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2016
05.27

大人の恋には嘘がある 13

「気は確かなのか?」
「ああ。俺は何も問題ない」その言葉にはみなぎる決意があった。

こんな中途半端な状態じゃ仕事が手につかない。
日々目をむけるべき業務はいくらでもあるが牧野を自分のものにするまで、さっぱり集中することが出来ない。
微妙な関係について西田に聞いただけで何とかなるとは思えなかった。

司は思わず笑みを浮かべた。これから3年越しの恋を実らせるための作戦を練ろうかってところに女に関しては自信のある2人の親友をバーに呼び出して飲んでいた。
2人の男はこと女についての駆け引きはどちらも引けを取らない。限りなく楽観的な考えで女達とつき合うことが出来る2人の男。女と楽しむことが何よりだと言わんばかりで1人の男は人妻とつき合うという危険を冒すことを楽しんでいる。

「おまえのその目、久しぶりに見た気がする」
「狙った獲物は逃がさないって目だよな?」
「けどその獲物って今までは女じゃなくて欲しい会社だっただろ?」
「しかし、微妙な関係ってどうだよ?」

司はつくしから提案された微妙な関係について話しをしていた。
あきらと総二郎の頭に浮かんだのと同じ疑問が司の頭の中にもずっと浮かんでいた。

「西田が言うには友達以上、恋人未満だとよ」
「おまえら中学生の恋愛か?」
そんな昔のことなんて覚えてねぇよ。
司は大きくハァーとため息をついてから口を開いた。
「俺にもさっぱりわかんねぇ。微妙な関係に含まれるものって何なんだ?」
「司、そんなこと俺に聞くなよ?」
あきらは総二郎に顔を向けた。

「司、それを言うなら含まれないものを言ったほうがいいかもしんねぇな」
「セックスはどうなんだ?」
司の力の入った口調はどうしてもこれだけは確認しなければいけないという思いだ。

「バカかおまえは。友達がセックスなんかするか?」
あきらのその言葉に司はむっとした表情を浮かべた。
「そんなこと誰が決めたんだ?」
「あ、でもセックスフレンドってのはあるよな?」総二郎があきらをつくづく眺めた。
「だって俺らって女とつき合ってなくてもヤッてるよな?」
「総二郎、今は俺とおまえの話しじゃない」とあきらがたたみかけた。
「いま話してるのは司の話だ」
「おまえらがヤッてんなら、俺もしていいんだろ?」
牧野を思っての3年間は他の女のことなど、どうでもいい3年間だった。
名前も顔も誰が誰だかわからないような女が近寄って来ても司にとってはどうでもいいことで、興味が湧かなかった。

「そりゃしてもいいとは思うが、相手の女がその気になんねぇと無理だよな?」
「まあ、今までの司の場合、女は寝るか寝ないかのどっちかしかなかったからな。
そんな司がまあ、よく3年も我慢できたよな?」

司はますますむっとした顔で2人を睨むとグラスをあおった。
なんだっていうんだ?それが悪りぃかよ?
なんでそんな知ったような口を利くんだ?
俺は牧野つくし以外欲しくなかったんだから仕方がねぇだろうが!

「しかし、司の顔は油断ならない顔してるからな」
「それで、今おまえ達の関係はどこまでいってるんだ?」
「キスはした」
「流石だ、司」 総二郎はおまえがそこで躊躇してるのがおかしいと声を上げて笑った。
「けどな、俺はこんなプラトニックな関係ってのには慣れてねぇ」
司は大きくため息をついた。
だが、俺と牧野の間に互いに惹かれ合う緊張感が感じられるのは確かだ。
司はバーテンに合図をすると次のグラスを待った。

「そりゃそうだ。女とただの友達でいるなんて子供じゃあるまいし出来るわけがないよな?」
「それで、おまえが好きになったその、3年前の女ってのはどんな女なんだ?」
総二郎の口調はますます面白そうだ。

