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2017
01.21

エンドロールはあなたと 49

つくしはルビコン川を一気に渡り、対岸にたどり着いた気分だった。
武装したわけではなかったが、対岸にいる女性は好きな人の母親で、出来れば戦いたくはない人だ。それだけに無事渡り切ったと思えば、気持ちも軽やかになったと感じることが出来た。
そして、傍らには道明寺がいる。

『能力も力もある女性の交際相手にそれなりの力があるなら、それを使うべきよ?』

そんな言葉を道明寺の母親から聞かされるとは思いもしなかったが、さすが公私混同は当然だと思う男の母親だけのことはある。
ビジネスというものはシビアだと言いたいこともよくわかった。
大勢の社員を抱える企業のトップともなれば、受けるプレッシャーも桁外れのはずだ。そんな状況下、魔女だ、鉄の女だと言われるのも仕方がないことだと言いたいのも理解できる。外圧や重責を担うために、そうなる必要があったのだろう。

しかし、道明寺親子は胃に潰瘍が出来ることもないかのように仕事をこなしていく。それがつくしとは大きな違いだ。ときに胃が痛むことがある。仕事をしていればそれも当然だろう。
だが、仕事は忙しくても楽しいと思え、やりがいもある。それが今のつくしの正直な気持ちだ。そして、無事面談ともいえる対面を終えたが聞いておきたいことがあった。





「ええっと・・道明寺・・お母さんはあたし達がつき合うのを認めてくれたって理解していいのかな?」

ベッドの中で睦言を交わすのが苦手な女は司の胸から顔を離すと言った。

「は?おまえなに言ってんだよ?当然だろ?あの態度でわかんねぇって方がおかしいだろ?確かにうちの母親はサディストのような女だから、わかりにくって言えばそうかもしれねぇけどおまえのことは気に入ったようだぞ。心配するな。嫌われてなんてねぇよ。自分から手を差しだして握手を求めるなんて滅多にねぇからな」
司はつくしの身体を抱きしめ、額に口づけた。

「心配するな。なにかあったとしても俺がおまえを守ってやる」
唇に指を這わせ、それから同じ場所に唇に押し付けた。

つくしはひそかに胸を撫で下ろした。
だがそうは言われても二人の間には大きな社会的格差がある。

「でもいいのかな?あたしは滋さんのようにアンタになにかしてあげられるような家柄じゃないんだけど・・」

「いいも悪いもねぇだろ?俺はおまえに惚れてるんだ。それにおまえは俺のことが好きなんだろ?それともアレか?俺のことが嫌いになったのか?」
司の顔にムッとしたような表情が浮かぶ。

「バカ・・・。そんなことある訳ないじゃない。でも本当のことを言うと道明寺と恋人同士になるなんて、自分では考えられないことだったの。でも、アンタはそんなあたしの気持ちを一気に吹き飛ばしてくれた」
つくしの言葉にムッとしていた表情が消え去ると、司はつくしの手を握った。

「うちの母親について話してなかったのは悪かったが、前もって色々話すと先入観ってのが出来ちまうから話さなかった。世間からは冷たい女だと言われているが、そうでもねぇ」

司は誰かに母親に対しての気持ちを語ったことはなかった。
だがつくしには話しておきたいと思った。

「俺のことを道明寺家のレールから外れたなんてことを言ってたが、子供の頃は反抗期以上に荒れたことがあったのは事実だ。どこの世界にも階級だの社会的区分ってのがあるがうちの家は何しろあんな家だ。周りの人間は俺におもねるような奴らばかりだった」

司はいったん言葉を切り、自分の話が理解されるのを待って話しを継いだ。

「そんななか、親は殆ど海外暮らし。つまんねぇことで変な意識ってのが頭の中で育った時があってな、人生なんてどうでもいいなんてことを思うようになった頃があったんだ。滋と見合いさせられたのはちょうどその頃だったか?あの頃の俺は人生なんて道明寺家のためにあるようなものだと思ってた。けど社会に出てみれば、なんのことはない。バカなことを繰り返していたガキだった俺は自分の無力さを感じることになった。ようはバカな坊っちゃんだったってことに気づかされた。道明寺に入社したが、一人息子で財閥の跡取りだからってうちの親は甘くはなかったってことだ」

司は肩をすくめ、にやりと笑った。

「まあ、それまでは井の中の蛙大海を知らずの状態だったってことだ。あのときは男として悔しさを感じたな。なにしろ社会に出ても何の役にもたたねぇバカみてぇに見られたんだからな。それまでテメェーで好き勝手してたのがアホみてぇに感じられた。それからだ。俺が財閥の仕事に邁進したのは」

