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2015
12.23

恋の予感は突然に 10

「おまえは誰だ?」

両手で肩を押さえつけられ、身動きがとれなかった。
つくしは男の胸の下でその重みに押し潰されてしまいそうだと思った。
相手は滋さんの知り合いとはいえ、見知らぬ男性だ。
バスローブを羽織っただけの見知らぬ男性にのしかかられているなんて信じられなかった。
今のあたしが置かれた状況が違うならこんな状態で大人しく横たわっているなんてあり得ない事態だ。
それなのにあたしは・・・この男の黒髪に指を差し入れて引き寄せたい衝動に駆られていた。
下から見上げるかたちで見る男の顔には思いやりなど感じられるわけもなく、鋭い視線でつくしの顔を見つめていた。

喉がカラカラに乾いていた。
つくしは唇をひらくと下唇に舌を走らせた。

「だ、だから・・」
「さ、産業スパイとかじゃなくて・・」



・・・スパイじゃなくて泥棒なんだけど・・・
それも・・精子泥棒・・
ああ、でも泥棒なんてしたらもう天国には行けないかもしれない・・
そ、そうだ!


「あの、あ、あたし・・も、もうすぐ出家するのっ!」
つくしは咄嗟の思いつきで言った。
「あ、尼寺には、入るから・・その・・ぞ、俗世間でのさ、最後の思い出に・・」
声がひっくり返りながらつくしは言葉を継いだ。
「し、滋さんがね、あたしの最後の望みを叶えてあげるって言ってくれて・・」
「じゃあ、その・・あの・・」




「なに?それで俺が選ばれたって?」
司はいびつな笑みを浮かべた。
「俗世間での思い出にってか?」
司はアホくせぇと言う表情で自分が組み敷いた女を見た。
よく次から次へと嘘ばかり並べられるものだ。

「牧田月子、おまえ俺をバカにするのもいい加減にしろよ?」
「おまえ、どうしても俺に本当のことを喋る気なんてなさそうだな?」


本当のことよ!
つくしは心の中で叫んでいた。
だってあたしはこのチャンスを逃すときっと普通の子供を育てることなんてない!
あたしの最後の望みなんだもの、このバカ男は!
あたしなんていつか、どこかの頭のいい男性とお見合いなんてさせられて結婚させられちゃうはめになるわ。
そうなったら子供に平凡な人生なんて望めない!
本当は俗世間に留まりたいからこのバカ男が必要なのよ!


「ほ、本当のことよ!」
つくしは男の目を見つめるとちからを込めて言った。

滋さんは男にとって一番重要なのは最終結果、つまり放出するときだけだと言っていた。
だったらその前の項目は省略してもらって構わない。
手順なんて気にしてないから!
何をするのか知らないけど、あたしは省略してもらって全然構わないから!


「おまえの言ってることを信じるほど俺はバカじゃねぇぞ?」
そう言いながらも男はつくしのうえから動こうとはしなかった。
「やっぱりこの身体に聞いてみるか?」
司はつくしのうえに跨ったままでゆっくりと顔を近づけてきた。
ええ、ぜひお願い!
「・・やっぱ、やめた 」
司は掴んでいたつくしの肩から手を離すとベッドのうえから降りた。

ど、どうして!
困るのよ、今日じゃないと!
「俺はそのへんの女を適当に漁るほどの女好きじゃねぇ。あきらや滋がどういうつもりでおまえを連れて来たか知らねぇけど、俺は盛りのついた雄犬じゃねぇからな」
「まったくあいつらの考えることはガキのときから進歩してねぇな」
司はテーブルに置かれた煙草に手を伸ばしながらぞんざいな態度で言った。
「もういい。おまえ帰れ、牧田月子!」



ここまで来て帰れるわけないじゃない!!

つくしはベッドのうえに起き上ると震える手でドレスのジッパーをおろし、頭から脱いだ。
もうこうなったら・・本気で体当たりするしかなかった。

つくしは司へと近づくと彼の腰に緩く巻かれていたバスローブの紐を思いっきり引っ張った。
はらりと開いたバスローブの下に男は何も身につけてはいなかった。







ブラとパンティだけの姿で立つ自分がどう見えるかなんて考えたことがないけど
少なくともこの男を反応させるだけのことはあったようだ。
なによ!さっきはあたしの裸を見たくせに!
司を誘惑するならこれくらやらないと!と言って滋さんが勧めてくれた黒のレースで出来たハーフカップのブラジャーとTバック。

『つくし、男にはね視覚効果も重要なのよ?チラリとかポロリとか・・?
だからエロい雑誌とかDVDとかが売れるんだからね!全部丸見えじゃ面白くないみたいよ?』

こんな紐みたいなものに実用性なんて感じられないけど、こんなもので役に立つなら実用云々なんて言ってられないわ。

「おまえ、本気か? そんなんで俺を誘ってんのか?」
「な、なによ。あんただって・・あたしのことほ、欲しいんじゃないの?」

言った!言えたわ滋さん!
こんな台詞が言えるなんて信じられない。
まるで悪い女みたいだ!

「あ、あんたには何も求めないから心配しないで」
お願い、ボランティアでもいいからあたしを抱いて!

「げ、ゲームのルールは理解してる・・だから・・」
もし何かを心配しているならそんな心配はないから!
二度とあんたには会うつもりなんてないから!







