あの男が高圧的な態度に出れば、言い争いになることは目に見えてる。
ここは互いに大人の対応で・・
つくしはここ数日考えていたことを言葉にしていた。
「お、おはよう・・」
あたしの淹れたコーヒーは不味くて飲めたものじゃないと言われた。
なんで高級なコーヒー豆なのにこんな味になるんだって言われた。
そして余計な事はするなと言われたからもう二度とこの男のためにコーヒーなんて淹れないんだから!
「ねぇ、お互いに大人なんだし、これから先、こんな感じでお互いに傷つけあうのはやめにしない?」
「俺は別にこのままでもいいけどよ」
司はじろりとつくしを見た。
「きゅ、休戦にしない?」
ダイニングルームが中立地帯ってことでどう?
友達になりましょう・・
取引しましょう・・
今度は休戦かよ?
俺たちは戦争状態なのかよ!
それでもってその戦争状態に持ち込むのはおまえじゃねぇのかよ?
それに人の話しなんて最後まで聞こうとしない女だよな。
・・・ったく仕方ねぇよな・・
司も子供のことを考えないわけではなかった。
いつまでもこんな状況でいたら子供にもこの女にも良くないことはわかっていた。
別にこの女が言ってることが嫌なわけじゃねぇけど、本来ならば自分が言い出すことを先に言われたようでなんとなく決まりが悪かった。
だが何もかも俺が悪いと決めつけるこの女の言ってることは本当なのかと疑いたくもなった。
この男の態度はとても優しいとは言えないけど何もかもをこの男のせいにする自分も大人げないと感じていた。
つくしは疑わしげな顔の男に向かってぶっきらぼうに聞いた。
「ねえ・・あんた・・ど、どうみょうじさんは食事はどうしてるの?い、いつも・・遅いみたいだけど、やっぱり外食なの?」
「ああ。俺は付き合いで食事を済ますことの方が多いからな」
「そ、そうなんだ・・」
そしてつくしは自分でも思わぬことを口にしていた。
「でも外食ばかりじゃ塩分の摂り過ぎで身体に悪いわよ?」
「知ってる?塩分の摂り過ぎは将来的に男性機能の低下を招くことになりかねないのよ?」
「塩分を取り過ぎると高血圧になったり腎臓の機能が低下するし、腎不全や脳卒中や心血管疾病になるし動脈硬化につながるの。血圧が高くなってもし降圧薬とか飲むようになったら男性機能低下の原因にもなるわけで・・。あ、あたしは専門分野じゃないからそんなに詳しくはないけど薬の影響があるってのは確かなのよね?」
「も、もしそんなことになったらどうみょうじさんも将来困るでしょ?」
司は滔々と語り出したつくしを呆れた顔で見ていた。
「あたしの専門は免疫学だから細胞レベルの研究がメインなんだけどね、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)って知ってると思うけど・・あ、この名前って素敵でしょ?細胞の名前が『生まれつきの殺し屋』なんて名前なんだから面白いでしょ?で、これが癌細胞を見つけてはやっつけて・・なな・・なに?」
「おまえ・・」
「なによ?」
「普段はあほみてぇなことばっかりするけど、やっぱ賢いんだ」
司の顔を見ていたつくしの顔は一気に赤くなった。
「あ、あたしは別に・・」
「で、なに?おまえ俺の身体のこと心配してくれてんの?」
「・・・一人分の食事を作るのもふ、二人分の食事を作るのも同じだから・・」
「ほら、なんか勿体ないじゃない?おなじ光熱費を使うなら・・えーっと無駄なく使いたいっていうの?」
そんなもん気にしたことなんてねぇからわかんねぇけど・・光熱費ってそんなにかかるもなのかよ・・所詮微々たるもんじゃねぇの?
それに無駄ってなんだよ?俺はキッチンなんて使ってねぇぞ?
だいたいおまえがここの光熱費を払ってるのか?
