親。
娘の幸せより、自分たちの将来を優先するような親。
その男が娘の人生を変えたというのか?
だが金のために魂を売る人間は珍しくはない。
司の目にほんの一瞬、暗い影がよぎった。
それは自分自身が行って来た行為によって、甦った胸を刺す痛みのせいだろう。
司も金で買えるものはなんでも買ったことがある。人の命さえ金で買えるご時世だ。
人の気持ちが金に左右されることがあるのは当然だ。と。
牧野つくしが去り、虚無感が心の底にこびりつき、人を憎む気持ちだけが育ち、目覚めている間じゅう感じていた胸の痛みが年月とともに身体中を包んでしまった。
愛情を受けてくれる相手も、授けてくれる相手もいない人間が生きていくために作り上げた人間の姿が自分なのだろう。自分の生命を支えていたのは、牧野つくしに対する頑迷とも言える思いだったのか。
あの頃、牧野つくしのことが頭の中から身体の隅々まで、細胞のひとつひとつまで埋め尽くしていた。あの別れがなければ、二人はずっと一緒にいられたはずだ。
例え離れた時間があったとしても、その時間を乗り越えられる自信があった。考えれば考えるほど、あの頃の自分はいったい何をしていたのかといった思いが募ってくる。
牧野つくしについて何でも知っておきたいという気持ちが湧き上がったのは、自らの魂の奥深くにあった今でもあの女が好きだという気持ちに気づいたからだ。
あの日、牧野の命が狙われたことが、類の言った言葉と関係があるのではないかと考え始めていた。そして銃を撃った人間が、本気であいつを狙ったという思いから、両親が亡くなったという事故を調べさせた。
10年前、自分たちの仲の邪魔をしたのが母親であることはわかっていた。当時もNYで暮らしていた両親。滅多に帰国することがなく、年に一度会えばいい方だったあの頃。息子の凶暴さや残忍さを知ってはいたが、その言動に口を挟むことなく、事件を起こした時でさえ、母親が金を使ってもみ消していた。だが事業が多忙な父親までもが関与していたとは思いもしなかったが、今ならわかるような気がする。
「よろしいでしょうか?」
司の正面に立つ男は聞いた。
「ああ。始めてくれ」
井坂は手にした書類を捲った。
「牧野浩ですが、10年前に交通事故で亡くなっています。原因は後方から来た車に追突され、そのはずみでコンクリートの壁に激突したようです。父親は即死。助手席に乗っていた母親は意識不明で暫くは生きていましたがやはり亡くなりました。娘と息子、牧野つくしと進は大けがを負いましたが、命に別状はありませんでした」
井坂は歯切れのいい口調で説明をしていたが、何か質問があるのではと、言葉を切って司から声を掛けられるのを待った。
「いいから続けろ」
「車に作為的なことはなかったようです。現場は幹線道路でしたが、夜間であり田舎でしたので車通りも少なく、事故の状況を目撃した人間もいません。発見したのは通りかかった車でした。牧野家の車が壁にぶつかって止まっているのを見つけ警察に通報したようです」
「それで追突した車はどうなった?」
「はい。逃げたようです。警察は現場に残された塗膜片やタイヤ痕、落ちていた部品などから黒色のセダンタイプの乗用車を捜していたようですが、見つかっておりません。日本の警察は優秀ですからどんなことをしても犯人を捜しだそうとするはずですが、見つかりませんでした。あれから10年です。おそらく犯人が見つかる見込みは少ないのではないかと思われます」
司は椅子に深くもたれ、胸の前で指を付き合わせた。
「どうして見つからなかった?」
確かに日本の警察は優秀だ。職人ともいえる緻密さをもって、残された証拠から犯人の足取りを追うはずだ。だが、稀にではあるが犯人が見つからないこともある。
「なんとも言えませんが。一番単純なのはその車は他の車によって持ち去られたということでしょう。いくら田舎とはいえ、暫く行けば、コンビニくらいはあります。駐車場には防犯カメラも設置されています。道を走れば、どんなに暗くとも車体が映るはずです。ですがその姿もなかったようです」
「それならその車はどこにいった?」