バスルームにあるコンドームは古すぎて使い物にはならない。
あれは悪友たちが置いていったものだった。
あんなもん大量に置いていきやがってどいつもこいつも・・俺は色情狂かよ!
床に散らばっていたコンドームのひとつを取り上げると司は女の腕を引いていた。


司は女の首を引き寄せるとキスをした。
優しさとは違う、かと言って強引とも違う、力強いキスだった。

レースの下着は優しく脱がされていく。
小さな布きれなんて男に見せる為だけのものだった。
力をいれてしまえば簡単に裂けてしまいそうだ。
女の脚をゆっくりとなであげていけば、震えが感じられる。
いまは女のすべてが司のまえにさらけ出された状態だった。


この女がいくら口達者なことを言ったとしてもこれからの行為に不安と恐れを感じているのは確かだ。
まさか経験がない?
経験のない女を最後に抱いたのはいつだったか?

悪友どもが何を考えて俺にこの女を連れて来たのかは薄々わかってた。
女で憂さを紛らわせろということだろうが、やりたい放題のバカ男じゃあるまいし、昔の俺と今の俺を一緒にすんじゃねぇよ!
クソッ!
この女をびびらせて逃げ帰らせるために軽く脅してみたが、泣きそうな顔してごめんなさいと言われたときは、その弱々しさに自分がカエルの大将になっちまったみてぇに感じた。
ああ、目が覚めてこの女がベッドで俺に寄り添っているのを見たとき、あのときは息が止まりそうになった。
ちいさな手が俺の胸におかれたときは、その手で心臓をもぎ取られるかと思った。



女のなかに進入する行為はすんなりとはいかなかった。
局部が潤うための行為を繰り返した。
はじめは抵抗を示していた身体もそのうち柔らかく溶けてきた。

胸元で「おねがい・・はやくして」と言われ一気に貫いていた。


押し広げられ貫かれ、圧迫感を感じつくしは叫び声をあげそうになっていたが我慢した。
そしてはじめての痛みに、経験に涙が流れていた。
男が短く悪態をついた。
何を言っているのかわからなかったが、引き抜こうとしているのはわかった。
「お、おねがい・・や、やめないで・・」
だめよ、いま止めたら・・・あたしの赤ちゃんが出来ない!
「おねがい・・」
最後までちゃんとして!
自分の身体のなかに、別の人間の一部が入り込んでいるなんて信じられなかった・・
大きな男の大きな手にお尻を掴まれて、あたしの脚はその男の腰へとまわされていて繋がっていた。
知らない男に何度も何度も突かれる行為が続き、容赦なく奪われながらも身体のどこかが
熱くなってきているのが感じられた。
そして出し入れされるたびに卑猥な音がした。
はじめに感じた痛みも薄れてくると身体のなかに変化がおきた。
ただの生殖行為に何も感じることなんてないと思っていたが、乳房の先を男のくちに含まれて転がされてときには「あ・・あん」と声が出た。

男のつけたコロンの香りが五感を刺激する。
多分、この香りは一生忘れることはないだろう。


つくしの上に覆いかぶさってきた男にキスをされたとき、口いっぱいに煙草とお酒の味が広がった。
そして倒れこんできたとき、重い身体を受け止めながらも余韻に脚が震えていたが男の腰にまわしたままにした。
少しでも確実に妊娠するチャンスのためにはこのままの姿勢でおとなしくしている方がいいと書いてあったから。




司はバスルームでコンドームを外すとゴミ箱に捨てた。
女が身悶えをして絶頂に達した瞬間を感じとっていた。
やはりこの女は経験がなかった。
ゴミ箱に捨てらてたそれには証拠がはっきりと残っていた。
なのに何故?
女が初めての男に選ぶのは好きな男のはずだ。
どうして俺を選んだ?
いくら嘘や誤魔化しを並べたところですぐに真実はわかるだろう。
まずはあきらにでも聞いてみるか。


司はベッドに戻るとうつ伏せの姿勢で横たわっている女の隣に身をすべらせた。
暫くは女の姿を眺めていたが心地よい疲れに身をまかせるように眠りの世界に落ちていった。









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コメント
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dot 2015.12.23 06:45 | 編集
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dot 2015.12.23 08:42 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2015.12.23 19:08 | 編集
も**★様
色んな意味でやりました!←(笑)
出家で笑えました?
ラブコメ風味ですので笑って頂けて良かったです。
取りあえずは第一関門は突破できましたが
結果が伴うのかが月子さんの今の不安でしょうか。
滋ちゃん、してます・・多分(笑)
恋の予感はまだ二人とも・・
う~ん司の方は月子さんのことが気になって来ているようです。
明日はイギリスへ旅立った二人の短編です。
コメント有難うございました(^^)


アカシアdot 2015.12.23 21:26 | 編集
た*き様
読み取って頂けましたか!そうです、
つくしちゃんの周りには頭のいい人たちばかりがいる。
その件はまた後日・・(^^)
いつも鋭い予想で唸りそうになります(´Д⊂ヽ
え?そうなんですか?楽しみにして頂き有難うございます!
ドタバタコメディ風味のお話にお付き合いを頂き有難うございます。
ですが、明日はイギリスに旅立った二人のお話です。
季節感を入れたお話にしてみましたので、宜しければお付き合い下さい。
いつもコメント有難うございます(^^)
アカシアdot 2015.12.23 21:38 | 編集
as***na様
ひとりキャッツアイで盗む物が司の精*ですから
笑っていいのかっ?なんて思いましたが
ラブコメ風味ですので・・(笑)
道明寺家の血筋を引く遺伝子ですから
ある意味大泥棒ですね、月子さん。
悪意を持って臨めば相続の為の権利を勝ち取ることも出来るかもしれません。
二人の間に愛は芽生えていません。
月子さん、司に全く津興味がありませんから(笑)
司はちょっと気になってる様子です。
明日はイギリスに旅立った二人のお話です。
季節感も必要だと思いそれらしいお話しにしてみました。
いつも楽しいコメントを有難うございます(^^)
アカシアdot 2015.12.23 22:02 | 編集
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