司は若くして直木賞を受賞した人気作家だ。
ベストセラー作家だ。
だが彼の人気を支えているのは作品だけではない。それは彼が映画で主演を張れるほどの外見を持っているからだ。
つまり司は文学的才能とは別に女を惑わす外見を持つ作家としてテレビへの出演や雑誌に載ることが増えた。
そんな男だから司の近くにはストーカーと思われる女の存在がある。
そしてその女は何故か彼のスケジュールを知っていて、『道明寺さん。今日あなたはメイプルにいましたよね?あなたは中野さんと一緒にいましたね?』そんな手紙を送って来るようになった。ちなみにメイプルは道明寺家が経営するホテルで中野とは雑誌のカメラマンだ。
そして手紙には写真も添えられていて、司が自宅のマンションのベランダに立っている姿や、ホテルのロビーで担当編集者と一緒にコーヒーを飲んでいる姿が写っていた。
けれど当の本人は、そんな手紙や写真が送られてきても全く気にしていなかった。
だがやがて手紙の内容が一方的な思いや脅迫めいたものに変わると流石に周りも心配した。
『道明寺さん。どうして私の気持ちを受け止めてくれないのですか?あなたは私のことが嫌いになったの?でも私はあなたのことが忘れられないの。だから私から離れると言うのなら、私はあなたを殺して永遠に私だけのものにするわ』
だから出版社は司に警護を付けることを勧めた。
しかし司は警護を付けることを嫌がった。
だが万が一のことがあっては大変だと出版社はボディガードを付けた。
「よろしくお願いします。今日からあなたの警護を担当します。牧野つくしです」
ボディガードは女。
司は元SPだと言う自分の肩にも届かない小さな女が自分を守れるとは思わない。
だから、ボディガードなどいてもいなくても同じだと無視することにした。
何か言われても返事をしなかった。
だがある日。「道明寺さん。困ります。勝手に出歩かれては困ります」と夜遅く飲みに行こうとした司の前に立ち塞がった。
「なあ。おい。いい加減にしてくれ。出歩くなと言われても俺には自由に行動する権利がある。その権利をお前に止める権利はない。それにいつもいつも俺の後を付いて回るな。お前のようなチビに後ろを付いて回られると鬱陶しいんだ」
司にイライラとした態度でチビと言われた女は、その態度を気にすることなく平然と訴えた。
「道明寺さん。ですが私はあなたの安全を守るために雇われています。それにあなたは私の雇い主である出版社の方針に従うことを決めたんですよね?私をボディガードとして傍に置くことを認めたんですよね?それなら私の忠告を聞いて下さい。あなたはストーカーに命を狙われています。あなたは彼女にまともに取り合うつもりは無いのでしょうけど、彼女はいつもあなたのことを見ていると言っています。つまり他の人間のことは目に入っていません。そういった人間は目的のためには何をするか分かりません。だから危険なんです」
司の前に立ち塞がった女は、なんとか外出しようとしている男を止めようとしていた。
「それにもし飲みに行きたいなら、こんな真夜中ではなくもう少し早い時間にして下さい。それにご友人と飲みたいなら、そのご友人をご自宅に招いて下さい」
司はその言葉に思考を巡らせた。
そして暫く女を見つめると、「なるほど。誰かと飲みたいなら、その誰かをここに呼べばいいんだな?」と言って無邪気にほほ笑んで見せた。
すると女は「ええ。そうです。ご友人の方をこの家にお呼び下さい」と言った。
だから「分かった。飲みに行くのは止めた」と司が答えると、女は安堵した様子でホッとした表情を浮かべたが、それを見た司はニヤリと笑った。
「お前の要望を受け入れ飲みに行くのは止めたが、その代わり女を抱きたい。だが問題がある。それは今の俺に特定の女がいないことだ。だから相手を探す必要がある。つまり、そういった場所に行く必要がある。分かるよな?そういった場所だ。だがお前は外出するなと言う。それなら女をここに呼べばいいって言うんだろうが、俺はこの家に商売女を入れるつもりはない。だからお前の望み通り俺にここにいて欲しいなら、お前が俺の相手をすればいい。そうすればこの問題は解決するが、どうする?」

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ベストセラー作家だ。
