雨除けの傘を持って来るべきだった。
人生の中で傘になってくれる人はいないのだから、自分で用意する意外方法はない。
つくしは人に守られるのは嫌な女だったはずだ。だが年令を重ねてくれば、どこか人に頼りたいと考えることもあった。17歳の時に目の前で人が刺されるという事件に遭遇すれば、その光景が目に焼き付き、悪い夢にうなされたこともあった。そんなときは誰か傍にいて欲しい。そう思うのは人としてあたり前の感覚のはずだから。
つくしは一通の手紙を置いてくるつもりでいた。
果たして道明寺がその手紙を見ることがあるかどうか、わからなかったがそれでも良かった。
読まずに破り捨てられても構わなかった。
「牧野。おまえいいのか?」
「いいのかって、もうわたしは必要とされてないから・・」
そうだ。もう必要はない。今では脚も元に戻りつつある男に手助けの必要はない。
椿に頼まれた時はどうして引き受けてしまったのかと後悔したが、10年も心に抱えていた想いの方が強かった。だから少しの間でも傍に居られるならと引き受けていた。
だが、いくら椿の頼みだからと言ってやはり引き受けるべきではなかった。道明寺は、彼はわたしみたいな女は嫌いだと言っていたではないか。10年前のあの日で終わりにすれば良かったものの、どうして傍にいたいだなんてことを考えてしまったのか。
その答えはわかっていた。
ただ、少しでもいいから傍にいたかった。
それだけの理由だった。
あの時出来なかったことをしてあげたいと思っただけだ。だがもう必要とされていないと分かったのだから、自分勝手な感傷に浸るべきではないと気づいた。それに彼には婚約者がいて、いずれは結婚する。だからあのときの思いはもう永久に伝わることがない。
「美作さん。お願いがあるの。これ、この手紙を道明寺に渡して欲しいの。本当はこんな手紙書くつもりなんてなかったけど、どうしてなのかわからないけど、あの頃伝えられなかった思いを書いたの。だから・・」
あの頃伝えられなかった思い。
だが自分は何を伝えようと言うのか?道明寺はわたしのことが誰だか、わかっていないと言うのに手紙を受け取ったところで困るはずだ。
たとえ手渡したのが彼の友人だったとしても、使用人の女からの手紙を受け取る理由はない。破り捨てられることはわかっていたが、どうしても書かずにはいられなかった。
それが自己満足だとわかっていても、文字にすることで自分の気持ちを確かめることが出来たのだから充分だった。
「ああ。わかった。必ず渡す。それに必ず読ませるからな。俺が責任持って読ませてみせる。」
「ありがとう。美作さん。」
「いや。いいんだ。俺がお前にしてやれることは少ないからな。しかし、おまえ本当に行くのか?」
「うん。」
あの日。
道明寺の意識が回復するまでの4日間。
つくしはベッドに横たわっている男の全身を眺めていた。
10年ものあいだ、一度も会わなかった男にこんな形で会うことになるとは思いもしなかった。あの頃は知らなかった男の体。広い肩はあの頃と変わらないが、筋肉がつき、胸には厚みがあり、その風貌は大人の男に変わっていた。少年から青年を経て引き締まった体つきになった男。顔つきも精悍となり、あの頃よりも危険な雰囲気が感じられた。
そんな男に触れるべきではなかった。
それなのに触れてしまった。
あの頃子供過ぎて触れることすら躊躇してしまっていた男の体に。
女性なら誰でも夢中になる男に。
だが決してつくしのものにはなることのない男。
この男には婚約者がいる。
どこかかわいらしさが残る美しい人。
自分のようにチビで瘦せっぽちの女なんかじゃない。
自分のように化粧っ気もなく佇む女なんかじゃない。
声を殺して泣くことしか出来ない女じゃない。
つくしはこれ以上、司の傍にいることは出来なかった。
もうこれ以上は。
それにもう用はないはずだ。彼は杖が必要ないところまで回復していた。
そうだ。
もうこれ以上傍にいる必要はない。
だから、もういい。
叶わない思いを抱えて生きることは精神的に辛すぎるから。
「牧野。本当に行くのか?もう一度聞くがおまえはもう司のことはどうでもいいのか?」
「うん・・美作さん。もういいの。道明寺はあたしのことを思い出さないんだし、これ以上傍にいる必要もないし、婚約者の人もいるでしょ?」
だからもうこの場所から離れたい。
どうしても離れたかった。道明寺が結婚するところなど見たくはないから。だが、いつかその日が来ることはわかっていた。しかし、それが自分の目の前で行われることには耐えられそうになかった。自分の片思いから始まった恋ではなかったのに、いつの間にか恋をし、自分の命までかけてもいい人になっていた。
つくしは自分が目にした光景を思い出すと、もうこれ以上司の傍にいることが辛かった。婚約者を引き寄せ抱きしめている光景が目に焼き付きていた。
それは10年前に邸を訪ねていた頃、目にした光景と同じだった。そんな二人の姿を目の当たりにすれば、もうこれ以上あの場所にはいられなかった。そして自分の立場を思い知らされていた。
