キスの経験が少ないつくしは、それが正しいやり方なのかどうかわからなかった。
キスにも上手い下手があるのだろうか?なにしろ6年前にキスをして以来だ。
『上手なキスの仕方』だなんて本を買った覚えはなかったし、まさかこれから勉強するわけにもいかなかった。
つくしは自分の頭の後ろを支えている大きな手がゆっくりとだが動いたのがわかった。互いの唇がうまく合わさるようにと頭の向きをかえられたということだろう。自分の頬に触れている男の顔の温かさを感じる。鼻と鼻がこすれ、道明寺の匂いがする。
重ねられた温かい唇はゆったりとつくしの唇の上を動いていく。
決して急な動きはせず、緩慢な動きで優しかった。だが逆にその動きは優しさとは別に誘惑されているように感じられた。薄くキュッと引き締まった唇はセクシーで官能的な動きを繰り返す。
時についばむように舌で突かれ、優しく吸われる唇。そんなことを丁寧に繰り返されて
つくしはじっとしてはいられなくなっていた。両手は司の上着を掴みもっと近くへと引き寄せようとしていた。
司の上着を掴んだつくしの指に力がこもった。
今までのあたりさわりのないつき合い以上のものをはっきりと求められたのは初めてだった。
ああ・・
この男の唇はなんて素敵なんだろう・・・
こんなにキスが上手い男だなんて知らなかった。
経験不足のつくしでもこのキスは上等なキスだと感じられた。
女を酔わせるようなキス・・
つくしはいつか司と同じ寝室で過ごすことを考えた。
今はいきなり大人への階段を一番上まで上ったような気がしていた。
何年もかけて上るのではなく、一気に階段を駆け上ったような気分だ。
この歳で男性経験のないことが恥ずかしいとは思わなかったが、道明寺とだったら・・
目を閉じ司のキスにうっとりと酔いしれていたつくしは突然のことに仰天した。
「・・ん?」
唇が難なく開らかれ舌が差し入れられると驚いて目を見開いた。
しっかりと頭を抱えられたつくしに見えるのは目を閉じた司の長い睫毛くらいだった。
「ンンンッ!」
思わず上着を掴んでいた手で男の胸を叩こうとしたが、きつく抱きしめられていてそれもできなかった。
「ンンッ!!」
「ンーンッ!!!」
こいつは何をうんうん言ってんだ?
司はかすかな満足感の疼きを覚えていた。
こいつは心の底では知りたがってる。
俺と愛し合うことを・・
司はつくしに考える時間を与えなかった。
体が揺れ、気が付いたときには車の後部座席に横たえられ見つめ合っていた。
つくしは自分に何が起きているのかわからなかったが、司の大きな体で押しつぶされていないことだけはわかった。
道明寺の体はこんなに大きいのになぜあたしは押しつぶされているように感じないのだろう?体が触れていてもちっとも嫌だなんて感じないし苦しいとも思わない。それよりも包み込まれていると感じた。大きな体なのに優しさに溢れた動きをする。
もっとキスがしたいと思った。さっきのキスを続けて欲しいと思った。
やだ・・あたし・・
胸が高鳴って体が熱くなった。
道明寺のキスが欲しかった。
「ど、道明寺?」
かすれたような声しか出なかったがつくしは司の顔をじっと見つめていた。
司は自分の前で横たわっている女の顔が赤く染まったのを見た。
こいつは相変わらず無防備な顔をして俺を見てやがる。
「続けてもいいのか?」
司はうっすらとほほ笑みを浮かべながら聞いた。
だが本当は続けて欲しいかと聞きたかった。
牧野はどことなく期待顔をしているように思えるが・・
お伺いを立て許されるのではなく、お願い続けてと懇願されたかった。
俺を欲しがってくれ。そうすれば俺たちはもっと親密になれる。
俺と一緒にいろ。俺を拒むな。そんな思いばかりが溢れてくる。
おまえに何があろうと俺が守ってやるから俺を欲しがれ・・
司の願いはつくしの取った行動によって叶えられていた。
つくしは司の髪の毛に手を差し入れると彼の頭を引き寄せるようにしてきた。
それは・・お願い続けてと言うことだよな?
おまえが違うなんて言っても俺はそう考えないからな。
俺が欲しいってことだよな?
司はこの際遠慮はしないことにした。
「牧野、キスを返してくれよ?」
司はつくしの口元で囁いた。息がつくしの口元をかすめた。
まさかこいつはキスを返す意味を知らないわけないよな?
