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2016
07.11

大人の恋には嘘がある 42

「今朝はご機嫌がよろしいようで」
「なんだよ?わかるのか?」
「ええ。見ればすぐわかります」
「飛びっきりのいい朝だ」

司は昨日の夜、別れ際に交わした口づけを思い出していた。柔らかい唇の余韻が未だに残っている。どんな甘いデザートよりも甘いと思われる二人のキスは3年間の思いが込められていた。

自分の思いが通じ、好きな女性と恋人同士になれた男が毎日ご機嫌なのは当然だが、週末を挟むとますます機嫌がよかった。
西田はそんな司の浮かれように釘をさした。

「副社長、今夜は経団連主催のパーティーがありますのでお忘れなく」

「忘れるわけねぇだろう?」

司にとっては本当の意味で恋人となった女性を連れて出席するパーティーだ。
会場にいる人間全てに牧野つくしは俺の女だと触れ回りたい気持ちでいた。
以前つくしと連れ立って参加した企業同士の交流会では澤田に出くわして思わぬ騒動になるところだった。今夜のパーティーは主催が主催だけに、澤田ホールディングスの社長、つまりあの男の兄が参加するはずだ。と、なれば弟は・・来るのか来ないのか・・
まあどちらにしても、勝負はついている。あの男がいくらつくしのことが好きだからと言っても今さらどうなる?どうにもならないだろ?あの男には諦めてもらうしかない。





***






美しく着飾った人々が、経済の発展のためと名を借り、ずらりと顔を揃えていた。
つくしにとってこんな華やかなパーティーはニューヨーク時代を通じても初めてだった。
誰も彼もが権威を誇示することが目的なのか、女性達の胸や指先を飾るのはきらびやかな宝石の数々だ。そんな中で地味だと言われるかもしれないが、シンプルな装いなのはつくしの性分だ。ニューヨーク時代からドレスは黒と決めていた。黒ならどんな場面にでも対応が出来るし、小物を上手く使えばいくらでもアレンジを利かせることができるからだ。

そこで紹介されたのは、司の友人たちだ。

「君か!電気ウナギが好きだっていう牧野つくしちゃんは?」

茶道西門流の時期家元と呼ばれる男は、伝統と格式を重んじる家系とは思えないような反逆児めいた印象を与えた。伝統文化を引き継ぐということは色々とあるのだろう。

「いや。まさかこんなにかわいい人だなんて思わなかった。俺、美作あきら、よろしくね」

女性に対しての気遣いを忘れることのない男は、全ての女性に対して見せるであろう優しいほほ笑みを浮かべていた。彼は美作商事の専務だと名乗った。

「へえ。電気ウナギが好きなんだ。俺も見るのは好きだな。でも食べれるのかな、あれ?」

フランスから帰国したという男は花沢物産の御曹司。
類はフルーツグラタンが好物なんだろ?ウナギなんかに興味はないはずだ、と言われていたがどうやらつくしとは意外な共通点があるようで司に鋭い目で睨まれていた。



つくしは3人の男性の話しに頷きながら挨拶を交わしていた。

「噂は色々と聞いてたよ。つくしちゃん」
「おい、総二郎馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇぞ?」
「別にいいじゃねぇかよ。つくしちゃん、電気ウナギを操る魔女だとばかり思っていたのに、こんなに小さくて可愛い女性だと思わなかった」

総二郎はつくしの目線の高さまで顔を下げるとまじまじと見ていた。

「しかし、君のようなタイプの女性が司に貞操を3年も守らせたなんてことが信じられねぇ・・で、もう解禁したんだよね?」

「総二郎、いい加減にしてくれ。つくしが恥ずかしがってるだろうが!」
恥かしそうに顔を赤らめるつくしを司はかばった。

「こいつはな、おまえらがつき合うような女どもとは違うんだよ!」
「へぇ?司にそんなこと言われたくねぇよなぁ?」
「おい、総二郎、おまえいい加減にしろよ?あることないこと書く週刊誌じゃあるめぇし適当なこと言うんじゃねぇよ!」

つい最近根も葉もないようなデタラメな記事を書く週刊誌についての会話を交わしていただけに、司は苛立った。

「俺とこいつは真面目なつき合いをしてるんだ。こいつの前で適当なことを言うのは止めてくれ」
ここで総二郎とケンカをするつもりはないが、つくしとの間に誤解を生むようなことは避けたかった。