「そうか。それで、これからどうするんだ?司のところを辞めるってことは仕事が無くなるってことだろ?」
「うん。大丈夫。暫く海外にでも行ってこようかと思ってるの。」
「海外?」
「うん。弟が今イギリスに駐在してるから居候って言ったら変だけどロンドンを起点にして少しだけ旅行してこようかと思って。」
「そうか・・気を付けて行けよ。」
「うん。ありがとう。美作さんもお元気で。」
つくしはそれから後、司の元での仕事を辞めた。
もちろん椿からは慰留されたが、首を縦に振ることはしなかった。もうこれ以上傍に居るのは辛いからと正直な気持ちを打ち明けていた。椿にすれば、つくしが近くにいれば弟の記憶が戻るではないかという思いがあったのかもしれないが、その望みは叶えられることはなかった。
今度こそ忘れよう。
忘れ去ってしまおう。
そうすることが自分にとって一番いいはずだ。
決断をした後、すぐに行動に移すと旅立っていた。
***
あれから半年。
新堂麻里子は司の脚が治らないのではないかと思ったのか、やはり婚約は無かったことにしてくれと言って来た。所詮ビジネスとして交わされた婚姻の約束だ。司はどうでもいいとばかりに頷いていた。最初から結婚などする気はなかったのだから、女の方から言い出さなくてもどこかでけりをつけていた。そんな女と別れた男は不自由を感じていた脚も元に戻ると、以前に増して精力的に仕事をこなすようになっていた。
他人に対して興味がないのは相変らずで、喜怒哀楽はなく、時折表情が変わるとすれば部下がミスをしたときだ。そして男が話しかける人間は秘書か友人に限られているという状況だった。
あきらはそんな司の元を久しぶりに訪ねていた。
牧野つくしから預かった手紙はまだあきらの手元にあった。
何故半年も前に預かった手紙を今頃渡すことになったのか。
それは本人から頼まれていたからだ。道明寺の脚が良くなってから渡して欲しいと。
もし良くならなかったら永久に渡せないということになる。
そして、道明寺に何か変化があった時に美作さんの判断で渡して欲しいと。
婚約者と別れた。それをあきらは判断材料と考えた。どんな内容の手紙か知らないが、今なら司も手紙を読むはずだと感じたからだ。もしあの当時渡していれば、恐らく破り捨てられていた。そんな気がしていた。
「司。おまえ牧野つくしのこと。覚えてるか?半年前におまえのところで働いていた女。」
あきらは司の顔を窺っていた。
「覚えてないなんて言わないよな?あれだけおまえの近くにいた女だ。」
秘書の補佐として、いつも司の傍に佇んでいた。
「誰だって?」
司は顔を上げることなくデスクに向かっていた。
「そうか。覚えていないか。それならこれ渡す必要もないか。」
あきらは手にしていた手紙を司のデスクに置いた。
だが司はなんの反応もみせなかった。
「なあ、司。この手紙、半年前に預かってた。だけどおまえに渡さなかった。なぜだと思う?」
やはりなんの反応も示さなかった。
「俺はこの手紙に何が書かれているかなんてことは、勿論知らない。ただ、預かっただけだ。おまえに確実に手渡すように。それから確実に読んでもらうためにだ。おまえは牧野のことを知らないかもしれないが、俺はあいつをよく知ってる。だからどうしても、おまえに読んでもらいたい。」
あきらは何も言わない友人がどうしてこうも頑ななのか知りたかった。だから思い切って今まで決して口にしなかった疑問をぶつけていた。
「司、おまえはいつまで仮面を被る気だ?記憶、戻ってるんだろ?なあ司。本当のこと言えよ!」
司はその言葉に顔を上げた。
仮面_
孤独という名の仮面を被り続ける。
司のこれまでの人生はそれでも良かったはずだ。記憶がない男ならそれでも。
だが今は違うはずだ。記憶は戻った。あの日の記憶と共にすべてが。
「気づいてたのか・・」
男の口から呟きとも言える声が聞えた。
「あたり前だ。あの事故の後だろ?記憶が戻ったのは?おまえの姉ちゃんだって気づいてたぞ。だから牧野をおまえの傍に置いたんだ!」
そうか_
姉の椿も気づいていた。
司は大きく息を吐いた。
「ああ。意識が戻ったとき、全部思い出した。何もかも全て」
あの日の光景から、遡る日々も全て。
「なんでだ、司!なんで言わなかったんだ牧野に!」
あきらの声は大きく部屋に響いていた。
「なあ、司、聞いてるのか?牧野だぞ?おまえが心から欲しかった女だろ?」
「ああ、聞いてるしわかってる。けど俺はあいつを追いかけていく資格がない男だ。」
「何言ってるんだ!牧野が、どうして牧野が今までひとりでいたかわかってるのか?あいつにだって幸せになる権利がある。その権利を取り上げたのはおまえだろ?おまえがあいつを・・」
忘れた。
「おまえ、あいつが・・おまえが病院に運ばれて・・手術中になんて言ったか知ってんのか!」
あきらはつくしの事が好きで好きで追いかけ回していた司を思い出していた。
どうしようもないくらい熱い思いを抱えていた男のことを。