「例えば大型トレーラーに運び入れ持ち去る。そして解体され処分されたということでしょう。もしくはどこかの海に沈んでいるということも考えられます」
「つまりその意味は故意に事故を起こした・・ということか?」
「わかりません。今申し上げたのは、あくまでもわたくしの頭を過ったことです。それにもう10年も前のことです。証拠となるようなものがありませんので調べようがないということでしょうか。警察の捜査も今は何の進展もないようです」
そこまで言った井坂は、再び言葉を切り、司の反応を待った。
だがじっと顔を見られているだけで、何も言われない。
暫くし、井坂は話しを継いだ。
「牧野夫妻の葬儀は花沢類様が執り行いました。子供二人は・・大けがをして入院中でしたので葬儀は斎場で至って簡素なものだったと。それから牧野家にはかなりの借金がありましたが、そちらの返済の件も花沢様がすべて処理されたようですね。・・お父様から受け取った金銭ですが、そちらは全てではありませんが、生きている間に借金の返済に充てられております」
父親が支払った金額は五千万だと知った。
司にしてみればたったの五千万。だが世間の常識から言えば一度に手にする金額としては、莫大な金額だ。ましてや牧野家のような貧しい家庭にすれば、恐らく一生見ることがない金だっただろう。交渉などすることなく決めたはずだ。
両親が交通事故で亡くなったとき、姉と弟も怪我をした。
ただでさえ最低限の暮らしをしていたが、それ以上に貧しさに襲われることになる。
そんなとき、類が手を差し伸べたということか。
類の言った言葉が頭の中を過った。
物の見方や考え方を変えることをしたらどうか。
視点を変えろ。ほんの少しずらしてみろ。そう言いたいのか?
だが人間関係など最終的には損をしたか得をしたか、結局最後はそうなると決まっている。
純粋に人との関係を築こうなど考える人間が今の世の中どこにいる?
自分に降りかかってくるすべてのことは金に関わることだと分かっている。
司は手元の書類を捲ってふと、目を止めた。
「・・牧野・・浩はドライバーだったのか?」
司が目をとめたのはある一文。
「はい。牧野浩は大日証券の支店長付き運転手をしておりました。小さな支店ですがやはり専属ドライバーは必要なようで。それに運転手といっても支店ですので社員ではございません。派遣ドライバーです」
井坂は一旦言葉を切った。
「いっとき、タクシーの乗務員をしていたこともあり、運転の方は覚えがあったのでしょう。
当然ですがドライバーは運転以外いたしません。とは言え、総務課の簡単な仕事はしていたようです。近くの金融機関へ現金の移動をするときなどは、社員に付き添ってということもあったようですが、基本支店長の予定に従って行動することになっております。しかし、支店が休みの日も急に呼び出されたりしますのでプライベートは約束出来ませんし、帰宅時間は運転手には決められません。それに当然ですが守秘義務があります」
牧野つくしの父親に会ったことがあるとはいえ、司にとって殆ど見ず知らずの人間で、その名前すら記憶にない。
それにつき合い始めた頃、父親は無職だったはずだ。
それなら俺があいつと別れたあと、仕事に着いたということか?
親父から金を受け取ったが、まだ働ける人間が昼間からふらふらしているのは体裁が悪いというところか?
「どういった経緯で支店長付のドライバーを?」
司は煙草へと手を伸ばした。
定職につかず失業中だった男が仕事を始めた。
牧野浩がどれほどの運転技術があるのか不明だが、金を受け取ったあと、仕事についていたのは意外だった。
それも派遣とはいえ、専属ドライバーとして。
そんな男には身元を保証する人間が必要だったはずだ。
「はい。派遣ドライバーですので、登録した会社からの紹介となっております」
「そうか・・・」
もっともな答えが返された。
司は煙草に火をつけ、ライターをしめ、煙を深く吸い込んだ。
井坂はしばらく無言で司を見ていた。
やがて口を開くと言った。
「ただ、身元保証についてはお父様がされたようです」