司は笑い出しそうになるのをこらえてつくしの話しを聞いていた。
「ま、ほら・・そういうことで・・会食とかないんだったらしょ、食事くらいあたしが作っておくから・・あんたの口には合わないかもしれないけど良かったら・・」
「そ、その歳でいいものばかり食べてたら痛風になるわよ?痛風患者は男性がほとんどなのよ?だいたい痛風にかかるのは40歳前後の男性が多くてね」
「痛風になったらそれこそ・・・」
「ご、ごめんなさい・・あたしつい・・」
つくしはまたひとりでしゃべり過ぎたと気づくと司に詫びた。
「・・なあ・・その・・あれは、食材ってのはどうしてるんだ?」
つくしは探るように見つめられて一瞬たじろいていた。
「え?ああ食料費?それなら大丈夫だから」
「違う・・食材はどうやって揃えてるんだ?」
「どうやってって・・仕事の帰りに買うのが普通じゃないの?」
閉店間際のスーパーなら値引き商品が買えるし、そんなあたり前のことを聞くなんて変ねとばかりに言った。
「おまえ・・重いもんなんか持ってこんなとこまで帰って来たら・・」
「今日から配達させるから買わなくていい・・」
司はそれだけ言うとつくしの横をすっと通りすぎ自分の部屋へと向かって行った。
つくしはその場に立ったままで暫くじっとしていたが、出勤時間が迫っていることに気づくと慌てて自分の部屋へ戻った。
そして鞄を抱えて出て来ると言うべきことを言おうとあの男を探したが、すでにその気配はなかった。
配達された食料品はつくしなら絶対に手が出せないような高級なものが含まれていた。
が、それはさておき、ひじきとか切り干し大根?高野豆腐?カルシウムたっぷりのなんとか?
あの男、こんなもの食べるの?
そう思ったがそれは違うと自分で訂正した。
そこにはどうみてもあの男が普段口にしているとは思えないような食品が沢山含まれていた。
もしかしたらという答えが心に浮かんだ。
あたしのため?
そう思うとなぜか嬉しさがこみあげていた。

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「ねぇ、お互いに大人なんだし、これから先、こんな感じでお互いに傷つけあうのはやめにしない?」
「俺は別にこのままでもいいけどよ」
司はじろりとつくしを見た。
「きゅ、休戦にしない?」
ダイニングルームが中立地帯ってことでどう?
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俺たちは戦争状態なのかよ!
それでもってその戦争状態に持ち込むのはおまえじゃねぇのかよ?
それに人の話しなんて最後まで聞こうとしない女だよな。
・・・ったく仕方ねぇよな・・
司も子供のことを考えないわけではなかった。
いつまでもこんな状況でいたら子供にもこの女にも良くないことはわかっていた。
別にこの女が言ってることが嫌なわけじゃねぇけど、本来ならば自分が言い出すことを先に言われたようでなんとなく決まりが悪かった。
だが何もかも俺が悪いと決めつけるこの女の言ってることは本当なのかと疑いたくもなった。
この男の態度はとても優しいとは言えないけど何もかもをこの男のせいにする自分も大人げないと感じていた。
つくしは疑わしげな顔の男に向かってぶっきらぼうに聞いた。
「ねえ・・あんた・・ど、どうみょうじさんは食事はどうしてるの?い、いつも・・遅いみたいだけど、やっぱり外食なの?」
「ああ。俺は付き合いで食事を済ますことの方が多いからな」
「そ、そうなんだ・・」
そしてつくしは自分でも思わぬことを口にしていた。
「でも外食ばかりじゃ塩分の摂り過ぎで身体に悪いわよ?」
「知ってる?塩分の摂り過ぎは将来的に男性機能の低下を招くことになりかねないのよ?」
「塩分を取り過ぎると高血圧になったり腎臓の機能が低下するし、腎不全や脳卒中や心血管疾病になるし動脈硬化につながるの。血圧が高くなってもし降圧薬とか飲むようになったら男性機能低下の原因にもなるわけで・・。あ、あたしは専門分野じゃないからそんなに詳しくはないけど薬の影響があるってのは確かなのよね?」
「も、もしそんなことになったらどうみょうじさんも将来困るでしょ?」
司は滔々と語り出したつくしを呆れた顔で見ていた。
「あたしの専門は免疫学だから細胞レベルの研究がメインなんだけどね、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)って知ってると思うけど・・あ、この名前って素敵でしょ?細胞の名前が『生まれつきの殺し屋』なんて名前なんだから面白いでしょ?で、これが癌細胞を見つけてはやっつけて・・なな・・なに?」
「おまえ・・」
「なによ?」
「普段はあほみてぇなことばっかりするけど、やっぱ賢いんだ」
司の顔を見ていたつくしの顔は一気に赤くなった。
「あ、あたしは別に・・」
「で、なに?おまえ俺の身体のこと心配してくれてんの?」
「・・・一人分の食事を作るのもふ、二人分の食事を作るのも同じだから・・」
「ほら、なんか勿体ないじゃない?おなじ光熱費を使うなら・・えーっと無駄なく使いたいっていうの?」
そんなもん気にしたことなんてねぇからわかんねぇけど・・光熱費ってそんなにかかるもなのかよ・・所詮微々たるもんじゃねぇの?
