自分の思いをぶつける。
それは自分を忘れてしまった男に自分を思い出してもらうこと。
だが今回のことを以っても思い出さなければ、男のことをキッパリ忘れて前へ進もうと決めたが、それは日本を離れ海外で暮らすことだ。
つくしはスポーツ用品会社のフットウエア事業部で営業として働いているが、シューズを生産する主力工場は中国にある。だが会社は中国での生産を終了することにした。
そして中国で生産していたシューズはベトナム工場とインドネシア工場に移管されることになったが、つくしはベトナムへの転勤を打診されていた。
「今すぐにとは言わない。少し考えてもらっていい。君は営業職だが向うの工場で管理の仕事をしてみないか?だが工場は設備を増やす関係で君が赴任して欲しいのは半年先だ。
こんなことを言うとセクハラだと言われるかもしれないが君も女性だし交際している男性がいて結婚を考えているなら無理は言わないよ。だが君は優秀な人材だ。出来れば海外でもその優秀さを発揮して欲しい」
と言った上司は入社以来世話になっている人物であり信頼できる人だ。だからその言葉には気持が込められていた。
そして上司の期待に応えられるか。そうではないかは半年もかからず答えが出る。と同時にその時、結果はさておき12年の片思いを終わらせることが出来るはずだ。
「先輩。連絡が来ましたよ!道明寺さんの秘書の西田さんからです。西田さん、覚えていますよね?道明寺楓の懐刀って言われていた人です。今、西田さんは道明寺さんの秘書ですが、その西田さんから先日メープルのスイートに現れた女性を、つまり先輩をレンタルしたいって電話がかかってきたんです。やっぱり道明寺さんは先輩に興味を持ちましたね!」
仕事を終えたつくしは桜子の会社を訪れた。
するとあの男の秘書からレンタルファミリーを利用したいと連絡があったことを訊かされた。
だが相手は牧野つくしという名前を知らない。
けれど桜子曰く、「多分西田さんは道明寺さんの前に現れた女性が牧野つくしだって知っていますよ?」
桜子が言った秘書の西田とは一度だけ会ったことがある。
それは母親である楓が息子と付き合い始めたつくしに別れるようにと金を持って現れた時だ。表情のないその男性は何を考えているのか分からなかったが、主人の命令はどんなことをしても果たす。そんな冷たい人間に思えた。
「それに西田さんのことです。うちの会社のことを調べ尽くしているはずです。それから私に言ったんです。『大変ご無沙汰しております三条様。三条様が経営されている会社ということは何かありますね?あなたが副社長の元に間違いを装って送り込んだ女性はあの方ではありませんか?』って。つまり西田さんはあの出来事は仕組まれたことだと知っています。
でもあの人は牧野先輩のことを嫌いじゃないと思いますよ?それから先輩の役どころですが話し相手だそうです」
桜子は秘書の西田がつくしのことを嫌いではないと言うが、何を以ってそう思うのか。
そして話し相手という立場は何を求めているのか。それはよくある裕福な年配の男性が連れているコンパニオン的なものを求めているのか。
「ねえ桜子。話し相手って何よ?」
「秘書の西田さんがおっしゃったのは、週末に副社長のご自宅を訪問して話し相手を務める。道明寺さんはそれを牧野先輩に求めているそうです。
うちの会社は家族を求める淋しい人間の元へスタッフを家族として派遣する会社ですから、これまでもおじいちゃん、おばあちゃんの話し相手として娘や孫を手配したことがあります。
それに兄弟姉妹を派遣して兄や姉として話し相手を務めた例もあります。
でも今回は兄弟姉妹ではありません。しかし相手は道明寺さんですから例外ということで引き受けたことになっています。
でもそこは先輩のさじ加減です。先輩は道明寺さんに自分を思い出してもらいたいんですから、好きなように振る舞って下さい。それに道明寺さんも先日の牧野先輩の生意気な態度が気に入ったから派遣を望んだんだと思います。だから先輩は道明寺さんの前で何かを演じる必要はありません。先輩はありのままでいいんです。それにその方が道明寺さんも先輩のことを思い出すかもしれませんから」
桜子はそう言うと、「じゃあ頑張って下さい」と紙を差し出したが、そこには道明寺ホールディングス副社長の自宅と思われる住所が書かれていた。

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それは自分を忘れてしまった男に自分を思い出してもらうこと。
だが今回のことを以っても思い出さなければ、男のことをキッパリ忘れて前へ進もうと決めたが、それは日本を離れ海外で暮らすことだ。
