目から入れる薬物と言われる男が今その目で見ているのは、インターネットの動画共有サイト。そこに「あなたへのおすすめ」といって表示されたのは「桃太郎」というタイトルの動画だが、桃太郎と言えば『むかしむかしあるところに、おじいさんと、おばあさんがいました』で始まる司でも知っている日本の昔話だ。
だが昔話というのは生物的にも科学的にも….いや、どう考えても全てに於いて納得がいかない話ばかりだが、それを恋人に言うと、
「あのね、昔話っていうのは、おとぎ話なの。それが本当かどうかは関係ないの。昔話は昔話で時代や場所の設定はないの。深く考えることなくその時を楽しめばいいお話なの。
ほら、コンサートとか演奏会に行ってその時その音楽を楽しむのと同じ。昔話っていう物語はその瞬間だけに存在しているものなのよ?」
という答えが返ってきた。
だから司はそんなものかと頷いたが、それにしても何故サイトは昔話を司に勧めてきたのか。
司は不思議に思いながらも興味本位でその動画をクリックした。
すると動画の初めに現れた文字はただの「桃太郎」ではなく「アダルト桃太郎」。
「….アダルト桃太郎?」
司は呟くと胡散臭そうに画面を眺めた。
それはアダルトと付く動画はエロに決まっているからだ。
司はそういったものに興味はない。だから見たことがない。
……いや。いつだったか総二郎が貸してくれたDVDが洋物のその手のモノで、そのことを知らずに見たことがあったが、それを恋人に知られ酷く軽蔑された。
だから「アダルト桃太郎」というタイトルの動画を消すと本来見たいと思っていたビジネスに関する動画を見た。だが見終わった後、再び「アダルト桃太郎」がお勧め動画として画面に表示された。
司は鬱陶しさを感じ動画共有サイトを閉じようとした。
だが少しだけ気になった。
だから好奇心から、ほんの少しだけという思いで「おすすめ」動画をクリックした。
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
「おや、まあ….なんと立派な桃でしょう。この桃をおじいさんへの土産に持って帰りましょう。きっとおじいさんは喜ぶわ」
と言って、おばあさんはその桃を川から引き上げました。
そして洗濯物と一緒に家に持ち帰ると、おじいさんが山から戻ってくるのを待ちました。
「おばあさん。今帰ったよ」
「おじいさん、お帰りなさい。ねえ、訊いて下さい。今日川で洗濯をしていたら川上から大きな桃が流れてきたんですよ。だからおじいさんと一緒に食べようと思って引き上げて持って帰りました」
おばあさんは、そう言って包丁で桃を切ろうとしました。
すると桃は、おばあさんが切る前にパッカーンとふたつに割れたのです。
そしてそこにいたのは男の子の赤ん坊で、大きな声で泣いていました。
司が見ている動画は「アダルト桃太郎」と言うタイトルだが一体どこがアダルトなのか。
登場人物は年老いた夫婦と赤ん坊でエロ動画には程遠い昔話の通りの桃太郎だ。
だから、そのことに若干だが残念という思いを心の中に抱きつつ動画を見るのを止めようとした。だがそう思うも、子供の頃に昔話を読み聞かせてもらったことがなかった司は、この際だと桃太郎の動画を最後まで見ることにしたが、ここ数日間は忙しい日が続き寝不足だったことから瞳を閉じると眠りに落ちていった。

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だが昔話というのは生物的にも科学的にも….いや、どう考えても全てに於いて納得がいかない話ばかりだが、それを恋人に言うと、
「あのね、昔話っていうのは、おとぎ話なの。それが本当かどうかは関係ないの。昔話は昔話で時代や場所の設定はないの。深く考えることなくその時を楽しめばいいお話なの。
ほら、コンサートとか演奏会に行ってその時その音楽を楽しむのと同じ。昔話っていう物語はその瞬間だけに存在しているものなのよ?」
という答えが返ってきた。
だから司はそんなものかと頷いたが、それにしても何故サイトは昔話を司に勧めてきたのか。
司は不思議に思いながらも興味本位でその動画をクリックした。
すると動画の初めに現れた文字はただの「桃太郎」ではなく「アダルト桃太郎」。
「….アダルト桃太郎?」
司は呟くと胡散臭そうに画面を眺めた。
それはアダルトと付く動画はエロに決まっているからだ。
司はそういったものに興味はない。だから見たことがない。
……いや。いつだったか総二郎が貸してくれたDVDが洋物のその手のモノで、そのことを知らずに見たことがあったが、それを恋人に知られ酷く軽蔑された。
だから「アダルト桃太郎」というタイトルの動画を消すと本来見たいと思っていたビジネスに関する動画を見た。だが見終わった後、再び「アダルト桃太郎」がお勧め動画として画面に表示された。
司は鬱陶しさを感じ動画共有サイトを閉じようとした。
だが少しだけ気になった。
だから好奇心から、ほんの少しだけという思いで「おすすめ」動画をクリックした。
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。
「おや、まあ….なんと立派な桃でしょう。この桃をおじいさんへの土産に持って帰りましょう。きっとおじいさんは喜ぶわ」
と言って、おばあさんはその桃を川から引き上げました。
そして洗濯物と一緒に家に持ち帰ると、おじいさんが山から戻ってくるのを待ちました。
「おばあさん。今帰ったよ」
「おじいさん、お帰りなさい。ねえ、訊いて下さい。今日川で洗濯をしていたら川上から大きな桃が流れてきたんですよ。だからおじいさんと一緒に食べようと思って引き上げて持って帰りました」
おばあさんは、そう言って包丁で桃を切ろうとしました。
すると桃は、おばあさんが切る前にパッカーンとふたつに割れたのです。
そしてそこにいたのは男の子の赤ん坊で、大きな声で泣いていました。
司が見ている動画は「アダルト桃太郎」と言うタイトルだが一体どこがアダルトなのか。
登場人物は年老いた夫婦と赤ん坊でエロ動画には程遠い昔話の通りの桃太郎だ。
だから、そのことに若干だが残念という思いを心の中に抱きつつ動画を見るのを止めようとした。だがそう思うも、子供の頃に昔話を読み聞かせてもらったことがなかった司は、この際だと桃太郎の動画を最後まで見ることにしたが、ここ数日間は忙しい日が続き寝不足だったことから瞳を閉じると眠りに落ちていった。

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Comment:3
コメント
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か**り様
楽しんでいただけて嬉しいです!(≧▽≦)
楽しんでいただけて嬉しいです!(≧▽≦)
アカシア
2021.06.27 15:05 | 編集

ふ**ん様
司は目から入れる薬物なんです(笑)
それも止めることが出来ない危険なクスリ…..
と、いうことで「アダルト桃太郎」を見始めた男。
しかし疲れからすぐに夢の世界へ旅立ちました。
それにしても何度も出て来るお勧め動画や広告。
勧められてもねぇ…..
司は目から入れる薬物なんです(笑)
それも止めることが出来ない危険なクスリ…..
と、いうことで「アダルト桃太郎」を見始めた男。
しかし疲れからすぐに夢の世界へ旅立ちました。
それにしても何度も出て来るお勧め動画や広告。
勧められてもねぇ…..
アカシア
2021.06.27 15:41 | 編集
