知的な女性はセックスに頼らなくても生きていける。
つまり男なんて必要ない。
頭脳を駆使して生きていけばいいのだと言うことに気がついたときからあたしは研究に励んできた。
だけど、子供だけは自分ひとりの力ではどうしようもないことに気づいたのは、研究室で染色体を眺めているときだった。
顕微鏡のなかの染色体があたしに語りかけて来たの!46本の染色体が!
染色体にプログラムされている人間としての本能があたしを駆り立てた。
そしてあたしは自分より頭の悪い、バカな男を子供の父親にすることを決めた。
あたしみたいに頭が良くなくていい・・普通の子供が欲しかった。
だからこの男を選んだのに・・
それが今では・・この男にはこの男の思惑があったようであたしの思いとは別の方向へと人生が変わっていくように感じられた。
この男のお姉さん・・椿さんは子供を流産していた。
そして今後、子供を授かることは難しいだろうと言われたということを知った。
だから、この男はあたしの子供が欲しいと考えるようになったのか?
姉を思う弟の気持ちに人として共感できないことはない。
要はあたしとこの男の間に生まれる子供はお姉さんにとっては唯一の血を別けた甥か姪であって可愛い?弟の子供だ。
可愛くないはずがない・・・
ん?
そ、それが意味することって?
も、もしかして・・あたしの・・敵は・・・この男と・・お姉さん?!
て、敵が・・ふ、増えた?
「つくしちゃん、何か悩みがあったらいつでも相談してね」と言われ心身共に傷を負ったであろうお姉さんのことを思えば・・・複雑な心境だ。
そして別れの挨拶をして車に乗り込んだ。
お姉さんのことを知らなきゃあたしはもっとこの男に対して強気でいけたと思ったけど、あんな話を聞かされて車のなかは重苦しい雰囲気が漂っていた。
そして、いよいよ、ますますこの男がこの子を欲しがった理由がわかった気がした。
それから、ついでに言わせてもらえばこの男の両親にいつ会うはめになるのかと考えたら恐ろしかった。
えっ?
て、敵が増える?!
そして・・・これは滋さんから聞いた話なんだけど、この男の両親って凄い人たちなんでしょ?
なんでも二人ともニューヨーク在住ってことしか知らないけど。
滋さんはおば様だなんて言ってたけど・・?
そこんらへんのおばさんじゃない事だけは確かだろう。
「ところで、あんたの・・ご両親ってどんな人たちなの?」
車が邸を出るとつくしは聞いた。
「会いたいのか?」
「べ、別に・・そう言うわけじゃないけど・・その為に今日は連れてこられたと思っていたから・・そうしたらお姉さんだったから・・」
「おまえ・・うちの親に会うなら覚悟しとけよ?」
「な、なにをどう覚悟が必要なのよ?」
「おまえ・・いかれた女だからな。自分の行動の結果なんてなーんにも考えてねえだろう?」
「か、考えていたわよ!ま、まさかあんたが・・」
「なんだよ?言ってみろよ?まさか俺がこんなにいい男で、地位も名誉も金もある男だなんて思いもしなかったって」
司は得意気なほほ笑みを浮かべてみせた。
つくしは黙った。
いやいや、確かにそれは、そうなんだけど・・・まさかこんなふうに自分の人生にかかわって来るだなんて考えもしなかった。
はっきり言って一夜限りの男だったんだから!
それになんて抜け目のない男なんだろう。
ま、まるで主導権は自分にあるような立ち振る舞いだ。
はぁ・・・
あたしの子供の運命ってどうなっちゃうんだろ・・・このままじゃこの男の言うがままになりそうだ。選んだ相手が悪かったと認めるしかなかった。
司は隣で言葉に詰まっている女を見た。
この女、今度は何を考えていやがる?
この女のしたことは決して許せることじゃない。
俺を騙すようにして子供を作った身勝手な女だけど、こいつと邸に向かう車内でやり合った会話のことを思い出していた。
女とまともに口喧嘩なんて今までねえよな?
