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2015
09.02

キスミーエンジェル3

私の乗った航空機は14時間程のフライトを終え成田へと到着した。
道明寺は急いでいるのかブリーフケースを手に持つとじゃあまた近いうちにと言う
言葉を残して去っていき、それ以上私に構うことはなかった。
その去り際、差し出されたのは彼の名刺。
そこにはプライベートな番号が記されていた。


いったい道明寺司は何がしたいんだろう。
訳がわからない。

やめた!
あんな男のことで頭を悩ませている場合じゃない。
1週間ぶりの帰国ですることは沢山ある。
冷蔵庫の中には何があったかな。
帰りに買い物に立ち寄る時間はあるかな・・・・




******




牧野は絶対に連絡なんてしてはこないだろう。
俺のプライベートな番号を知りたい人間は山ほどいるのに
電話をかけてきて欲しいと思う相手は絶対にかけてはこない。
それは太陽が東から登るのと同じくらい明白なことだ。

まあいい。
牧野のことはすべて調査した。
付き合っている男はいない。
職場はもちろんだが住まい、携帯電話の番号も知っている。
が、自分からは絶対に電話はできない。
そんな事をしようものならすぐにでも電話番号を変えそうだ。




やっぱり牧野はいいな。




艶があって美しい黒髪はねじって上品にまとめていた。
あの髪が解かれたところを見てみたい。
それにあの大きな瞳も昔と変わっていなかった。
一度足を踏み入れたらどこまでも落ちて行きそうな底なしの淵のようだ。

そしてきちんとした服装をした牧野。
その服の下に隠している身体・・・。
昔は全体的に細くどちらかと言えば貧弱だったが今はそうじゃないのが分かる。
しかるべき場所はそれなりに丸みも見えた。


俺が牧野に惹かれた理由を考えてみた。
始まりは蹴りを入れられたところからだろうが・・・




「支社長、聞いていらっしゃいますか?」
秘書の男が隣で話しかけてくる話の半分も聞いていなかった。

「な、なんだ?」
「どうかされましたか?先ほどから上の空のご様子ですが」
「ああ、悪い。民間機なんてしばらく乗っていなかったから疲れたんだろう」
「そうですか。では本日は特にご予定はございませんのでご帰宅なされますか?」
「ああ、そうだな、そうしてくれ」



秘書の顔を見れば分かる。
きっと俺の顔はだらしなく緩んでいたに違いない。

機内での牧野との会話をふり返ってみた。
あれでは牧野をものに出来る可能性はゼロに近いな。
失望感に浸りつつも車窓を流れる景色を見ながら考えていた。

まあいいさ・・・




******




つくしは1週間ぶりに会社に出社した。
そこは都内の高層ビルのワンフロアに広々としたオフィスを構えている。
いつもより早めに出社したがすでにもう何人かの社員が仕事を始めていた。
休憩室にある自動販売機からコーヒーを買い席につく。

「ニューヨークはどうだった?」

同僚の女子社員が話かけてきた。
仕事は問題なかった。が、最悪の出会いが待っていた。

「うん、順調に終わった」
「そう。うちの会社ね、牧野さんがいない間に大変なことがあったのよ。きっと信じられないと思うわ」
「え?会社で何があったの?」

そしてもったいぶった口調でこう言われた。

「うちの会社、買収されたのよ」
「 え? 」

つくしは飲みかけのコーヒーを溢しそうになった。
「いつそんなことが?」

「なんでも半年前から交渉が始まっていたらしいわ」
「ねえ、どこに買収されたの?」
つくしは聞いた。




「道明寺よ、道明寺ホールディングス!」









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応援有難うございます。
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コメント
H*様
拍手コメント有難うございます。
人目を忍び、心の中で叫んで頂いていたそうで(笑)
その状況を想像して笑いそうになりました。
H*様がどのような状況で忍んでいたのか知りたくなります(笑)
作者の好みもありますが、拙家の司君は企業買収が好きみたいです。

アカシアdot 2015.09.02 22:18 | 編集
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