ベッドカバーが外されたその場所をぼんやりと浮かび上がらせているのは部屋の片隅に置かれたスタンドライトの薄明りだけ。
そこに身体を横たえたつくしは、なんの迷いもなくキスを受け入れたが、素肌に異性の素肌を感じるのは初めてだ。
「ノーと言えばいつでもやめる」と言われたが、とっくの昔に経験していてもおかしくないことをこれから経験する女はノーと言うつもりはない。
それに結婚を前提に付き合い始めた恋人のことをもっと知りたかった。それは恥ずかしながらこの年になって初めて抱いたこの人に抱かれたいという思い。
だがこれまでまともに恋をしたことがないつくしにしてみれば、これから起こる行為を受け入れることが出来るか不安がある。
贅肉の付いていない男性の身体は若い男性のように引き締まっている。
それに対し、つくしは贅肉こそないが逆に欲しいところに肉がない。胸は豊満さとはほど遠く、たゆたうことがない。
それは世の男性にしてみれば抱いても楽しくない身体だ。それでもきれいだと言われた。
そして上から食い入るように見つめられ、長く黒々とした豊かな睫毛の生え際まで見ることが出来る近さまで顏を近づけられ、「こういう時は目を閉じるもんだ」と言われると、生まれてこの方、したことがない行為をするのだから素直に言うことを訊いた。
だが目を閉じれば恋人が喉の奥で笑いをこらえていることに気付いた。だから目を開けたが、見下ろす体勢から「嘘だ。セックスにこうしなければないないってルールはない。相手が嫌だと言わなければ自分のしたいことをすればいい」と言われれば何をしてもいいのだと勇気づけられた。
だが何をすればいいのか分からない。すると「俺の背中に手を回せ」と言われた。
だから広くて大きな背中に手を回そうとしたが、身体の大きさの違いから、つくしの腕の長さで相手の背中に手を回すことは難しかった。だから恐る恐る首に手をまわしたが、それはまるで小さな動物が大きな親にしがみついている姿に似ているように思えた。
「よし。じゃあ俺を見て目を逸らすな」
司は恋人が次に何をするか予測するより早く胸の頂に指を這わせた。
すると組み敷いた恋人は震えて息を呑み、頬に欲望の色が宿った。
だが身体はまだ硬く緊張しているのが感じられた。
これまでセックスをするために相手を勇気づけたことはない。
だが男と寝ることが初めての相手が緊張している以上、その緊張を和らげる必要がある。
頭は司を求めることだけを考え、悦びの泣き声をあげて司に応えるように新しい感覚を覚えさせることが必要だ。
だからリラックスさせるために始めた唇や鼻。頬と頤(おとがい)に這わせる唇の動きはゆっくりだ。
そして手が肩から乳房。乳房の頂から腰へと這い、その後を唇で吸えば、手のひらが触れている肌が柔らかくなるのが感じられた。
やがて片手が太腿のあいだに埋められたとき、身体のこわばりが感じられたが「リラックスしろ。大丈夫だ。一瞬だから」と言葉をかけ静かに押し入るように中に入っていったが、その瞬間、驚きと痛みで息を呑んだ身体はこわばっていた。
だから司は腰を抱えたままの姿勢で暫くじっとしていたが、それは経験豊富ではない恋人を守ることを優先し、腰を動かして叩きつけたい衝動を抑えているということ。
だが己の身体とはいえ、こうして抑制することは辛く、いつまでも我慢できるものではない。
それに噴き出す汗が欲求を解き放つことを求めていた。
そのとき、恋人の口を突いたのは、「大丈夫だから」
だから司は開いたその唇にキスをして、その言葉を信じて彼自身を激しく深くうずめる行為を始めたが、恋人の顏は目を閉じ苦痛に耐えている顏をしていた。
だがやがてそれが喘ぎ声に変わり、目を開いて「お願いキスして」の言葉が発せられれば、それに答えるように身体を動かし続けた。
そしてどこからか聴こえた自分の大きな声に、身体の中から溢れ出すものを解き放った。
満ち足りた気分というのは、こういうことを言うのだ。
今度は時間をかけてゆっくりと愛しあいたい。
しかし今そう思うのは司だけかもしれない。何しろ恋人は司の腕の中でまどろみ始めていた。だから今夜はこのまま眠るのが正しい選択だと思え、ふたりの身体に布団をかけると司も眠りについた。

