ひとつわかったことは、この男はきわめて大きな影響力を持つ男だと言うことだった。
人の話しなんて聞いていなかった・・・
滋さん・・そんなことなんて言ってなかったわよね?
なにそれ!
あの男、バカに見えるけど・・バカじゃない?
NYでMBA(経営学修士)を取ってる?
道明寺HDの日本支社長?
経済界の若きプリンス?
ありえないって!
もしそれが本当なら・・・子供も・・同じものを受け継ぐわけだから・・・
だからと言って絶対に頭がいい子ってわけじゃないだろうし。
う、運、不運ってのもあるし、二人の遺伝子が組み合された結果なんだし。
い、遺伝子っていうのは・・・たんぱく質の設計図だし、DNAの二重らせん構造から出来てる・・・
だ、だめよ!
頭がいい子なんて不自由するだけよ!
「ご、ごめんつくし・・NYでまさかあいつと会うとは思わなくて油断してた」
電話の向うの友人は申し訳なさそうに言った。
「ねぇ、滋さんどう・・・」
「だからね、あいつがNYに出張で来てるとき、偶然、本当に偶然なのよ?司がうちの会社に来たのよ!」
偶然という名の必然だった。
「それでね、ばれちゃったと言うか・・も、もちろんしらばっくれてみたんだけどね・・」
「ねぇ、滋さん、それでどこまで話しをしたの?」
「うん・・・司があたしに会いに来たときには、もうあんたのこと知ってたよ。
どこに勤めて、何をしてるとか・・」
「で、あのコンドームのことを聞かれたからとぼけてみたんだけど、あいつちゃんと調べてた・・だから・・」
「だ、だから?」
電話の向うの友人の声はどんどん小さくなっていた。
「だからね・・なんでそんな小細工したのかってことで・・・・・」
万事休す・・・
***
今朝ほど目覚めが悪い朝を迎えたことは無かった。
牧野つくしの勤務する研究施設を研究費の助成ということを名目に訪れた。
あの女も落ち着いてみればさすがにこの場所で話しをするようなことではないと、改めて話しをすることになった。
頭がいいだけに、思考回路の切り替えが早かった。
そして仕事場で理性を失ったりはしなかった。
プライバシーにかかわる重要な話しをどこでするか考えあぐねていたが
俺の部屋が一番安全だってことが分かった。
盗撮だの盗聴だのされてこれ以上ややこしい問題を増やすことだけはしたくなかった。
ホテル住まいは気楽だが不便な点も多い。
ロビーにはいつも誰かがいるからだ。
写真週刊誌の記者とかどっかのレポーターとかどこからか紛れ込んでくる。
あいつらは暇なのか?
司は目の前の女に対して怒りを感じていた。
滋に対してもそうだが、牧野つくしのバカさ加減にだ。
ただ、単純にバカな男とのあいだに子供が欲しかったから俺と寝ただと?!
単なる精子を提供者してくれる人間が欲しかっただと?
自分が優秀だから相手の男はバカで単純な男がいいと?
どう考えれば俺がそう見えるんだ?
研究者と言う立場の女がどう転んだらこんなバカなことを思いつくのか気が知りたいと思っていた。
学者センセーってのはよくわかんねぇ人種だな。
あいつらは浮世離れし過ぎていやがる。