姉ちゃんは女だけど喧嘩どころか一方的に言われっぱなしだしな・・
今まで付き合った女なんて俺の言いなりばかりであんなふうにやり合える相手はいなかったな。
俺は今まで女に対しては冷静極まりない男だったはずだ・・
冷たい男だとか、冷徹だとか言われたりもした。
極力感情的な場面は避けてきたな・・・別れ話だとか面倒なことは一方的に告げて終わっていた。
おい、俺はなにを考えてるんだ?
まさかこの女に情がわいたなんてことがあるか?
この嘘つきのチビ女に騙されて子供まで作られて、結婚までするはめになっちまって・・
けどこの女、姉ちゃんには気に入られていた。
あのこえー姉ちゃんに気に入られるなんて普通じゃねえな。
なんか似てんのか?姉ちゃんとこいつは?
こいつ、言いたいことははっきり言いやがるし俺を苛立たせるが悪い女じゃねえかもしんねぇな。
それに俺に向かって悪態をつく女なんて・・・今までいなかった。
司は隣に座る女と一緒にいても息苦しさを感じていない自分がいるのに気づいた。

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つまり男なんて必要ない。
頭脳を駆使して生きていけばいいのだと言うことに気がついたときからあたしは研究に励んできた。
だけど、子供だけは自分ひとりの力ではどうしようもないことに気づいたのは、研究室で染色体を眺めているときだった。
顕微鏡のなかの染色体があたしに語りかけて来たの!46本の染色体が!
染色体にプログラムされている人間としての本能があたしを駆り立てた。
そしてあたしは自分より頭の悪い、バカな男を子供の父親にすることを決めた。
あたしみたいに頭が良くなくていい・・普通の子供が欲しかった。
だからこの男を選んだのに・・
それが今では・・この男にはこの男の思惑があったようであたしの思いとは別の方向へと人生が変わっていくように感じられた。
この男のお姉さん・・椿さんは子供を流産していた。
そして今後、子供を授かることは難しいだろうと言われたということを知った。
だから、この男はあたしの子供が欲しいと考えるようになったのか?
姉を思う弟の気持ちに人として共感できないことはない。
要はあたしとこの男の間に生まれる子供はお姉さんにとっては唯一の血を別けた甥か姪であって可愛い?弟の子供だ。
可愛くないはずがない・・・
ん?
そ、それが意味することって?
も、もしかして・・あたしの・・敵は・・・この男と・・お姉さん?!
て、敵が・・ふ、増えた?
「つくしちゃん、何か悩みがあったらいつでも相談してね」と言われ心身共に傷を負ったであろうお姉さんのことを思えば・・・複雑な心境だ。
そして別れの挨拶をして車に乗り込んだ。
お姉さんのことを知らなきゃあたしはもっとこの男に対して強気でいけたと思ったけど、あんな話を聞かされて車のなかは重苦しい雰囲気が漂っていた。
そして、いよいよ、ますますこの男がこの子を欲しがった理由がわかった気がした。
それから、ついでに言わせてもらえばこの男の両親にいつ会うはめになるのかと考えたら恐ろしかった。
えっ?
て、敵が増える?!
そして・・・これは滋さんから聞いた話なんだけど、この男の両親って凄い人たちなんでしょ?
なんでも二人ともニューヨーク在住ってことしか知らないけど。
滋さんはおば様だなんて言ってたけど・・?
そこんらへんのおばさんじゃない事だけは確かだろう。
「ところで、あんたの・・ご両親ってどんな人たちなの?」
車が邸を出るとつくしは聞いた。
「会いたいのか?」
「べ、別に・・そう言うわけじゃないけど・・その為に今日は連れてこられたと思っていたから・・そうしたらお姉さんだったから・・」
「おまえ・・うちの親に会うなら覚悟しとけよ?」
「な、なにをどう覚悟が必要なのよ?」
「おまえ・・いかれた女だからな。自分の行動の結果なんてなーんにも考えてねえだろう?」
「か、考えていたわよ!ま、まさかあんたが・・」
「なんだよ?言ってみろよ?まさか俺がこんなにいい男で、地位も名誉も金もある男だなんて思いもしなかったって」
司は得意気なほほ笑みを浮かべてみせた。
つくしは黙った。
いやいや、確かにそれは、そうなんだけど・・・まさかこんなふうに自分の人生にかかわって来るだなんて考えもしなかった。
はっきり言って一夜限りの男だったんだから!