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そこに身体を横たえたつくしは、なんの迷いもなくキスを受け入れたが、素肌に異性の素肌を感じるのは初めてだ。
「ノーと言えばいつでもやめる」と言われたが、とっくの昔に経験していてもおかしくないことをこれから経験する女はノーと言うつもりはない。
それに結婚を前提に付き合い始めた恋人のことをもっと知りたかった。それは恥ずかしながらこの年になって初めて抱いたこの人に抱かれたいという思い。
だがこれまでまともに恋をしたことがないつくしにしてみれば、これから起こる行為を受け入れることが出来るか不安がある。
贅肉の付いていない男性の身体は若い男性のように引き締まっている。
それに対し、つくしは贅肉こそないが逆に欲しいところに肉がない。胸は豊満さとはほど遠く、たゆたうことがない。
それは世の男性にしてみれば抱いても楽しくない身体だ。それでもきれいだと言われた。
そして上から食い入るように見つめられ、長く黒々とした豊かな睫毛の生え際まで見ることが出来る近さまで顏を近づけられ、「こういう時は目を閉じるもんだ」と言われると、生まれてこの方、したことがない行為をするのだから素直に言うことを訊いた。
だが目を閉じれば恋人が喉の奥で笑いをこらえていることに気付いた。だから目を開けたが、見下ろす体勢から「嘘だ。セックスにこうしなければないないってルールはない。相手が嫌だと言わなければ自分のしたいことをすればいい」と言われれば何をしてもいいのだと勇気づけられた。
だが何をすればいいのか分からない。すると「俺の背中に手を回せ」と言われた。
だから広くて大きな背中に手を回そうとしたが、身体の大きさの違いから、つくしの腕の長さで相手の背中に手を回すことは難しかった。だから恐る恐る首に手をまわしたが、それはまるで小さな動物が大きな親にしがみついている姿に似ているように思えた。
「よし。じゃあ俺を見て目を逸らすな」
司は恋人が次に何をするか予測するより早く胸の頂に指を這わせた。
すると組み敷いた恋人は震えて息を呑み、頬に欲望の色が宿った。
だが身体はまだ硬く緊張しているのが感じられた。
これまでセックスをするために相手を勇気づけたことはない。
だが男と寝ることが初めての相手が緊張している以上、その緊張を和らげる必要がある。
頭は司を求めることだけを考え、悦びの泣き声をあげて司に応えるように新しい感覚を覚えさせることが必要だ。
だからリラックスさせるために始めた唇や鼻。頬と頤(おとがい)に這わせる唇の動きはゆっくりだ。
そして手が肩から乳房。乳房の頂から腰へと這い、その後を唇で吸えば、手のひらが触れている肌が柔らかくなるのが感じられた。
やがて片手が太腿のあいだに埋められたとき、身体のこわばりが感じられたが「リラックスしろ。大丈夫だ。一瞬だから」と言葉をかけ静かに押し入るように中に入っていったが、その瞬間、驚きと痛みで息を呑んだ身体はこわばっていた。
だから司は腰を抱えたままの姿勢で暫くじっとしていたが、それは経験豊富ではない恋人を守ることを優先し、腰を動かして叩きつけたい衝動を抑えているということ。
だが己の身体とはいえ、こうして抑制することは辛く、いつまでも我慢できるものではない。
それに噴き出す汗が欲求を解き放つことを求めていた。
そのとき、恋人の口を突いたのは、「大丈夫だから」
だから司は開いたその唇にキスをして、その言葉を信じて彼自身を激しく深くうずめる行為を始めたが、恋人の顏は目を閉じ苦痛に耐えている顏をしていた。
だがやがてそれが喘ぎ声に変わり、目を開いて「お願いキスして」の言葉が発せられれば、それに答えるように身体を動かし続けた。
そしてどこからか聴こえた自分の大きな声に、身体の中から溢れ出すものを解き放った。
満ち足りた気分というのは、こういうことを言うのだ。
今度は時間をかけてゆっくりと愛しあいたい。
しかし今そう思うのは司だけかもしれない。何しろ恋人は司の腕の中でまどろみ始めていた。だから今夜はこのまま眠るのが正しい選択だと思え、ふたりの身体に布団をかけると司も眠りについた。

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コメント
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司*****E様
経験豊富な司のリードで無事終えましたねえ(笑)
司のように身体の大きな男性が相手となると色々と大変だったと思いますが、とりあえず良かったですね!
暑さ寒さも彼岸までと言いますが、それにしても近年は季節の移り変わりが急です。
冬用の布団を早々に用意すべきでしょうか。
そうですねえ。病院の中は空調が管理されて最適な室温が保たれていることから、外に出て寒い!暑い!と感じることもしばしば。
季節の変わり目となりました。司*****E様もご自愛下さいませ。
コメント有難うございました^^
経験豊富な司のリードで無事終えましたねえ(笑)
司のように身体の大きな男性が相手となると色々と大変だったと思いますが、とりあえず良かったですね!
暑さ寒さも彼岸までと言いますが、それにしても近年は季節の移り変わりが急です。
冬用の布団を早々に用意すべきでしょうか。
そうですねえ。病院の中は空調が管理されて最適な室温が保たれていることから、外に出て寒い!暑い!と感じることもしばしば。
季節の変わり目となりました。司*****E様もご自愛下さいませ。
コメント有難うございました^^
アカシア
2020.09.20 20:14 | 編集

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ふ**ん様
肝心なところがさらっと!!(≧▽≦)
え?ダメ?(笑)
だって最近濃厚な場面を書いていないので書き方忘れました(笑)
またいつかご期待に添えればいいのですがどうでしょうねぇ(;^ω^)
肝心なところがさらっと!!(≧▽≦)
え?ダメ?(笑)
だって最近濃厚な場面を書いていないので書き方忘れました(笑)
またいつかご期待に添えればいいのですがどうでしょうねぇ(;^ω^)
アカシア
2020.09.21 21:57 | 編集

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ふ**ん様
左斜め後ろに座っている!!(≧▽≦)
そうでした、そうでした。アカシアの担当編集者様でしたね!
昨日は倍返しの話を見たのですが、それはさておき濃厚セクシー色気むんむんですね?
が、頑張ってみます!(≧◇≦)
左斜め後ろに座っている!!(≧▽≦)
そうでした、そうでした。アカシアの担当編集者様でしたね!
昨日は倍返しの話を見たのですが、それはさておき濃厚セクシー色気むんむんですね?
が、頑張ってみます!(≧◇≦)
アカシア
2020.09.21 23:15 | 編集
