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2020
12.12

グランパ <前編>

クールでジェントルでミステリアス。
エレガントでソフィスティケートされているが力強い存在。
そう言い表されるのは道明寺財閥の総帥である道明寺祐(たすく)。
彼は生粋のニューヨーカーに見えるが実は典型的な日本男児で昭和の男だ。
そしてふたりの子供の父親だが、子供たちが幼かった頃デレデレと愛情を示したことがない。だからそんな男が子供たちと一緒にいる時の姿は、子供が苦手な父親が頑張ってあやしている。周りからはそう思われていた。

だがそんな祐が孫に誕生日プレゼントを買った。
そしてそれをリビングのテーブルの上に置き眺めていたが、問題はそれをどうやって渡すかだ。何しろ彼はニューヨークに住んでいて孫は東京。だが何を悩む必要があるのか。渡したければプレゼントを抱えてジェットに乗り会いに行けばいいだけの話だ。

「あなた。そのプレゼントですけど、ご自分でお持ちになればいいじゃないですか?」

お茶を飲みながら妻の楓にそう言われた男は、まさにそうしようとしていたところだと言いたかった。
だが何故か口をついたのは、「忙しい。送ることにする」

「あなた…..忙しいと言っても週末の予定はキャンセルしたと秘書から訊きました。
わたくしは今年あの子の誕生会に行くことが出来ませんからプレゼントはつくしさんに預けてきました。だけどあなたは東京に行くために予定をキャンセルされたのではないのですか?」

実はそうだ。今週末の予定は妻が知るよりもずっと早くキャンセルしていた。
そして妻の言う誕生会とは息子の時のように盛大なパーティーではなく家族だけで祝う小さな催し。そして息子の妻であり孫の母親からは、時間が許せばぜひ来て下さいと言われていた。

「それに巧も大きくなりました。もう5歳です。七五三用の紋付き袴を用意しなければ。
それにしても子供の成長は本当に早いわ。ほらこの写真を見て下さい。司の小さい頃によく似てるでしょう?」

そう言った妻の楓は何かと理由をつけて東京に足を運び孫に会い、その成長をつぶさに見て来た。
そして妻が見せてくれた写真の男の子は、少し前まで、ふっくらとした頬をした幼子だったが今は息子の幼い頃に似ていた。

「それに巧は、おじいちゃんは元気って訊くんですよ?あの子も祖母のわたくしばかりが会いに来て祖父のあなたが会いにこないことを不思議思っています。だからプレゼントを持って東京に行かれてはいかがですか?」

孫が生まれたとき東京にいたのは妻の楓。
祐はビジネスでどうしてもニューヨークを離れることが出来なかった。
そして祐が孫に会うのは年に二度ほど。
そんな祐は5歳になる孫に会いたいが息子との間に距離を感じていた。
だからプレゼントは送ると言い「仕事をする。執務室に行く」と言って立ち上った。




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