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2016
01.12

恋の予感は突然に 21

こうしてあたしとこの男・・この子の父親との奇妙な同居生活が始まった。
まずはこの部屋を自分らしく変える必要がある。
モデルルームのような家なんてちっともくつろげない。
プロのインテリアコーディネーターの手で仕上げられているだけに手を加える必要はないように思われたが、そこはやはり庶民らしく手を加える必要があった。
クッションひとつにしてもなんか堅苦しいのよね・・・
せめて自分の部屋だけは自分仕様にしたかった。

それにこのキッチンだって・・


「ねえ、料理なんだけど、あ、あたしがキッチンを使わせてもらってもいいのよね?」
「あ?勝手にしろ」
「食いたきゃ勝手に作ればいい」
この男、傲慢な男だ!
つくしは男を睨んだ。
あんな条件飲まなきゃよかった。
なんで同居生活なんか了承しちゃったんだろう。
「あのね・・取りあえずは子供の為に一緒に住むことにしたけど、あんたとあたしの生活は別だから」
「あたりまえだ!」
ったくイライラするな!
司は神経質になっていたが、それは彼だけはなかった。


「ねぇ・・と、友達になりましょう?そ、それなら、なんとか・・」
つくしはしばし男の顔を見つめたあと言った。
一度だけ関係を持って、子供の父親になった男の顔を。

なんだよ友達って?
子供作っといて友達ってなんなんだ?
こいつ何を考えてる?  いや、考えてないだろうな。
男と女の間に友情を築けって?

「おまえ今さら俺と友達になって何がしたいんだよ?」
一応聞いてみてやる。
「べ、別に何もしたくなんてないわよ?」
「だろ?じゃあいいじゃねぇか。おまえとはあくまでも子供の為に結婚したんであって
それ以外なんの関係もない!」

つくしは思わず浮かんでいた戸惑いの表情を押しもどした。
「そうよね・・そうよ、そうよ!」
「よく言ってくれたわ。あたしもそれが言いたかったわ!」
「あ、あんたとは何も関係なんてないわよ!」
つくしはあの思い出を、あの一夜を頭の中から消去しようとした。
セクシーなこの男の身体のことなんて忘れようとした。
「ふん!」

これまで一度も陥れられたり、否定されたことなどなかった司にしてみればこの女の態度は耐え難い状況だった。
司はゆったりと一歩を踏み出すとつくしに近づいた。
「いいか?この件は・・俺との結婚は口外すんじゃねぇぞ?」
男が片眉をあげるようにして言ってきたのでつくしは感情的にならないように余裕の表情を浮かべて司を見た。

なんだよ、その余裕綽々な顔は! 女なんて口の軽い生き物だろうが!

「あ、あたり前じゃない」
「この結婚は・・一時的なものであって永続的なものじゃないってことくらいよーく分かってますから。それに苗字が変わって不都合があるのは女の方なんですからね!」

「あ、あんただって口外しないでよね!男なんて口の軽い生き物なんだから。ちょっと若い女に言い寄られたら鼻の下なんて伸ばしてイヤラシそうな顔しちゃってさ」

「どこかの若い女の子と・・過ごすのは一向にかまいませんが、あたしのことは絶対に口外しないでよね!いい迷惑ですから」

だれが迷惑なんだよ!この女相当おかしいんじゃねえのか?
俺のことが迷惑だと?

なんかこの女の口から俺を拒否する言葉を聞くたびにイライラしてくる。
開き直りもたいがいにしろよ!

この俺がこんな女に言い負かされるなんて・・・
許されるわけがねぇ。
この女を放っておいたら俺のペースをめちゃくちゃにしやがる。
とにかく最初が肝心だからな。
どちらが立場が上なのかをはっきりさせておく必要がある。
司はこれまでの会話にイライラとしながらも嘲笑った。
「おい、おまえ言っとくけどな・・」
「なによ、まだ何か?」
つくしは負けるものかと一歩を踏み出した。


つくしはこれ以上の話し合いに何が見い出せるのかというふうに司を見ている。
司は自分が何を言いかけたのかを忘れてしまった。

この女の強い瞳に睨まれるとなんだか調子が狂う。
車のなかでもこの調子でやり込められて・・
どうしたものか・・この女とこうして小競り合いをして・・
・・・興奮している自分がいた。

おい・・・これじゃあ、俺は・・・まるで・・
言葉攻めに弱いって・・ことか?

なんでこの女と言いあって俺の・・・モノはたかぶってるんだ?
やべぇ・・・
こ、こんなんじゃマジで変態じゃねぇかよ!



つくしは自分を見つめる非難がましい目を見ていると、何か言わずにはいられなかった。
な、なによこの男、あたしのことじっと見て。
まだなにか文句が言いたいの?
オールドミスだの蜘蛛の巣女だの、言いたい放題言ったくせして!
いつでもかかってきなさいよ!
相手になってあげるわよ!
あたしだって口だけなら負けないんだからっ!


え?
なに?
ど、どうしたの?
ぼ、暴力はダメよ?
かかってきなさいって言ったけど・・ほ、本気?
言っとくけどあたし一応・・多分・・お腹に赤ちゃんがいるんですけど?
ちょっ、ちょっと?
わ・・わっ!
きゃぁー!







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コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2016.01.12 18:52 | 編集
た*き様
いつも鋭いご推察にビビッてます(笑)
このお話、コメディ風味ですからね?
シリアスなのはもうひとつのお話だけで充分・・(笑)
このお話好きですか?有難うございます!
そろそろ動きも見えて来ると思いますので楽しんで頂けると嬉しいです。
なかなかこの二人は落ち着いてくれません(笑)
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.01.12 22:40 | 編集
ぴ*様
はじめまして。
楽しく感じて頂けて良かったです!
二人してドタバタしてるだけなんですが・・(笑)
明日もこんな感じ・・かも・・?
また明日覗いてみて下さると嬉しいです。
拍手コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2016.01.12 22:45 | 編集
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