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2015
08.25

いつか見た風景25

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内容の一部分に大人向けの表現が含まれています。
未成年の方はお控え下さい。
またそのようなお話が苦手な方もお控え下さい。
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車内のリカーキャビネットにある銀のアイスバスケットの中にはドンペリニョンのボトルが斜めに寝かせてある。

待たせていた車に乗り込みパーティーを後にした二人は邸へと向かっていた。
外の喧騒を街の片隅に追いやるように車はスピードをあげて行く。
時の流れと同じように車窓を流れていく風景。あの日止まってしまった俺と牧野の風景。
心が震えているようだ。だがどれだけの時間(とき)が流れてもお前の言葉に嘘はないだろう?

牧野は俺とずっと一緒にいる。
これから先もずっと。

司はアイスバスケットから取り出したドンペリの栓を抜いた。
そしてグラスをつくしに差し出した。

「乾杯しよう」
「え?」

いったい何に乾杯すると言うのだろうという顔の女。
それでもおとなしくグラスを受け取った。

「ねえ、何に乾杯するの?」

一瞬妙な顔つきになっていた。
司は無性に女を腕の中に引き寄せたかったがグラスを持つ手にそんなことは出来ない。

何に乾杯するのか。
その質問に対する答えは 

『 牧野、お前との記憶が戻ったことに 』

「あ? あのクソ親父の会社がうちのものになる前祝いだ」

つくしが手にしているグラスに合わせるよう、司はグラスを持ち上げた。




***




身体はまるでクリームのように溶かされて行く。

帰りの車の中で飲んだシャンパン。
そしてキスの嵐。つくしは夢中でキスを返した。
誘いかける司の舌を迎え入れ、自らも同じことをする。
目をつむって夢の時間に身を任せる。

そんな甘いひととき、唇が離れ、一瞬時間が止まる。

「ど、どうしたの?」

か細い声は他人のようで戸惑いを感じさせた。

「お前を見ている」

司の視線はつくしの胸、ウエスト、そして太腿へと這わされていた。
つくしはそわそわと恥ずかしくなり、手を差し出し、司の肩を抱き寄せようとしていた。手に触れた男の身体はまるで熱があるように熱い。ゆっくりと俯いて顔が近づき、荒々しくもエロティックなくちづけが交わされる。

互いの舌を差し入れ絡めあうくちづけ。
粘着質な音がつくしの耳に届いているが、その音さえも心地よいと感じられた。
身体は司の熱が伝染したかのように火照っていた。そんなつくしを壊れものでも扱うように触れてくる男の手。

司はつくしの胸に唇を這わせ、その頂きを口に含み、脚の間へ自分の脚を入れ押し広げる。
つくしは司の背中に手をまわし、しがみついていた。心臓は狂ったように鼓動を高めているが、そんな女の中に司はうめき声とともに突き進んだ。

浅く緩やかに動き出したと思うと、埋もれるほどの深さでつくしの中に突き進み、律動を繰り返す。少しずつテンポを速めるその動きに、男の背中にしがみき、呻くしか出来ない女。爪が肩に食い込むほど抱きしめ、男の全てを受け止め高みにのぼって行く。


ああ、道明寺・・・

愛してる。

あんたがあたしのことを思い出さなくてもいい。

これから先もずっと愛し続けるから・・・
涙が頬を伝うのが分かる。

熱くうねる液体がつくしの身体の奥へとそそぎ込まれる瞬間、陶酔感にひたっていた。




***




司は無心に妻を抱いた。
今この腕の中にいるのは昔の俺が愛した女。
互いの指に収まる指輪を見つめて9年前を思う。
牧野は最初からすべてを与えてくれる側で、そして決してその見返りを求めることは無かった。

二人の住む社会の間には深い溝があったはずだ。
一度はその溝を飛び越えて俺のもとへと来てくれた女だった。

それなのにこの俺は大切な女の事を忘れ去っていた。
どれだけ時間が流れても、お前のことだけは忘れてはいけなかったのに・・・・
司は眠った妻に優しく唇を寄せた。

俺が心の底から欲しかった女・・



牧野・・・



愛している。





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