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2016
04.08

第一級恋愛罪 26

司は二時間も前からそわそわしていた。
それは今夜どっかのオヤジ主催のパーティーに出るために牧野に召集をかけたから。
せっかく隣の部屋に牧野が越して来たのにあの日の朝から会えずにいた。
あの女、変な警戒しやがって俺が朝あいつの部屋を訪ねる時はいつもいない。あいついったい何時に出社してんだ?だからと言ってさすがに夜遅くに訪ねて行くことは気が咎める。まあ、俺は帰りが遅い時もあるし牧野だって仕事柄遅い時もある。そこは社会人としてのモラルってやつで深夜の訪問は我慢した。

隣に住んでいるのにどういうわけか会えない女。
確かに二人とも忙しい身であいつは取材で出張もあれば、俺も俺で出張する。
それでもあいつの役目が必要になるときはちゃんと準備してパーティーのパートナーとして現れる。向こう三ヶ月のパーティーリストは渡してあるからそれを見て都合をつけているようだ。
だがリストにある全てのパーティーに参加するわけじゃない。会社にとって重要度が高いと思われ、今後のビジネス展開に役立ち、政治的に利用出来ると思われるパーティーを選んで参加している。
そんな俺の都合に合わせて時間と約束はきちんと守る女があいつだ。

今夜の牧野はやっぱり黒いドレスだ。黒いドレスは女の肌を綺麗に見せる。特に色白の女にはよく似合う。
これは姉ちゃんセレクトだ。選んだドレスは襟ぐりが深くて胸元が大きく開いている。
司の視線が頭のてっぺんから脚の先までを眺め回していた。
勘弁してくれ!このドレスだと多分ブラジャーはつけていないはずだ。
ならちょっと指でも引っ掛けて胸元を引っ下げれば丸見えだよな?
おい、感情が開けっ広げな女は胸まで開けっ広げな女になっちまったのかよ!
イヤリングにお揃いのネックレスに指輪とそれなりの格好で飾られた牧野はなかなか大人っぽい。
けど26歳の処女。
まさか俺と付き合てるって触れ込みの女が処女だなんて誰も信じねぇだろうがな。

まずいよな・・今こんなこと考えたら・・・
ひと前で勝手に下半身が大きくなるなんて事態は避けたいが・・
あいつのドレスの胸元を指一本でずらして白い胸にしゃぶりつきたいなんて・・
空港で初めて会って車の中で偶然目にしたこいつのパンツは真っ白で色気もなく快適さだけを追求するような下着だったが、今はかわいらしくフリルが付いた下着とかになってるのか?
いつか絶対に俺が確かめてやる。


牧野つくしは過去に男との付き合いはあってもあっち方面はずぶの素人だ。
どうせ頭でっかち女の性で肉体関係に行くまでに別れてしまった口だろう。
だから男との付き合いなんて中学生が手を繋いで喜んでいる程度だと察しがついた。
いや待て。俺が中坊の時はもっと進んでたよな。キスしまくってたよな。
ならこいつの場合は小学生レベルか?

そんな女だから・・

「恋人には見えねぇな。おまえ何が求められてるのかわかってんのか?」
「わ、わかってるわよ!」

いちいちうるさいのよこの男は!

「心配しなくてもわかってます!ちゃんとやってるじゃない!」
「どこがちゃんとなんだよ?」
「だから・・」

だからおまえのちゃんとは何が基準なんだ?
俺が言いたいのはもっと恋人らしくしろってことだ。
今日もこうして二人でどっかのオッサンのパーティーに来ているわけだが・・
こんなパーティーも数をこなせば牧野も相手をあしらうことが上手くなって来た。
いっそかりそめの恋人をやめて本当の恋人にならないか?なんて言ったらこいつはどうする?