滋は総二郎とあきらの話しの尻馬に乗っかるかたちでこの女を送り込んできたわけで
言うなればそれぞれの思惑が偶然重なってこの女が俺のもとに来たってわけだが・・・
司は単刀直入に聞いた。
「それで?牧野つくし。おまえは妊娠したのか?」
「え?」
ポカンとした顔で司を見た女は言葉に躊躇していた。
「そ、それは・・」
「どうなんだ!」
司は怒鳴った。
「い、い・・まだ・・わかりません・・」
つくしは男の迫力にいいえと言いたかったが言えなかった。
「それで?いつになったら妊娠してるかどうかがわかるんだ?」
まさかそんなことを聞かれるはめになるとは思わなかったけど、答えないわけにはいかなかった。
「もうすぐ・・わかると思います・・」
と小さな声で答えた。
「もうすぐっていつだ?」
「具体的な日程を言え!」
つくしはたじろいだ。
「ま、まだ・・・」
実はもうわかっていた。
生理がスケジュールどおりに来ていない。
まだ検査はしていないけど、多分妊娠しているはずだ。
自分の身体のことだもの。小さな変化は見逃せないと思った。
ここのところ、なんとなくだが乳房が重く感じられた。
あたしの目の前にいるのはお腹の中の子供の父親で、この子は初めて父親の声を耳にしているはずだ・・・理解できればだけど。
「それで?おまえ、俺の子供を使ってなにをするつもりだ?」
「な、なにって・・」
「滋は・・おまえは俺のことをバカっぽいから・・相手に選んだなんていいやがったけど・・何が目的なんだ?」
「な、なにって?」
「金か?道明寺の財産か?」
つくしは男に一方的に言われっぱなしでムカついてきた。
「えーっと、道明寺さん。滋さんがどこまで話したのかわからないけど、ためしにあたしの立場になって考えてみて?」
「おまえの立場ってなんだよ?」
「あ、あなたは・・・気にすることなんて何もないから。心配もいらない。も、もしも子供が出来ていたら、こ、子供はあたしの子であって・・あなたの子供ではないの。結婚もしていないし、言葉は悪いけど私生児なの。あたしは、あたしだけの子供が欲しかっただけで
認知しろとか、養育費をくれとか、一切求めないから安心して下さい」と淡々と言ってのけた。
そうすると司は自分でも信じられないように意外な言葉を言っていた。
「いや。ダメだ。俺はその子供の親としての権利を主張する」
つくしはポカンと口を開けた。
どうして?
・・・普通まったく知らない女が妊娠なんかしたらそんな女なんて身に覚えがないとか、俺の子供じゃないとか言うのが男性でしょ?
「あの・・」
とそこまで言いかけたが胃の中からせり上がる何を感じ、つくしはバスルームへと駆け込むと便器の前にしゃがみこんで・・・抱えた。
そしてしばらくしてから立ち上がると洗面台で口をすすいだ。
間違いない・・・あたしはあの男の子供を身ごもっている。
バスルームで派手に嘔吐してから部屋に戻ってみれば恐ろしい形相の男が仁王立ちして待っていた。
我らがヒロイン牧野つくしちゃんお誕生日おめでとうございます!
早く幸せになってね。←あっちもこっちも早く幸せにしてあげたいです(笑)

