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2022
09.01

夏はドラマチック 13

司はしばらく、その言葉について考えた。
それは司を拒んでいた女が口にした自分の知らない世界を見せて欲しいと言う言葉。
そしてその世界とは男と女の世界。

「なあ、俺がここに呼ばれたのは_」

「私、経験がないの…..男性経験が」

司は発せられたその言葉に不意を突かれ息を呑んだ。
それから、うめいた。
王女は司にお願いがあると言ったが、この話の流れからすると司に相手になれと言っているのか?
だがそれは司の勝手な思い込みの可能性もある。
だから真意を確かめるべく言った。

「なあ、知らない世界を見せて欲しいというのは、俺にセックスの仕方を教えろってことか?」

すると王女は顏を真っ赤にして「ええ」と答えた。
司の脳は短いその言葉を理解するのに数秒かかった。
それは裸で王女に覆いかぶさった自分の姿を想像していたから。
王女の身体を組み敷き、胸に腿にキスをしている己の姿が頭の中に浮かんでいたから。

「もちろんタダでとは言わないわ。きちんと報酬はお支払します」

頬を赤く染めた王女は誇らしげに胸をはってそう言ったが、まるで乗馬の個人レッスンでも頼むような言い方に笑い出しそうになった。
だが司はすぐに口元を引き締め言った。

「俺は金に不自由していない」

すると王女は「そ、そう」と言って「コホン」と大きく咳払いをした。
そして、「それで引き受けてくれるのよね?だってあなたは好きになった女のためならどんなことでもすると言ったもの。だから私のお願いを聞いてくれるわよね?」と言った。

司は王女のことが好きだ。
だがだからといって、いきなりことを運ぶことは望んでいない。
それにものには順序というものがある。
そして性の指南役になるとしても、それは恋人関係にあることが前提だ。
それに司は一晩だけでなく、毎晩一緒に王女と一緒に眠りたかった。出来れば一生…..
それにしても随分と大胆なことを言う王女だが、どこまで大胆になれるか見てみたい気もするが、男性経験がないと言うのに何故思い立ったように経験したくなったのか?
司はまっすぐに王女を見た。

「俺は好きな女の頼みなら叶えてやりたいと思う。だがセックスの仕方を教えろってのは、いくらなんでも唐突過ぎる。それにどんな男とも付き合うつもりはないと言っていたが何故急にその気になった?」

司の問いかけに王女がごくりと唾を呑んだ。

「何故って…..それは…………….だからよ」

司には王女の言葉が聞えなかった。

「聞こえねえんだけど?」

すると王女は深く息を吸い込んで言った。

「あなたに触れられて罰当たりな思いが目覚めたからよ!」



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コメント
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dot 2022.09.02 11:47 | 編集
ふ**ん様
罰当たりな思いに目覚めた女。
え?言葉のチョイスが、ザ王女でしたか?
それにしても王女様は率直な方ですな。
司にとっては嬉しい状況だと思いますが、どうするんでしょうね(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2022.09.18 06:34 | 編集
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