「ああ。仕事が出来る女。酒もたばこもやんねぇ女でいたって健康的」
「司!おまえは仕事の出来る女に惚れたのか?」
「胸がデカいとかじゃなく?」
「バカ野郎、そんなこと関係ねぇんだよ。あいつは日々目標のために努力するような女だ」
「それに水族館の電気ウナギがお気に入りだ」何故か誇らしげに言った。
奇妙なことに司はつくしが気に入ったという電気ウナギに興味を抱くようになっていた。
好きな女が気に入ってるって言うんだから自分も少しは興味を持つべきだと考えていた。

「で、電気ウナギっておまえ・・その女相当変わってるよな?」
「その女。牧野って言ったよな?」
「ああ。そうだ」
「おまえが脳みそのある女に惚れるなんてこと自体が驚きだけど、わからないこともない」
「おまえの周りには見た目がいい女なんて掃いて捨てるほどいたけど、本音を隠して近づいてくる芝居がかった女が多かったよな?」

それは十分過ぎる程わかっていたことだ。金があって力がある家に生まれれば周りに集まるのは本音を隠した奴らばかりで、心の底から信頼できると言えば同じような環境で育った悪友たちしかいない。

「そうそう。俺らの周りに集まるのは財産目当ての女ばかりだからな」
「それで、司が好きな女って独立心が旺盛な女か?」
「ああ。間違いなく独立心旺盛だ」
独立心、それはまさにあの女のためにあるような言葉だろうな。
まあ、頑張り過ぎる面もあるが。

「なるほどな。今までおまえの周りにはひとりも居なかったタイプの女ってわけだ」
「羨ましいよな。ある意味そんな女に出会えたなんて・・」
親友の言葉にはある種の羨望が含まれているように感じられた。

「そうだよな。金目当てじゃなくて、俺らをひとりの男として見る女なんてのはなかなかいねぇからな」
「司がその女に求めてるのって体だけじゃないんだろ?」
「おまえがその女に求めてるのってのはなんだ?」
唐突な問は司自身にとっては思いもよらぬものだった。


俺が求めているものか?
だが、改めて考えるものでは無かった。

「俺が求めているものはあいつの体だけなんかじゃねぇよ」
「そうだろ、司。俺らだっておまえと同じものが欲しいんだけどそんな相手にはなかなか巡り逢えねぇんだ」
司は2人が話す同じものが何か知りたかった。
「なんだよ?同じものってのは?」
「わかってんだろ、司」
「心だよ、心。ハートだ」あきらは自分の胸に手を置いた。
「心のつながりだよ、俺らが求めてるのは」
「いくら体の相性が良くて、体だけがつながっててもツマンネーだろ?」

男2人の口から出た思いもよらぬ言葉。
普段の2人なら決してこんなことは言わないはずだ。

「しかしな、司。おまえはその牧野つくしに呪いをかけられたんじゃねぇのか?」
「3年前にその女に呪いをかけられて、それから女とヤッてないってんだからな」
「その女、電気ウナギを操る魔女じゃねぇのか?」
総二郎は笑いながら言ったが再び真剣な顔に戻った。
「がんばれよ、司。おまえにとってマジな恋なんだろ?応援してやるよ」
「俺も応援してやるよ、司」
あきらは手にしていたグラスを掲げると、司のグラスとかちりと合わせた。



司は悪友2人の頭に牧野つくしに関してとんでもない話しを吹き込んでしまったかと思ったがこいつらが勝手に牧野を探し出して変な勘ぐりを入れるよりは自分で話すことが一番いいと思っていた。何しろこいつらは俺のマジな恋を楽しんでるようだからな。
首を突っ込むなって言ったところで所詮無駄だってことはわかってる。
だが思わぬところで2人の本音が聞けたことは司にとっても意味のあることだった。
なんだかんだ言ったとしても、こいつらが求めるものってのは俺と同じだったってことか。









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コメント
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dot 2016.05.27 15:07 | 編集
さと**ん様
電気ウナギを操る魔女、つくし。
いやはや、怖いですね(笑)
でもブツを締め付けられたら大変でしょうね。
孫悟空の頭の輪みたいに結束バンドで締め付けられるブツ・・(笑)
心が欲しい話しをしているのに結束バンドの話しが何故ここに?(笑)
と、いいながら明日は御曹司。
笑って頂けるといいのですが。
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.05.27 22:50 | 編集
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