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2015
12.21

恋の予感は突然に 8

ばかげていた。
つくしは目を閉じて大きく息を吸った。
なんであたしはこんな所にいて、バカ男に説教をされなきゃいけないの?


つくしは男が投げてよこしたドレスを着て椅子に座らされていた。
目の前にはバスローブに身を包み、怒りをみなぎらせた男が両手を腰にあて、つくしを睨んでいた。


「おまえ牧田月子だったよな?」
「ご、ごめんなさい・・」
「おまえは何がしたいんだ?」
「えっと・・そ・・の・」
「・・ったく・・おまえみたいなにチビに殴られてぶっ倒れたなんて情けねぇ」
下から見事に決まったアッパーカット。
司はつくしに殴られた顎に手をあてながらも力強く立っていた。

チビといわれて思わず拳を握りしめそうになっていた。
「そ、その・・殴ったお詫びをと思って・・」
「おまえは殴り倒した相手に対していつもこんなことしてんのか?」
司はクルクルの髪をかきあげていた。
「ご、ごめんなさい・・な、殴ったことは・・その・・」
つくしは罪悪感に頬を染めた。
「男のベッドに入り込んできてなに言ってんだ?おまえ本当は俺になにをするつもりだったんだ?」



恐ろしい目で睨まれてつくしは深く息を吸い込んだ。
「あ、あの・・介抱しようかなぁ・・なんて思って・・」
今度は羞恥心に頬を染めた。
「おまえ滋のダチだって言ってるみてぇだけど、ほんとは何者だ?」
「写真でも撮らせて俺を脅すつもりか?」
司は椅子に座らせた女の周りをゆっくりとまわりはじめた。
「だ、、だから滋さんの友人です・・」
つくしはうつむき加減で答えた。
胃がキリキリしてきた。
お、お願いだからじっとしてよ!動きまわらないで!
これじゃあまるで裁判で尋問を受けているみたいじゃない!
「もう一度聞くがおまえは何者だ?」

「えーっと、よく意味がわからないんだけど・・?」
男に自分の周りをゆっくりとまわられて目が回りそうになっていた。

「しらばっくれるのもいい加減にしろよ?牧田月子さんよ?」
「おまえ、どっかの商売女だろ?どうせあきら達から頼まれた滋がおまえに頼んだんだろ?」
「牧田月子なんて変な源氏名つけやがって」
低い声で嘲るように言われた。

「あ、あたしは・・」
本当のことがこの男にばれて滋さんに迷惑が掛かったら大変だ!

「そ、その・・」
つくしはこの場をどうやって切り抜けようかと考えてみたが思いつかなかったので
この男の勘違いをそのまま利用することにした。

「俺はなぁ、商売女とはやんねぇ」

「あ、あたしはそのへんの商売女とは違うんだから!あ、あたしは高級な・・えっと・・」

つくしはネットや映画から得た知識をフル活用しようとしていた。
「あ、あたしは高級な・・疑似的恋愛労働者よ!」

「疑似的恋愛労働者だぁ?」
「そ、そうよ!」
「あ、あんた知らないの?感情労働のひとつで、世界で一番古い職業なんだから!」
司はつくしの顔を初めて見たかのようにじっと見た。

「おまえ、俺をバカにするのもいい加減にしろよ?」
「な、なによ?」
「おまえみたいな商売女がいるわけねぇ・・・」
「こんな素人くせぇ商売女がどこにいるんだよ?おまえ・・本当は何者だ?産業スパイか?
どこの企業に幾ら金もらってこんなことやってんだ?それに28だなんて嘘だな」

「おまえ・・やってることと言ってることが矛盾してるし、嘘くせぇんだよ」

「そ、そんなことないわよ!ほ、ほら」
つくしは小さなバッグのなかから取り出したコンドームをいくつか見せた。
「ち、ちゃんと仕事の準備はしてるわよ!」

「へぇ~おまえチビのくせして、この俺とやることやろうって?」
司はつくしの目の前で歩みを止めると椅子のうえで身を縮めるようにしている女の前に屈みこんだ。
そして視線をつくしの目線の高さに合わせてきた。
真正面で自分を見据えるきれいな顔につくしは圧倒された。


「おまえ、さっき俺の胸に触ろうとしてたよな?それも俺の意思とは関係なしに」
「もし仮にだ、おまえが眠っているところに男がきて勝手に胸を触ったりしたらどうする?」

「そ、それは・・ど、どう言う意味?」
「つまりだ。相手の意思に反して行われる行為はなんて言うかしってっか?」
「セクシャルハラスメントだな」
「・・なっ!」
「いや、違うな。セクハラってのは一定の社会的関係があって行われる行為のことを言うからな」
「おまえの場合は・・・・俺に対する暴行未遂か?」
と顎に手をあて、少し考えるような素振りを見せたあと問いかけるように言った。
「ぼ、暴行未遂っ?」
「そうだな。俺は全くしらねぇ女に暴行されそうになったってことか?」
「いい方を変えれば・・・俺はおまえにレイプされそうになったってことか?」
つくしは切り返す言葉が出てこなかった。


「あ、おまえ弁護士を用意しとけよ?」
司は薄い笑みを浮かべた。

「レイ・・。ば、バカなことを言わないでよ!そんなの・・どう考えたって・・ムリに決まってるじゃない!あんたみたいな大きな男にそんな・・」

「いいや。俺は酒を飲んでたら一方的に殴られた。これだけでも立派な暴行事件だぞ?
んで気を失って倒れた俺におまえが・・」
司の目つきが険しくなった。
「ちょっと!なにってんのよ!冗談じゃないわよ!あ、あたしがあんたをれ・・レイ・・プなんてどう考えても無理に決まってる!」
つくしはそこまで言ったもののそれ以上は言葉を返すことができなかった。
司は嫌悪に満ちた表情でつくしを見据えていた。

つくしは内心の動揺を隠せなくなってきた。
ああ、どうしよう・・どうしたらいい?
もしこの男に訴えられたりしたらどうしたいいの?
せっかく子供と二人で生きて行くために貯金したお金も裁判費用や賠償金として支払うはめになるかもしれない。
つくしの背筋に冷たい汗が流れたような気がした。

「ご・・ごめんなさい・・」
つくしはどうしたいいのかわからなくなって泣きそうになっていた。







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コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2015.12.21 05:10 | 編集
た*き様
はい。そろそろ気がついてもいい頃だと思います。
いい加減認識を改めてもいいと思うのですが、どうでしょうか(笑)
目的の為には一生懸命のようですが、どこか鈍感なようですので気がついていないのかもしれません。
いつもコメントを有難うございます(^^)
アカシアdot 2015.12.21 23:19 | 編集
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