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もしそれが本当なら・・・子供も・・同じものを受け継ぐわけだから・・・
だからと言って絶対に頭がいい子ってわけじゃないだろうし。
う、運、不運ってのもあるし、二人の遺伝子が組み合された結果なんだし。
い、遺伝子っていうのは・・・たんぱく質の設計図だし、DNAの二重らせん構造から出来てる・・・
だ、だめよ!
頭がいい子なんて不自由するだけよ!
「ご、ごめんつくし・・NYでまさかあいつと会うとは思わなくて油断してた」
電話の向うの友人は申し訳なさそうに言った。
「ねぇ、滋さんどう・・・」
「だからね、あいつがNYに出張で来てるとき、偶然、本当に偶然なのよ?司がうちの会社に来たのよ!」
偶然という名の必然だった。
「それでね、ばれちゃったと言うか・・も、もちろんしらばっくれてみたんだけどね・・」
「ねぇ、滋さん、それでどこまで話しをしたの?」
「うん・・・司があたしに会いに来たときには、もうあんたのこと知ってたよ。
どこに勤めて、何をしてるとか・・」
「で、あのコンドームのことを聞かれたからとぼけてみたんだけど、あいつちゃんと調べてた・・だから・・」
「だ、だから?」
電話の向うの友人の声はどんどん小さくなっていた。
「だからね・・なんでそんな小細工したのかってことで・・・・・」
万事休す・・・
***
今朝ほど目覚めが悪い朝を迎えたことは無かった。
牧野つくしの勤務する研究施設を研究費の助成ということを名目に訪れた。
あの女も落ち着いてみればさすがにこの場所で話しをするようなことではないと、改めて話しをすることになった。
頭がいいだけに、思考回路の切り替えが早かった。
そして仕事場で理性を失ったりはしなかった。
プライバシーにかかわる重要な話しをどこでするか考えあぐねていたが
俺の部屋が一番安全だってことが分かった。
盗撮だの盗聴だのされてこれ以上ややこしい問題を増やすことだけはしたくなかった。
ホテル住まいは気楽だが不便な点も多い。
ロビーにはいつも誰かがいるからだ。
写真週刊誌の記者とかどっかのレポーターとかどこからか紛れ込んでくる。
あいつらは暇なのか?
司は目の前の女に対して怒りを感じていた。
滋に対してもそうだが、牧野つくしのバカさ加減にだ。
ただ、単純にバカな男とのあいだに子供が欲しかったから俺と寝ただと?!
単なる精子を提供者してくれる人間が欲しかっただと?
自分が優秀だから相手の男はバカで単純な男がいいと?
どう考えれば俺がそう見えるんだ?
研究者と言う立場の女がどう転んだらこんなバカなことを思いつくのか気が知りたいと思っていた。
学者センセーってのはよくわかんねぇ人種だな。
あいつらは浮世離れし過ぎていやがる。
滋は総二郎とあきらの話しの尻馬に乗っかるかたちでこの女を送り込んできたわけで
言うなればそれぞれの思惑が偶然重なってこの女が俺のもとに来たってわけだが・・・
司は単刀直入に聞いた。
「それで?牧野つくし。おまえは妊娠したのか?」
「え?」
ポカンとした顔で司を見た女は言葉に躊躇していた。
「そ、それは・・」
「どうなんだ!」
司は怒鳴った。
「い、い・・まだ・・わかりません・・」
つくしは男の迫力にいいえと言いたかったが言えなかった。
「それで?いつになったら妊娠してるかどうかがわかるんだ?」
まさかそんなことを聞かれるはめになるとは思わなかったけど、答えないわけにはいかなかった。
「もうすぐ・・わかると思います・・」
と小さな声で答えた。
「もうすぐっていつだ?」
「具体的な日程を言え!」
つくしはたじろいだ。
「ま、まだ・・・」
実はもうわかっていた。
生理がスケジュールどおりに来ていない。
まだ検査はしていないけど、多分妊娠しているはずだ。
自分の身体のことだもの。小さな変化は見逃せないと思った。
ここのところ、なんとなくだが乳房が重く感じられた。
あたしの目の前にいるのはお腹の中の子供の父親で、この子は初めて父親の声を耳にしているはずだ・・・理解できればだけど。
「それで?おまえ、俺の子供を使ってなにをするつもりだ?」
「な、なにって・・」
「滋は・・おまえは俺のことをバカっぽいから・・相手に選んだなんていいやがったけど・・何が目的なんだ?」
「な、なにって?」
「金か?道明寺の財産か?」
つくしは男に一方的に言われっぱなしでムカついてきた。
「えーっと、道明寺さん。滋さんがどこまで話したのかわからないけど、ためしにあたしの立場になって考えてみて?」
「おまえの立場ってなんだよ?」
「あ、あなたは・・・気にすることなんて何もないから。心配もいらない。も、もしも子供が出来ていたら、こ、子供はあたしの子であって・・あなたの子供ではないの。結婚もしていないし、言葉は悪いけど私生児なの。あたしは、あたしだけの子供が欲しかっただけで
認知しろとか、養育費をくれとか、一切求めないから安心して下さい」と淡々と言ってのけた。
そうすると司は自分でも信じられないように意外な言葉を言っていた。
「いや。ダメだ。俺はその子供の親としての権利を主張する」
つくしはポカンと口を開けた。
どうして?
・・・普通まったく知らない女が妊娠なんかしたらそんな女なんて身に覚えがないとか、俺の子供じゃないとか言うのが男性でしょ?
「あの・・」
とそこまで言いかけたが胃の中からせり上がる何を感じ、つくしはバスルームへと駆け込むと便器の前にしゃがみこんで・・・抱えた。
そしてしばらくしてから立ち上がると洗面台で口をすすいだ。
間違いない・・・あたしはあの男の子供を身ごもっている。
バスルームで派手に嘔吐してから部屋に戻ってみれば恐ろしい形相の男が仁王立ちして待っていた。
我らがヒロイン牧野つくしちゃんお誕生日おめでとうございます!
早く幸せになってね。←あっちもこっちも早く幸せにしてあげたいです(笑)

