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2015
09.11

キスミーエンジェル12

「ねえ、この夕食に呼ばれた理由はなに?」
「互いの気持ちを話し合うべきだと思った」
「何を話し合うっていうの?」
「言っただろ?お前の本当の気持ちだよ」

私の本当の気持ち?


私の気持ちって・・・それは・・・・
そう考えていたら急に頭が冴えてきた。
そしてそれと同時に怒りも芽生えてきた。

私の気持ちをかき乱しておいてニューヨークに行ってしまった道明寺。
たとえ束の間でも私に恋という夢を見させた。
もうこれ以上道明寺に私の人生をかき乱す権利なんてない。
私が今の自分になるまでどんな思いをしたか知らないくせに!


つくしは道明寺を正面から見つめた。
「今夜は食事に招かれたのよね? だったら食事にしない? 話し合いはその後でもいいでしょ?」

道明寺はかすかにひるんだ。
「ああ、そうだな」

つくしは道明寺のその表情を見逃さなかった。
彼はテーブルへと近づくとつくしの為に椅子を引いてくれた。
つくしは陶器とクリスタルの食器が並ぶテーブルにつくと料理がサーブされてくるのを眺めていた。


こいつは相変らず美味そうに食ってるな・・・
「お前、変わらないな」
「何が変わらないの? 変わったかどうかなんて分からないでしょ?」

私達が過ごした時間は短くて今の道明寺に私がどう変わったかなんて分かるはずがない。
それに今の私はあの頃と違い社会に出てから学んだことが沢山ある。

世間で恥ずかしいと思われることがないようにビジネスマナーも身に付けた。
一度の食事で一日の給料に値するような金額が飛んでいくような店での食事も経験してきた。
つくしは食事をする手を休めると道明寺を見つめた。
彼はまだ食べ始めてもいなかった。



俺は牧野を怒らせてしまったか?
そんな自分に愛想をつかしながらも話題を変えようと牧野の仕事の話を切り出した。
最初はとつとつと答えていた牧野だったが、やがてはすらすらと話し始めていた。
どうしてこの仕事についたのか、今の仕事についてどう考えているのか、これから先のこと・・・
そして将来の夢・・・
牧野の将来の夢の中に俺の居場所が欲しい。

大きな目を輝かせながら語りかけてくる牧野。
そんなこいつに今まで知らなかった牧野の一面を見た気がした。
そうだよな、俺が牧野とこうして食事をしたのは8年も前の話だ。
あれから8年も経つんだな。
あたり前だよな、俺にはお前の知らない部分が沢山あるんだろうな。
道明寺は椅子にもたれ掛ると手にしたグラスの中身を飲み干した。


道明寺の仕事に対する質問は鋭かった。
その質問に対するつくしの答えにも興味を持っているようだった。
気が付けばいつの間にか彼との話を楽しんでいる自分がいた。
そうしているうちに不思議と空気が和んできているのを感じていた。



「なあ、牧野 賭けをしないか?」
「賭け?」
「そうだ。お前は自分の本当の気持ちを認めようとしない」
「私の本当の気持ちって何よ。 今更分かったような事を言わないで」
「どうかな」
「賭けなんてしないから!」
「賭けるものは・・・・・」
「私には賭け事をするようなお金なんてないわ!」
牧野は挑むような目で道明寺を見た。

「牧野、金じゃない」
「じゃあいったい何を賭けようっていうのよ!」
俺は牧野の大きな瞳の中で揺れ動いているであろう不安を煽るように挑戦的に微笑んでみせた。

「これから1年以内にお前の指に俺が贈った指輪が収まっていることに賭けるんだ」

俺は驚いた様子で大きく見開かれた牧野の瞳を見つめていた。

「そ、それどう言う意味?」
「お前が俺のプロポーズを受け入れるってこと」
「自惚れるのもいい加減にして!そんな事絶対にないから時間の無駄よ」
「そうかよ? 結婚するなら付き合ってもいいって言ったのはお前だろ?」
「だ、だから、あれは本気なんかじゃなかった! 私はそんな賭けになんて乗らないから」


いいだろう。
「もし俺が勝ったらお前は俺の妻になる。そして、そうだな盛大な結婚式を挙げて
その後は1週間ぶっ通しでベッドで過ごすんだ。牧野、俺のプランをどう思う?」
俺の露骨な言葉にも牧野は冷静な目つきでこちらを見返してきた。

「その時は朝も夜もなくベッドで過ごすつもりだ」
「いいわ。そんな賭けには絶対に負けないから。で、道明寺、いえあなたが負けたらどうするのか聞いてもいいわよね?」
「お前の言うことを何でも聞いてやるよ。 だがな牧野、俺が負けることは絶対にない」
「そう・・・。これから1年先が楽しみね」
「牧野、俺は1年も時間を掛けるつもりはないさ」



牧野、この勝負はどちらが勝つか見物だな。








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応援有難うございます。
明日はお休みします。
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コメント
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dot 2015.09.11 20:58 | 編集
名無し様
拍手コメント有難うございます。
こちらこそわざわざご連絡を有り難うございます。
引き続き読んで頂けるようになって良かったです。
司のこれからの頑張り具合を考えると一年もかかりません!(笑)
だって身体が持たないって言ってますから何とかしてあげないと不憫でなりません(泣)
読み逃げ全く問題ありません!(笑)
サクッと読んで頂ければそれでOKです。
でも明日はお休みなのです。ごめんなさい。
アカシアdot 2015.09.11 23:08 | 編集
ピニ****ダ様
ご訪問有難うございます。
先日も拍手コメントを有り難うございました。
二人の駆け引きを楽しんで頂いて嬉しいです。
え?そんな勉強になるようなことは何もないですよ(笑)
いつも楽しみに読んでいると言って下さるだけで満足です。♪(/ω\*)
これからも二人のやり取りを楽しんで頂けるといいのですが・・。
いつも応援をして下さって有り難うございます!
でも明日はお休みなのです!ごめんなさい。

アカシアdot 2015.09.11 23:31 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2015.09.16 16:04 | 編集
た*き様
再びコメント有難うございます。
そうなんです!つくしが意地を捨ててくれるかどうかに賭けをしているのです。
つくしの気持ちのどこかに司を忘れられない何かがあるのです。それを何とか表現したいのですが・・
難しいです( ノД`)…

アカシアdot 2015.09.16 22:11 | 編集
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