にほんブログ村

人気ブログランキングへ

応援有難うございます。
「そうか。わかった。通せ」
執務室で書類に目を通していた司に秘書が声をかけた。
現れたのは黒いスーツを着た背の高い男。
井坂は司お抱えの調査員とでも言えばいいだろうか。主に企業買収に掛かる情報の収集を任せていた。決して穢い仕事をすることを専門にする男ではない。元は日本を代表する巨大総合金融機関で為替ディーラーとして働いていた。そんな男は為替ディーラーの中でもインターバンクディーラーとしてはスペシャリストだった。
インターバンクディーラーと言えば銀行間の為替取引を行う仕事だ。銀行間の外貨取引の単位は100万通貨。1米ドルが100円とすると1億円となる。一瞬の判断で億単位の売買を成立させ、いかに利益を生み出すかを求められる仕事だ。給料は高いが常に極度の緊張感とストレスに見舞われる仕事でもある。そんな高給取りが、仕事を辞めた理由はただ単に疲れたからだというのだから、人生というのは、ある日突然なんの前触れもなく変わることがあることを体現したような男だ。ただ、その為替取引で鍛えられた精神力の強さと勘の良さは今でも健在だ。
井坂は手にしたアタッシュケースから書類を取り出し、司のデスクの上に置いた。
「社長、こちらが牧野浩(ひろし)、牧野つくしの父親に関する情報になります」
類の話から父親が牧野つくしと関係があると知った。
俺の父親から守るためあの女を邸に住まわせたといった類。その言葉が意味するものはいったい何なのか。類の言葉によって新しく回り始めた歯車がある。
当時高校生だったあの女になにかあるはずもなく、あるとすれば家族だろう。司が調べさせたのは一家の主である父親だ。
受け取った書類の表紙には何も書かれてはいない。
司はつくしの父親に何度か会ったことがある。
今思えば牧野つくしの両親は、彼女の悲劇的弱点と呼んでもいいほどの存在だろう。
上昇志向の強い母親と金にだらしのない父親。
娘の幸せより、自分たちの将来を優先するような親。
その男が娘の人生を変えたというのか?
だが金のために魂を売る人間は珍しくはない。
司の目にほんの一瞬、暗い影がよぎった。
それは自分自身が行って来た行為によって、甦った胸を刺す痛みのせいだろう。
司も金で買えるものはなんでも買ったことがある。人の命さえ金で買えるご時世だ。
人の気持ちが金に左右されることがあるのは当然だ。と。
牧野つくしが去り、虚無感が心の底にこびりつき、人を憎む気持ちだけが育ち、目覚めている間じゅう感じていた胸の痛みが年月とともに身体中を包んでしまった。
愛情を受けてくれる相手も、授けてくれる相手もいない人間が生きていくために作り上げた人間の姿が自分なのだろう。自分の生命を支えていたのは、牧野つくしに対する頑迷とも言える思いだったのか。
あの頃、牧野つくしのことが頭の中から身体の隅々まで、細胞のひとつひとつまで埋め尽くしていた。あの別れがなければ、二人はずっと一緒にいられたはずだ。
例え離れた時間があったとしても、その時間を乗り越えられる自信があった。考えれば考えるほど、あの頃の自分はいったい何をしていたのかといった思いが募ってくる。
牧野つくしについて何でも知っておきたいという気持ちが湧き上がったのは、自らの魂の奥深くにあった今でもあの女が好きだという気持ちに気づいたからだ。
あの日、牧野の命が狙われたことが、類の言った言葉と関係があるのではないかと考え始めていた。そして銃を撃った人間が、本気であいつを狙ったという思いから、両親が亡くなったという事故を調べさせた。
10年前、自分たちの仲の邪魔をしたのが母親であることはわかっていた。当時もNYで暮らしていた両親。滅多に帰国することがなく、年に一度会えばいい方だったあの頃。息子の凶暴さや残忍さを知ってはいたが、その言動に口を挟むことなく、事件を起こした時でさえ、母親が金を使ってもみ消していた。だが事業が多忙な父親までもが関与していたとは思いもしなかったが、今ならわかるような気がする。
「よろしいでしょうか?」
司の正面に立つ男は聞いた。
「ああ。始めてくれ」
井坂は手にした書類を捲った。
「牧野浩ですが、10年前に交通事故で亡くなっています。原因は後方から来た車に追突され、そのはずみでコンクリートの壁に激突したようです。父親は即死。助手席に乗っていた母親は意識不明で暫くは生きていましたがやはり亡くなりました。娘と息子、牧野つくしと進は大けがを負いましたが、命に別状はありませんでした」
井坂は歯切れのいい口調で説明をしていたが、何か質問があるのではと、言葉を切って司から声を掛けられるのを待った。
「いいから続けろ」
「車に作為的なことはなかったようです。現場は幹線道路でしたが、夜間であり田舎でしたので車通りも少なく、事故の状況を目撃した人間もいません。発見したのは通りかかった車でした。牧野家の車が壁にぶつかって止まっているのを見つけ警察に通報したようです」
「それで追突した車はどうなった?」