司のほほ笑みが消えた。
自分の腕の中で話しを聞く女が黙っていることに不安を覚えたからだ。

「それから誤解のないように言っとくが、ババァは俺が女と浮名を流したなんて言ったが、女に惚けてた訳じゃねぇぞ。あれは単なる言葉のあやだ。そりゃ俺も男だから誰もいなかっただなんてことは言えねぇ。それだけはわりぃけど、良いも悪いも過去は変えようがない」

司はそっけなく言ったが、内心では何を言われるかと心配していた。それに長らく口にしたことがないババァという言葉が口をついた。だが女はなにも言い返さない。案の定、やはり甘かったかと司は思った。昔の女の話なんかするもんじゃねぇなと後悔した。
暫く沈黙が続いたが、耐えられなくなった司は口を開いた。

「なんだよ?もう大昔のことじゃねぇかよ?そんなに気になるのか?」

「べ、別に気にしてなんかないわよ。今の道明寺があるのは過去があるからでしょ?それを否定したら今の道明寺を否定することになる。だから否定はしないし出来ない。過去は誰にでもあるんだから何もない方がおかしいでしょ?でも話てくれてありがとう。それに完璧な人なんてどこにもいない・・でもよく話そうと思ったわね?」

「いつか話そうと思ってたが、こんなタイミングになっちまったってことだ。それより、なんで俺たちはベッドの中にいるのにこんな話をしてるんだ?」
司は片方の眉をあげ、つくしをじっと見下ろした。
「え?それは・・」
「なんか時間を無駄にした感じがするんだがおまえはどう思う?」
と、司はからかうように言った。





男は何日間もつくしを味わっていなかった。
と、なると不適な笑みを浮かべた司がいた。
愛し合ったばかりだが一度だけでは物足りない。
最初に愛し合って以来、渇望感が止まらない。

「なあつくし・・」

声色が艶を含んで低く変わった。
愛する女とのセックスは過去のそれと全く違う。
どうして今まで出会えなかったのかと不思議に思った。

バスルームにわずかだが置かれた女らしい小物が不愉快に感じられない。
置いて帰ればいいものを、いつも遠慮がちに持ち帰る。
週末だけ泊まって行くが本当はもっと長く一緒にいたい。
そんな思いを抱え唇にキスをした。
舌を絡め、誘い出し、互いの口腔内を蹂躙するのに任せる。

牧野は求めている。

俺を。




ゆっくりとした息遣いも、やがて切れ切れとしたものに変わった。
つくしっと呼べば女の態度が変わったのがわかる。
その途端、激しい飢えが身体中を襲う。
胸にキスの雨を降らせば、喉の奥から漏れる声は甘く俺の名を呼んだ。
開いた口から漏れる声が何度もつかさ、と呼ぶ。
幸せな気分が胸に込み上げ、顔を上げた。
見下ろせば身体に熱い想いが広がり、胸がずきっと疼いた。

「おまえを紹介してくれた滋に感謝しねぇとな・・たとえ仕事で会うことになってたとしても。そっちは確実じゃなかったから俺はおまえと出会えなかったかもしれねぇ」

牧野がクスッと笑ってあたしも。と言った。
その言葉を何度でも言わせたい。
俺と会ったことを後悔なんてさせねぇ。
これから何十回でもキスしたい。

その夜、何度も愛し合った。
何度愛し合っても余裕などなく、つき動かされるように求めていた。
すでに露になり、何度も吸った双方の頂きは、硬く張りつめ濃い色に変わっていた。
唇で一方の頂きを弄び、もう片方を指で摘まんだ。
頬をすり寄せ、少しざらついて来た顎をその膨らみへと押し付けた。
普段はないその感触に女の身体が一瞬震えていた。


太腿の内側を撫で、開くように促す。
開いた脚の間で触れられることを待つ泉に顔を近づけた。
その場所でゆっくりと動く舌。
既に濡れている部分を唇で吸い、深く激しくキスを繰り返し、濡れ続ける場所を味わう。
息を呑む音と名前を呼ぶ声がしたが、決して止めることなく舌を躍らせ蜜を掬った。

大切なのは女を歓ばせることだ。
このうえない歓喜を与えてやりたい。

指で狭いクレバスをなぞって膨れた花芽を転がし、その奥へと差し入れた。
蜜壺の中で指を締め付けながら反り返る身体。
曲げた指先に触れた場所が中をひくつかせていた。

解放されたいと望んでいるのはわかるが、そんなに早くイカせねぇ。
そんなことしたら勿体ねぇだろ?
俺は俺を求めるおまえが欲しいんだから。
もっと求めて、疼いて、貪って欲しい。
追いつめれば追いつめるほど欲しがる解放。
限界までいかせたい。

・・だが、俺の方が無理か?

