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2016
03.23

第一級恋愛罪 16

つくしは寝起きの頭でぼうっとしていた。
なんだか胃がよじれるように痛い。昨日飲み過ぎた?
ほとんど何も食べずに飲んだのが悪かったのか・・
もうこれ以上お酒は要らない。

コーヒーが飲みたい。いつものコーヒーじゃなくて思いっきり濃いやつが。
さっきから芳しい香りがどこからか漂ってきている。
あたしいつの間にコーヒーをセットしたの?
トイレに起きたとき?
いや待って。トイレになんか起きていないしコーヒーメーカーは壊れていて使えないし使えたとして誰が淹れるのか?
そこまで頭が考え始めたとき、つくしははっきりと目を覚ました。
視線の先に広がる天井に見覚えはなく見知らぬ部屋で大きなベッドに横たわるあたし。
だがいきなりベッドから起き上るのは怖いような気がしていた。

まさかあたしは取返しのつかないことをしたなんてことはないでしょうね?
どこかの男とホテルにしけ込んだなんてことはないでしょうね?
まさか男が隣で寝てるとか?

ああ、やだ・・・。
どこかの男って・・・昨日のあたしは道明寺司のエスコートでパーティーに出かけた。
緊張と空腹のなかでグラスの中身を飲み干したと言うことは覚えているが、そこから先の記憶が定かではない。
血の気が引くような気がして頭の中が真っ白になった。
つくしは恐る恐る隣に視線を向けたが誰もいなかった。
だがもうひとつ確認しなければならないことがあった。
今自分はどんな格好で寝ているかと言うことだ。
つくしは手探りで自分が身につけているものを確かめた。
よかった!どうやらあたしはストリップショーを演じてはいないようだ。
と言うことは何も無かったということだ。

だけど・・・
いったいここはどこなのよ!




****





ああ、嘘・・・
まさかとは思うけどこの扉の向うって・・


手を伸ばした瞬間、ドアが開いたことに驚いて思わずうしろへ飛び退った。
やっぱり。
見あげた視線の先にはあの男がいた。
「起きたか?」

「あのここは・・?」
「俺のマンションだ」
「えっと、道明寺さんのマンション?」
それが意味することはトラブルでしかない。
何故この男のマンションの一室であたしが寝ていたのか。

「あのお聞きしたいんですが、どうしてあたしはここにいるのでしょう?」
「どうしてだと思う?」
「さ、さあ?」
「おまえが酔っぱらって俺に絡んできた」男が冷たい口調で言う。
つくしは嫌な予感がしてきた。
もしかしてやってしまったかとうろたえた。
お酒には弱い体質だった。だから普段の付き合いで飲むものと言えばアルコール度数が低い飲み物ばかりだ。自分が口にしたのはグラスの形から言ってシャンパンか?
口当たりがよくてつい飲み過ぎてしまったのかもしれない。
何しろ道明寺家のパーティーに出されるのは最高級のシャンパンだろうから。
「えっと・・・つまり・・」

「俺は紳士だから女性の扱いは丁寧だ。それにレディが困っているときには手をかすのは当然だ」




恥ずかしずぎる。
それはあたしが希望的観測としてこの男に対して思っていることだ。
まさかこの男に・・・
まさか・・・

「そうだ。おまえが俺に向かって言ったんだ」

やっぱり・・
つくしは深く息を吸った。
「こ、コーヒーを頂けませんか?その・・少しだけでもいいので・・・」
と消え入りそうな声で言った。



ダイニングに案内されたつくしは男が何を言い出すのかとびくびくしながら待った。
「ほら、コーヒーだ」
「あ、ありがとうございます」
出されたコーヒーは芳しい香りがした。
つくしのぼんやりとしていた頭を覚ますにはブラックで飲むのがちょうどよかった。
何か話をしなければと思いながらも、今のつくしが言えることはひとつしかなかった。

「道明寺さん、ご迷惑をおかけして申し訳ございません」

空港ロビーでの失態に続いてのこの有様だ。
もう穴があったら入りたい気分だった。
ふたつ目の穴だけど。

「おまえ面白い女だな。思ってることが全部口から出てる」
「む、昔からよく言われます」
「ふーん」

司はテーブルの上で手を組むとそのまま黙り込みつくしをじっと見た。
彼にとって沈黙はごくありふれたものかもしれないが、つくしにとっては居心地が悪いものだった。
何しろ正直あまりよく知らない男だ。何を考えているのかと怖かった。
密室で男女が一晩一緒に過ごすなんてことは何があってもおかしくないと思うが何かされたと言う形跡も自覚も無かった。
だから今更あたしなんかを襲いはしないと思うけど相手は表情を変えることなく、ただつくしを見ていた。

つくしはこの沈黙に耐えられず気になっていたことを聞いてみることにした。

「あ、あのど、どうしてかりそめの恋人が必要なんですか?」
「お友達には女に煩わされたくないって言っていましたよね?」
「も、もしかして・・アメリカに恋人がいてその方をマスコミから守る為とかじゃないんですか?」
「ご、ごめんなさい。余計なお世話ですよね。どんな理由かなんてあたしが聞く権利はありませんでしたね」
「で、でも、もしそうなら協力しますよ?」

本当はどんな理由でかりそめの恋人が必要かなんて聞くべきじゃないと思うけど
理由も知らないまま演じるよりは演技にも身が入ると思った。
男が表情を変えたわけではなかったが、それでもつくしには彼が面白がっているように見えた。

「あの・・やっぱりそんなこと聞くべきじゃないですよね?」
「わ、忘れて下さい。ごめんなさい」


「・・・恋人同士なんだからひと前で道明寺さんはないよな?」
「はあ・・言われてみればそうですよね・・」
だからと言って何と呼べばいいのだろう?
と言うよりもこの男は何が言いたいのだろうか?
突然の問いかけにつくしはどう返事をしてよいのか迷った。

道明寺くん?同級生じゃあるまいし。
司君?司さん?

「道明寺と呼んでくれ」
司はつくしを見つめたまま極めて物静かな口調で言った。








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コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2016.03.23 14:41 | 編集
た*き様
はい、デフォです(^^)
他の呼び方が思いつかなくて・・
花晴れ・・昨日読むと言ってまだ読んでません・・・
最近PCの明るさが辛いです。
長く見過ぎるとやはり疲れますね。
ブルーベリーでも大量に食べないといけないでしょうか?
拍手コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.03.23 21:38 | 編集
さと**ん様
エ*魔の囁き♪←や、やめてぇ(笑)
囁かれると図に乗る恐れがあるので・・
つくし、過去にストリップショーしたかもしれません。
先読みされたさと**ん様、明日のお話で司の視点が出て来ます。
こちらの司はクールな大人なので言葉も少なくと言う感じですが
これから徐々に行きます!ちょっとエロが入って来るかもしれません(笑)
こんな司に黙って見つめられたらドキドキですよね。
いい男に黙って見つめられたらどうしたらいいのでしょう!
ぜひ教えて下さいm(__)m
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.03.23 21:54 | 編集
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