15年前に自分が忘れた女を探すのは意外と簡単だった。
それよりあいつが俺の会社で10年も働いていたことに驚いた。
同じ会社で、同じ街で、同じ景色を見て過ごした10年。
だがそれは同じ目線で見たものではなかった。
ニューヨークの四季ははっきりとしている。春は短いが穏やかに過ぎ、夏になれば暑くなり日本とまでは言わないが結構蒸し暑い日も多い。秋も短いがセントラルパークの木々は赤や黄色に色づき一見の価値がある。
冬は・・長く寒い日が続く。11月から12月にかけての街はクリスマスイルミネーションが飾られて華やかなムードになる。街を行く人々の頭にあるのはプレゼントとパーティーのことばかりで、クリスマスになれば皆家族の元へと帰って行く。
そんな中、あいつはこの街に残り一人で過ごしていたに違いない。
俺はそんな季節はいつもパーティー三昧の日々を過ごしていた。
この街での二人の10年は、決して交わることのない時間だった。それは、まるで過去と未来が決して交わることがないのと同じで二人の人生は違う次元だった。15年前もそうだった。交わるはずのなかった二人の人生が些細なことで交わった。
10年・・司は自分の10年間を振り返ってみた。
自分はどんな10年を過ごしていたか。
早い話、どうでもいい人生だったはずだ。
だがあいつは、牧野は俺の10年を身近で見て聞いて知っている。
どんな気持ちで俺の会社で働いていたのか。あいつの退職の手続きが取られたのは2週間前だった。
アメリカでの退職は、2週間前に申し出をすれば出来る。Two weeks notice と呼ばれる2週間前通知が日本の退職届にあたる。
昨日があいつのニューヨークでの最後の日だった。
そんな日に空港で巡り会えたことは奇跡としか言いようがなかった。
そうだ。奇跡としか言えない状況で俺はこうしてあいつを、牧野を思い出すことが出来た。
願いが叶っただと?
それなら、俺の願いはどうしてくれるんだ?
高校生の頃あいつが欲しいと願った。持てるもの全てを捨ててもあいつが欲しかった。その思いは今でも変わらない。
司は携帯電話を取り出し、パイロットを呼び出した。
いつでも飛び立てるように準備をしろと伝えるために。
窓の向うに広がるのは、夜明けのマンハッタンの街並みだった。嵐は去り、太陽が昇り始めた東の空には切れ切れの雲の流れが見えていた。
その雲を見ながら思った。昨日の夜がグランドフィナーレなら、もうこれ以上悪くなることはないはずだ。
今頃あいつの乗った航空機は、西へ向かって飛行を続けている。
今朝一番早いフライトで出国したことは調べればすぐにわかった。
東京へ・・
俺も昨日はあいつと同じ便に乗る予定だった。
それはプライベートジェットが利用出来なかったからという運の巡り合わせ。
もし昨日出会わなければ恐らくこの先も一生出会えなかっただろう。そして、あいつのことを思い出すことなく過ぎて行く俺の一生。
あいつの記憶だけを失った俺の15年は取り戻せないが、これからの15年、いやそれ以上あいつのことだけを考えて生きていく。
俺は幸せになりたいと牧野に言ったことがあるはずだ。
だから俺はこれから自分の幸せを掴みに行く。もちろんそれは牧野を幸せにしてやることが前提だ。欲しいものがはっきりした今、何を迷うことがある?幸せになりたいなら自分からそれを掴み取るまでだ。
もちろん牧野の許しを得てからだが、あいつは俺を許してくれるだろうか。
15年もひとりぼっちにさせ、そのうちの10年に至っては見たくも聞きたくもないものに触れなければいけなかったということを。
だが、許してもらえなくても、どんなことをしてでも俺はあいつの・・牧野と一緒に残りの人生を過ごしたい。
牧野の世界を俺も知りたい、牧野と人生を分かち合いたいと考えるだけで力が湧いてくる。こんな気持ちになったことはない。そうだ、あの頃、17の俺があいつと過ごした短い時間以外は。
だから、自分の人生でやり残したことがあるとすれば、それはひとつだけだ。
***
道明寺と愛し合ってクライマックスを迎えた。
・・違う。あたし達は愛し合ってなんてない。
ただ男と女がすることをしただけだ。
愛されているなんて勘違いはしてはいない。
32年間の自分の人生の中で半分は道明寺のことを考えて生きてきた。
でもその思いもどこかで断ち切らなくては前に進むことが出来ない。
あと5年もすれば、きっといい思い出に変わるはずだ。
やっぱり日本に帰ってきたのは正解だ。ひとりの人間を思って過ごす人生はいい加減やめなければ。
「つくしーっ!おかえりっ!」
まさか出迎えを受けるとは思ってもみなかった。
「先輩よく帰ってくる決心がつきましたね?先輩のことだからずっとニューヨークで生活を続けるものだと思ってました」
「滋さん、桜子・・」
10年前にもこの二人には見送ってもらった。二人はこの10年の間に何度もニューヨークまで足を運んではつくしの近況を知りたがった。それは道明寺とのことだ。
あれから10年が経過した。あたしも我ながらよく10年もあいつの傍で過ごすことが出来たと思った。
「優紀ちゃんは都合がつかなくてゴメンってさ。本当は昨日帰国だったでしょ?だから優紀ちゃん昨日会社休んだから、今日は流石に無理だってさ。つくしにゴメンって伝えてって言われたよ」
「うん、ごめんね・・嵐でフライトキャンセルになっちゃって・・」
「5月だからね。まさにアメリカ版メイストームだね?」
「先輩の人生もまさにストーム・・・嵐ですね」
「桜子あんたいいこと言うね!」
本当にその通りだ。あたしは嵐の中で生きて来た。でも、もうそれも終わりだ。
「よーし!つくしも帰国したし、今日はこれから女3人で飲み歩くぞ!」
「滋さんそれ無理」つくしは間髪入れずに止めようとした。
「そうですよ、滋さん。先輩は帰ってきたばかりで身の回りのことが何も出来てないんですからね?」
「桜子!つくしはね明後日からうちの会社で働くの。だから身の回りのことは大河原で全部面倒見てるんだから何も心配なんて要らないわよ。それに色々と聞きたいし・・」
「滋さんダメですよ!そんなこといきなり言っちゃ・・」
「そうよ!司のことよ!あのバカ男、つくしが傍にいるのに気が付かないんだから!」
滋はつくしの手を掴み、彼女らしく話しを続けた。それは、現実的な考え方の滋らしい発言。
「つくし!あんな男のことなんてきれいさっぱり忘れて滋ちゃんと新しい男を探そう!」
つくしは滋の言葉に頷いた。その通りだ。いつまでも道明寺のことを考えていてもしかたがない。もうあたしの望みは叶ったんだからこれ以上何を望むの?