「はい。逃げたようです。警察は現場に残された塗膜片やタイヤ痕、落ちていた部品などから黒色のセダンタイプの乗用車を捜していたようですが、見つかっておりません。日本の警察は優秀ですからどんなことをしても犯人を捜しだそうとするはずですが、見つかりませんでした。あれから10年です。おそらく犯人が見つかる見込みは少ないのではないかと思われます」
司は椅子に深くもたれ、胸の前で指を付き合わせた。
「どうして見つからなかった?」
確かに日本の警察は優秀だ。職人ともいえる緻密さをもって、残された証拠から犯人の足取りを追うはずだ。だが、稀にではあるが犯人が見つからないこともある。
「なんとも言えませんが。一番単純なのはその車は他の車によって持ち去られたということでしょう。いくら田舎とはいえ、暫く行けば、コンビニくらいはあります。駐車場には防犯カメラも設置されています。道を走れば、どんなに暗くとも車体が映るはずです。ですがその姿もなかったようです」
「それならその車はどこにいった?」
「例えば大型トレーラーに運び入れ持ち去る。そして解体され処分されたということでしょう。もしくはどこかの海に沈んでいるということも考えられます」
「つまりその意味は故意に事故を起こした・・ということか?」
「わかりません。今申し上げたのは、あくまでもわたくしの頭を過ったことです。それにもう10年も前のことです。証拠となるようなものがありませんので調べようがないということでしょうか。警察の捜査も今は何の進展もないようです」
そこまで言った井坂は、再び言葉を切り、司の反応を待った。
だがじっと顔を見られているだけで、何も言われない。
暫くし、井坂は話しを継いだ。
「牧野夫妻の葬儀は花沢類様が執り行いました。子供二人は・・大けがをして入院中でしたので葬儀は斎場で至って簡素なものだったと。それから牧野家にはかなりの借金がありましたが、そちらの返済の件も花沢様がすべて処理されたようですね。・・お父様から受け取った金銭ですが、そちらは全てではありませんが、生きている間に借金の返済に充てられております」
父親が支払った金額は五千万だと知った。
司にしてみればたったの五千万。だが世間の常識から言えば一度に手にする金額としては、莫大な金額だ。ましてや牧野家のような貧しい家庭にすれば、恐らく一生見ることがない金だっただろう。交渉などすることなく決めたはずだ。
両親が交通事故で亡くなったとき、姉と弟も怪我をした。
ただでさえ最低限の暮らしをしていたが、それ以上に貧しさに襲われることになる。
そんなとき、類が手を差し伸べたということか。
類の言った言葉が頭の中を過った。
物の見方や考え方を変えることをしたらどうか。
視点を変えろ。ほんの少しずらしてみろ。そう言いたいのか?
だが人間関係など最終的には損をしたか得をしたか、結局最後はそうなると決まっている。
純粋に人との関係を築こうなど考える人間が今の世の中どこにいる?
自分に降りかかってくるすべてのことは金に関わることだと分かっている。
司は手元の書類を捲ってふと、目を止めた。
「・・牧野・・浩はドライバーだったのか?」
司が目をとめたのはある一文。
「はい。牧野浩は大日証券の支店長付き運転手をしておりました。小さな支店ですがやはり専属ドライバーは必要なようで。それに運転手といっても支店ですので社員ではございません。派遣ドライバーです」
井坂は一旦言葉を切った。
「いっとき、タクシーの乗務員をしていたこともあり、運転の方は覚えがあったのでしょう。
当然ですがドライバーは運転以外いたしません。とは言え、総務課の簡単な仕事はしていたようです。近くの金融機関へ現金の移動をするときなどは、社員に付き添ってということもあったようですが、基本支店長の予定に従って行動することになっております。しかし、支店が休みの日も急に呼び出されたりしますのでプライベートは約束出来ませんし、帰宅時間は運転手には決められません。それに当然ですが守秘義務があります」
牧野つくしの父親に会ったことがあるとはいえ、司にとって殆ど見ず知らずの人間で、その名前すら記憶にない。
それにつき合い始めた頃、父親は無職だったはずだ。
それなら俺があいつと別れたあと、仕事に着いたということか?
親父から金を受け取ったが、まだ働ける人間が昼間からふらふらしているのは体裁が悪いというところか?
「どういった経緯で支店長付のドライバーを?」
司は煙草へと手を伸ばした。
定職につかず失業中だった男が仕事を始めた。
牧野浩がどれほどの運転技術があるのか不明だが、金を受け取ったあと、仕事についていたのは意外だった。
それも派遣とはいえ、専属ドライバーとして。
そんな男には身元を保証する人間が必要だったはずだ。
「はい。派遣ドライバーですので、登録した会社からの紹介となっております」
「そうか・・・」
もっともな答えが返された。
司は煙草に火をつけ、ライターをしめ、煙を深く吸い込んだ。
井坂はしばらく無言で司を見ていた。
やがて口を開くと言った。
「ただ、身元保証についてはお父様がされたようです」