それに無駄ってなんだよ?俺はキッチンなんて使ってねぇぞ?
だいたいおまえがここの光熱費を払ってるのか?
司は笑い出しそうになるのをこらえてつくしの話しを聞いていた。
「ま、ほら・・そういうことで・・会食とかないんだったらしょ、食事くらいあたしが作っておくから・・あんたの口には合わないかもしれないけど良かったら・・」
「そ、その歳でいいものばかり食べてたら痛風になるわよ?痛風患者は男性がほとんどなのよ?だいたい痛風にかかるのは40歳前後の男性が多くてね」
「痛風になったらそれこそ・・・」
「ご、ごめんなさい・・あたしつい・・」
つくしはまたひとりでしゃべり過ぎたと気づくと司に詫びた。
「・・なあ・・その・・あれは、食材ってのはどうしてるんだ?」
つくしは探るように見つめられて一瞬たじろいていた。
「え?ああ食料費?それなら大丈夫だから」
「違う・・食材はどうやって揃えてるんだ?」
「どうやってって・・仕事の帰りに買うのが普通じゃないの?」
閉店間際のスーパーなら値引き商品が買えるし、そんなあたり前のことを聞くなんて変ねとばかりに言った。
「おまえ・・重いもんなんか持ってこんなとこまで帰って来たら・・」
「今日から配達させるから買わなくていい・・」
司はそれだけ言うとつくしの横をすっと通りすぎ自分の部屋へと向かって行った。
つくしはその場に立ったままで暫くじっとしていたが、出勤時間が迫っていることに気づくと慌てて自分の部屋へ戻った。
そして鞄を抱えて出て来ると言うべきことを言おうとあの男を探したが、すでにその気配はなかった。
配達された食料品はつくしなら絶対に手が出せないような高級なものが含まれていた。
が、それはさておき、ひじきとか切り干し大根?高野豆腐?カルシウムたっぷりのなんとか?
あの男、こんなもの食べるの?
そう思ったがそれは違うと自分で訂正した。
そこにはどうみてもあの男が普段口にしているとは思えないような食品が沢山含まれていた。
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コメント
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た*き様
愛がなければ一夜限りの女性を探したりはしませんよね?(笑)
気にならない女性なら探しはしません。
お疑いの件はサラリと流して下さい(笑)
おしかけ亭主司、いいですね。自分ではそれを正当化するために一生懸命
自分を納得させてみたりして・・(笑)
この先の二人の関係はどうなるか。いい大人なので二人とも責任を持った行動をして下さい!
と言わなければ・・(^^)
コメント有難うございました(^^)
愛がなければ一夜限りの女性を探したりはしませんよね?(笑)
気にならない女性なら探しはしません。
お疑いの件はサラリと流して下さい(笑)
おしかけ亭主司、いいですね。自分ではそれを正当化するために一生懸命
自分を納得させてみたりして・・(笑)
この先の二人の関係はどうなるか。いい大人なので二人とも責任を持った行動をして下さい!
と言わなければ・・(^^)
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.01.16 21:40 | 編集

k***i様
こんにちは。
司ってツンデレですよねぇ・・(笑)男の照れ隠しですね。
そうそう、つくしにだけは優しい司が理想ですよね?
私だけの王子様・・女性は幾つになってもその気持ちを持ち続ける・・
なのにもうひとつのお話なんて全く優しくない司がいます(´゚д゚`)
あらまあ!素敵な恋物語をお持ちなのですね。
その彼もツンデレのご様子ですね?(笑)
恋に堕ちる瞬間ってどんな感じなのでしょうねぇ・・・
もう大昔の話しで思い出したくても思い出せません(笑)
時の流れは速くて遡ることも難しいと感じるこの頃です。
コメント有難うございました(^^)
こんにちは。
司ってツンデレですよねぇ・・(笑)男の照れ隠しですね。
そうそう、つくしにだけは優しい司が理想ですよね?
私だけの王子様・・女性は幾つになってもその気持ちを持ち続ける・・
なのにもうひとつのお話なんて全く優しくない司がいます(´゚д゚`)
あらまあ!素敵な恋物語をお持ちなのですね。
その彼もツンデレのご様子ですね?(笑)
恋に堕ちる瞬間ってどんな感じなのでしょうねぇ・・・
もう大昔の話しで思い出したくても思い出せません(笑)
時の流れは速くて遡ることも難しいと感じるこの頃です。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.01.16 21:55 | 編集