「・・おねがい・・っ・・」

身体を満たす指だけでは我慢が出来なくなったのか?
そんなに欲しいなら欲しいって言え。
俺に懇願しろ。
疼く深みに俺を受け入れてくれ。

顔を上げれば潤んだ目で恨めしそうに俺を見た。

・・ちくしょう・・

そんな目で見るんじゃねぇよ!

「欲しいんだろ?俺が欲しいって言えよ?」

「・・つ・・つかさ・・が欲しいっ・・おねがいっ」

こんなとき、素直になるこいつは世界一いい女。

「俺もおまえが欲しい・・」

おまえの要求ならなんでも聞いてやる・・

腰を持ち上げ、引き寄せ、脚の間の高まりを濡れた秘所に押し当てた。

「俺を感じてくれ・・」

ぐっと身体を押し付け、脈打つ分身を深く突き入れた。
先端で中を押し広げ、理性を麻痺させる最奥まで貫いた。

「俺を包んで・・」

掴んだ細い身体を壊さないようにと気遣うが、激しく律動する身体が止まることはない。
キツイ中に何度も突き入れ、絶頂に達する瞬間までずっと顔を見ていたい。
包みこまれ、締め付けられ、俺の方が奪われたと感じる。歯を食いしばるが、汗が白い肌に落ちるほどに求めることが止められない。


「つくし・・愛してるっ!」

「・・あ、あたしもっ・・あいしてるっ・・」

ぎゅっと締めつけられ、身体が張りつめた瞬間、イクのがわかった。
その瞬間、細胞が渇望し、求めるものを手に入れた。

・・だが、何度でも欲しい・・
けど今夜はもうこれ以上は無理か?

甘やかせて、慈しんでやりたい女。
おまえだけが欲しい。
小さな身体に両腕を回し、胸に引き寄せるとキスをした。

やがてシーツにくるまり、抱き合い、互いの腕の中で眠りに落ちていた。





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コメント
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dot 2017.01.21 13:04 | 編集
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dot 2017.01.21 14:43 | 編集
悠*様
ルビコン川(笑)
初めの頃、部下の紺野くんは、古代ローマ時代ルビコン川を武装して渡ると、宣戦布告になるという故事から、二人の状況をそう感じたようです。道明寺家と庶民の間にはそんな川が流れていて、渡れば賽は投げられた状態となり、元には戻れない大変なことになるんですよ?と、言った意味でおしゃべりしていました(笑)
お話は流れで読んでいただければと思いますので、引き込まれると言って頂き大変光栄です。
コメント有難うございました^^


アカシアdot 2017.01.21 20:44 | 編集
司×**OVE様
こんにちは^^
昔の司の色々。つくしは気にしていません。大人ですから(笑)
過去の女のこと・・どうでしょう(笑)
いい年した男が何もなかったとは考えていないと思います。
そんなことを気にする暇もないほど愛されているはずです(笑)
そろそろCMも出来上がる頃ですね!
放送されるCMを見てどう感じるのでしょうか?
それよりもあのCMを実践する日が来るのでしょうか?(笑)
え?アカシア次第?(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2017.01.21 20:51 | 編集
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dot 2017.01.21 23:48 | 編集
マ**チ様
こんばんは^^
楓さんとの面接もうまく行きました。はい。二人の関係も絶好調のようです。
紺野くん、本当に世話やきですね(笑)
主任は仕事は出来るんですが、色恋には疎いので仕方がありません(笑)
きっと最後までこんな調子で主任をサポートしてくれるはずです。
紺野くんのポケットからワセリンをそっと抜く西田さん・・。
紺野くんの失恋を慰めてくれる誰かが現れることを祈りましょう(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2017.01.22 20:22 | 編集
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dot 2017.01.23 00:19 | 編集
チ**ム様
こんばんは^^
甘々な司とつくしでしたか?(笑)
大人ですからねぇ(笑)たまにはいい思いもさせてあげたいと思いました。
司が夫だと尽くしてくれそうですね?(笑)
妻を溺愛する夫。いつかそんな日が来ると思います(笑)
しかし毎日寒い日が続きますね。お風邪など召されませぬようご自愛下さいませ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2017.01.23 22:34 | 編集
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