「キ・・キスを・・返す?」
つくしは意味がわからないとばかりに司を見ている。
こいつには意味が通じねぇのか・・
司はなら仕方がないとばかりに唇を重ねて開かせると、少し荒々しく舌を動かしつくしの舌にからませた。
「んっ・・」
再び大きく見開かれたつくしの瞳。
キスを返す・・
初めて知った・・・
つくしは司の頭を掴んでキスを返していた。
俺の舌がこいつの舌に触れたとき、自分からからめて答えてくれた。
牧野が俺にキスを返してくれた!司は思わず呻きそうになっていた。
これまで女のキスでこんなふうに感じたことはなかった。
俺の頭を引き寄せたこいつが愛おしい。
こいつといると満ち足りた思いになる。
が、同時に俺の欲望もかき立ててくる。
いつかこいつの全てを俺のものにする。
それは車の後部座席でなんかじゃねぇ。
俺のベッドでこいつが欲しい。
もっと自分を求めて欲しいという思いだけが司の中に湧き上がっていた。

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『上手なキスの仕方』だなんて本を買った覚えはなかったし、まさかこれから勉強するわけにもいかなかった。
つくしは自分の頭の後ろを支えている大きな手がゆっくりとだが動いたのがわかった。互いの唇がうまく合わさるようにと頭の向きをかえられたということだろう。自分の頬に触れている男の顔の温かさを感じる。鼻と鼻がこすれ、道明寺の匂いがする。
重ねられた温かい唇はゆったりとつくしの唇の上を動いていく。
決して急な動きはせず、緩慢な動きで優しかった。だが逆にその動きは優しさとは別に誘惑されているように感じられた。薄くキュッと引き締まった唇はセクシーで官能的な動きを繰り返す。
時についばむように舌で突かれ、優しく吸われる唇。そんなことを丁寧に繰り返されて
つくしはじっとしてはいられなくなっていた。両手は司の上着を掴みもっと近くへと引き寄せようとしていた。
司の上着を掴んだつくしの指に力がこもった。
今までのあたりさわりのないつき合い以上のものをはっきりと求められたのは初めてだった。
ああ・・
この男の唇はなんて素敵なんだろう・・・
こんなにキスが上手い男だなんて知らなかった。
経験不足のつくしでもこのキスは上等なキスだと感じられた。
女を酔わせるようなキス・・
つくしはいつか司と同じ寝室で過ごすことを考えた。
今はいきなり大人への階段を一番上まで上ったような気がしていた。
何年もかけて上るのではなく、一気に階段を駆け上ったような気分だ。
この歳で男性経験のないことが恥ずかしいとは思わなかったが、道明寺とだったら・・
目を閉じ司のキスにうっとりと酔いしれていたつくしは突然のことに仰天した。
「・・ん?」
唇が難なく開らかれ舌が差し入れられると驚いて目を見開いた。
しっかりと頭を抱えられたつくしに見えるのは目を閉じた司の長い睫毛くらいだった。
「ンンンッ!」
思わず上着を掴んでいた手で男の胸を叩こうとしたが、きつく抱きしめられていてそれもできなかった。
「ンンッ!!」
「ンーンッ!!!」
こいつは何をうんうん言ってんだ?
司はかすかな満足感の疼きを覚えていた。
こいつは心の底では知りたがってる。
俺と愛し合うことを・・
司はつくしに考える時間を与えなかった。
体が揺れ、気が付いたときには車の後部座席に横たえられ見つめ合っていた。
つくしは自分に何が起きているのかわからなかったが、司の大きな体で押しつぶされていないことだけはわかった。
道明寺の体はこんなに大きいのになぜあたしは押しつぶされているように感じないのだろう?体が触れていてもちっとも嫌だなんて感じないし苦しいとも思わない。それよりも包み込まれていると感じた。大きな体なのに優しさに溢れた動きをする。
もっとキスがしたいと思った。さっきのキスを続けて欲しいと思った。
やだ・・あたし・・
胸が高鳴って体が熱くなった。
道明寺のキスが欲しかった。
「ど、道明寺?」
かすれたような声しか出なかったがつくしは司の顔をじっと見つめていた。
司は自分の前で横たわっている女の顔が赤く染まったのを見た。
こいつは相変わらず無防備な顔をして俺を見てやがる。
「続けてもいいのか?」
司はうっすらとほほ笑みを浮かべながら聞いた。
だが本当は続けて欲しいかと聞きたかった。
牧野はどことなく期待顔をしているように思えるが・・
お伺いを立て許されるのではなく、お願い続けてと懇願されたかった。
俺を欲しがってくれ。そうすれば俺たちはもっと親密になれる。
俺と一緒にいろ。俺を拒むな。そんな思いばかりが溢れてくる。
おまえに何があろうと俺が守ってやるから俺を欲しがれ・・
司の願いはつくしの取った行動によって叶えられていた。
つくしは司の髪の毛に手を差し入れると彼の頭を引き寄せるようにしてきた。
それは・・お願い続けてと言うことだよな?