それなのに、今彼の前にいる男は静かに椅子に腰かけている。
「わたしの前で死なないでって・・おまえ、牧野が、どんな思いでおまえに会いに来たのか・・あんな経験を2度もさせるなんて、俺は牧野を呼ぶんじゃなかったって後悔してる。おまえなんかに会わせるんじゃなかったってな!記憶が戻ってるなら何故・・どうして抱きしめてやらねぇんだ!おまえはっ・・」
想像しないことはなかったはずだ。
2度も生死を彷徨う羽目になった男の傍にいる女のことを。
もちろん、好きな女に心配をかけたくなんかなかった。
「あきら、俺はあいつの傍にいる資格はない男だ。あいつを忘れて10年だぞ?赤ん坊が10年たってみろ?どうなる?言葉を覚え、生意気な時を過ぎて・・」
司は言葉を詰まらせた。
10年ひと昔。
そんな言葉が頭の中を過ったが今では10年よりももっと短いスパンで物事は移り変わっていく。そして、時は知らぬまに過ぎていたとはいえ、取り返すことは出来ないとわかっている。それに今さらだという思い。
司の胸にはあの頃と同じ思いがあったが、牧野は自分のことなど、もう好きではないという思い。
そんなことばかりが彼の頭の中に去来していた。
「それにあの頃の俺には婚約者がいて、脚が元に戻るかわかんねぇ状況だったんだぞ?そんな状況であいつを抱きしめることが出来るか?そんなことをすれば、あいつに・・犠牲を強いるような羽目になることだけはわかっていた。」
だから決して自分の思いは口にすまいと心に決めていた。
牧野は自己犠牲をもいとわない女だ。
いつもそうだった。
記憶が戻ったことを伝えれば、自分を犠牲にして脚の悪い男に付き添おうとするはずだ。
司はそんなことを望んではいなかった。
だがその反面、傍にいて欲しかったのも実実で、自分の気持ちがどうしようもないくらい揺れていたのは確かなことだった。心の葛藤がなかったと言えば嘘になる。
司は酷い態度を見せる反面、心の中ではつくしの想いを感じていたはずだ。
司を見るあの大きな瞳が、憂いを含んだように自分を見るあの瞳が訴えてくるものが確かにあった。
「司、牧野はおまえにとって最初で最後の恋なんだろ?おまえにはあいつだけなんだろ?
そう言ってたじゃないか!なに遠慮してんだよ!たとえおまえの体がどうだろうと、そんなことを気にするような女か?牧野って女はそんな女じゃねぇだろ?」
あきらは親友が遠慮を口にする姿を信じられない思いで見つめていた。
この男がひとりの女に対してそんな態度を取るのは、やはり相手が牧野つくしだからだと納得した。だがいつまでたっても行動に移そうとしない男は若かったあの頃とは違っているということか?あの頃は考えるより先に行動していたはずだ。
「司、おまえの心はいつからそんなに″やわ″になったんだ?おまえの心はガラスで出来てるとでも言うのか?それに言っとくが完璧な人間なんてどこにもいねぇんだぞ!おまえは牧野に対して完璧な自分を見せたいのか?記憶が戻った男は完璧な自分を見せたかったのか?人は欠点があるから、その欠点を補うために誰かを求めるんだろ?おまえにとってそれが牧野なんだろ?おまえは完璧な人間なんかでいる必要はねぇんだよ!」
あきらは苛立ちのあまり感情的になっていたが、やがてひと息ついていた。
「いいか?牧野から預かった手紙は絶対に読め!」
あきらは強い口調で言うと、そこから先はまるで声をひそめるように話していた。
「俺はもう帰るがいいか?この手紙を読んで、それでも牧野のことがもうどうでもいいなら、それはおまえの決めたことだからこれ以上何も言わない。司、牧野はおまえがどんな状況に置かれようが、おまえを愛してる。わかるだろ?おまえの愛した女だろ?それから・・あいつは今この国にはいない。」
二つの世界がそこにあった。
18歳の少年と28歳の大人の男だ。この二人の男はいったい何を考えているのか。
司は28歳の今の自分ならどうしたいかと聞いてみるが、その男は勇気が持てなかった。
だが18歳の少年の頃の自分は違った。今すぐ追いかけるべきだと叫んでいた。
好きな女を追いかけないでどうするんだと叫んでいる自分が確かにいた。
「あきら・・牧野は、あいつはどこに行くって言ってた?」
「ああ。イギリスだ。弟があっちで暮らしてるらしいから、暫くあっちで世話になるって言ってたぞ?」
「イギリスか・・」
「追いかけて行くんだろ?司。」
「ああ。当然だろ?今さらだと思われてもいい。俺は・・牧野が受け入れてくれるなら、あいつが俺を傍に置いてくれるなら、ずっとあいつの傍にいたい。」
あきらは司の言葉に先ほどまで感じられなかった強さを感じていた。
そしてその瞳に宿った光を。
「そうか。おまえは10年も牧野を待たせたんだからな。ちゃんとしてやれよ、司。それから、牧野に甘えてこい。完璧な自分でいる必要はねぇからな。」
言われなくてもわかってると言いたかったのか、あきらはじろりと睨まれていた。
イギリスなんか選びやがって。
ただでさえ雨の多い土地を選ばなくてもいいだろう?
