これじゃ自分で仕掛けた穴に落ちるようなものだ。
つくしはため息をついていた。
私は何をしたいんだろう。
道明寺の方が一枚も二枚も上手だと感じる。
今の主導権はあの男が握っている。
仕掛けた恋なのか、仕掛けられた恋なのか・・・・
******
道明寺はダイニングルームでつくしが来るのを待っていた。
迎えをやったはいいが本当につくしが来るかどうか考えていた。
俺が本当に牧野が来るかどうかを確かめたがっているとあいつに知られたら
牧野に有利な立場を与えてしまいそうだった。
あいつに主導権を奪われる不安を知られたくなかった。
だが戦略的には俺の方が有利なはずだ。
だてに何年も世界の第一線で仕事をしてきたわけじゃない。
今の俺には昔にはなかったものがある。
企業買収と共に長期的経営戦略をたてるのは得意分野の一つだ。
今の道明寺のマスタープランは殆どを俺が立てている。
それは経営者としては当たり前のことだか、こと牧野つくしに対しての戦略は今の俺の中で最重要事項だ。
牧野つくしに対しては中期経営計画くらいで済ませたいのが本音だがな。
いや、そんな悠長に時間をかけていては俺の身が持ちそうにない。
このままでは仕事に集中できないし、牧野が島田にいると思うだけで用もないのに島田へと足が向いてしまい、大事な会議を延期しかねない状況だ。
おまけに睡眠不足だ。
いい加減このあたりでなんとかしなければ俺の身体が持ちそうにないな。
俺はセッティングされたダイニングテーブルを見やった。
花、キャンドル、シャンパンも完璧にセッティングされていた。
あとは牧野が来るのを待つだけだ。
道明寺は腕時計を見た。
もうそろそろか・・・
その時、ダイニングルームの扉が開かれ牧野が現れた。
その瞬間、彼の頭にあったつくしに対しての戦略はあっという間にどこかへ消し去られてしまった。
そして牧野は黙って道明寺を見据えていた。
やはり来るべきではなかった。
ましてやこんな・・道明寺が寄こしたドレスなんて着てくるんじゃなかった。
オフショルダーのドレスなんて道明寺がタキシードであろうとなかろうと着てはいけなかった。
でも、ここに来たのは道明寺の言うところの自分の本当の気持ちを確かめたかったのかもしれない。
ダイニングルームの入口で室内の状況を見てとった。
並外れた広さの部屋にこれまた並外れた調度品の数々が見て取れる。
そしてロマンチックな演出が施されている。
そして私は彼の顔から目が離せなかった。
迎えのリムジンが道明寺邸に向かっていると気がついた時はすでに遅かった。
まさかお邸で正装をして夕食をとるとは思わなかった。
「牧野、どうした、入ってこいよ」
つくしはその声で我に返った。
目の前のロマンチックな光景に一瞬目を奪われたが道明寺の自分を呼ぶ声に
誘い込まれるように部屋の中へと入っていった。
高級感溢れる内装にはずばらしいのひと言に尽きた。
そして圧倒されるような美しさとその光景に溶け込むように立つ男。
この男は非凡だとは思っていたが超一流の男だったと今更ながら感じられた。
なのに、どうしてそんな男がこの私に執着するのかが分からない。
つくしは現実を前にしてその想像を絶する世界に住む男に身体が震える思いがした。
「 牧野? 」
道明寺はいつの間にかつくしの傍に近寄っていた。
「 え? 」
「気に入ったか?」
そう言いながらシャンパンのグラスを差し出してきた。
「ま、まさかお邸で食事をするとは思わなかったわ」
「そうか?ここの方が落ち着くからな」
それに色々とあるんだよ・・・・
そう言いながらグラスを掲げてきた道明寺につくしもグラスを軽く合わせた。
「牧野、飲まないのか?」
つくしはよく冷やされたシャンパンをひとくちだけ飲んだ。
そして道明寺がグラスを口へと運び、その男らしい喉元が上下する様子を見つめていた。
「ねえ、どうして私の事がそんなに・・」
「どうしてだと思う?」
「わからない・・・こ、この前は結婚してくれるなら付き合うっていったけど、
あれ、冗談だから! だから・・」
「牧野、俺は本気だ。お前と結婚したい」

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つくしはため息をついていた。
私は何をしたいんだろう。
道明寺の方が一枚も二枚も上手だと感じる。
今の主導権はあの男が握っている。
仕掛けた恋なのか、仕掛けられた恋なのか・・・・
******
道明寺はダイニングルームでつくしが来るのを待っていた。
迎えをやったはいいが本当につくしが来るかどうか考えていた。
