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2016
07.07

大人の恋には嘘がある 40

土曜の朝、司は目覚めると片肘をつき、隣に寝ているつくしの顔を眺めていた。
余程疲れたのかよく眠っている。
初めて見る愛しい人の寝顔は愛らしかった。
細く小さな体は初めてだと言うのに、司は自分が抑えられずに何度も愛を交わしていた。

自然と口をついて出て来る声を聞くたびに、ますます自分が抑えられなくなり欲情があおられていった。そんな司の体を受け入れた小さな体は、腕の中で歓喜の声をあげ身を震わせた。 どうしようもなく愛おしいという気持ちと独占欲。
自分の熱中ぶりに、もし牧野がいなくなったらと思えば怖くなっていた。
だが一度手に入れたものは絶対に離さない。


顔にかかった髪の毛を指でそっと払ってやると、つくしがゆっくりと目を開いた。

「おはよう・・・」恥かしげに口を開いた。
「目ぇ覚めたのか?」

朝の空気は爽やかだと決まっているが、今の二人の間には濃密で熱いものが流れていた。
恥かしそうに顔を赤らめながら司を見つめる瞳は戸惑いが感じられた。
言葉が何も浮かばないのか、こんな時はどうしたらいいの?と訴えかけてきていた。

「あの・・道明寺・・」
何か喋らなくてはと思い口を開いた。
「なあ、俺のこと道明寺って言うのはもう止めてくれ」
「え?」意味がわからない。

まごついた顔はどこか不安そうで、まるでなにか悪いことをして叱られてしまったかのような表情だ。
司は言い方がまずかったかと反省した。

「言い方が悪かった。俺たち恋人同士になったんだ。これからは名前で呼び合わないか?」
「でも・・」
こいつの考えてることなんてすぐにわかった。

「二人っきりの時だけなら・・」

予想したとおりの返事で、決して満足できる返事ではない。いきなりこいつに全てを望むことは無理だとわかっていても、牧野の口から自分の名前が漏れるのを聞きたい。
司の唇がつくしの唇に優しく触れた。

「つくし・・俺は今日からおまえのことをそう呼ぶつもりだ」
「・・ねえ・・道明寺・・あたし・・」

瞳に浮かぶのは戸惑いの色だ。
まさかとは思うが朝、目覚めてみれば気が変わったなんてことはないはずだ。

「牧野つくしは俺だけのものになった。おまえのことは俺が一生かけて愛してやる。なに考えてるのか知んねぇけど、あんまり考え過ぎるな。おまえ自分でも言ってたろ?なんでも考え過ぎるってな」
司は断固として言った。
「それになんだよ?二人っきりの時は司って呼んでくれんだろ?なあ、呼んでくれよ?」

つくしの頭を優しく胸に抱き寄せると、彼女の額にキスをした。
3年前には手に入らなかったが、3年後の今の方がずっといい。
おまえは俺にとってかけがえのない存在になったんだ。つくし。

「つかさ・・」

好きな女に自分の名前を叫んでもらうことが、これほど嬉しいとは思いもしなかった。
もし、ニューヨークで本当の名前を名乗っていたとしても今と同じような思いを感じられることが出来ただろうか?

いや、それは無いだろう。今思えば、あの頃の二人の関係は薄氷を踏むような危うさがあった。いつか氷が割れて水中に落ちる。それは現実のものとなってしまい、こいつは俺から離れて行った。ああ、それは全て俺が悪かったとわかっているだけにこいつに罪はない。
失われていた3年間はこれから取り戻していけばいいだけの話しだ。

「それより、どうだ?体は・・その・・俺も久しぶりだったから抑えが効かなくなっちまって・・・だけどな、悪いなんて思ってねぇからな。それより俺としたことが、おまえのこともっと沢山愛してやればよかったって思ってるくれぇだ」

つくしはその言葉にますます顔が赤らんでいた。今さらだが二人共全裸だというのに、いちいち司の言葉に反応するつくしがますます愛おしく感じられた。

「それにどれだけおまえを愛してるかって言葉が少なかったよな?」
「え?」
「だからもう一回俺の気持をおまえに伝えてやりてぇ」
司の顔に浮かんだのは悪魔的なほほ笑み。