雨が降れば嫌なことを思い出す。それはあいつにも俺にも言えることだ。
司はジェットの用意が出来るとすぐに日本を離れた。
眼下に見える景色は滑走路に規則正しく並ぶオレンジ色の誘導灯。
やがてその灯りも小さく消えていった。
日没を迎えた西の空は茜色に染まっていた。だが太陽は今この国より遅い時差を持つイギリスの大地を照らしているはずだ。
ジェットは東京湾の上空で右に大きく旋回しながら、左手に都心のビルを眺めていた。やがて北の方向へ機首を向けると高度を上げて行った。高度1万メートルの世界は既に暗い。だが彼の心には光が射していた。
司は遠い昔過ごしたあの日々を、何と鮮やかに覚えていたことか。
それは決して遠い昔ではなかったはずだ。
潜在意識の中にはいつもいたはずだ。
牧野つくしが。
今、彼の手にはあきらから受け取った手紙が握られていた。
入院中もそうだったが、何年もの間流したことのない涙が頬を伝って流れているのが感じられた。
まきの_
「まきの・・」
「まきの・・」
「牧野・・おまえに・・会いたい・・」
司はやさしい声で愛しい人のその名前を繰り返し自分にだけ聞こえるように呟いていた。

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つくしは人に守られるのは嫌な女だったはずだ。だが年令を重ねてくれば、どこか人に頼りたいと考えることもあった。17歳の時に目の前で人が刺されるという事件に遭遇すれば、その光景が目に焼き付き、悪い夢にうなされたこともあった。そんなときは誰か傍にいて欲しい。そう思うのは人としてあたり前の感覚のはずだから。
つくしは一通の手紙を置いてくるつもりでいた。
果たして道明寺がその手紙を見ることがあるかどうか、わからなかったがそれでも良かった。
読まずに破り捨てられても構わなかった。
「牧野。おまえいいのか?」
「いいのかって、もうわたしは必要とされてないから・・」
そうだ。もう必要はない。今では脚も元に戻りつつある男に手助けの必要はない。
椿に頼まれた時はどうして引き受けてしまったのかと後悔したが、10年も心に抱えていた想いの方が強かった。だから少しの間でも傍に居られるならと引き受けていた。
だが、いくら椿の頼みだからと言ってやはり引き受けるべきではなかった。道明寺は、彼はわたしみたいな女は嫌いだと言っていたではないか。10年前のあの日で終わりにすれば良かったものの、どうして傍にいたいだなんてことを考えてしまったのか。
その答えはわかっていた。
ただ、少しでもいいから傍にいたかった。
それだけの理由だった。
あの時出来なかったことをしてあげたいと思っただけだ。だがもう必要とされていないと分かったのだから、自分勝手な感傷に浸るべきではないと気づいた。それに彼には婚約者がいて、いずれは結婚する。だからあのときの思いはもう永久に伝わることがない。
「美作さん。お願いがあるの。これ、この手紙を道明寺に渡して欲しいの。本当はこんな手紙書くつもりなんてなかったけど、どうしてなのかわからないけど、あの頃伝えられなかった思いを書いたの。だから・・」
あの頃伝えられなかった思い。
だが自分は何を伝えようと言うのか?道明寺はわたしのことが誰だか、わかっていないと言うのに手紙を受け取ったところで困るはずだ。
たとえ手渡したのが彼の友人だったとしても、使用人の女からの手紙を受け取る理由はない。破り捨てられることはわかっていたが、どうしても書かずにはいられなかった。
それが自己満足だとわかっていても、文字にすることで自分の気持ちを確かめることが出来たのだから充分だった。
「ああ。わかった。必ず渡す。それに必ず読ませるからな。俺が責任持って読ませてみせる。」
「ありがとう。美作さん。」
「いや。いいんだ。俺がお前にしてやれることは少ないからな。しかし、おまえ本当に行くのか?」
「うん。」
あの日。
道明寺の意識が回復するまでの4日間。
つくしはベッドに横たわっている男の全身を眺めていた。
10年ものあいだ、一度も会わなかった男にこんな形で会うことになるとは思いもしなかった。あの頃は知らなかった男の体。広い肩はあの頃と変わらないが、筋肉がつき、胸には厚みがあり、その風貌は大人の男に変わっていた。少年から青年を経て引き締まった体つきになった男。顔つきも精悍となり、あの頃よりも危険な雰囲気が感じられた。
そんな男に触れるべきではなかった。