俺が本当に牧野が来るかどうかを確かめたがっているとあいつに知られたら
牧野に有利な立場を与えてしまいそうだった。
あいつに主導権を奪われる不安を知られたくなかった。
だが戦略的には俺の方が有利なはずだ。
だてに何年も世界の第一線で仕事をしてきたわけじゃない。
今の俺には昔にはなかったものがある。
企業買収と共に長期的経営戦略をたてるのは得意分野の一つだ。
今の道明寺のマスタープランは殆どを俺が立てている。
それは経営者としては当たり前のことだか、こと牧野つくしに対しての戦略は今の俺の中で最重要事項だ。
牧野つくしに対しては中期経営計画くらいで済ませたいのが本音だがな。
いや、そんな悠長に時間をかけていては俺の身が持ちそうにない。
このままでは仕事に集中できないし、牧野が島田にいると思うだけで用もないのに島田へと足が向いてしまい、大事な会議を延期しかねない状況だ。
おまけに睡眠不足だ。
いい加減このあたりでなんとかしなければ俺の身体が持ちそうにないな。
俺はセッティングされたダイニングテーブルを見やった。
花、キャンドル、シャンパンも完璧にセッティングされていた。
あとは牧野が来るのを待つだけだ。
道明寺は腕時計を見た。
もうそろそろか・・・
その時、ダイニングルームの扉が開かれ牧野が現れた。
その瞬間、彼の頭にあったつくしに対しての戦略はあっという間にどこかへ消し去られてしまった。
そして牧野は黙って道明寺を見据えていた。
やはり来るべきではなかった。
ましてやこんな・・道明寺が寄こしたドレスなんて着てくるんじゃなかった。
オフショルダーのドレスなんて道明寺がタキシードであろうとなかろうと着てはいけなかった。
でも、ここに来たのは道明寺の言うところの自分の本当の気持ちを確かめたかったのかもしれない。
ダイニングルームの入口で室内の状況を見てとった。
並外れた広さの部屋にこれまた並外れた調度品の数々が見て取れる。
そしてロマンチックな演出が施されている。
そして私は彼の顔から目が離せなかった。
迎えのリムジンが道明寺邸に向かっていると気がついた時はすでに遅かった。
まさかお邸で正装をして夕食をとるとは思わなかった。
「牧野、どうした、入ってこいよ」
つくしはその声で我に返った。
目の前のロマンチックな光景に一瞬目を奪われたが道明寺の自分を呼ぶ声に
誘い込まれるように部屋の中へと入っていった。
高級感溢れる内装にはずばらしいのひと言に尽きた。
そして圧倒されるような美しさとその光景に溶け込むように立つ男。
この男は非凡だとは思っていたが超一流の男だったと今更ながら感じられた。
なのに、どうしてそんな男がこの私に執着するのかが分からない。
つくしは現実を前にしてその想像を絶する世界に住む男に身体が震える思いがした。
「 牧野? 」
道明寺はいつの間にかつくしの傍に近寄っていた。
「 え? 」
「気に入ったか?」
そう言いながらシャンパンのグラスを差し出してきた。
「ま、まさかお邸で食事をするとは思わなかったわ」
「そうか?ここの方が落ち着くからな」
それに色々とあるんだよ・・・・
そう言いながらグラスを掲げてきた道明寺につくしもグラスを軽く合わせた。
「牧野、飲まないのか?」
つくしはよく冷やされたシャンパンをひとくちだけ飲んだ。
そして道明寺がグラスを口へと運び、その男らしい喉元が上下する様子を見つめていた。
「ねえ、どうして私の事がそんなに・・」
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じゅん*****マ様
はじめまして。ご訪問有難うございます。
はい、勝手に読んで下さいませ(笑)
読み逃げでOKです!
え?目を盗んで読んで頂いているとは!(笑)
いや、実はバレていませんか?(|| ゜Д゜)大丈夫ですか?
そしてコーヒー片手にそんな表情をされているなんて
明日もそうなのかな?と思うとこちらが悶絶しそうです(笑)
最後になりましたが、暖かいお言葉を有難うございます( ノД`)…
こちらこそ、宜しくお願い致します。
はじめまして。ご訪問有難うございます。
はい、勝手に読んで下さいませ(笑)
読み逃げでOKです!
え?目を盗んで読んで頂いているとは!(笑)
いや、実はバレていませんか?(|| ゜Д゜)大丈夫ですか?
そしてコーヒー片手にそんな表情をされているなんて
明日もそうなのかな?と思うとこちらが悶絶しそうです(笑)
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アカシア
2015.09.10 21:43 | 編集