だが彼の人気を支えているのは作品だけではない。それは彼が映画で主演を張れるほどの外見を持っているからだ。
つまり司は文学的才能とは別に女を惑わす外見を持つ作家としてテレビへの出演や雑誌に載ることが増えた。
そんな男だから司の近くにはストーカーと思われる女の存在がある。
そしてその女は何故か彼のスケジュールを知っていて、『道明寺さん。今日あなたはメイプルにいましたよね?あなたは中野さんと一緒にいましたね?』そんな手紙を送って来るようになった。ちなみにメイプルは道明寺家が経営するホテルで中野とは雑誌のカメラマンだ。
そして手紙には写真も添えられていて、司が自宅のマンションのベランダに立っている姿や、ホテルのロビーで担当編集者と一緒にコーヒーを飲んでいる姿が写っていた。
けれど当の本人は、そんな手紙や写真が送られてきても全く気にしていなかった。
だがやがて手紙の内容が一方的な思いや脅迫めいたものに変わると流石に周りも心配した。
『道明寺さん。どうして私の気持ちを受け止めてくれないのですか?あなたは私のことが嫌いになったの?でも私はあなたのことが忘れられないの。だから私から離れると言うのなら、私はあなたを殺して永遠に私だけのものにするわ』
だから出版社は司に警護を付けることを勧めた。
しかし司は警護を付けることを嫌がった。
だが万が一のことがあっては大変だと出版社はボディガードを付けた。
「よろしくお願いします。今日からあなたの警護を担当します。牧野つくしです」
ボディガードは女。
司は元SPだと言う自分の肩にも届かない小さな女が自分を守れるとは思わない。
だから、ボディガードなどいてもいなくても同じだと無視することにした。
何か言われても返事をしなかった。
だがある日。「道明寺さん。困ります。勝手に出歩かれては困ります」と夜遅く飲みに行こうとした司の前に立ち塞がった。
「なあ。おい。いい加減にしてくれ。出歩くなと言われても俺には自由に行動する権利がある。その権利をお前に止める権利はない。それにいつもいつも俺の後を付いて回るな。お前のようなチビに後ろを付いて回られると鬱陶しいんだ」
司にイライラとした態度でチビと言われた女は、その態度を気にすることなく平然と訴えた。
「道明寺さん。ですが私はあなたの安全を守るために雇われています。それにあなたは私の雇い主である出版社の方針に従うことを決めたんですよね?私をボディガードとして傍に置くことを認めたんですよね?それなら私の忠告を聞いて下さい。あなたはストーカーに命を狙われています。あなたは彼女にまともに取り合うつもりは無いのでしょうけど、彼女はいつもあなたのことを見ていると言っています。つまり他の人間のことは目に入っていません。そういった人間は目的のためには何をするか分かりません。だから危険なんです」
司の前に立ち塞がった女は、なんとか外出しようとしている男を止めようとしていた。
「それにもし飲みに行きたいなら、こんな真夜中ではなくもう少し早い時間にして下さい。それにご友人と飲みたいなら、そのご友人をご自宅に招いて下さい」
司はその言葉に思考を巡らせた。
そして暫く女を見つめると、「なるほど。誰かと飲みたいなら、その誰かをここに呼べばいいんだな?」と言って無邪気にほほ笑んで見せた。
すると女は「ええ。そうです。ご友人の方をこの家にお呼び下さい」と言った。
だから「分かった。飲みに行くのは止めた」と司が答えると、女は安堵した様子でホッとした表情を浮かべたが、それを見た司はニヤリと笑った。
「お前の要望を受け入れ飲みに行くのは止めたが、その代わり女を抱きたい。だが問題がある。それは今の俺に特定の女がいないことだ。だから相手を探す必要がある。つまり、そういった場所に行く必要がある。分かるよな?そういった場所だ。だがお前は外出するなと言う。それなら女をここに呼べばいいって言うんだろうが、俺はこの家に商売女を入れるつもりはない。だからお前の望み通り俺にここにいて欲しいなら、お前が俺の相手をすればいい。そうすればこの問題は解決するが、どうする?」

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