今はあいつの名前が二人の口から出るのを聞くと辛いけど、傷口を隠すよりもあえて晒して早く治ることを選ぶことにした。
「そうよね!滋さんの言う通りよ!道明寺司なんてあんな男なんて・・」
つくしは感情が出てしまう自分の性格が疎ましかった。零れ落ちそうな涙は上を向いて誤魔化した。でもいくら隠そうとしても多分あたしの顔には表れているはずだ。道明寺のことが今でも好きだと。だがそんな思いは振り払うことにした。
「滋さん飲みに連れてって!ほら、桜子も行くよ!」
***
「仕事中毒にならないようにしないとね、つくし?」
いつまでも古い思い出にしがみついて生きていくことはしたくないと、滋の会社での新たなスタートを切ったつくし。
つくしがニューヨークで担当していたのは、起業する人物から事業資金の出資を求める申し込みに関する調査だった。その為には、事業計画書の提出を受けるところから始まる。
書かれているのは、会社の理念から始まって事業内容、資金計画、販売計画や自社についての強みや弱みなどだが、今後その事業がどのような方向性を持つのかを見極めるための資料となる。
出資をすると言うことは、配当を期待すると言うことで、リターンが大きくなるかどうかを見極めるのがつくしの仕事だ。つまりはその会社の将来性を分析し審査をすることだ。
実行力と即戦力を求められた道明寺の会社で培ったキャリアは、滋の会社でもすぐに生かすことが出来る。これだけはニューヨークで身につけることが出来た大きなビジネススキルだった。
「ねえ、滋さん。これから行く会社ってこんないいビルにオフィスがあるの?」
「そうだよねぇ・・まだこれからの会社にしちゃ立派だよね?」
つくしの帰国から一週間後に訪れたのは滋の会社から出資を受けたいと申し込みがあった事業者だ。
二人は地上からはるか上のフロアに降り立った。このビルの賃料は相当高いと踏んだが、訪れた会社の入口には、会社のネームプレートが無かった。IT関連としか聞いていないベンチャー企業はなぜか人の姿がない。
そして、だだっぴろい空間にあるのは、楕円形の大きなテーブルと椅子だけで、会社というよりもどこかの会社の会議室のひとつのだとしか思えなかった。
「ねえ滋さん、この会社ってまだ・・」
つくしは後ろにいる滋に話しかけようと振り向いたが、口を開いたままでその先の言葉が出なかった。
振り向いたつくしが目にしたのは、滋の隣に立つ背の高い男だった。
いつもニューヨークで心に描いていた男が、東京にいるはずのない男がそこにいた。
つくしは自分の体がこわばるのを感じた。表情が豊かだと言われる顔には翳が差したように見えた。
「つくし・・ごめんね。司から連絡があったのよ。記憶が戻ったってね。それから二人の関係も聞いたわ」
滋は話しにくかったのか咳払いをひとつした。
「それにつくしを逃がさないようにって頼まれたの。それで今日ここに連れてくるように頼まれたのよ」
「滋・・悪いが・・」
滋は万事心得たように頷いた。
そして「よかったね・・つくし」と小さな声で囁くように言って部屋を出ていった。
部屋の入口にいたのは、ニューヨークで一週間前に別れた男だ。
二度と会うことはないと思っていた男と二人っきりでいるなんて、これは頭の中の願望が見せている幻じゃないの?そんな思いがすると、つくしは何か言わなきゃと思ったが何も言えずにいた。
「牧野・・何か言ってくれ・・」
深みのあるバリトンの声に、背中に震えが走った。
15年前愛おしそうに呼んでくれたあたしの名前がまた彼の口から聞けるなんて夢にも思わなかった。もう二度と彼の口から名前が呼ばれることは無いと思っていた。
漆黒の瞳が俺を見ろと言ったあの夜を思い出した。あの夜は二人とも名前の無いただの男と女だった。あの時、何度この男の名前を呼びたいと思ったことか。15年間呼ぶことの無かった名前を心の底から呼びたかった。
道明寺・・愛してるって。
大きな声で言いたかった。
何も言わないつくしに痺れを切らしたかのように司は言葉を継いだ。
「髪・・切ったんだな・・よく似合ってる」
つくしは帰国した翌日、髪を肩の長さで切りそろえた。
別に失恋したからという意識はなかった。ただ気分転換がしたかっただけだが、滋はずばり核心をつくようなことを言っていた。つくし失恋したんだよね、と。
つくしは司の顔を見ながらぼんやりとしていた。
この男は一体なにがしたいんだろうと。
どうして道明寺がここにいるんだろうと。
突っ立てないで何か言わなきゃと思うがあまりに突然のことに何も言えずにいた。
「どうして俺がここにいて、何がしたいかが聞きたいんだろ?」
何も口にしてないのにどうして分かったのか。
「分かってる。おまえの言いたいことは全部」
司は言葉を選びながら話し始めた。
「今さら何を・・言いに来たんだって言いたいのは・・わかってる。俺がおまえのことだけを忘れちまったことは・・すまないと思ってる」
あの事件は、彼が悪いというわけではない。
つくしの事を忘れたのは、どうしようもない力が働いたとしか言えなかったのだから彼を責めるのはおかしい。そのことは誰もがわかっていた。
だが、どうしてつくしのことだけを忘れたのか。理不尽だと誰もが思った。
司は入口からつくしの方に向かって歩いて来た。
つくしは、立ちつくしたまま手にしたブリーフケースの持ち手をぎゅっと握りしめていた。
そうだ。このブリーフケースは二人のきっかけを作った鞄だった。
司はつくしの目の前で立ち止まったが、つくしは、目の前にいる男に再び会えるとは思ってもいなかった。だから何か言ってくれと言われても言葉が出なかった。
帰国してから泣きながら眠りについた。15年間の思いはそう簡単に忘れ去られるものではない。叶わない恋におちて、ひどい別れを経験する運命だったんだと自分自身の気持ちに整理をつけたニューヨーク時代。それでも、心のどこかに二人の運命はまたどこかで交わるのではないかと信じていた。
そして、その願いが通じたのが10年たったあの日だった。つくしに取っては一生の思い出。
だが、あの夜の事は彼には深い思いはない。
この部屋を出て行こうにも、道明寺が目の前に立ちはだかるようにしているとそれも出来そうになかった。
まさか走って逃げるわけにはいかない。
待ってよ。あたしが逃げる必要なんてない。もういい加減に道明寺に対する自分の気持ちにピリオドを打つべきだ。
「なあ・・」
「ご、ごめん、道明寺。あの日のことは忘れてくれない?あれは、い、一夜の・・一夜限りの関係だと思って欲しいの」
つくしは感情を抑えながら静かに言った。道明寺と会ったあの日はどうかしてたんだと思って欲しい。そして、あれは一夜の情事だったと思って欲しかった。
お願い道明寺。もうこれ以上あたしに苦しい思いをさせないで。そんな思いがつくしにそんな言葉を言わせた。
「俺、記憶が戻った」
「いったいなんの話をして・・えっ?」
つくしは司の言葉に驚き、彼の目をまじまじと見つめた。
「さっきの滋の話し・・聞いてなかったのかよ・・」
司は大仰にため息をついた。
「き、聞いてなかった。そうなんだ・・そう・・よかったね・・」
道明寺の記憶が戻った。
聞いていたようで聞いてなかった話で、あまりにも突然の告白に言葉が見つからず、口をつく言葉は感情が伴わない呟きだった。
そして、重い沈黙が二人の間を支配していた。
偶然再会した昔の恋人たちが、騒動の末によりを戻すという話はよく聞くが、俺たちの場合は恋人同士になる前に一方的な別れをこいつに押し付けていた。
理由もなく別れを押し付けられたこいつは自分の気持ちを持って行く場所を失っていたはずだ。それでも、こいつは俺のことを忘れることなく15年も思っていた。そのうちの10年はすぐ傍で同じ街に住んで、俺の会社にいたとは思いもしなかった。
そして、今でも俺のことを思ってくれていることは滋から聞いた。
どうすればこいつの思いに応えることが出来る?