「おい、二人ともこんなところで止めろよ」あきらが口を挟んだ。

「ねえ、あきら?魔女って・・司の母親じゃないの?」
類は遠い昔を思い出したかのように話した。
「司の母親に脳みそ溶かされるかと思ったことがあったよね?」

「おい、類。今その話しがしたいのか?そんなことよりこいつらをなんとかしてくれよ?」

ちょうどあきらは類の後方にある会場の入り口のほうに首を巡らせていた。

「おい、司。澤田ホールディングスの社長の登場だ」
「まじか?」総二郎が振り返った。
「弟も来るのか?しかしまあ、司とつくしちゃんは相思相愛なんだろ?例え弟が現れても今さらその弟に勝ち目があるわけねぇしな?」

総二郎と司はつくしの頭越しに顔を見合わせた。

「勝ち目なんてあるわけねぇ。つくしは俺のものだ」




会場の入り口で立ち止まって話しをしている男女が一組いた。
澤田の兄と呼ばれる男は、弟と同じくハンサムだ。隣の女性は恐らく妻だろう。企業トップの男は力強い目線で会場内を見まわしていた。背の高さも弟と同じくらいだろうか?司の友人たちとたいして変わりはなさそうだ。年は弟より5歳年上の38歳、全てにおいての責任が持てる顔をしていた。


「おい、司、どうやら俺たちのところへ来るようだぞ?」

しなやかな動きでこちらへ向かってくる男。

「おまえ、あの社長と会うのは初めてか?」
総二郎とあきらは司を見た。
「ああ。会ったことはねぇな」

最後には人の波を縫うようにして男は司たちの前に来た。

「道明寺副社長ではありませんか?わたくし澤田正弘と申します。ご帰国されたと聞いてからぜひ一度お会いしたいと思っていました」










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コメント
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dot 2016.07.11 20:08 | 編集
co**y様
こんばんは^^
お帰りなさいませ。
エロ坊ちゃん迷走中・・(笑)
そうなんです。帯をひっぱりつくしをくるくる。
「あれぇ~お許しを~」これね、自分でも笑えました。そこへ類を許婚で出したら坊ちゃんが怒ったんですよ(≧▽≦)
かなり荒れてます(笑)つくしちゃん手籠めにされてしまいそうです。
澤田兄。さてさてどんなお役で出て来るのでしょう。
坊ちゃんねぇ、機嫌よくお仕事してますがこちらもいつまで続くのやら・・
大切なつくしちゃんを守りつつお仕事も頑張りなさい!と喝を入れてやって下さい(笑)
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.07.11 22:58 | 編集
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dot 2016.07.11 23:24 | 編集
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dot 2016.07.12 00:02 | 編集
chi***himu様
こんばんは^^
生活の励みだなんて、そんなたいしたお話じゃないですよ~。ですが嬉しいです。ありがとうございますm(__)m
司クンの次に総二郎クン?あら(´艸`*)軽く浮気心が感じられます(笑)F4はみんないい男なので仕方がないかもしれませんね。
皆それぞれの持ち味があっていいと思います。が、アカシアは司オンリーでございます(笑)
えっ!司が総二郎とつくしを取り合うぅ?(笑)|д゚)アカシアは司に殴り殺されそうです(笑)
澤田さんねぇ・・お兄さんに出番を取られてしまいまして・・(笑)どこに行ったの?ですよね?
リアル生活は暑かったり、寒かったりで体調が追いつきませんねぇ。小さいお子ちゃまがいらっしゃると色々と大変だと思いますが、chi***himu様もお身体にはお気を付けてお過ごし下さいませ。いつもお読み頂きありがとうございます!
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.07.12 00:14 | 編集
マ**チ様
こんばんは^^
はい。珍しくF4が揃いまして・・(笑)うちは司メインですので他の3人が出ることは殆どないのですが(笑)
澤田兄、出ますよ。書き上がりました!
つくしホットミルク!そ、それは・・乳ミルク?(笑)あら?なんだか他の妄想が・・(´艸`*)
リクエスト妄想も考えねばと思ってますのに(笑)
早寝を心掛けて・・←なんだか友達に怒られた感がします(笑)バブル世代の性!!!(≧▽≦)でも、昔の癖ってなかなか抜けないんですよね(笑)マ**チ様のこの喝でますます目が冴えました!いや、実は某携帯電話会社のCMで流れる曲に田中美*子さんが出てますが未だにあのスタイルには驚きを隠せません!イエーイ!ナウい?←死語?(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2016.07.12 00:32 | 編集
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