にほんブログ村

人気ブログランキングへ

応援有難うございます。
- 関連記事
-
- Collector 29
- Collector 28
- Collector 27
スポンサーサイト
Comment:12
コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

悠*様
お待たせしました。
こちらのお話、遅筆でして・・(笑)
えっ!?勉強になるようなことは何もないと思います(笑)
ただ坊っちゃんの心の動きは見守ってあげて下さいませ^^
コメント有難うございました^^
お待たせしました。
こちらのお話、遅筆でして・・(笑)
えっ!?勉強になるようなことは何もないと思います(笑)
ただ坊っちゃんの心の動きは見守ってあげて下さいませ^^
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.01.30 22:21 | 編集

サ*ラ様
司、本当に甘いですね(笑)
類君の話や井坂の話から色々と考えているようですが、
まだ自分の父親のことが分かってないのでしょうか?
権力の移行中ですが、まだまだ父親は力があります。
「坊っちゃんしっかりしろ!」本当ですよね。言ってやって下さい。
コメント有難うございました^^
司、本当に甘いですね(笑)
類君の話や井坂の話から色々と考えているようですが、
まだ自分の父親のことが分かってないのでしょうか?
権力の移行中ですが、まだまだ父親は力があります。
「坊っちゃんしっかりしろ!」本当ですよね。言ってやって下さい。
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.01.30 22:24 | 編集