「なんで、あのとき・・帰っちまったんだよ・・」
それは二人が初めて愛し合った日。
「な、なんでって・・」
「気まずい思いなんてするわけねぇだろうが・・」
それは、置き手紙に書かれていた言葉。
あんたがしなくてもあたしがする。
あたしのことが記憶に無いあんたにあたしの気持ちを伝えることはできないから気まずい思いをするのはあたし。
ずっと道明寺を愛していた・・そう言えたらどんなにいいだろう。
でもそんなことを言えばドン引きされる。
自分のことを覚えていない男に15年も片思いをしてた女だなんて知られたらバカにされる。
それに今の道明寺は高校生の頃の道明寺じゃない。
あれからこの男の人生には何人もの女性がいた。だから、記憶が戻ったとしても、もうあたしのことなんてなんとも思っていないはずだ。
何をしにここに来たのか知らないが、あたしはあの日、自分の人生について決断をしたんだからもう道明寺のことは忘れなくてはいけない。
いつか道明寺と会ったら伝えようと思っていた思いはあのとき、あたしの体で伝えたつもりだ。
愛してると・・
愛してたじゃなくて、愛してると・・
「まきの・・俺・・ごめん。おまえ・・まだ男と・・」
道明寺が言いたいことは十分伝わった。
「何が言いたいのか知らないけど、用件は何?」
つくしは肩をすくめた。その仕草は10年のアメリカ暮らしで身についた仕草だ。
「俺はおまえを愛してるんだ」
随分と率直な答えが返された。
「あの時の思いは今も俺の心の中にある」
あの時の思い・・それは道明寺が17歳の頃の話だろうか?
いきなりの展開につくしはパニックになりそうになった。突然現れたかと思ったら記憶が戻ったと言われ、愛してると告白をされ、ニューヨークで一夜を過ごしただけの関係の女に言う言葉じゃない。彼は、道明寺は記憶が混乱してるのよ。
「道明寺は夢を見てるのよ・・あの時の・・15年も前のことの・・夢の続きを見てるのよ」
あれは夢だったんだ。
短い恋の夢。
「あたしはあれから・・色んなことを経験して大人になった。それはあんたも同じはずで何も15年も前のことを・・続けなきゃいけないことなんてない」
つくしは自分の口から出る言葉は本当の気持ちとはまったくの正反対で、15年も夢を見続けたのは自分だったと言いたかった。いつも道明寺の傍にいて夢を見ていたいと思った。いつかまたあたしに気づいてくれると思った10年。
そんな思いを抱えていたあたしに愛してるなんて言葉を軽々しく言って欲しくない。
「ど、道明寺に愛が語れるわけ?それに本気で人を好きになったことがない人間に愛なんか語って欲しくない。愛は長い間時間をかけて育てるものよ・・あたし達はあの一晩だけの関係よ?」
あの一晩でさえ愛と言えるかどうか分からなかった。あの夜の二人に愛はあったのか。だか、少なくともあたしにはあった。
「俺たちの愛はおまえが15年かけて育ててくれたんだろ?俺はおまえのすべてを愛してる。信じられねぇかもしれねぇが・・本当だ」
司はつくしを見下ろしながら諭すように言った。
「それに俺が心から愛した女はおまえしかいねぇ」
司はつくしの心が揺れているのを感じていた。
「おまえが言う15年前が夢ならその夢の続きを見て何が悪いんだ?だけどな、俺は夢じゃなくて本物にしたい」
「でも・・あたし達はもう元には戻れない。15年前には戻れ・・」
「あほか!元に戻れるに決まってるだろうが!いや、それ以上だな。何しろ俺は15年前と違っておまえを愛する方法はもう勉強した」
つくしの目の前に立つ男は確かに18歳の男じゃない。でも・・
「何がでもなんだよ!18だろうが33だろうがおまえを愛してる男に変わりはねぇぞ!人間の本質ってのはいくら時が経とうが変わんねぇんだ!俺がおまえを愛した記憶が例え15年無かったとしても頭ん中の海馬ってのに刻まれてるんだよ!それに俺の人としての本質はおまえに出会ってから作られたようなもんだからな。おまえが俺の人としてのスタートラインなんだ。だから牧野、おまえは俺の人としての基礎だ」
あの頃と同じような激しさが垣間見えた気がした。
つくしだけを追いかけていた高校生の頃の男の姿が。
「俺と結婚してくれ」
遅いのよ。
もっと早く聞きたかった。
「遅くなんてねぇぞ!」
司の動きは素早かった。
いきなり体を抱きしめられたつくしは、一瞬息をするのも忘れ、手に握っていた鞄は床に落ちた。
夢だと思った。そうだこれは夢なんだ。
ニューヨークでどんなことがあってもこの男の傍にいたいと思った10年。
いつかあたしのことを思い出してくれると願った10年があった。
道明寺から愛してるとか結婚してくれとかそんな言葉が聞けるなんてこれは夢だ。
そして低くセクシーな声に全身が痺れていた。
「夢じゃねぇぞ!おい!起きたままで夢なんか見るじゃねぇよ!夢を見るんなら俺と一緒に見ればいい・・朝起きたとき、俺の隣にいてくれ。ひとりで目覚めるのは嫌だ・・」
司はいつも夢に現れていたつくしに気づかなかった自分が腹立たしかった。
「あのね道明寺、でもね」
二人の運命は違う方向を向いて動いているのに、これからまた同じ方向に向けることなんて出来るのだろうか。
「あのねもでもねもあるか。余計なこと考えるんじゃねぇよ・・運命の方向なんてすぐにでも俺が修正してやる」
「無理よ・・だって・・」
「だっても明後日もねぇんだよ!言っとくが俺たちの関係は一夜限りなんかじゃねからな!」
あたしだって出来るならこれからの人生を道明寺と一緒に経験したい。その思いは15年前から変わらない思い。
「おまえは俺のものだ・・俺だけの・・」
つくしの頭の上で聞こえる男の声には切なる願いが込められているように感じられた。
・・道明寺
つくしは司の背中に両腕を回し、小さな手のひらで思いっきり抱きしめた。
いいわ。心の奥にある感情を騙すことなんてもうできない。
これからあたしの進む道がどんな道になろうと、15年も待ったんだもの。道明寺と一緒なら歩んでいける。
そして、この15年のどこかの時点で、あたしは無理矢理自分を納得させようとしていたはずだ。
道明寺を失った悲しみなんて大したことはないと・・でもそれは嘘だ。
「あたし・・」
つくしは笑って顔を仰向けると司を見た。
「あたし道明寺を愛してる・・今までも・・多分これから先もずっと愛してると思う・・」
「本当か?」
つくしは頷いた。「うん。本当に愛してる」
だからあたしを・・もう二度とあたしを離さないで。
「おまえ相変らずちびだよな。首が痛てぇ・・」
斜め上から見下ろす声が笑いを含んでいた。
「ち、ちびで悪かったわね!」
「胸もちっちぇえまんまだし・・」
「わ、悪かったわね、ちっちゃくて!」
「いいや。俺はおまえのちっちぇえ胸が好きだ。けど心配すんな。俺が大きくしてやるから」
司は身を屈め、つくしが息もつけないほど激しくキスをした。
小さな体が二度と逃げ出さないようにしっかりと抱きしめて。
そしてキスに込められた思いは、これからも変わらない思い。
