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2020
10.17

Love Affair 7

Category: Love Affair
深呼吸をすれば気持を整えることが出来ると言うが、つくしは必要ないとばかり椅子に腰を下ろしたとことで視線が水平になった男に向かって話し始めた。

「あるところにひとりの少女がいました。その少女の家は貧乏でしたが、少女はそんな家庭環境をものともしませんでした。そして少女は高校に入学しました。
でもそこはお金持ちの子供が通う高校で少女の暮らしとはかけ離れた世界でした。
そしてそこには生徒をいじめて楽しむ男がいました。その男はその高校での権力者であり誰も逆らう者がいない存在でした。でもあることがきっかけで少女は男に逆らい苛められることになりました。
それは男の指示により学校中の生徒が彼女を苛めるという図式で勉強するのが困難になるほどでした。でもその少女は苛めに負けませんでした。何故なら彼女は確固たる意志を持った少女だったからです。それは入学したからには無事に卒業して就職をしてお金を稼いで家族に楽をさせたいという思いがあったからです。だから苛めに負ける訳にはいきませんでした。それに少女は人を苛める人間を許すことが出来ない人間でした。だから苛めの張本人である男に宣戦布告をしました」

つくしは、そこでひと息ついた。
彼女が話し始めたのは自分がこの男から受けた苛めについてだが、もし男がつくしのことを覚えていたなら何か言うはずだ。それに、もしつくしのことを忘れていなければ、こんな話も懐かしいと笑い合えたはずだ。
だが彼女のことを覚えていない男は肘掛に乗せていた左腕で肘を付き、その指先に唇を置いたが、その姿は鷹揚だ。まるで召使を見る王のような態度だ。だから鷹揚過ぎて腹が立った。
だがここで腹を立てたところで男が忘れたつくしのことを思い出すとは思えなかったし、そう簡単に男の記憶が戻るとは思っていない。それに話はまだ始まったばかりだ。

それに今までこうして男の前で自分達の過去を話すチャンスが得られたことはなかった。
だからつくしがシェヘラザードになって延々とふたりの物語を語ることが出来るなら、もしかすると男の頭の片隅にあるはずの記憶を呼び覚ますことが出来るかもしれない。

だがふたりの話は色々あって長い。いや実際に付き合った期間は短いのだが、そこに辿り着くまでが波乱万丈でとにかく長かった。だからさしずめ第一章が出会いなら第二章は、はた迷惑な恋ごころ。そして第三章は__

「それで?宣戦布告をした女はそれからどうした?」

つくしは男からそう言われ思考を中断して話を継いだ。

「宣戦布告をした少女は苛めの張本人と闘いました。やられたらやり返すを信条に苛めに立ち向かいました。そんな少女に対し男は何を思ったのか。少女のことが好きになったと言って今度は少女に迫りました。しかし賢明な少女は、これまで自分を苛めていた男のその態度は嫌がらせであり苛めのひとつだと思い男に大嫌いだと言って逃げました。でも男はそんな少女に付き纏いストーカーになりました。少女を困らせました。だから少女は逃げ回りました。でも男は執拗で少女を諦めませんでした」

つくしは話をしながら思った。
今のこの状況は目の前にいる男の失われた記憶を呼び覚ますためだとしても、それと同時につくしも少女だったあの頃の自分を思い出していた。
そして、こうして男の前で過去を振り返ることで失ってしまった二人の時間を共有しようとしていた。




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コメント
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dot 2020.10.17 10:01 | 編集
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dot 2020.10.17 20:37 | 編集
ふ*******マ様
おはようございます^^
半袖Tシャツに半パン( ゚Д゚)いや、流石にもう寒いのでは?
アカシアは寒がりなので冬の装いですが、寒暖差が激しくて大変です。
さて、ふたりの過去を語り始めた女ですが見守って下さるんですね!
ありがとうございます!m(__)m
このつくしは司が失った彼女についての記憶を取り戻そうとしているようですが、果たして....
コメント有難うございました^^

アカシアdot 2020.10.18 22:14 | 編集
司*****E様
こんばんは^^
つくしの語る話はふたりの昔ばなし。
でも司はそんなことは知りません。
ただ、彼がつくしに興味を持ったことは間違いないのですが、どんな思いで話を訊いているのでしょうねえ。
司の心に引っ掛かるものがあるのかないのか。
続きでお確かめ下さいませm(__)m
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2020.10.18 22:22 | 編集
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