それなのに触れてしまった。
あの頃子供過ぎて触れることすら躊躇してしまっていた男の体に。
女性なら誰でも夢中になる男に。
だが決してつくしのものにはなることのない男。
この男には婚約者がいる。
どこかかわいらしさが残る美しい人。
自分のようにチビで瘦せっぽちの女なんかじゃない。
自分のように化粧っ気もなく佇む女なんかじゃない。
声を殺して泣くことしか出来ない女じゃない。
つくしはこれ以上、司の傍にいることは出来なかった。
もうこれ以上は。
それにもう用はないはずだ。彼は杖が必要ないところまで回復していた。
そうだ。
もうこれ以上傍にいる必要はない。
だから、もういい。
叶わない思いを抱えて生きることは精神的に辛すぎるから。
「牧野。本当に行くのか?もう一度聞くがおまえはもう司のことはどうでもいいのか?」
「うん・・美作さん。もういいの。道明寺はあたしのことを思い出さないんだし、これ以上傍にいる必要もないし、婚約者の人もいるでしょ?」
だからもうこの場所から離れたい。
どうしても離れたかった。道明寺が結婚するところなど見たくはないから。だが、いつかその日が来ることはわかっていた。しかし、それが自分の目の前で行われることには耐えられそうになかった。自分の片思いから始まった恋ではなかったのに、いつの間にか恋をし、自分の命までかけてもいい人になっていた。
つくしは自分が目にした光景を思い出すと、もうこれ以上司の傍にいることが辛かった。婚約者を引き寄せ抱きしめている光景が目に焼き付きていた。
それは10年前に邸を訪ねていた頃、目にした光景と同じだった。そんな二人の姿を目の当たりにすれば、もうこれ以上あの場所にはいられなかった。そして自分の立場を思い知らされていた。
「そうか。それで、これからどうするんだ?司のところを辞めるってことは仕事が無くなるってことだろ?」
「うん。大丈夫。暫く海外にでも行ってこようかと思ってるの。」
「海外?」
「うん。弟が今イギリスに駐在してるから居候って言ったら変だけどロンドンを起点にして少しだけ旅行してこようかと思って。」
「そうか・・気を付けて行けよ。」
「うん。ありがとう。美作さんもお元気で。」
つくしはそれから後、司の元での仕事を辞めた。
もちろん椿からは慰留されたが、首を縦に振ることはしなかった。もうこれ以上傍に居るのは辛いからと正直な気持ちを打ち明けていた。椿にすれば、つくしが近くにいれば弟の記憶が戻るではないかという思いがあったのかもしれないが、その望みは叶えられることはなかった。
今度こそ忘れよう。
忘れ去ってしまおう。
そうすることが自分にとって一番いいはずだ。
決断をした後、すぐに行動に移すと旅立っていた。
***
あれから半年。
新堂麻里子は司の脚が治らないのではないかと思ったのか、やはり婚約は無かったことにしてくれと言って来た。所詮ビジネスとして交わされた婚姻の約束だ。司はどうでもいいとばかりに頷いていた。最初から結婚などする気はなかったのだから、女の方から言い出さなくてもどこかでけりをつけていた。そんな女と別れた男は不自由を感じていた脚も元に戻ると、以前に増して精力的に仕事をこなすようになっていた。
他人に対して興味がないのは相変らずで、喜怒哀楽はなく、時折表情が変わるとすれば部下がミスをしたときだ。そして男が話しかける人間は秘書か友人に限られているという状況だった。
あきらはそんな司の元を久しぶりに訪ねていた。
牧野つくしから預かった手紙はまだあきらの手元にあった。
何故半年も前に預かった手紙を今頃渡すことになったのか。
それは本人から頼まれていたからだ。道明寺の脚が良くなってから渡して欲しいと。
もし良くならなかったら永久に渡せないということになる。
そして、道明寺に何か変化があった時に美作さんの判断で渡して欲しいと。
婚約者と別れた。それをあきらは判断材料と考えた。どんな内容の手紙か知らないが、今なら司も手紙を読むはずだと感じたからだ。もしあの当時渡していれば、恐らく破り捨てられていた。そんな気がしていた。
「司。おまえ牧野つくしのこと。覚えてるか?半年前におまえのところで働いていた女。」
あきらは司の顔を窺っていた。
「覚えてないなんて言わないよな?あれだけおまえの近くにいた女だ。」
秘書の補佐として、いつも司の傍に佇んでいた。
「誰だって?」
司は顔を上げることなくデスクに向かっていた。
「そうか。覚えていないか。それならこれ渡す必要もないか。」