あのときは差し出された手を掴むことができなかったが、今はこうしてこの腕の中に掴むことが出来た。
もう何があろうと決して離しはしない。
俺はおまえが望めばいつでもおまえのものだ。
これから先はずっと・・
愛してる・・牧野。
< 完 >
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それよりあいつが俺の会社で10年も働いていたことに驚いた。
同じ会社で、同じ街で、同じ景色を見て過ごした10年。
だがそれは同じ目線で見たものではなかった。
ニューヨークの四季ははっきりとしている。春は短いが穏やかに過ぎ、夏になれば暑くなり日本とまでは言わないが結構蒸し暑い日も多い。秋も短いがセントラルパークの木々は赤や黄色に色づき一見の価値がある。
冬は・・長く寒い日が続く。11月から12月にかけての街はクリスマスイルミネーションが飾られて華やかなムードになる。街を行く人々の頭にあるのはプレゼントとパーティーのことばかりで、クリスマスになれば皆家族の元へと帰って行く。
そんな中、あいつはこの街に残り一人で過ごしていたに違いない。
俺はそんな季節はいつもパーティー三昧の日々を過ごしていた。
この街での二人の10年は、決して交わることのない時間だった。それは、まるで過去と未来が決して交わることがないのと同じで二人の人生は違う次元だった。15年前もそうだった。交わるはずのなかった二人の人生が些細なことで交わった。
10年・・司は自分の10年間を振り返ってみた。
自分はどんな10年を過ごしていたか。
早い話、どうでもいい人生だったはずだ。
だがあいつは、牧野は俺の10年を身近で見て聞いて知っている。
どんな気持ちで俺の会社で働いていたのか。あいつの退職の手続きが取られたのは2週間前だった。
アメリカでの退職は、2週間前に申し出をすれば出来る。Two weeks notice と呼ばれる2週間前通知が日本の退職届にあたる。
昨日があいつのニューヨークでの最後の日だった。
そんな日に空港で巡り会えたことは奇跡としか言いようがなかった。
そうだ。奇跡としか言えない状況で俺はこうしてあいつを、牧野を思い出すことが出来た。
願いが叶っただと?
それなら、俺の願いはどうしてくれるんだ?
高校生の頃あいつが欲しいと願った。持てるもの全てを捨ててもあいつが欲しかった。その思いは今でも変わらない。
司は携帯電話を取り出し、パイロットを呼び出した。
いつでも飛び立てるように準備をしろと伝えるために。
窓の向うに広がるのは、夜明けのマンハッタンの街並みだった。嵐は去り、太陽が昇り始めた東の空には切れ切れの雲の流れが見えていた。
その雲を見ながら思った。昨日の夜がグランドフィナーレなら、もうこれ以上悪くなることはないはずだ。
今頃あいつの乗った航空機は、西へ向かって飛行を続けている。
今朝一番早いフライトで出国したことは調べればすぐにわかった。
東京へ・・
俺も昨日はあいつと同じ便に乗る予定だった。
それはプライベートジェットが利用出来なかったからという運の巡り合わせ。
もし昨日出会わなければ恐らくこの先も一生出会えなかっただろう。そして、あいつのことを思い出すことなく過ぎて行く俺の一生。
あいつの記憶だけを失った俺の15年は取り戻せないが、これからの15年、いやそれ以上あいつのことだけを考えて生きていく。
俺は幸せになりたいと牧野に言ったことがあるはずだ。
だから俺はこれから自分の幸せを掴みに行く。もちろんそれは牧野を幸せにしてやることが前提だ。欲しいものがはっきりした今、何を迷うことがある?幸せになりたいなら自分からそれを掴み取るまでだ。
もちろん牧野の許しを得てからだが、あいつは俺を許してくれるだろうか。
15年もひとりぼっちにさせ、そのうちの10年に至っては見たくも聞きたくもないものに触れなければいけなかったということを。
だが、許してもらえなくても、どんなことをしてでも俺はあいつの・・牧野と一緒に残りの人生を過ごしたい。
牧野の世界を俺も知りたい、牧野と人生を分かち合いたいと考えるだけで力が湧いてくる。こんな気持ちになったことはない。そうだ、あの頃、17の俺があいつと過ごした短い時間以外は。
だから、自分の人生でやり残したことがあるとすれば、それはひとつだけだ。
***
道明寺と愛し合ってクライマックスを迎えた。
・・違う。あたし達は愛し合ってなんてない。
ただ男と女がすることをしただけだ。
愛されているなんて勘違いはしてはいない。
32年間の自分の人生の中で半分は道明寺のことを考えて生きてきた。
でもその思いもどこかで断ち切らなくては前に進むことが出来ない。
あと5年もすれば、きっといい思い出に変わるはずだ。
やっぱり日本に帰ってきたのは正解だ。ひとりの人間を思って過ごす人生はいい加減やめなければ。
「つくしーっ!おかえりっ!」
まさか出迎えを受けるとは思ってもみなかった。
「先輩よく帰ってくる決心がつきましたね?先輩のことだからずっとニューヨークで生活を続けるものだと思ってました」
「滋さん、桜子・・」
10年前にもこの二人には見送ってもらった。二人はこの10年の間に何度もニューヨークまで足を運んではつくしの近況を知りたがった。それは道明寺とのことだ。
あれから10年が経過した。あたしも我ながらよく10年もあいつの傍で過ごすことが出来たと思った。
「優紀ちゃんは都合がつかなくてゴメンってさ。本当は昨日帰国だったでしょ?だから優紀ちゃん昨日会社休んだから、今日は流石に無理だってさ。つくしにゴメンって伝えてって言われたよ」
「うん、ごめんね・・嵐でフライトキャンセルになっちゃって・・」
「5月だからね。まさにアメリカ版メイストームだね?」
「先輩の人生もまさにストーム・・・嵐ですね」
「桜子あんたいいこと言うね!」
本当にその通りだ。あたしは嵐の中で生きて来た。でも、もうそれも終わりだ。
「よーし!つくしも帰国したし、今日はこれから女3人で飲み歩くぞ!」
「滋さんそれ無理」つくしは間髪入れずに止めようとした。
「そうですよ、滋さん。先輩は帰ってきたばかりで身の回りのことが何も出来てないんですからね?」
「桜子!つくしはね明後日からうちの会社で働くの。だから身の回りのことは大河原で全部面倒見てるんだから何も心配なんて要らないわよ。それに色々と聞きたいし・・」
「滋さんダメですよ!そんなこといきなり言っちゃ・・」
「そうよ!司のことよ!あのバカ男、つくしが傍にいるのに気が付かないんだから!」
滋はつくしの手を掴み、彼女らしく話しを続けた。それは、現実的な考え方の滋らしい発言。
「つくし!あんな男のことなんてきれいさっぱり忘れて滋ちゃんと新しい男を探そう!」
つくしは滋の言葉に頷いた。その通りだ。いつまでも道明寺のことを考えていてもしかたがない。もうあたしの望みは叶ったんだからこれ以上何を望むの?
