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2016
01.14

恋の予感は突然に 23

きのうはまるで電流に撃たれたような感覚が全身に走った。

司は寝室で出社の為の準備をしていた。
オーダーメイドのスーツをビシッと着こなし、大きめの結び目でネクタイを締めていた。

脳裏に昨日の夜のことが甦った。
よりにもよってあの女にみだらな欲望を抱いただなんて!
あの女に惹かれるなんて正気とは思えない!
気晴らしが必要ならもっと他にもあるだろうに・・
どんな女だって俺が望めば思いのままだ。
だが、他の女に走るわけにはいかなかった。
姉ぇちゃんにバレたらえらいめにあう。
それに子供が生まれるまでの間は・・・

あの女、他の女にどうぞなんて言いやがったがそんなことして見ろ!
父親として失格の烙印を押されて即離婚を申し立てるはずだ。
そんなことはさせられない。

『子供が生まれるまでのあいだ、互いに良識ある行動をとる』
なんか曖昧すぎないか?解釈の幅が広すぎないか?
良識なんて個人で違うもんだろ?
だいいち、学者センセーの良識なんて狭い世界のものだ。


もしかして、あの女を抱く以外は男としての機能を使うことが無いってことか?
男と女は別の生き物で男の生理現象ってのもある。
けど、仮にも、もしも・・あれだ、そうなったときあの女は妊娠してるぞ?
それも俺の子供が腹ん中にいるのに・・・いいのか?
どうなんだよそれ?

おまえも誰かと付き合えば俺も付き合えるからと言えば
「わたしはデートなんてしないから」
「どうぞ若いお嬢さんとデートでもなんでもして下さい」
「ご自分の生理的な欲求不満をあたしにぶつけるのは金輪際やめて下さい!」

あの女の単刀直入なもの言いに対して苛立っている自分が疎ましかった。
別に好きでアレをぶつけた・・・わけじゃねぇぞ!
おまえだってちっちぇえの、押し付けてきたじゃねぇか!
あの女とは極力距離をおいた方がいいに決まってる。
このままじゃ・・マジでやばいことになりそうな気がしてきた。


ドアが開く音がしている。
あの女が起きて来たのがわかった。
俺もそろそろ出かけるとするか・・
迎えの車はすでに下で待っているはずだ。


ダイニングルームに足を踏み入れれば女がカチャカチャと何やらしていた。
そして司に気づくと声をかけてきた。
「お、おはよう・・コーヒー・・淹れてみたんだけど飲む?」
なんだよこの女、昨日の詫びでも入れるつもりか?
あんとき思いっきり俺の腹の上を踏んづけていきやがった。
転びそうになったおまえを助けたのにあの仕打ち・・
けど俺だって決して心は狭くない。
詫びは受け取ってやるよ。



司は軽く頷いていた。

つくしはそれを会話のスタートだとばかりに話しかけた。
「ねぇ、と、取引をしない?」
「取引だぁ?」
司は女が差し出してきたコーヒーカップを受け取った。

「そ、そう・・・あんたが若い子と付き合っても・・あの条件にはあてはめないから・・。
男性はそのぅ・・アレが溜まると大変らしいし、こ、今後の機能に差しさわりが出てもいけないので・・そこは・・理解する・・」
つくしはこれは微妙な問題だと言わんばかりに勿体ぶった話し方をしていた。
「だ、だからあたしには構わないでくれると・・」

司はコーヒーをひとくち飲んだところであまりの不味さに噴き出しそうになったがどうにかカップをテーブルに戻した。
「冗談だろ・・・まじぃ・・・」
「な、なにが冗談なの?」
つくしは男の理解が得られなかったと思い慌てた。
そして大きく目を見開いて驚愕の表情を浮かべた。
「ま、まさかあんた・・あたしに・・構う気なの?」
この男・・・ついに欲求不満でおかしくなったの?
見境なく襲うつもり?
いくらこれまであたしに男性経験がなかったからと言って、別に男に飢えてるなんてことないんだから!
盛りがついた猛獣なんて相手に出来るわけないじゃない!
いいわよ!あたしがあんたの間違いを正してあげる。
「しつこい男ね!もうこれ以上あたしに構わないで!」
つくしは大きな声で言っていた。


***


個性的。情熱的。
あたしの情熱は研究に注がれてきた。
個性は?
以前からよく言われた言葉。
「牧野さんって個性的ですね」
この言葉は褒め言葉なのだろうか?


つくしは後悔に苛まれていた。
どうしてあたしはあの男と話しをするとあんなふうになってしまうんだろうか。
今朝だって・・せっかく友好的な関係を結ぼうと思ったのに。
シャーレの中で培養された細胞があたしに語りかけて来た。
そんなに苛々したら身体に悪いよと。
わかってる・・・
細胞レベルに諭されている人間なんてあたしくらいかも?

でも昨日は驚いた。
だっていきなりあの男が襲ってきたんだもの。
あの男、テストステロン(男性ホルモン)が有り余っているのか?
普通は30代になれば減少するはずなんだけど・・・
あの男はホルモン過多なのか?
一度うちの研究室で検査してみるのもいいかもしれない。

あの男、道明寺司・・・・

つくしは実験の経過を記録するために顕微鏡をのぞいた。
そして頭を働かせるために男のことを頭の中から追い出した。


ごめんね。ママがこんなに苛々してちゃダメだよね。
仮にもあなたのパパなんだから仲良くしなきゃね。
つくしは波立つ心を懸命に鎮めながらそっとお腹に手をやった。







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コメント
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dot 2016.01.14 21:13 | 編集
サ*ラ様
こんばんは。
変態坊ちゃん!(笑)少しMの系があるのかもしれません。
あっちはSの系の坊ちゃんですので正反対ですよね(笑)
今拙宅にはまともな坊ちゃんは居ないということですよね(笑)
そうです、コメディですので・・(/ω\)イヤン、それ以上言わないでっ!と言うことで。
はい。坊ちゃん欲求不満で困ってます。でもつくしちゃんには相手にされず・・
なんだか不憫に思えてきました。このまま悶々と過ごすことになると可哀想ですね(´艸`*)
あちらのお話は色々とありますので明るくと言うわけには行きそうにないです。
その分こちらで明るく楽しくと思っていますがやたらと口喧嘩が多いという状態です。
大丈夫です。こちらにはシリアスな場面なんてないと思います!
こちらこそコメント有難うございました(^^)


アカシアdot 2016.01.14 23:10 | 編集
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