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2016
09.05

恋人までのディスタンス 25

どうやってこの話しの終着点を見つけたらいいのだろう。
つくしは考えていた。
この男が言ったのは、昨日は強引なことはしなかったということだ。
それだけは何故か信じることが出来た。それによく考えてみれば話しに真実味が感じられるところはなく、意図的にからかわれたとしか言えなかった。
今のあたしは昨日の夜の出来事に続いて、オフィスに届けられた大量のバラの花に冷静な判断能力が失われてしまっているのかもしれない。
でも最後に口にした言葉の中にあった好きな女・・
意識しないわけにはいかなかった。




司はつくしの考えていることが手に取るようにわかった。

下着姿で寝ていた自分の隣にいた男が何かしたんじゃないかと考えるのは当然だが
好きな女だと言われて何を言ったらいいのか、考えあぐねているのだろう。
好きだから何かしていいという短絡的な考えは持っていないが、普通に考えれば男と同じ部屋で一夜を過ごすということは、男と女の関係になってもおかしくはないと思うはずだ。

好きな女を無理矢理どうこうするつもりはないと言ったがそれに対する返事は何もない。
だが好きだと言われたら考えることはひとつしかないはずだ。
相手が好きか嫌いか。イエスかノーか。
牧野はどう言った言葉を返してくるのか?

司はつくしの目の動きに注意を払った。一番に感情が表れるのが目だ。
だから目の動きを追うことで相手が何を考えてどう行動しようとしているのかを読み取ろうとした。
だが何も言おうとしないつくしに対し口を開いたのは司だった。

「おまえは俺が言ったことを受け流そうとしてるだろ?俺はおまえを好きだって言ったがおまえはどうなんだ?」

司の口調は落ち着き払っていてよどみない。はっきりと言い切るのは相手に同意を求めているとしか思えない。彼の言葉にはノーとは言わせないという強さが感じられる。

「えっ? あのそんなことより・・その話しはまた今度ゆっくりと・・今日あたしを呼び出したのは、このマンションのイ、インテリアの話しよね?」

司はつくしの反応を見逃さなかった。
牧野つくしは仕事の話しをすることで誤魔化そうとしていた。
間をおかず打てば響くような素早さで言葉を返すのは動揺の表れだ。
だが言葉を選ぶようにして継いでいくのは緊張しているせいか?

「そんな話しはあとでいい。まだ俺の話しは終わってない。俺はおまえのことが好きだと言ったんだ。」
「そ、その話しは後にしない?とにかく、このマンションのインテリアを決めるのよね?ど、道明寺さんも早く住みたいでしょ?ここからの眺めは最高だもの。」
つくしは何もない部屋の中を見渡していた。
「そうよ。ここはこんなに広い部屋なんだから沢山物を置くよりこの空間を生かしてゆったりと生活出来るような住まいにされたらいかがですか?ご要望があればなんでも言って下さい」
「要望か?」
要望ならごまんとある。
「牧野、俺の話しを聞け。それが俺の今の要望だ。昨日の夜は・・さっき話した通りおまえが豊かな想像力を駆使して考えたようなことは何も無かったんだ。」

「そ、そうよね・・」
司の揶揄したような言い方に小さな声で答えたつくしは自分の両手に視線を落とすとそのまま沈黙してしまった。
同じベッドでひと晩過ごした仲の男女が今さら気まずさを感じるということが司にしてみれば不思議だった。例えふたりの間に何もなかったとしても所詮男と女なんて水ものだ。
流れに任せていけばいいという思いがあった。だが今はそうは思っていない。

司の気持は目の前の女ほど複雑ではない。
牧野つくしは単純なように見えるが以外と複雑な感情を持っているようだ。

「俺が言いたいのはおまえのことを気に入って、おまえに俺を知って欲しいと思ってることだ。体から知ってもらってもいいが、おまえはそういう女じゃないようだし、俺もそこまで下衆じゃねぇよ。それに女に対して自分を押し付けるような真似はしないつもりだ。だから・・」

「その話しはやめてくれない?」
 つくしは息を吐くと顔をあげて司を見た。
「ど、道明寺さん。はっきりさせておきたいんですけど、あたしとあなたは優紀の恋人だったあなたによく似た人を探すために一緒にいるんです。今はそうすることが先決だと思います。だからいつまでも今みたいな状況で足踏みしてるわけにはいかないんです。何か進展がないと・・。あたし優紀に約束したんです。そのために半年も前からあなたの傍を・・う、うろついていたんですから。」

言葉に詰まりながらも喋る姿は真剣さが感じられる。
うろつくだなんて人聞きが悪い言葉ではあったがその言葉しか思いつかないようだ。
今の言い方からすれば友人の願いを差し置いて自分が男とつき合うことは考えられないと言うわけか?
目的意識がはっきりとした女は友人との約束が優先するらしいが、その約束が果たされれば先のことを考えてもいいと言っているようなものだ。
墓穴を掘ったってことがわかってない。

「賛成だ。」
「な、なにが賛成なんですか?」
「おまえのその口ぶりからすれば、偽者探しが片付いたら俺たちのこと考えてくれるってことだよな?」
司の口元に浮かんだのはほほ笑みだ。
「人探しは俺の専門分野じゃない。だけどな、経験のある専門業者ならそんな男はすぐにでも見つかる。どうする?そうなったらおまえが俺と付き合うことになるのは早いと思うが?」

受けて立つかと言われたようなものだ。
だが何に対してか?
恋愛に対してだろ?
俺を殴った時から何かを感じていたはずだ。ただそれをはっきりと認めることが出来ないだけだ。いや。認めようとしないだけか?