今はあいつの名前が二人の口から出るのを聞くと辛いけど、傷口を隠すよりもあえて晒して早く治ることを選ぶことにした。
「そうよね!滋さんの言う通りよ!道明寺司なんてあんな男なんて・・」
つくしは感情が出てしまう自分の性格が疎ましかった。零れ落ちそうな涙は上を向いて誤魔化した。でもいくら隠そうとしても多分あたしの顔には表れているはずだ。道明寺のことが今でも好きだと。だがそんな思いは振り払うことにした。
「滋さん飲みに連れてって!ほら、桜子も行くよ!」
***
「仕事中毒にならないようにしないとね、つくし?」
いつまでも古い思い出にしがみついて生きていくことはしたくないと、滋の会社での新たなスタートを切ったつくし。
つくしがニューヨークで担当していたのは、起業する人物から事業資金の出資を求める申し込みに関する調査だった。その為には、事業計画書の提出を受けるところから始まる。
書かれているのは、会社の理念から始まって事業内容、資金計画、販売計画や自社についての強みや弱みなどだが、今後その事業がどのような方向性を持つのかを見極めるための資料となる。
出資をすると言うことは、配当を期待すると言うことで、リターンが大きくなるかどうかを見極めるのがつくしの仕事だ。つまりはその会社の将来性を分析し審査をすることだ。
実行力と即戦力を求められた道明寺の会社で培ったキャリアは、滋の会社でもすぐに生かすことが出来る。これだけはニューヨークで身につけることが出来た大きなビジネススキルだった。
「ねえ、滋さん。これから行く会社ってこんないいビルにオフィスがあるの?」
「そうだよねぇ・・まだこれからの会社にしちゃ立派だよね?」
つくしの帰国から一週間後に訪れたのは滋の会社から出資を受けたいと申し込みがあった事業者だ。
二人は地上からはるか上のフロアに降り立った。このビルの賃料は相当高いと踏んだが、訪れた会社の入口には、会社のネームプレートが無かった。IT関連としか聞いていないベンチャー企業はなぜか人の姿がない。
そして、だだっぴろい空間にあるのは、楕円形の大きなテーブルと椅子だけで、会社というよりもどこかの会社の会議室のひとつのだとしか思えなかった。
「ねえ滋さん、この会社ってまだ・・」
つくしは後ろにいる滋に話しかけようと振り向いたが、口を開いたままでその先の言葉が出なかった。
振り向いたつくしが目にしたのは、滋の隣に立つ背の高い男だった。
いつもニューヨークで心に描いていた男が、東京にいるはずのない男がそこにいた。
つくしは自分の体がこわばるのを感じた。表情が豊かだと言われる顔には翳が差したように見えた。
「つくし・・ごめんね。司から連絡があったのよ。記憶が戻ったってね。それから二人の関係も聞いたわ」
滋は話しにくかったのか咳払いをひとつした。
「それにつくしを逃がさないようにって頼まれたの。それで今日ここに連れてくるように頼まれたのよ」
「滋・・悪いが・・」
滋は万事心得たように頷いた。
そして「よかったね・・つくし」と小さな声で囁くように言って部屋を出ていった。
部屋の入口にいたのは、ニューヨークで一週間前に別れた男だ。
二度と会うことはないと思っていた男と二人っきりでいるなんて、これは頭の中の願望が見せている幻じゃないの?そんな思いがすると、つくしは何か言わなきゃと思ったが何も言えずにいた。
「牧野・・何か言ってくれ・・」
深みのあるバリトンの声に、背中に震えが走った。
15年前愛おしそうに呼んでくれたあたしの名前がまた彼の口から聞けるなんて夢にも思わなかった。もう二度と彼の口から名前が呼ばれることは無いと思っていた。
漆黒の瞳が俺を見ろと言ったあの夜を思い出した。あの夜は二人とも名前の無いただの男と女だった。あの時、何度この男の名前を呼びたいと思ったことか。15年間呼ぶことの無かった名前を心の底から呼びたかった。
道明寺・・愛してるって。
大きな声で言いたかった。
何も言わないつくしに痺れを切らしたかのように司は言葉を継いだ。
「髪・・切ったんだな・・よく似合ってる」
つくしは帰国した翌日、髪を肩の長さで切りそろえた。
別に失恋したからという意識はなかった。ただ気分転換がしたかっただけだが、滋はずばり核心をつくようなことを言っていた。つくし失恋したんだよね、と。
つくしは司の顔を見ながらぼんやりとしていた。
この男は一体なにがしたいんだろうと。
どうして道明寺がここにいるんだろうと。
突っ立てないで何か言わなきゃと思うがあまりに突然のことに何も言えずにいた。
「どうして俺がここにいて、何がしたいかが聞きたいんだろ?」
何も口にしてないのにどうして分かったのか。
「分かってる。おまえの言いたいことは全部」
司は言葉を選びながら話し始めた。
「今さら何を・・言いに来たんだって言いたいのは・・わかってる。俺がおまえのことだけを忘れちまったことは・・すまないと思ってる」
あの事件は、彼が悪いというわけではない。
つくしの事を忘れたのは、どうしようもない力が働いたとしか言えなかったのだから彼を責めるのはおかしい。そのことは誰もがわかっていた。
だが、どうしてつくしのことだけを忘れたのか。理不尽だと誰もが思った。
司は入口からつくしの方に向かって歩いて来た。
つくしは、立ちつくしたまま手にしたブリーフケースの持ち手をぎゅっと握りしめていた。
そうだ。このブリーフケースは二人のきっかけを作った鞄だった。
司はつくしの目の前で立ち止まったが、つくしは、目の前にいる男に再び会えるとは思ってもいなかった。だから何か言ってくれと言われても言葉が出なかった。
帰国してから泣きながら眠りについた。15年間の思いはそう簡単に忘れ去られるものではない。叶わない恋におちて、ひどい別れを経験する運命だったんだと自分自身の気持ちに整理をつけたニューヨーク時代。それでも、心のどこかに二人の運命はまたどこかで交わるのではないかと信じていた。
そして、その願いが通じたのが10年たったあの日だった。つくしに取っては一生の思い出。
だが、あの夜の事は彼には深い思いはない。
この部屋を出て行こうにも、道明寺が目の前に立ちはだかるようにしているとそれも出来そうになかった。
まさか走って逃げるわけにはいかない。
待ってよ。あたしが逃げる必要なんてない。もういい加減に道明寺に対する自分の気持ちにピリオドを打つべきだ。
「なあ・・」
「ご、ごめん、道明寺。あの日のことは忘れてくれない?あれは、い、一夜の・・一夜限りの関係だと思って欲しいの」
つくしは感情を抑えながら静かに言った。道明寺と会ったあの日はどうかしてたんだと思って欲しい。そして、あれは一夜の情事だったと思って欲しかった。
お願い道明寺。もうこれ以上あたしに苦しい思いをさせないで。そんな思いがつくしにそんな言葉を言わせた。
「俺、記憶が戻った」
「いったいなんの話をして・・えっ?」
つくしは司の言葉に驚き、彼の目をまじまじと見つめた。
「さっきの滋の話し・・聞いてなかったのかよ・・」
司は大仰にため息をついた。
「き、聞いてなかった。そうなんだ・・そう・・よかったね・・」
道明寺の記憶が戻った。
聞いていたようで聞いてなかった話で、あまりにも突然の告白に言葉が見つからず、口をつく言葉は感情が伴わない呟きだった。
そして、重い沈黙が二人の間を支配していた。
偶然再会した昔の恋人たちが、騒動の末によりを戻すという話はよく聞くが、俺たちの場合は恋人同士になる前に一方的な別れをこいつに押し付けていた。
理由もなく別れを押し付けられたこいつは自分の気持ちを持って行く場所を失っていたはずだ。それでも、こいつは俺のことを忘れることなく15年も思っていた。そのうちの10年はすぐ傍で同じ街に住んで、俺の会社にいたとは思いもしなかった。
そして、今でも俺のことを思ってくれていることは滋から聞いた。
どうすればこいつの思いに応えることが出来る?