「ちょっと、道明寺、聞いてる?心配しなくても仕事はちゃんとこなすから」
「あ?」
「だから・・」
「インタビューの件はくれぐれもよろしく」
「心配すんな。ビジネスに関しての約束は守る。取引は取引だ」
「本当に?」

デカい目を見開き一心に俺を見つめる牧野。
司は冷静を装い、無頓着なふりをしていた。
「もちろん当然だ。約束は守る」

この女がどう思っていようが、俺はこいつが欲しい。
問題はその気のない女をどう口説くかだ。
結構手強い女。頭がかたい女。俺の富も名声も全く興味がない女。
もちろん俺の体にも興味がない。
ベッドに誘うにはどうしたらいい?
いや、いきなりそれは出来ない。この女は今までの女とはわけが違う。
そんな女がひたすら口にするのはインタビューの件よろしくねばかり。
まったくこんなんじゃ仕事が手につかない。ビジネスと女の両立だなんて言っといて情けない。
だが今はいやらしい心の声はとりあえず無視して俺はあいつの隣でどっかのオヤジとにこやかに歓談中だ。

「道明寺、ちょっと失礼して・・・あの・・」

つくしは失礼しますと断って化粧室へと向かって行った。
司はその後ろ姿を目で追っていた。おい、転ぶんじゃねぇぞと思わず言いたくなるくらいの勢いだ。あいつそんなに我慢してたのかよ。子供じゃねぇんだからさっさと行けばいいものを。それにしてもあの女俺がどれだけ見てるかなんて全く気にも留めてない。
いっそ本音をぶちまけてみるか?おまえが欲しいなんていったらあの女はどうする?
単純そうに見えるがまだあの女の本当のところはわからない。意外と複雑な女か?
司は狙った獲物は逃がさないとでもいうようにつくしを見ていた。

「道明寺さんはリチャード・ベケット氏とは親しいんですか?」

ストーカー女の旦那の名前だ。

「ええ。彼の会社にはフィナンシャルアドバイザーとしてうちに入ってもらっています」
「そうでしたか」
「いえ、今度彼の講演会に行ってみようと思っているんです。ベケット氏は今の日本の株価不振の原因と投資に対する信頼感が損なわれている点についての・・・」

俺はぺらぺらと喋り続けるオヤジの話なんか聞いてなかった。
いよいよストーカー女が帰国して来る。
それはあの女の夫であるリチャード・ベケットが東京での投資に関するセミナーを開催するとかでそれに同行して来るということだ。そして暫くは里帰りと称して日本に滞在をする。今までもベケットの会社は年に5、6回は東京で講演を行っているがその度に妻が同行していたとは思えない。あの女の口ぶりからすればおそらく今までの出張には愛人を同行させているはずだ。だが今回はどうやら旦那の方の夜のお楽しみはお預けか?

しかし問題は牧野だ。大丈夫なのか?
けど、いよいよってことになれば・・・
ま、いざとなればやることはひとつだな。
今の俺にはストーカー女より牧野のことを考える方が重要だ。
司は余裕の態度で薄笑いを浮かべていた。







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コメント
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dot 2016.04.08 17:56 | 編集
さと**ん様
そうなんです。ご指摘の通りエロ曹司っぽい思考が・・(笑)エロ曹司←いいネーミングですね(^^)
確かにあちらは変態度が高くなっているのですが、あちらの二人は交際中なので変態でもいいのです(笑)愛のある変態ですし、つくしもノリノリなので(*^^)二人の間に愛があるからこそ許される変態なのです(笑)
指一本でずらす行為も襟ぐりが大きく開いているので簡単に出来ると思います(^^)やはりこの思考はエロ曹司ですね(笑)
しかしこちらの司はエロ曹司までは行かず女を求める青年という感じでしょうか。はい。ニューヨークではそれなりにブイブイ言わせていましたのでつくしをモノに出来ると考えている様子です。司、上手く行くでしょうか!(≧▽≦)
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.04.09 15:31 | 編集
vi**o様
本当ですよね。つくしにヤラシイ視線を送ってる場合ではないはずです。
しかし男としての本能が優先されつつあります。
ストーカー女のことは既にどうでもいいのでしょうか?
やっぱり困った男です。
拍手コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.04.09 15:37 | 編集
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