つくしの顔にまさか冗談でしょうという表情が浮かんだ。
昨日はろくに寝させてもらえず、つくしにとっては驚くような事ばかりだった。

「そんな顔すんな。冗談だ。おまえ疲れ果てたって感じの顔してるぞ?」
今度はまるでいたずらっ子のような笑みが浮かんでいた。

「なあ、一緒にシャワー浴びるか?」

「あたし人と一緒にシャワーなんか浴びたことがないんだけど・・」
真面目に答えた。

「そんなのあたりまえだ。誰かと浴びたことがあるなんてことがある訳ねぇだろ?昨日までバージンだったんだからな」

「ば、バージンなんて言わないでくれる?」

「本当のことなんだからいいじゃねぇか。それに今さらだろ?おまえの体は隅から隅まで全部みたんだからな」と含み笑いをする。

「あのね?そういう問題じゃなくて、人と一緒にシャワーなんて・・お、落ち着かないでしょ?」

「シャワー浴びるのに落ち着きが必要なのか?」
また含み笑い。

話しが取りとめなく続きそうでつくしは話題変えた。

「そ、それより道明寺のお母さんってどんな人なの?」

躊躇いながらも口にしたのは司の母親についてだ。
道明寺ホールディングスの社長で司の母親。経済界では雲の上の人間だ。

「うちの母親か?」
「うん・・」

話しの方向が変わってくれてホッ胸をなでおろした。

「まず言えるのは、とっつきにくい女だな。それから他人を萎縮させることが得意だな」
「他人を萎縮させる?」
「ああ。とにかく高圧的な女だってことに間違いはない」
「おまえ俺の母親がどんな人間か知りたいのか?」
「うん、だって・・道明寺のお母さんだし・・も、もちろん会ったことなんてないけど・・」

つくしの言いたいことはわかっていた。
司が結婚を口にしている以上は、家族の話しをしないわけにはいかないからだ。
もうこいつの気持ちはわかっている。それは俺と同じだという思い。
だが司を見つめてくる瞳には不安そうな思いも感じられる。

「おまえの事は俺が守るし、なにも心配することなんてねぇからな」
俺を信じてついてくればそれでいい。

司はそれだけ言うと、つくしをぎゅっと抱きしめた。




今の二人は満ち足りた気分で、ただ抱きしめ合っていた。








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コメント
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dot 2016.07.07 11:04 | 編集
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dot 2016.07.07 17:40 | 編集
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dot 2016.07.07 17:48 | 編集
co**y様
坊ちゃん幸せですね。よかった(ノД`)・゜・。
やはり坊ちゃんが幸せにならないと。
お風呂もベッドもひとりに限ります(笑)
同じくお風呂はひとりでゆっくり入りたいし、夜もドーンと眠りたいです!(笑)
まあ坊ちゃん大好きな人と一緒にいたいからシャワーも一緒でしょう(笑)
若いっていいですね!(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2016.07.08 21:42 | 編集
chi***himu様
こんにちは^^
せっかくのお休みにご体調を崩されたそうですが、その後お加減はいかがですか?
凹むことあります。浮上するのが大変ですよね?
拙宅みたいなサイトでもお力になることが出来て幸いです。
そうなんです。司くんやっとつくしちゃんを手に入れることが出来ました。
一生懸命愛を囁く・・ストレートなところが彼でしょうから、大人の司ですが高校生の頃と変わらないようです。
澤田さん?(笑)いるはずです。澤田さんちょっと可哀想ですか?
でも相手は司ですからねぇ・・
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.07.08 22:28 | 編集
さと**ん様
ピロトークも重要ですよね?と言うことで一話書いてみました。
坊ちゃんもつくしちゃんも幸せなはずです。
「唇が唇に触れた」え?良かったですかこの表現。
> 官能先生。←え?官能的なところなんてありましたか?
理想としては直接的表現は控えて間接的に表現出来ればと思っています。
エロ曹司はそうはいきませんが、こちらはあくまでも恋愛物語ということで・・
> しかし、アワビ(笑)←え?ダメですか?
楓さん、萎縮させるんですよ・・・いったいどこを萎縮させるのか・・
そうなんです。澤田を飲みに誘うという・・誘われた方が怖いですよね?(≧◇≦)
バージン・・と言えばあの名曲!ま!どんな?ですよね。
ああ、懐かしいです。あの曲が世に出た時の驚きはなかったですよね?タイトルがそのまま(笑)
えーベストヒ*トUS*とか見てました(笑)
> 【お前のことは俺が守る】
そうですよね、この言葉が似合うの司か殿下くらいですよね?
殿下と言っても小*寺昭ではありません。←わかりますよね?
懐かしいドラマで**にほえろ!見たいです(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2016.07.08 22:31 | 編集
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