Hap***nding様
こちらこそ、いつもお待たせしております。
この台詞も聞き飽きましたね(笑)
司の父親、怖いですねぇ。楓さんなんてまだ可愛いものです。
司、色々と気を付けないと大変なことになりますよ!
・・・また次回まで少々お待ち下さいませ(低頭)
コメント有難うございました^^
こちらこそ、いつもお待たせしております。
この台詞も聞き飽きましたね(笑)
司の父親、怖いですねぇ。楓さんなんてまだ可愛いものです。
司、色々と気を付けないと大変なことになりますよ!
・・・また次回まで少々お待ち下さいませ(低頭)
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.01.30 22:27 | 編集

司×**OVE様
こんにちは^^
つくしちゃんからの気持ち、そして類くんの話。
そこから気持ちが動いてきたようです。
自分の父親がどんなふうに関係しているのか知りました。
そうなんです。相手は自分の父親ですので情報を集めるのも色々と・・・。
これからだと思います。まだ謎がありますね(笑)
類くん、まだこれからも出演お願いします(笑)
コメント有難うございました^^
こんにちは^^
つくしちゃんからの気持ち、そして類くんの話。
そこから気持ちが動いてきたようです。
自分の父親がどんなふうに関係しているのか知りました。
そうなんです。相手は自分の父親ですので情報を集めるのも色々と・・・。
これからだと思います。まだ謎がありますね(笑)
類くん、まだこれからも出演お願いします(笑)
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.01.30 22:30 | 編集

pi**mix様
おおっ!ご連絡ありがとうございました(低頭)
気付きませんでした!誤字です!(笑)また発見されましたら、よろしくお願いします!
坊っちゃん探り始めました(笑)
つくしちゃんからの言葉と類くんの話から心が動きました。
総二郎、あきらはまだ先でしょうか・・司はあんな状態で仲間とは疎遠でしたので・・。
はい。心配はしていると思います。
え?音が聞こえて来そうですか?
ちょっとこちらのお話は緊迫感が色々とありますが、音が聞こえて来たとのことで、大変嬉しいです。
コメント有難うございました^^
おおっ!ご連絡ありがとうございました(低頭)
気付きませんでした!誤字です!(笑)また発見されましたら、よろしくお願いします!
坊っちゃん探り始めました(笑)
つくしちゃんからの言葉と類くんの話から心が動きました。
総二郎、あきらはまだ先でしょうか・・司はあんな状態で仲間とは疎遠でしたので・・。
はい。心配はしていると思います。
え?音が聞こえて来そうですか?
ちょっとこちらのお話は緊迫感が色々とありますが、音が聞こえて来たとのことで、大変嬉しいです。
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.01.30 22:41 | 編集

さと**ん様
淡々と事実だけを語る井坂。
司の父親、いったい何を考えているのでしょう・・。
類くんがいなかったら大変なことになっていたと思います。
エンドロール~の司パパ慶さんは紳士的ですが、こちらの父は恐ろしいです。
まさに対極にいる人間だと思います。
今後ですね?また少しお待ち下さいませ。
頭の中にはあるのですが、纏まりが悪く時間がかかっております(笑)
コメント有難うございました^^
淡々と事実だけを語る井坂。
司の父親、いったい何を考えているのでしょう・・。
類くんがいなかったら大変なことになっていたと思います。
エンドロール~の司パパ慶さんは紳士的ですが、こちらの父は恐ろしいです。
まさに対極にいる人間だと思います。
今後ですね?また少しお待ち下さいませ。
頭の中にはあるのですが、纏まりが悪く時間がかかっております(笑)
コメント有難うございました^^
アカシア
2017.01.30 22:49 | 編集