「なんで、あのとき・・帰っちまったんだよ・・」
それは二人が初めて愛し合った日。
「な、なんでって・・」
「気まずい思いなんてするわけねぇだろうが・・」
それは、置き手紙に書かれていた言葉。
あんたがしなくてもあたしがする。
あたしのことが記憶に無いあんたにあたしの気持ちを伝えることはできないから気まずい思いをするのはあたし。
ずっと道明寺を愛していた・・そう言えたらどんなにいいだろう。
でもそんなことを言えばドン引きされる。
自分のことを覚えていない男に15年も片思いをしてた女だなんて知られたらバカにされる。
それに今の道明寺は高校生の頃の道明寺じゃない。
あれからこの男の人生には何人もの女性がいた。だから、記憶が戻ったとしても、もうあたしのことなんてなんとも思っていないはずだ。
何をしにここに来たのか知らないが、あたしはあの日、自分の人生について決断をしたんだからもう道明寺のことは忘れなくてはいけない。
いつか道明寺と会ったら伝えようと思っていた思いはあのとき、あたしの体で伝えたつもりだ。
愛してると・・
愛してたじゃなくて、愛してると・・
「まきの・・俺・・ごめん。おまえ・・まだ男と・・」
道明寺が言いたいことは十分伝わった。
「何が言いたいのか知らないけど、用件は何?」
つくしは肩をすくめた。その仕草は10年のアメリカ暮らしで身についた仕草だ。
「俺はおまえを愛してるんだ」
随分と率直な答えが返された。
「あの時の思いは今も俺の心の中にある」
あの時の思い・・それは道明寺が17歳の頃の話だろうか?
いきなりの展開につくしはパニックになりそうになった。突然現れたかと思ったら記憶が戻ったと言われ、愛してると告白をされ、ニューヨークで一夜を過ごしただけの関係の女に言う言葉じゃない。彼は、道明寺は記憶が混乱してるのよ。
「道明寺は夢を見てるのよ・・あの時の・・15年も前のことの・・夢の続きを見てるのよ」
あれは夢だったんだ。
短い恋の夢。
「あたしはあれから・・色んなことを経験して大人になった。それはあんたも同じはずで何も15年も前のことを・・続けなきゃいけないことなんてない」
つくしは自分の口から出る言葉は本当の気持ちとはまったくの正反対で、15年も夢を見続けたのは自分だったと言いたかった。いつも道明寺の傍にいて夢を見ていたいと思った。いつかまたあたしに気づいてくれると思った10年。
そんな思いを抱えていたあたしに愛してるなんて言葉を軽々しく言って欲しくない。
「ど、道明寺に愛が語れるわけ?それに本気で人を好きになったことがない人間に愛なんか語って欲しくない。愛は長い間時間をかけて育てるものよ・・あたし達はあの一晩だけの関係よ?」
あの一晩でさえ愛と言えるかどうか分からなかった。あの夜の二人に愛はあったのか。だか、少なくともあたしにはあった。
「俺たちの愛はおまえが15年かけて育ててくれたんだろ?俺はおまえのすべてを愛してる。信じられねぇかもしれねぇが・・本当だ」
司はつくしを見下ろしながら諭すように言った。
「それに俺が心から愛した女はおまえしかいねぇ」
司はつくしの心が揺れているのを感じていた。
「おまえが言う15年前が夢ならその夢の続きを見て何が悪いんだ?だけどな、俺は夢じゃなくて本物にしたい」
「でも・・あたし達はもう元には戻れない。15年前には戻れ・・」
「あほか!元に戻れるに決まってるだろうが!いや、それ以上だな。何しろ俺は15年前と違っておまえを愛する方法はもう勉強した」
つくしの目の前に立つ男は確かに18歳の男じゃない。でも・・
「何がでもなんだよ!18だろうが33だろうがおまえを愛してる男に変わりはねぇぞ!人間の本質ってのはいくら時が経とうが変わんねぇんだ!俺がおまえを愛した記憶が例え15年無かったとしても頭ん中の海馬ってのに刻まれてるんだよ!それに俺の人としての本質はおまえに出会ってから作られたようなもんだからな。おまえが俺の人としてのスタートラインなんだ。だから牧野、おまえは俺の人としての基礎だ」
あの頃と同じような激しさが垣間見えた気がした。
つくしだけを追いかけていた高校生の頃の男の姿が。
「俺と結婚してくれ」
遅いのよ。
もっと早く聞きたかった。
「遅くなんてねぇぞ!」
司の動きは素早かった。
いきなり体を抱きしめられたつくしは、一瞬息をするのも忘れ、手に握っていた鞄は床に落ちた。
夢だと思った。そうだこれは夢なんだ。
ニューヨークでどんなことがあってもこの男の傍にいたいと思った10年。
いつかあたしのことを思い出してくれると願った10年があった。
道明寺から愛してるとか結婚してくれとかそんな言葉が聞けるなんてこれは夢だ。
そして低くセクシーな声に全身が痺れていた。
「夢じゃねぇぞ!おい!起きたままで夢なんか見るじゃねぇよ!夢を見るんなら俺と一緒に見ればいい・・朝起きたとき、俺の隣にいてくれ。ひとりで目覚めるのは嫌だ・・」
司はいつも夢に現れていたつくしに気づかなかった自分が腹立たしかった。
「あのね道明寺、でもね」
二人の運命は違う方向を向いて動いているのに、これからまた同じ方向に向けることなんて出来るのだろうか。
「あのねもでもねもあるか。余計なこと考えるんじゃねぇよ・・運命の方向なんてすぐにでも俺が修正してやる」
「無理よ・・だって・・」
「だっても明後日もねぇんだよ!言っとくが俺たちの関係は一夜限りなんかじゃねからな!」
あたしだって出来るならこれからの人生を道明寺と一緒に経験したい。その思いは15年前から変わらない思い。
「おまえは俺のものだ・・俺だけの・・」
つくしの頭の上で聞こえる男の声には切なる願いが込められているように感じられた。
・・道明寺
つくしは司の背中に両腕を回し、小さな手のひらで思いっきり抱きしめた。
いいわ。心の奥にある感情を騙すことなんてもうできない。
これからあたしの進む道がどんな道になろうと、15年も待ったんだもの。道明寺と一緒なら歩んでいける。
そして、この15年のどこかの時点で、あたしは無理矢理自分を納得させようとしていたはずだ。
道明寺を失った悲しみなんて大したことはないと・・でもそれは嘘だ。
「あたし・・」
つくしは笑って顔を仰向けると司を見た。
「あたし道明寺を愛してる・・今までも・・多分これから先もずっと愛してると思う・・」
「本当か?」
つくしは頷いた。「うん。本当に愛してる」
だからあたしを・・もう二度とあたしを離さないで。
「おまえ相変らずちびだよな。首が痛てぇ・・」
斜め上から見下ろす声が笑いを含んでいた。
「ち、ちびで悪かったわね!」
「胸もちっちぇえまんまだし・・」
「わ、悪かったわね、ちっちゃくて!」
「いいや。俺はおまえのちっちぇえ胸が好きだ。けど心配すんな。俺が大きくしてやるから」
司は身を屈め、つくしが息もつけないほど激しくキスをした。
小さな体が二度と逃げ出さないようにしっかりと抱きしめて。
そしてキスに込められた思いは、これからも変わらない思い。
あのときは差し出された手を掴むことができなかったが、今はこうしてこの腕の中に掴むことが出来た。
もう何があろうと決して離しはしない。
俺はおまえが望めばいつでもおまえのものだ。
これから先はずっと・・
愛してる・・牧野。
< 完 >
* One Night Stand *

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金*草様
とても光栄なコメントをありがとうございます。
こちらのお話はGW用にと思っていたので短編とさせて頂きました。