それになんて抜け目のない男なんだろう。
ま、まるで主導権は自分にあるような立ち振る舞いだ。
はぁ・・・
あたしの子供の運命ってどうなっちゃうんだろ・・・このままじゃこの男の言うがままになりそうだ。選んだ相手が悪かったと認めるしかなかった。
司は隣で言葉に詰まっている女を見た。
この女、今度は何を考えていやがる?
この女のしたことは決して許せることじゃない。
俺を騙すようにして子供を作った身勝手な女だけど、こいつと邸に向かう車内でやり合った会話のことを思い出していた。
女とまともに口喧嘩なんて今までねえよな?
姉ちゃんは女だけど喧嘩どころか一方的に言われっぱなしだしな・・
今まで付き合った女なんて俺の言いなりばかりであんなふうにやり合える相手はいなかったな。
俺は今まで女に対しては冷静極まりない男だったはずだ・・
冷たい男だとか、冷徹だとか言われたりもした。
極力感情的な場面は避けてきたな・・・別れ話だとか面倒なことは一方的に告げて終わっていた。
おい、俺はなにを考えてるんだ?
まさかこの女に情がわいたなんてことがあるか?
この嘘つきのチビ女に騙されて子供まで作られて、結婚までするはめになっちまって・・
けどこの女、姉ちゃんには気に入られていた。
あのこえー姉ちゃんに気に入られるなんて普通じゃねえな。
なんか似てんのか?姉ちゃんとこいつは?
こいつ、言いたいことははっきり言いやがるし俺を苛立たせるが悪い女じゃねえかもしんねぇな。
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コメント
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サ*ラ様
こんにちは。
そうなんです。つくしちゃん自分の年齢を考えたらここがターニングポイントだと目覚めてから子供を望みました。
確かに男性はいくつになってもなんとかなるもので・・(笑)
司もつくしの子供に拘らなくてもいいのですが、この司はどこぞのお嬢様との跡継ぎの為だけの政略結婚とかも
嫌だったみたいで、たまたまHして出来たつくしの子供の事がどうしても気になってしまったようです。
ですが、つくしちゃんは司に興味無しという状況でして(笑)
司には司なりの倫理観と責任感もあったようでして、そして椿さんの事もありつくしの子供に拘り出したようです。
つくしは自分の人生と研究に誇りを持っていますので、今のところ生き方を変えようとかは考えていないと思います。
子供ですが道明寺家の子供として育てられるとつくしが望んでいたように、人生を自由に選択すると言うことが出来なくなりそうですね。本当にこれは問題です。どうしましょう・・
まだまだ二人の間には溝があるようですが、じわじわとその溝も埋められて行きそうな気がします(^^)
深いご感想を有難うございました(^^)
こんにちは。
そうなんです。つくしちゃん自分の年齢を考えたらここがターニングポイントだと目覚めてから子供を望みました。
確かに男性はいくつになってもなんとかなるもので・・(笑)
司もつくしの子供に拘らなくてもいいのですが、この司はどこぞのお嬢様との跡継ぎの為だけの政略結婚とかも
嫌だったみたいで、たまたまHして出来たつくしの子供の事がどうしても気になってしまったようです。
ですが、つくしちゃんは司に興味無しという状況でして(笑)
司には司なりの倫理観と責任感もあったようでして、そして椿さんの事もありつくしの子供に拘り出したようです。
つくしは自分の人生と研究に誇りを持っていますので、今のところ生き方を変えようとかは考えていないと思います。
子供ですが道明寺家の子供として育てられるとつくしが望んでいたように、人生を自由に選択すると言うことが出来なくなりそうですね。本当にこれは問題です。どうしましょう・・
まだまだ二人の間には溝があるようですが、じわじわとその溝も埋められて行きそうな気がします(^^)
深いご感想を有難うございました(^^)
アカシア
2016.01.09 22:40 | 編集