あきらは手にしていた手紙を司のデスクに置いた。
だが司はなんの反応もみせなかった。
「なあ、司。この手紙、半年前に預かってた。だけどおまえに渡さなかった。なぜだと思う?」
やはりなんの反応も示さなかった。
「俺はこの手紙に何が書かれているかなんてことは、勿論知らない。ただ、預かっただけだ。おまえに確実に手渡すように。それから確実に読んでもらうためにだ。おまえは牧野のことを知らないかもしれないが、俺はあいつをよく知ってる。だからどうしても、おまえに読んでもらいたい。」
あきらは何も言わない友人がどうしてこうも頑ななのか知りたかった。だから思い切って今まで決して口にしなかった疑問をぶつけていた。
「司、おまえはいつまで仮面を被る気だ?記憶、戻ってるんだろ?なあ司。本当のこと言えよ!」
司はその言葉に顔を上げた。
仮面_
孤独という名の仮面を被り続ける。
司のこれまでの人生はそれでも良かったはずだ。記憶がない男ならそれでも。
だが今は違うはずだ。記憶は戻った。あの日の記憶と共にすべてが。
「気づいてたのか・・」
男の口から呟きとも言える声が聞えた。
「あたり前だ。あの事故の後だろ?記憶が戻ったのは?おまえの姉ちゃんだって気づいてたぞ。だから牧野をおまえの傍に置いたんだ!」
そうか_
姉の椿も気づいていた。
司は大きく息を吐いた。
「ああ。意識が戻ったとき、全部思い出した。何もかも全て」
あの日の光景から、遡る日々も全て。
「なんでだ、司!なんで言わなかったんだ牧野に!」
あきらの声は大きく部屋に響いていた。
「なあ、司、聞いてるのか?牧野だぞ?おまえが心から欲しかった女だろ?」
「ああ、聞いてるしわかってる。けど俺はあいつを追いかけていく資格がない男だ。」
「何言ってるんだ!牧野が、どうして牧野が今までひとりでいたかわかってるのか?あいつにだって幸せになる権利がある。その権利を取り上げたのはおまえだろ?おまえがあいつを・・」
忘れた。
「おまえ、あいつが・・おまえが病院に運ばれて・・手術中になんて言ったか知ってんのか!」
あきらはつくしの事が好きで好きで追いかけ回していた司を思い出していた。
どうしようもないくらい熱い思いを抱えていた男のことを。
それなのに、今彼の前にいる男は静かに椅子に腰かけている。
「わたしの前で死なないでって・・おまえ、牧野が、どんな思いでおまえに会いに来たのか・・あんな経験を2度もさせるなんて、俺は牧野を呼ぶんじゃなかったって後悔してる。おまえなんかに会わせるんじゃなかったってな!記憶が戻ってるなら何故・・どうして抱きしめてやらねぇんだ!おまえはっ・・」
想像しないことはなかったはずだ。
2度も生死を彷徨う羽目になった男の傍にいる女のことを。
もちろん、好きな女に心配をかけたくなんかなかった。
「あきら、俺はあいつの傍にいる資格はない男だ。あいつを忘れて10年だぞ?赤ん坊が10年たってみろ?どうなる?言葉を覚え、生意気な時を過ぎて・・」
司は言葉を詰まらせた。
10年ひと昔。
そんな言葉が頭の中を過ったが今では10年よりももっと短いスパンで物事は移り変わっていく。そして、時は知らぬまに過ぎていたとはいえ、取り返すことは出来ないとわかっている。それに今さらだという思い。
司の胸にはあの頃と同じ思いがあったが、牧野は自分のことなど、もう好きではないという思い。
そんなことばかりが彼の頭の中に去来していた。
「それにあの頃の俺には婚約者がいて、脚が元に戻るかわかんねぇ状況だったんだぞ?そんな状況であいつを抱きしめることが出来るか?そんなことをすれば、あいつに・・犠牲を強いるような羽目になることだけはわかっていた。」
だから決して自分の思いは口にすまいと心に決めていた。
牧野は自己犠牲をもいとわない女だ。
いつもそうだった。
記憶が戻ったことを伝えれば、自分を犠牲にして脚の悪い男に付き添おうとするはずだ。
司はそんなことを望んではいなかった。
だがその反面、傍にいて欲しかったのも実実で、自分の気持ちがどうしようもないくらい揺れていたのは確かなことだった。心の葛藤がなかったと言えば嘘になる。
司は酷い態度を見せる反面、心の中ではつくしの想いを感じていたはずだ。
司を見るあの大きな瞳が、憂いを含んだように自分を見るあの瞳が訴えてくるものが確かにあった。
「司、牧野はおまえにとって最初で最後の恋なんだろ?おまえにはあいつだけなんだろ?