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コメント
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た*き様
はは・・(笑)
もうバレたので無理ですね。逃げられないでしょう(笑)
どう考えても司がつくしの身勝手な振る舞いを許すなんてことはないでしょうね。
楓さん、跡継ぎを熱望していると思います。
だって司にはそんな気なんてなかったんですから、これ幸いとばかりでしょう。
過保護な司ですか?
何だかんだと気にはなるようですから、あり得るかもしれません。(笑)
あの四コマですね?あれにはガックリでした。
いつか動いて、喋ってくれる彼に会えるといいですね。
コメント有難うございました(^^)
はは・・(笑)
もうバレたので無理ですね。逃げられないでしょう(笑)
どう考えても司がつくしの身勝手な振る舞いを許すなんてことはないでしょうね。
楓さん、跡継ぎを熱望していると思います。
だって司にはそんな気なんてなかったんですから、これ幸いとばかりでしょう。
過保護な司ですか?
何だかんだと気にはなるようですから、あり得るかもしれません。(笑)
あの四コマですね?あれにはガックリでした。
いつか動いて、喋ってくれる彼に会えるといいですね。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2015.12.28 22:20 | 編集

S様
はじめまして。
こちらこそ宜しくお願い致します。
このつくしちゃん33歳でございます。
お誕生日おめでとう!
人生について考えた結論がこうなりました。
大胆ですね(笑)
しかし、司のことをバカバカ言っていましたから
これからが大変だと思います。
バカっぽく見えましたがそうでもないようです。
ドタバタラブコメ風味ですが、宜しくお願いします!
拍手コメント有難うございました(^^)
はじめまして。
こちらこそ宜しくお願い致します。
このつくしちゃん33歳でございます。
お誕生日おめでとう!
人生について考えた結論がこうなりました。
大胆ですね(笑)
しかし、司のことをバカバカ言っていましたから
これからが大変だと思います。
バカっぽく見えましたがそうでもないようです。
ドタバタラブコメ風味ですが、宜しくお願いします!
拍手コメント有難うございました(^^)
アカシア
2015.12.28 22:33 | 編集

as***na様
お誕生日にご懐妊おめでとうのお話しをぶつけてみましたので、Wおめでとうです。
でも呑気になんてしていられません。
バレましたから(笑)
司くん、ちょっと気になるどころではありません。
今はもの凄く気になってると思います。
でもつくしちゃん、あまり興味がないようです。
どうする?二人!⬅え?
コメント有難うございました。(^^)
お誕生日にご懐妊おめでとうのお話しをぶつけてみましたので、Wおめでとうです。
でも呑気になんてしていられません。
バレましたから(笑)
司くん、ちょっと気になるどころではありません。
今はもの凄く気になってると思います。
でもつくしちゃん、あまり興味がないようです。
どうする?二人!⬅え?
コメント有難うございました。(^^)
アカシア
2015.12.28 22:48 | 編集

名無し様
さすがですよね!(笑)
決める時は一発で決める。
素晴らしい的中率です!
拍手コメント有難うございました。(^^)
さすがですよね!(笑)
決める時は一発で決める。
素晴らしい的中率です!
拍手コメント有難うございました。(^^)
アカシア
2015.12.28 22:54 | 編集

つか***ちゃん様
つくしピンチです。
自分だけの子供が欲しいと言うつくし。
ちょっと身勝手ですが、司に迷惑をかけないと言いっています。子供の今後が気になります。
**夫婦、面白いですね!
跡継ぎですからあの人が出てきそうです。
そうすると、益々のピンチになります。
どうする?つくし!
と、言うことで明日に続きます。
拍手コメント有難うございました。(^^)
つくしピンチです。
自分だけの子供が欲しいと言うつくし。
ちょっと身勝手ですが、司に迷惑をかけないと言いっています。子供の今後が気になります。
**夫婦、面白いですね!
跡継ぎですからあの人が出てきそうです。
そうすると、益々のピンチになります。
どうする?つくし!
と、言うことで明日に続きます。
拍手コメント有難うございました。(^^)
アカシア
2015.12.28 23:09 | 編集

の*様
面白おかしく。
こちらはラブコメ風味ですのでニヤニヤして下さい。(笑)
子供の取り合いをする二人を想像すると笑えます。
ですが、何だかんだと上手い具合に司のペースに巻き込まれて行きそうな気がします。
だから司はバカじゃないって!(笑)
今さら気がついても遅いですよ?(笑)
そして顔が良いのはおまけ程度にしか考えていませんし、つくしちゃん、大丈夫?
コメント有難うございました(^^)
面白おかしく。
こちらはラブコメ風味ですのでニヤニヤして下さい。(笑)
子供の取り合いをする二人を想像すると笑えます。
ですが、何だかんだと上手い具合に司のペースに巻き込まれて行きそうな気がします。
だから司はバカじゃないって!(笑)
今さら気がついても遅いですよ?(笑)
そして顔が良いのはおまけ程度にしか考えていませんし、つくしちゃん、大丈夫?
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2015.12.28 23:23 | 編集
