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2022
06.29

夏はドラマチック 1

つくしは中庭を取り囲んでいる長い回廊を歩いていた。
すると後ろから男の声が聞えた。

「つくし様!つくし王女様お待ち下さい!」

だがつくしは待たなかった。
だから男は走ってつくしに追いつくと言った。

「王女様!どうかわたくしの話をお聞きください!王女様は今年26歳になられます。
ですから先日も申し上げたように、そろそろご結婚を考えていただけませんでしょうか?そうしなければ我が国は__」

「嫌よ!前にも言ったけど私は結婚なんてしません!」

つくしは隣に並んだ男の言葉を遮った。

「いい?よく聞いて。どうせどこかの国のバカな王子と結婚させられるんでしょ?私は政略結婚なんて絶対に嫌!それに愛のない結婚はしたくないの!だから結婚はしません!」

「しかし王女様。王女様が結婚してお世継ぎをお生みになられませんと、我が国は消滅してしまいます。我が国は隣国の一部になってしまいます」

男が言う隣国。
それは川を挟んで国境を接する大国。
遠い昔、一時つくしの国の一部を占領したことがあったが奪還した。

「そして彼らには心がない。彼らが欲しいのは我が国の豊な資源と肥沃な農地です。つまり我が国が隣国の一部になれば資源や農地が彼らに奪われることはもちろん、自治もなくなるでしょう。そうなれば我が国の民は奴隷も同じです。ですから、そうならないためには王女様には結婚してお世継ぎをお生みいただかなければならないのです。お分かりですよね?もうこの国には王女様しかいらっしゃらないのですから」

つくしには弟がいた。しかし事故で亡くなった。
だからつくしが王家のただひとりの王位継承者だ。
それに国民に対して責任があることも分かっている。
そして隣国との約束で直系の跡継ぎが居なくなれば隣国に併合されてしまうことも分かっている。

「つくし様。あなたの血を引く跡継ぎさえ生まれれば、お相手はどなたでもいいんです。例えば幼馴染みの青池不動産の青池和也様でも構わないのです」

つくしは男の言葉にバカなことを言うなとばかり笑った。

「冗談は止めて。彼はただの幼馴染みでそれ以外の何ものでもないわ」

「それなら__」

「止めて。誰の名前を出すつもりか知らないけど、私は政略結婚をするつもりはないわ!」




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コメント
このコメントは管理者の承認待ちです
dot 2022.06.29 08:20 | 編集
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dot 2022.06.29 08:23 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2022.06.29 13:50 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2022.06.29 21:48 | 編集
澪**ん様
王女つくし。
貧乏ではありませんが責任ある立場にいます。
素敵な王子様は何処に!!
こちらのお話はコメディタッチで進む予定ですので楽しんでいただけるのでは?と思っています。
そして側近は誰かと言うと、あの人です。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2022.06.29 22:22 | 編集
ま**ん様
暑いですねー。
もう暑い以外言葉が出ません。
水分補給にスイカ!いいですね!アカシアはパイナップルを食べました。
あれ?パイナップルは水分補給ではないかも?(笑)

はい。今回のお話はコメディータッチです。
王女つくし。国を存続させるために結婚しなければならないようですが、果たしてお相手は?
楽しんでいただけるように書きたいと思います。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2022.06.29 22:29 | 編集
s**p様
今回のお話はコメディータッチで進む予定です。
そして設定は、なんとつくしは王女。
貧乏からは脱出したようですが、恋からは遠い場所にいるようです(笑)
それにしても暑い!寝る時くらいエアコン付けさせて......
s**pもご自愛下さいませ^^
アカシアdot 2022.06.29 22:35 | 編集
と****マ様
今晩は^^
はい。こちらの話はコメディー路線です。
青池不動産。久々に訊く名前ですよね(笑)
そしてつくしは王女様で貧乏ではありません。
しかし恋には縁がない様子。ですが国のため結婚しなければなりません。
楽しんでいただけるように書きたいと思います^^
そしてアカシア、暑さに負けないように塩分タブレットを鞄に忍ばせています。
と****マ様もご自愛下さいね。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2022.06.29 22:43 | 編集
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