おまえが違うなんて言っても俺はそう考えないからな。
俺が欲しいってことだよな?
司はこの際遠慮はしないことにした。
「牧野、キスを返してくれよ?」
司はつくしの口元で囁いた。息がつくしの口元をかすめた。
まさかこいつはキスを返す意味を知らないわけないよな?
「キ・・キスを・・返す?」
つくしは意味がわからないとばかりに司を見ている。
こいつには意味が通じねぇのか・・
司はなら仕方がないとばかりに唇を重ねて開かせると、少し荒々しく舌を動かしつくしの舌にからませた。
「んっ・・」
再び大きく見開かれたつくしの瞳。
キスを返す・・
初めて知った・・・
つくしは司の頭を掴んでキスを返していた。
俺の舌がこいつの舌に触れたとき、自分からからめて答えてくれた。
牧野が俺にキスを返してくれた!司は思わず呻きそうになっていた。
これまで女のキスでこんなふうに感じたことはなかった。
俺の頭を引き寄せたこいつが愛おしい。
こいつといると満ち足りた思いになる。
が、同時に俺の欲望もかき立ててくる。
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俺のベッドでこいつが欲しい。
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コメント
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そしてマンションに帰ると椿お姉様が……
で、つくし拉致られて司は生コロガシ……
ってのが王道パターンなんですよねー
たまには何の障害も無く本懐を遂げさせてあげて欲しいな〜なんて。
で、つくし拉致られて司は生コロガシ……
ってのが王道パターンなんですよねー
たまには何の障害も無く本懐を遂げさせてあげて欲しいな〜なんて。
aoi
2016.04.17 15:33 | 編集

さと**ん様
キス、超スーパースローモーションと感じて頂けましたか?
今回はキスだけでした(笑)そうなんです。唇のイメージは軟体動物的なものなんです。
奪い尽くすようなキスも好きですが今回はゆったりと責めさせました。
ゆっくりとではなく、ゆったりと動く唇なんです(^^)
ゆったりと動いて誘う唇。唇よ、熱く君を語れ!←昭和ですみません(笑)
俺を欲しがれ・・と言われたら同じく私も立ち上がり叫びます!「ください!」
つくしの耳元で囁く言葉は「俺を欲しがれ・・・」ですね(≧▽≦)
オリジナリティーのある作品をと思っていますのでさと**ん様からのご感想の中から
なるほど、を頂いています。今後も「上等なキス」をお届け出来るように頑張らなければ・・
土日は時間も気持ちも余裕があるのでじっくりと頑張りました!(^^♪
コメント有難うございました(^^)
キス、超スーパースローモーションと感じて頂けましたか?
今回はキスだけでした(笑)そうなんです。唇のイメージは軟体動物的なものなんです。
奪い尽くすようなキスも好きですが今回はゆったりと責めさせました。
ゆっくりとではなく、ゆったりと動く唇なんです(^^)
ゆったりと動いて誘う唇。唇よ、熱く君を語れ!←昭和ですみません(笑)
俺を欲しがれ・・と言われたら同じく私も立ち上がり叫びます!「ください!」
つくしの耳元で囁く言葉は「俺を欲しがれ・・・」ですね(≧▽≦)
オリジナリティーのある作品をと思っていますのでさと**ん様からのご感想の中から
なるほど、を頂いています。今後も「上等なキス」をお届け出来るように頑張らなければ・・
土日は時間も気持ちも余裕があるのでじっくりと頑張りました!(^^♪
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.04.17 23:34 | 編集

aoi様
えー
只今の状況は朝の通勤時間ですのでマンションに帰ることは出来ません!(笑)
この先の生転がしは・・う~ん・・どうでしょうか(笑)
ぜひ本懐を遂げる日が来ることを祈って下さい(笑)
コメント有難うございました(^^)
えー
只今の状況は朝の通勤時間ですのでマンションに帰ることは出来ません!(笑)
この先の生転がしは・・う~ん・・どうでしょうか(笑)
ぜひ本懐を遂げる日が来ることを祈って下さい(笑)
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.04.17 23:55 | 編集