つくしはスポーツ用品会社のフットウエア事業部で営業として働いているが、シューズを生産する主力工場は中国にある。だが会社は中国での生産を終了することにした。
そして中国で生産していたシューズはベトナム工場とインドネシア工場に移管されることになったが、つくしはベトナムへの転勤を打診されていた。
「今すぐにとは言わない。少し考えてもらっていい。君は営業職だが向うの工場で管理の仕事をしてみないか?だが工場は設備を増やす関係で君が赴任して欲しいのは半年先だ。
こんなことを言うとセクハラだと言われるかもしれないが君も女性だし交際している男性がいて結婚を考えているなら無理は言わないよ。だが君は優秀な人材だ。出来れば海外でもその優秀さを発揮して欲しい」
と言った上司は入社以来世話になっている人物であり信頼できる人だ。だからその言葉には気持が込められていた。
そして上司の期待に応えられるか。そうではないかは半年もかからず答えが出る。と同時にその時、結果はさておき12年の片思いを終わらせることが出来るはずだ。
「先輩。連絡が来ましたよ!道明寺さんの秘書の西田さんからです。西田さん、覚えていますよね?道明寺楓の懐刀って言われていた人です。今、西田さんは道明寺さんの秘書ですが、その西田さんから先日メープルのスイートに現れた女性を、つまり先輩をレンタルしたいって電話がかかってきたんです。やっぱり道明寺さんは先輩に興味を持ちましたね!」
仕事を終えたつくしは桜子の会社を訪れた。
するとあの男の秘書からレンタルファミリーを利用したいと連絡があったことを訊かされた。
だが相手は牧野つくしという名前を知らない。
けれど桜子曰く、「多分西田さんは道明寺さんの前に現れた女性が牧野つくしだって知っていますよ?」
桜子が言った秘書の西田とは一度だけ会ったことがある。
それは母親である楓が息子と付き合い始めたつくしに別れるようにと金を持って現れた時だ。表情のないその男性は何を考えているのか分からなかったが、主人の命令はどんなことをしても果たす。そんな冷たい人間に思えた。
「それに西田さんのことです。うちの会社のことを調べ尽くしているはずです。それから私に言ったんです。『大変ご無沙汰しております三条様。三条様が経営されている会社ということは何かありますね?あなたが副社長の元に間違いを装って送り込んだ女性はあの方ではありませんか?』って。つまり西田さんはあの出来事は仕組まれたことだと知っています。
でもあの人は牧野先輩のことを嫌いじゃないと思いますよ?それから先輩の役どころですが話し相手だそうです」
桜子は秘書の西田がつくしのことを嫌いではないと言うが、何を以ってそう思うのか。
そして話し相手という立場は何を求めているのか。それはよくある裕福な年配の男性が連れているコンパニオン的なものを求めているのか。
「ねえ桜子。話し相手って何よ?」
「秘書の西田さんがおっしゃったのは、週末に副社長のご自宅を訪問して話し相手を務める。道明寺さんはそれを牧野先輩に求めているそうです。
うちの会社は家族を求める淋しい人間の元へスタッフを家族として派遣する会社ですから、これまでもおじいちゃん、おばあちゃんの話し相手として娘や孫を手配したことがあります。
それに兄弟姉妹を派遣して兄や姉として話し相手を務めた例もあります。
でも今回は兄弟姉妹ではありません。しかし相手は道明寺さんですから例外ということで引き受けたことになっています。
でもそこは先輩のさじ加減です。先輩は道明寺さんに自分を思い出してもらいたいんですから、好きなように振る舞って下さい。それに道明寺さんも先日の牧野先輩の生意気な態度が気に入ったから派遣を望んだんだと思います。だから先輩は道明寺さんの前で何かを演じる必要はありません。先輩はありのままでいいんです。それにその方が道明寺さんも先輩のことを思い出すかもしれませんから」
桜子はそう言うと、「じゃあ頑張って下さい」と紙を差し出したが、そこには道明寺ホールディングス副社長の自宅と思われる住所が書かれていた。

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司*****E様
ええっとですねえ。紛らわしい書き方をしていたらスミマセン(>_<)
西田さんの依頼は、おばあさんの話し相手ではなく司の話し相手ですm(__)m
ええっとですねえ。紛らわしい書き方をしていたらスミマセン(>_<)
西田さんの依頼は、おばあさんの話し相手ではなく司の話し相手ですm(__)m
アカシア
2020.10.14 21:45 | 編集