そう言ってたじゃないか!なに遠慮してんだよ!たとえおまえの体がどうだろうと、そんなことを気にするような女か?牧野って女はそんな女じゃねぇだろ?」
あきらは親友が遠慮を口にする姿を信じられない思いで見つめていた。
この男がひとりの女に対してそんな態度を取るのは、やはり相手が牧野つくしだからだと納得した。だがいつまでたっても行動に移そうとしない男は若かったあの頃とは違っているということか?あの頃は考えるより先に行動していたはずだ。
「司、おまえの心はいつからそんなに″やわ″になったんだ?おまえの心はガラスで出来てるとでも言うのか?それに言っとくが完璧な人間なんてどこにもいねぇんだぞ!おまえは牧野に対して完璧な自分を見せたいのか?記憶が戻った男は完璧な自分を見せたかったのか?人は欠点があるから、その欠点を補うために誰かを求めるんだろ?おまえにとってそれが牧野なんだろ?おまえは完璧な人間なんかでいる必要はねぇんだよ!」
あきらは苛立ちのあまり感情的になっていたが、やがてひと息ついていた。
「いいか?牧野から預かった手紙は絶対に読め!」
あきらは強い口調で言うと、そこから先はまるで声をひそめるように話していた。
「俺はもう帰るがいいか?この手紙を読んで、それでも牧野のことがもうどうでもいいなら、それはおまえの決めたことだからこれ以上何も言わない。司、牧野はおまえがどんな状況に置かれようが、おまえを愛してる。わかるだろ?おまえの愛した女だろ?それから・・あいつは今この国にはいない。」
二つの世界がそこにあった。
18歳の少年と28歳の大人の男だ。この二人の男はいったい何を考えているのか。
司は28歳の今の自分ならどうしたいかと聞いてみるが、その男は勇気が持てなかった。
だが18歳の少年の頃の自分は違った。今すぐ追いかけるべきだと叫んでいた。
好きな女を追いかけないでどうするんだと叫んでいる自分が確かにいた。
「あきら・・牧野は、あいつはどこに行くって言ってた?」
「ああ。イギリスだ。弟があっちで暮らしてるらしいから、暫くあっちで世話になるって言ってたぞ?」
「イギリスか・・」
「追いかけて行くんだろ?司。」
「ああ。当然だろ?今さらだと思われてもいい。俺は・・牧野が受け入れてくれるなら、あいつが俺を傍に置いてくれるなら、ずっとあいつの傍にいたい。」
あきらは司の言葉に先ほどまで感じられなかった強さを感じていた。
そしてその瞳に宿った光を。
「そうか。おまえは10年も牧野を待たせたんだからな。ちゃんとしてやれよ、司。それから、牧野に甘えてこい。完璧な自分でいる必要はねぇからな。」
言われなくてもわかってると言いたかったのか、あきらはじろりと睨まれていた。
イギリスなんか選びやがって。
ただでさえ雨の多い土地を選ばなくてもいいだろう?
雨が降れば嫌なことを思い出す。それはあいつにも俺にも言えることだ。
司はジェットの用意が出来るとすぐに日本を離れた。
眼下に見える景色は滑走路に規則正しく並ぶオレンジ色の誘導灯。
やがてその灯りも小さく消えていった。
日没を迎えた西の空は茜色に染まっていた。だが太陽は今この国より遅い時差を持つイギリスの大地を照らしているはずだ。
ジェットは東京湾の上空で右に大きく旋回しながら、左手に都心のビルを眺めていた。やがて北の方向へ機首を向けると高度を上げて行った。高度1万メートルの世界は既に暗い。だが彼の心には光が射していた。
司は遠い昔過ごしたあの日々を、何と鮮やかに覚えていたことか。
それは決して遠い昔ではなかったはずだ。
潜在意識の中にはいつもいたはずだ。
牧野つくしが。
今、彼の手にはあきらから受け取った手紙が握られていた。
入院中もそうだったが、何年もの間流したことのない涙が頬を伝って流れているのが感じられた。
まきの_
「まきの・・」
「まきの・・」
「牧野・・おまえに・・会いたい・・」
司はやさしい声で愛しい人のその名前を繰り返し自分にだけ聞こえるように呟いていた。

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Comment:10
コメント
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co**y様
こんにちは!