心理描写ですがあまりダラダラ書くと読みづらいのではと言う思いもありますが
良かったです。(^^)
次回作も楽しんで頂けるといいのですがご期待に添えるように頑張ります。
コメント有難うございました(^^)
とても光栄なコメントをありがとうございます。
こちらのお話はGW用にと思っていたので短編とさせて頂きました。
心理描写ですがあまりダラダラ書くと読みづらいのではと言う思いもありますが
良かったです。(^^)
次回作も楽しんで頂けるといいのですがご期待に添えるように頑張ります。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 00:10 | 編集

ま**ん様
満足して頂けてよかったです(^^)
短いお話になりましたが、二人の幸せが何よりです。
ホッ!← 良かったです。
コメント有難うございました(^^)
満足して頂けてよかったです(^^)
短いお話になりましたが、二人の幸せが何よりです。
ホッ!← 良かったです。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 00:14 | 編集

チビ**ママ様
良かったですか?ありがとうございました。
読後のスッキリ感を感じて頂けたのが何よりです(^^)
本物の愛は永遠・・いいですね!
二人の未来は明るいと思います。
新作明日からです。また良かったら覗いてみて下さいませ。
コメント有難うございました(^^)
良かったですか?ありがとうございました。
読後のスッキリ感を感じて頂けたのが何よりです(^^)
本物の愛は永遠・・いいですね!
二人の未来は明るいと思います。
新作明日からです。また良かったら覗いてみて下さいませ。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 00:18 | 編集

ka**i様
こんばんは(^^)
ぐっと力が入った?ありがとうございます。
こんな短編でも楽しんで頂けて良かったです。
明日から新作です。明日からの司は・・・
どうでしょう(笑)楽しんで頂けるように頑張ります。
コメント有難うございました(^^)
こんばんは(^^)
ぐっと力が入った?ありがとうございます。
こんな短編でも楽しんで頂けて良かったです。
明日から新作です。明日からの司は・・・
どうでしょう(笑)楽しんで頂けるように頑張ります。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 00:22 | 編集

サ*ラ様
こんばんは。
はは(笑)確かに。このつくしちゃんかなり素直に受け入れましたよね。
司に意地悪して困らせる・・そうですね、それも良かったかもしれません。
人生の一番綺麗な20代を仕事に生きるつくし・・耐える女っぽいですね(笑)
司はそれはそれで嬉しかったと思います。「俺のために・・」って多分感激してます。
明日からの新作の二人はどうでしょう・・
また覗いて見て下さると嬉しいです。
コメント有難うございました(^^)
こんばんは。
はは(笑)確かに。このつくしちゃんかなり素直に受け入れましたよね。
司に意地悪して困らせる・・そうですね、それも良かったかもしれません。
人生の一番綺麗な20代を仕事に生きるつくし・・耐える女っぽいですね(笑)
司はそれはそれで嬉しかったと思います。「俺のために・・」って多分感激してます。
明日からの新作の二人はどうでしょう・・
また覗いて見て下さると嬉しいです。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 00:28 | 編集

マ**チ様
出会ったことのない人種故の思い込み愛・・
確かにそれもあるかもしれませんね。今まで自分の周りに居なかった人間に興味を示す。
自分に似た相手を選ぶか全く正反対の相手を選ぶか・・
司の場合は・・正反対ですよね?でもどうしても拙宅の二人は運命の二人になってしまうようです。
そうなんですよ・・こんな司がエロ御曹司になってしまうんです。
自分でもどうして!と思うんですが(笑)
明日からの司はどうでしょう・・また覗いてみて下さいませ。
こちらこそありがとうございますm(__)m
コメント有難うございました(^^)
出会ったことのない人種故の思い込み愛・・
確かにそれもあるかもしれませんね。今まで自分の周りに居なかった人間に興味を示す。
自分に似た相手を選ぶか全く正反対の相手を選ぶか・・
司の場合は・・正反対ですよね?でもどうしても拙宅の二人は運命の二人になってしまうようです。
そうなんですよ・・こんな司がエロ御曹司になってしまうんです。
自分でもどうして!と思うんですが(笑)
明日からの司はどうでしょう・・また覗いてみて下さいませ。
こちらこそありがとうございますm(__)m
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 00:35 | 編集

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さと**ん様
いつもご感想を有難うございます^^
3話に纏めたといいますか、3話になってしまったといいますか・・(笑)
本当はもう少し短くする予定でしたが3話になりました。
大作だなんて、そんなことないですよ。なんだかいつもすみませんm(__)m
早期解決、話の展開が早かったですよね?^^
内容が詰まって読み応え・・有難うございます。でも一夜を共にしてネックレスで記憶が戻るなんてベタですね(笑)
【滋・・悪いが・・・】【牧野・・なんか言ってくれ・・】言葉に出来ない気持ちを表現したかったんです。気づいて下さって嬉しいです。実際そんな場面に遭遇すれば言葉は少ないかなと。
【運命の方向・・】【おまえは俺のものだ・】33歳司、色々な経験をしてこんな台詞も言えるようになったんです・・
さと**ん様にお願いが・・何かのついででいいのですが、以前コメントを頂いた拙宅の「なんとも言えない醸し出す空気」?どんな空気感なのか知りたいです!忌憚のないご意見をお願いしますm(__)m 文章硬いですしね・・(^^ゞ
コメント有難うございました(^^)
いつもご感想を有難うございます^^
3話に纏めたといいますか、3話になってしまったといいますか・・(笑)
本当はもう少し短くする予定でしたが3話になりました。
大作だなんて、そんなことないですよ。なんだかいつもすみませんm(__)m
早期解決、話の展開が早かったですよね?^^
内容が詰まって読み応え・・有難うございます。でも一夜を共にしてネックレスで記憶が戻るなんてベタですね(笑)
【滋・・悪いが・・・】【牧野・・なんか言ってくれ・・】言葉に出来ない気持ちを表現したかったんです。気づいて下さって嬉しいです。実際そんな場面に遭遇すれば言葉は少ないかなと。
【運命の方向・・】【おまえは俺のものだ・】33歳司、色々な経験をしてこんな台詞も言えるようになったんです・・
さと**ん様にお願いが・・何かのついででいいのですが、以前コメントを頂いた拙宅の「なんとも言えない醸し出す空気」?どんな空気感なのか知りたいです!忌憚のないご意見をお願いしますm(__)m 文章硬いですしね・・(^^ゞ
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 22:14 | 編集

H*様
はい。無事にハッピーエンドです!
