もしも道明寺と愛を交わしたらこの先もずっと悩むことになるだろう。
その夜つくしはベッドに横になるとすぐに深い眠りへと落ちて行った。
そして疲労困憊したせいか一度も目を覚ますことなく朝を迎えていた。
今、何時だろう?
軽く温かい布団に包まれ気持ちよく眠れた。
分厚いカーテンのおかげで外が明るいのか暗いのかまったく分からなかった。
うーん、もう少しこのままでいたい・・・
つくしはハッと目を開けた。
・・・隣に誰かいる。
道明寺が隣に寝ている。
すぐ目の前でこちらを向いて横たわっている。
つくしは思わず息を吸い込むとその息を吐き出すことも忘れたように目の前の男を見つめていた。
「起きたのか?」
道明寺は瞼を閉じたまま唇だけを動かして言ってきた。
「叫ぶなよ・・」
「い、いったい・・・なんであんたがここにいるのよ!」
つくしは叫んでいた。
「朝っぱらからうるさいぞ」
俺は裸で寝る。
それは昔から変わらない習慣だ。
顎にはうっすらと無精ひげが伸び、くせのある髪は完璧に乱れているはずだ。
つくしはどんな言葉をぶつけてやろうかと思ったが、考えるよりも先にくちが勝手に動いていた。
「だからなんであんたが・・・こ・・こにいるのよ!」
「なんでって、そりゃおまえと一緒にいたいから」
「い、一緒にいたいからってどうして同じベッドにいるのよ!」
「おまえ、昨日は疲れてるって言ってたし、大人しく寝かせてやろうと思ってこれでも遠慮したんだぜ?」
「何が遠慮したよ!それに・・か、勝手に入って・・あ、鍵かけたのに・・」
「ああ、それならあのドアから入った。 ここコネクティングルームだからよ」
最 低 !
ど厚かましいにも程がある。
「と、とにかく!ベッドから出てってよ!」
「俺が出て行ってもいいのか?」
道明寺は上体を起こし、左肘をついて頭を支えた。
「いいに決まってるでしょ!」
「そうか。 俺、裸だぞ?」
それを聞いた牧野は勢いよくベッドから起き上がると脱兎のごとく飛び出して行くと
俺を残してバスルームへと駆け込んで行って鍵をかけていた。
くそっ!なかなか上手くいかねえもんだな。
だが俺はほくそ笑んでいた。
こんなにぐっすり眠ったのはいつ以来だ?
牧野の事を考えて眠れない日々が続いていただけにこの眠りで気力が充実してきたような気がする。
昨夜はしばらくここでこうして牧野の隣で横になり、あいつの寝顔を見ていた。
眠っていた牧野は本当に可愛らしかった。
デカい瞳は閉じられていたが、その瞳を覆う瞼と長いまつ毛。
小ぶりだが愛らしく上を向いた鼻。
いつも開けば俺に対して文句を言うくち。
いつかそのくちから俺に甘い言葉を言わせてみせる。
その頬を押せば柔らかく俺の指を押し返してきた。
牧野に触れているのは本当に楽しかった。
だが、今の牧野は俺のことを避けまくっている。
賭けを持ちかけたはいいが、牧野はなかなか手強い。
昔お人好しだった女は思っていた以上に手強い女になっていた。
そして俺はそんな牧野を苛立たせている・・・・・
楽しいじゃないか。
少年時代の俺が牧野に惹かれたのはこいつの強さでもあったからな。
もっと強く押せと思うこともあるが、俺は無理矢理牧野をどうこうしようとは思っていない。
しばらくすると俺の用意したスーツを身に纏った牧野がバスルームから姿を現した。
当然だろうが、下着も俺が用意させたものを付けているに違いない。
俺は頭の先からつま先まで満足そうに見回した。
そんな俺に牧野は片手を腰にあて眉をひそめながら言ってきた。
「何か文句ある?」
「あるわけないだろ?」
「・・・そう。今あんたについて昔は思いつかなかった要素をひとつ追加するわ」
昔のあんたは歪んだ人格だったけど、今は・・・・
「なんだよそれは」
「 変 態 !」
牧野はひと言そう言うと顔をしかめ立ち去った。
・・・なんだよ。それが悪いかよ。
でもな、牧野覚えておけよ。それはお前に対してだけだ。
俺は心の中でそう答えていた。

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その夜つくしはベッドに横になるとすぐに深い眠りへと落ちて行った。
そして疲労困憊したせいか一度も目を覚ますことなく朝を迎えていた。
今、何時だろう?