有難うございます(笑)
坊ちゃん覚醒しました(笑)これから捕獲に行きます。
えっ?美味しくいただく・・今回はどうなんでしょうか?(笑)先ずは絆を確かめてと言うところでしょうか。
コメント有難うございました^^
こんにちは!
有難うございます(笑)
坊ちゃん覚醒しました(笑)これから捕獲に行きます。
えっ?美味しくいただく・・今回はどうなんでしょうか?(笑)先ずは絆を確かめてと言うところでしょうか。
コメント有難うございました^^
アカシア
2016.11.03 21:49 | 編集

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さと**ん様
弱気の司に喝をいれるのは、あきらでした。
大人になったあきらは二人の行く末を気にしていたようです。昔から大人びていたあきらでしたので、あんな役割を引き受けたのでしょう。
なかなか踏み出せない彼は、本来の司ではありませんが、人間誰しも弱いところもある。と、いうことでしょう。ニューヨークでの10年は彼に変化をもたらしたのかも知れませんね。
手紙、司が教えてくれると思います。
コメント有難うございました^^
弱気の司に喝をいれるのは、あきらでした。
大人になったあきらは二人の行く末を気にしていたようです。昔から大人びていたあきらでしたので、あんな役割を引き受けたのでしょう。
なかなか踏み出せない彼は、本来の司ではありませんが、人間誰しも弱いところもある。と、いうことでしょう。ニューヨークでの10年は彼に変化をもたらしたのかも知れませんね。
手紙、司が教えてくれると思います。
コメント有難うございました^^
アカシア
2016.11.03 22:03 | 編集

司***ove様
こんにちは。
つくしは司の元を去り、司もなかなか動きませんでした。類も総二郎も記憶が戻ったことは分かっていたと思います。
あきらの言葉でやっと本来の自分を取り戻した様です。迎えに行く様です。未来は明るいと思います(笑)
明日で終わりですが、お付き合い頂き有難うございました。
コメント有難うございました^^
こんにちは。
つくしは司の元を去り、司もなかなか動きませんでした。類も総二郎も記憶が戻ったことは分かっていたと思います。
あきらの言葉でやっと本来の自分を取り戻した様です。迎えに行く様です。未来は明るいと思います(笑)
明日で終わりですが、お付き合い頂き有難うございました。
コメント有難うございました^^
アカシア
2016.11.03 22:27 | 編集

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21時56分にコメント下さったお方様へ
この司は言い訳ばかりの男ですね。
今までは傲慢で俺様、そして自信に満ち溢れていた男でした。
過去、つくしの前でもそんな姿しか見せていませんでしたが、事故で脚が動かない状況におかれ、こんな自分の姿を見せたくないという気持ちと、心の弱さが酷い態度になってしまったのかもしれません。
想いはあるが、脚がこのまま治らないかもしれない不安から、つくしに気持ちを伝える事が出来なかったのかもしれません。
本来の彼ではありませんが、つくしに対して心の中では葛藤があったと思います。
コメント有難うございました^^
この司は言い訳ばかりの男ですね。
今までは傲慢で俺様、そして自信に満ち溢れていた男でした。
過去、つくしの前でもそんな姿しか見せていませんでしたが、事故で脚が動かない状況におかれ、こんな自分の姿を見せたくないという気持ちと、心の弱さが酷い態度になってしまったのかもしれません。
想いはあるが、脚がこのまま治らないかもしれない不安から、つくしに気持ちを伝える事が出来なかったのかもしれません。
本来の彼ではありませんが、つくしに対して心の中では葛藤があったと思います。
コメント有難うございました^^
アカシア
2016.11.03 23:14 | 編集

マ**チ様
こんばんは^^
あきらが素敵な大人になっていて良かったです。
大人びた少年だった彼も二人の行く末を心配していたようです。親友って本当にいいですね。
再会はロンドンです。進も父に似なくて良かったですね(笑)
つくしからの手紙の内容は・・司が教えてくれるようです。皆さん待っていてくれるんですね。有難うございます!え?1名勘違い?(笑)
いえいえ、マ**チ様の御曹司にはいつも癒されます。3人組が騒いでいる姿が思い浮かびます(笑)
本当にいつも楽しませて頂いています。有難うございます^^
コメント有難うございました^^
こんばんは^^
あきらが素敵な大人になっていて良かったです。
大人びた少年だった彼も二人の行く末を心配していたようです。親友って本当にいいですね。
再会はロンドンです。進も父に似なくて良かったですね(笑)
つくしからの手紙の内容は・・司が教えてくれるようです。皆さん待っていてくれるんですね。有難うございます!え?1名勘違い?(笑)
いえいえ、マ**チ様の御曹司にはいつも癒されます。3人組が騒いでいる姿が思い浮かびます(笑)
本当にいつも楽しませて頂いています。有難うございます^^
コメント有難うございました^^
アカシア
2016.11.03 23:47 | 編集
