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2016
03.04

第一級恋愛罪 5

「道明寺社長!」
司付の警護の人間がふたりの周りに集まったマスコミの人間を排除しようとしていた。
「道明寺社長、早くこちらへ!」
そこまで言われて司は我に返った。
腕の中にいる女は驚いた表情が顔に張りつたかのようになっていた。
その表情は司と似たり寄ったりだろう。
くちが半開きで黒い大きな目をまん丸く開いて自分を見ていた。

「社長!早くこちらへ!」
「あなたも早く!」
「え?は?な・・なに?」
「緊急事態ですので・・」
つくしはあっと言う間に黒い服装の男達に囲まれたかと思うと、まるで波に流されるがごとくどこかへと連れていかれようとしていた。

つくしは我に返ったと思ったらどこかへと連れ出されようとしている状況に慌てた。
「ちょ、ちょっと待って!待って!」
「な、何なんですか!」
「説明している暇はありませんので、とにかく早くこちらへ」
「あの・・あの・・」
何がどうなったのかさっぱりわからなかった。
さっきから聞こえるのは自分の名を叫ぶカメラマンの先輩と、女性の嬌声だ。
いや~ん、とか。キャーとか。
どうして嬌声が?若い女性リポーターか?

つくしは何がなんだか分からないまま、片方の靴は床に残したままで半ば引きずられるようにして空港ターミナルを出ると大きな黒い車へと押し込まれていた。
ロビーから車までの移動時間は、つくしがさっき予想した通りきっかり2分程かと思われた。







スカートからのぞく足は細くて・・・下着の色は白か・・



なんだ、白か・・・

司は車内で隣に座った女の下着が丸見えになっていることを告げるべきかどうか迷った。
「なあ・・」
つくしははっとした。
なあ、と呼ばれたのは・・あたしのこと?
今自分が置かれた状態が理解出来ずにいた。
何がなんだか理解できないうちに、いつの間にか道明寺司と一緒に男の車の後部座席に収まっていた。
つくしはまるで困った犬のような顔で男を見た。
耳が垂れ、しょんぼりとうなだれたような顔だった。

あたしのICレコーダーは?名刺入れは?
ああ・・あのICレコーダーは高かったのに・・それにあの名刺入れ・・ひと前で恥ずかしくないようにと時間と値段をかけて吟味して買ったのに・・・


「社長、牧野様のお名前はもう知れ渡ってしまっていますね」

つくしは、はっとしてその声がした方を見た。
大きな車の後部座席と前方部を隔てていた仕切りがするすると降りてきたと思ったら、眼鏡をかけた男がこちらを見ていた。
「ど、どうしてあたしの名前を・・」
その疑問に答えるかのように、その男が無言で一枚の紙を差し出した。
それは紛れもなく、つくしの名刺だった。
つくしが司の腕に掴まったときに手放した名刺入れがまき散らした自分の名刺だった。

群衆の前で失態を演じた女はN新聞社・経済部・牧野つくしと知れ渡ってしまった。
取材に行ってのこの失態につくしは頭を抱えた。
失態を演じた相手はこともあろうか、取材対象の道明寺司・・
それもかなりの大物財界人・・
どうしよう・・もう社にあたしの席はないかもしれない。
つくしの頭のなかには色んなことが渦巻いていた。
もしかしたら販売局に飛ばされるのだろうか・・
それとも新聞配達をしろとか言われるのだろうか・・

販売局は各地にある新聞販売店の世話をするところで、記事を書く部署ではなかった。
なんのためにここまで努力してきたのか・・
「なあ・・」
「は、あぅ・・はい!」
思わず舌を噛んだ。が、何を言われるのかと気が気じゃなかった。
「おまえ、パンツ丸見え」
「え?」
「だから、スカート・・」
つくしは自分の下半身に目を向けたがきちんとスカートを履いているではないか。
だが、はたと気づきお尻に手をあててみれば、見事にずり上がっていた。
慌てて腰を浮かし、スカートを元の正しいと思われる状態へと戻した。

もうやだ・・・
抱きつくは、下着は丸見えだはで恥ずかしいを通り越して死にたいくらいだった。
こんなのいつものあたしじゃない。

「社長・・もうアップされています。さすがに目撃者も大勢いただけに拡散するスピードが早い・・」
眼鏡の男はタブレット端末を差し出してきた。
「な・・なにこれ!」
つくしは隣の男が受け取る前に端末を奪い取ると画面に釘づけになった。

『 道明寺ホールディングスの次期社長、道明寺司氏、空港で熱い抱擁 』
『 相手のお女性は新聞社勤務のMさん 』
『 今回の帰国は彼女のためか? 』
そんな言葉とともに二人の男女が抱き合う様子がアップされていた。

つくしはめまいを覚え、額に手をあて呻いていた。


そのとき、つくしの上着のポケットの携帯電話が振動すると同時に着信音を奏でていた。
つくしは端末を隣の座る男に押し付けるようにすると、慌てて電話に出た。
今はもう自分が何をしているのか、何がしたいのかわからずパニック状態に陥りそうだった。

「も、も、もしもしっ?」
「は、はい。そ、そうです・・・」
「えっ!そ、そう・・ですが・・」
「は、はい。わかりました・・・はい・・はい。わかりました。失礼いたします」
と最後は日本人らしく相手が目の前にいないのにもかかわらず何度も頭を下げていた。









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コメント
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dot 2016.03.04 07:44 | 編集
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dot 2016.03.04 13:41 | 編集
ま**ん様
面白い有難うございます!
この先はどんな展開なのでしょうか?←他人事(笑)
一応コメディ風味ですので(笑)
拍手コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.03.04 21:57 | 編集
さ*り様
はい。やっぱり白か・・と言う日が来るといいですね(^^)
まだスタートしたばかりですので、長い目で見守ってあげて下さいませ。
コメント有難うございました(^^)

アカシアdot 2016.03.04 22:06 | 編集
as***na様
パンツ丸見え・・どんなパンツだったのか?(^^)
うーん・・レースは付いていたのかは謎です。
こちらのお話しを書いた日はあまり何も考えず白しか思いつかなかったのだと思います。
今どき白とは!と思うかもしれませんが、逆にインパクトがあるような気がします。
私の頭の中ですか?(笑)
もうね、今日は金曜日ですよね?
疲れました(笑)脳内疲労が激しいです。
週末はリフレッシュしたいですね。
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.03.04 22:41 | 編集
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