この切ないつかつくでも大丈夫でしたか!
堪能して頂けて良かったです。
拍手コメント有難うございました(^^)
はい。無事にハッピーエンドです!
この切ないつかつくでも大丈夫でしたか!
堪能して頂けて良かったです。
拍手コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.11 22:21 | 編集

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さと**ん様
そうですね、いちいちどんなコメントを残したかなんて覚えてないですよね?失礼しましたm(__)m
第一級恋愛罪が終わった後のご挨拶で頂いたコメントに『醸し出す何とも言えないお話の空気』と書いて頂きました。
それでどんな空気なのかと思いました。
『まったりとした重めの語り』と『ほどよい重み』・・そうでしたか!自分では分からないものなんですね。有難うございます。
文体を変えて書きたいと思うこともあるんですが、どうも無理のようで多分さと**ん様がおっしゃったようにその特色が濃くなって行く傾向にあるように思います。硬いですねと何度か言われてます(笑)でも硬い口調でイヤラシイ内容(御曹司)にギャップがあって面白いとも言われました。最近、文章のセンスがいいですと言われ嬉しくなり照れました(/ω\)こんな文体でも楽しんで頂けて嬉しいです。『まったりしてたのに、突然心情が動き出して駆け出す』←なるほど。そう言った特徴があるんですね。
よく分かりました。何をおっしゃいますか!さと**ん様の書評は凄いですね。言語力と表現力の高さに長けてると言っても過言はありません。迷惑なんてとんでもありません。ぜひその表現力で呟いて頂けると有難いです。
作品の自己確認になりました。どうも有難うございました(^^)久々に御曹司でも書いてみようかと思っています。
コメント有難うございました^^
そうですね、いちいちどんなコメントを残したかなんて覚えてないですよね?失礼しましたm(__)m
第一級恋愛罪が終わった後のご挨拶で頂いたコメントに『醸し出す何とも言えないお話の空気』と書いて頂きました。
それでどんな空気なのかと思いました。
『まったりとした重めの語り』と『ほどよい重み』・・そうでしたか!自分では分からないものなんですね。有難うございます。
文体を変えて書きたいと思うこともあるんですが、どうも無理のようで多分さと**ん様がおっしゃったようにその特色が濃くなって行く傾向にあるように思います。硬いですねと何度か言われてます(笑)でも硬い口調でイヤラシイ内容(御曹司)にギャップがあって面白いとも言われました。最近、文章のセンスがいいですと言われ嬉しくなり照れました(/ω\)こんな文体でも楽しんで頂けて嬉しいです。『まったりしてたのに、突然心情が動き出して駆け出す』←なるほど。そう言った特徴があるんですね。
よく分かりました。何をおっしゃいますか!さと**ん様の書評は凄いですね。言語力と表現力の高さに長けてると言っても過言はありません。迷惑なんてとんでもありません。ぜひその表現力で呟いて頂けると有難いです。
作品の自己確認になりました。どうも有難うございました(^^)久々に御曹司でも書いてみようかと思っています。
コメント有難うございました^^
アカシア
2016.05.12 23:03 | 編集

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さと**ん様
私ももの忘れが多くなりました(笑)まだまだ大丈夫と思っていてもねぇ(笑)
昔のことはよく覚えていても、最近覚えたことを忘れるスピードの速いこと(笑)
これは確実に老化現象です。お互いに色々頑張りましょう、と言って一絡げにしてしまってすみません(笑)
こちらこそ、喝!入れて下さい。気を抜くと・・・となりそうですから。
明日御曹司なんですが、ベタなネタです(笑)でもうちの司はまだ経験して無かったなと思い経験させてあげました。
硬い口調でイヤラシイこと言ってるようで言ってない?突っ込み所があれば、また呟いてやって下さい!
コメント有難うございました(^^)
私ももの忘れが多くなりました(笑)まだまだ大丈夫と思っていてもねぇ(笑)
昔のことはよく覚えていても、最近覚えたことを忘れるスピードの速いこと(笑)
これは確実に老化現象です。お互いに色々頑張りましょう、と言って一絡げにしてしまってすみません(笑)
こちらこそ、喝!入れて下さい。気を抜くと・・・となりそうですから。
明日御曹司なんですが、ベタなネタです(笑)でもうちの司はまだ経験して無かったなと思い経験させてあげました。
硬い口調でイヤラシイこと言ってるようで言ってない?突っ込み所があれば、また呟いてやって下さい!
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.13 23:06 | 編集

ま*も様
全編にコメントをお寄せ頂き有難うございました。^^
書き始めの頃のお話はお恥ずかしい限りです。本当に加筆修正したいです。が、なかなか時間が取れなくて放置したままでお読み頂いている状況です。ま*も様からお誉めの言葉を頂いて本当にうれしいです。有難うございます。
最初の頃からお読み頂いているとのことで、どうも有難うございますm(__)m
まだまだ未熟ですがこれからもよろしくお願いします。
拍手コメント有難うございました(^^)
全編にコメントをお寄せ頂き有難うございました。^^
書き始めの頃のお話はお恥ずかしい限りです。本当に加筆修正したいです。が、なかなか時間が取れなくて放置したままでお読み頂いている状況です。ま*も様からお誉めの言葉を頂いて本当にうれしいです。有難うございます。
最初の頃からお読み頂いているとのことで、どうも有難うございますm(__)m
まだまだ未熟ですがこれからもよろしくお願いします。
拍手コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.14 22:09 | 編集