軽く温かい布団に包まれ気持ちよく眠れた。
分厚いカーテンのおかげで外が明るいのか暗いのかまったく分からなかった。
うーん、もう少しこのままでいたい・・・
つくしはハッと目を開けた。
・・・隣に誰かいる。
道明寺が隣に寝ている。
すぐ目の前でこちらを向いて横たわっている。
つくしは思わず息を吸い込むとその息を吐き出すことも忘れたように目の前の男を見つめていた。
「起きたのか?」
道明寺は瞼を閉じたまま唇だけを動かして言ってきた。
「叫ぶなよ・・」
「い、いったい・・・なんであんたがここにいるのよ!」
つくしは叫んでいた。
「朝っぱらからうるさいぞ」
俺は裸で寝る。
それは昔から変わらない習慣だ。
顎にはうっすらと無精ひげが伸び、くせのある髪は完璧に乱れているはずだ。
つくしはどんな言葉をぶつけてやろうかと思ったが、考えるよりも先にくちが勝手に動いていた。
「だからなんであんたが・・・こ・・こにいるのよ!」
「なんでって、そりゃおまえと一緒にいたいから」
「い、一緒にいたいからってどうして同じベッドにいるのよ!」
「おまえ、昨日は疲れてるって言ってたし、大人しく寝かせてやろうと思ってこれでも遠慮したんだぜ?」
「何が遠慮したよ!それに・・か、勝手に入って・・あ、鍵かけたのに・・」
「ああ、それならあのドアから入った。 ここコネクティングルームだからよ」
最 低 !
ど厚かましいにも程がある。
「と、とにかく!ベッドから出てってよ!」
「俺が出て行ってもいいのか?」
道明寺は上体を起こし、左肘をついて頭を支えた。
「いいに決まってるでしょ!」
「そうか。 俺、裸だぞ?」
それを聞いた牧野は勢いよくベッドから起き上がると脱兎のごとく飛び出して行くと
俺を残してバスルームへと駆け込んで行って鍵をかけていた。
くそっ!なかなか上手くいかねえもんだな。
だが俺はほくそ笑んでいた。
こんなにぐっすり眠ったのはいつ以来だ?
牧野の事を考えて眠れない日々が続いていただけにこの眠りで気力が充実してきたような気がする。
昨夜はしばらくここでこうして牧野の隣で横になり、あいつの寝顔を見ていた。
眠っていた牧野は本当に可愛らしかった。
デカい瞳は閉じられていたが、その瞳を覆う瞼と長いまつ毛。
小ぶりだが愛らしく上を向いた鼻。
いつも開けば俺に対して文句を言うくち。
いつかそのくちから俺に甘い言葉を言わせてみせる。
その頬を押せば柔らかく俺の指を押し返してきた。
牧野に触れているのは本当に楽しかった。
だが、今の牧野は俺のことを避けまくっている。
賭けを持ちかけたはいいが、牧野はなかなか手強い。
昔お人好しだった女は思っていた以上に手強い女になっていた。
そして俺はそんな牧野を苛立たせている・・・・・
楽しいじゃないか。
少年時代の俺が牧野に惹かれたのはこいつの強さでもあったからな。
もっと強く押せと思うこともあるが、俺は無理矢理牧野をどうこうしようとは思っていない。
しばらくすると俺の用意したスーツを身に纏った牧野がバスルームから姿を現した。
当然だろうが、下着も俺が用意させたものを付けているに違いない。
俺は頭の先からつま先まで満足そうに見回した。
そんな俺に牧野は片手を腰にあて眉をひそめながら言ってきた。
「何か文句ある?」
「あるわけないだろ?」
「・・・そう。今あんたについて昔は思いつかなかった要素をひとつ追加するわ」
昔のあんたは歪んだ人格だったけど、今は・・・・
「なんだよそれは」
「 変 態 !」
牧野はひと言そう言うと顔をしかめ立ち去った。
・・・なんだよ。それが悪いかよ。
でもな、牧野覚えておけよ。それはお前に対してだけだ。
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Comment:1
コメント
ゆ*ん様
拍手コメント有難うございます。
つくしに変態と言われてしまいました( *´艸`)
でもつくしに言われるのは良いんだと思います。
坊ちゃんSの様でMの要素もふんだんに持っているのではないでしょうか?
そして仰る通り思い込みの激しさは人一倍です。
追い詰める方法・・どうしましょうか?
仕事中にそんな事を考えている坊ちゃんがいるのかもしれません(笑)
拍手コメント有難うございます。
つくしに変態と言われてしまいました( *´艸`)
でもつくしに言われるのは良いんだと思います。
坊ちゃんSの様でMの要素もふんだんに持っているのではないでしょうか?
そして仰る通り思い込みの激しさは人一倍です。
追い詰める方法・・どうしましょうか?
仕事中にそんな事を考えている坊ちゃんがいるのかもしれません(笑)
アカシア
2015.09.20 04:54 | 編集