この女は逃げることが嫌いな女だ。この前も逃げるのか?と言ったとき自分からキスをしてきた女だ。牧野?どうする?おまえは挑戦されたら逃げることはしない女だろ?

「い、いいわ。偽者が見つかったら・・道明寺さんと・・あなたがそこまで自分を知って欲しいって言うならそこから始めましょう」

司の視線を受け止めた目は何に対して闘志を燃やしているのか知らないが、負けるもんですか。と言っているようだ。

「上等だ。それなら早いとこ偽者探しをしねぇとな。それから言っとくがキスはひとりじゃ出来ねえよな?一度目は俺からした。二度目はおまえから。けどな、今度俺にキスしてくれる時は、いきなりじゃなくて心のこもったヤツを頼む。何しろ俺たちは恋人同士になるんだからな?」








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コメント
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dot 2016.09.05 06:25 | 編集
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dot 2016.09.05 12:56 | 編集
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dot 2016.09.05 15:05 | 編集
子持**マ様
つくしの心情を読みつつも次の行動を考える司でしたね。
なかなかやりますね(笑)さすが企業経営者。
どうやって攻略しようか・・そう考えていることでしょう(笑)
コメント有難うございました^^

アカシアdot 2016.09.05 23:50 | 編集
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dot 2016.09.06 00:04 | 編集
さと**ん様
どうやって司の質問をかわそうかと思うつくし。
もどかしいですが、言いたいことはしっかり伝えました。
が、つくしは脇が甘いですね。司に言葉尻を捕らえられてしまったようです。
この司、こ憎たらしい司ですか?(笑)そうですね、なかなかどうしてこの司。したたかかもしれませんね。
ハリネズミつくしはいつの間にか穴に追い込まれて捕獲される・・そんな運命が待ち受けていると思います。
ストッキングで捕獲しようとすると、体中の針を逆立てて抵抗するかもしれません(笑)司の手が血だらけにならないようにと思います^^。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2016.09.06 00:05 | 編集
ち*こ様
つくしちゃん。なかなか素直になれないのが彼女の性格です。^^
まだ司のことがよく分からないと思っているようですので、道のりは遠いかもしれません。
拍手コメント有難うございました^^
アカシアdot 2016.09.06 00:14 | 編集
司×**OVE様
こんにちは^^
司はつくしをしっかり観察しているようです。
経営者たる者、相手の心を読むことも必要ですね。
つくし。なんとか司の問をかわそうとしますが無理だったようです(笑)
偽者探し、やっと始まるようですよ?ここからが坊っちゃんの腕の見せ所?となればいいのですが・・
コメント有難うございました^^

アカシアdot 2016.09.06 00:20 | 編集
ちろ様
つくしちゃんどうなるのか!!
相手がお金持ちでも、カッコよくても、そう簡単になびくような彼女ではありません。
「金持ちの御曹司」の司もつくしとの愛のためには、色々と努力をしているようですの、こちらの司も愛を手に入れるため、努力してもらいたいですね?
拍手コメント有難うございました^^
アカシアdot 2016.09.06 00:35 | 編集
マ**チ様
こんばんは^^
つくし、懸命にはぐらかそうとしていますが、どうやら無駄のようです(笑)
今度キスするときは・・なんて(笑)なかなか言う男ですね。いい男にそんなことを言われたら進んでキスしたくなるでしょうに、つくしの場合はどうなんでしょうか!お初は・・・まだ先ですねぇ(笑)頑張れ司!夜更かし同盟、月曜から絶好調ですね!さすがです!コメント有難うございましょた^^
アカシアdot 2016.09.06 00:42 | 編集
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dot 2016.09.06 03:44 | 編集
マ**チ様
最高です(≧▽≦)!濃厚シチューを召し上がるつくしちゃん。そして下半身を出して半ば干からびた支社長。その傍らで艶々のお肌に微笑みを浮かべながら眠る恋人・・・もうねぇ・・笑いが止まりませんでした。お腹が痛いくらいでした。本当に楽しませて頂いています!!そしてマ**チ様の冷静な呟き・・『これは司が本当に天国にいってしまう事態』に再び大爆笑です。目的は達成されたんだと思います。ド夜更かし同盟万歳!!(≧▽≦)向かった先があの山荘で木村氏が!(笑)アカシア蜂蜜より坊っちゃんへ。チョコは空きっ腹に食べても大丈夫です。マ**チ様どうしたらいいんでしょう!干からびた支社長の姿が目に浮かびます(ノД`)・゜・。顔が緩んで戻りません。最高でした!有難うございます。
最後に改めまして、コメント有難うございました^^干からびた支社長、どうやったら再生できますか?(笑)
アカシアdot 2016.09.06 23:27 | 編集
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