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2020
06.24

夜の終わりに 17

会社の経営は独特の才覚がなければ出来ない。
つまりこの男性は頭の回転が速く物事を処理する能力に長けているということになるが、そんな男性の口から出たのは惚れたという言葉。そんな言葉を道明寺司ほどの男性から言われれば、大袈裟かもしれないが言われた女性は世界の全てを手に入れたと思うだろう。

いや。大袈裟などではない。何しろ男性は道明寺家の跡取りで、いずれグループに君臨する人物。つまり大金持ちなのだから、好きな女性の望みなどいとも簡単に叶えてしまうだろう。
だから、尚更の事そんな人物から惚れたと言われて喜ばない女性はいない。

しかし、つくしはと言えば___正直この告白に戸惑っていた。
だがあの一夜を過ごした男性のことが気になっていたことは事実であり、本当の名前は?名前が分かればどこの誰であるか知ることが出来ると思った。だから名前を聞かなかったことを後悔した。

けれど、こうして思いもよらぬ形で突然目の前に現れ、「探してほしかったはずだ」と言われると、それが心の中で望んでいたことだったとしても素直に「はい。そうです」と答えることは出来ないのがつくしの性格だ。
それに「お前、俺に惚れただろ」などと上から目線で言われれば、なおさらだが、正直今は頭の中が混乱していて何をどう言えばいいのか分からなかった。


「どうした?何をそんなに驚いている?俺は自分の気持を偽ることは下手だ。いや。出来ない。だから正直に自分の気持を言った。それで?お前はどうなんだ?」

だから、どうなんだと言われても、いきなり惚れたと告白をされて驚くしかないのだが、それにしても男性は人を殴った後だというのに、平然とくつろいだ様子でいる。
だが、男性が道明寺司ならそれも頷ける。それはあの夜に本人も口にしたように過去に色々あったとしても、この男性は人生の王道をまっしぐらに歩いている人間で自分が行っていることは全て正しいと思っているからだ。

そして道明寺司は他人に何かを求めなくても、他人の方から与えにくる。
それに敷かれたレールの上を走ることが嫌だと言っても全てに於いて道は整えられていて、その道を進めばいいだけだ。だがあの夜それを望まなかったと本人は口にした。だから男性は求めることや、与えられるのを待つ人間ではない。つまりこの人は奪い取るタイプの人間だ。と、いうことは、男性がつくしに惚れたというのなら、自分の思いを叶えるためには何でもするということになる。だから物事の展開が異常に早いということになる。
だがそれはつくしが得意とする展開ではない。何しろつくしは恋に奥手であり、勢いをつけるまでに時間が必要だ。それに惚れた。探しに来たと言っても何が目的なのか。
だから頬を硬くして訊いた。

「何が望みなんですか?」

「何が望み?お前だ」

訊くんじゃなかった。
いや。違う。訊き方を間違えた。

「私を探して何がしたいんですか?」

「何がしたいか?男が惚れた女にしたいことは決まってるはずだが?キスしたい。抱きしめたい。いや。抱きたい。具体的に言えば身体と身体を遮る布をとっぱらって抱きたい。だから俺と付き合ってくれ」

つくしは、これほど率直にものを言う男性に会うのは初めてだ。
まさに単刀直入で言われた方は恥ずかしいことこの上ない。だがこれだけの言葉を道明寺司のような男性に言われノーと答える女性はいないだろう。
それにしてもキスしたい。抱きしめたい。抱きたい。と、こんなことを言っても許されるのは、自分に自信がある男だけだが、目の前の男性は誰もが認める美形で裕福な男性だ。だから口説き文句もさまになる。

「ああ。もちろんその先もある。お前の付き合いの先にあるのは結婚だ。結婚を前提に付き合いたい」

司はちょっと微笑んで言ったが、これまで女に惚れたことがない。だから告白をしたことも口説いた経験もない。だが自分に添う女を見つけたと思った。それはたった一夜を過ごしただけの女だが、直感と言えばいいのか。そしてこうしてその女を前に自分の目は確かだと確信した。
それは、まさにこの瞬間、鳩が豆鉄砲を食ったような表情の牧野つくしはちっとも嬉しそうではなく、司がメンドクサイことを言ったとでもいうように迷惑そうな顔をしているからだ。
そして司はこれまで自分に纏わりついてくる女が嫌いだった。
だが今はおかしなもので、自分がそうしたい。つまり目の前の女に纏わりつきたい気分だった。それにこれまでは、ちまちました恋愛など鬱陶しいだけだという思いがあったが、今は牧野つくしと恋愛がしたい。

「それで?返事は?」

その問いかけに口を開いた女は、「どうかしてる」と小さく呟くと一歩後ろに下がった。
だから司は女が下がった分一歩前に出たが、司を見上げる女の顏は緊張していることから、からかわれているとでも思っているのか。だから司はそんな女の思い払拭するように、きっぱりと言った。

「これは冗談じゃない。俺は本気だ」

司は牧野つくしを追いつめるように更に近づいた。すると女はまた一歩後ろに下がったが、そこにあるのは会議テーブルで、背中があたると息を呑んだ。そして大きな目をさらに大きく見開いて司を見ているが、その大きな目を見つめながらもっと近づきたいと身体を寄せ、指で硬くなった頬を撫でた。

「牧野つくし。俺と恋愛してくれ」




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コメント
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dot 2020.06.24 07:29 | 編集
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dot 2020.06.24 07:30 | 編集
このコメントは管理者の承認待ちです
dot 2020.06.24 12:22 | 編集
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dot 2020.06.24 13:48 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
ほんの数時間過ごしただけの相手にひとめ惚れ。
つくしと違って司は本能に生きる男ですから、それもありかもしれません。
何しろ彼、野獣ですからねえ。
つまり狙った獲物は逃さない!ということですね(笑)
さあ。つくしのお返事を聞きましょう!
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2020.06.25 22:56 | 編集
ふ*******マ様
おはようございます^^
つくし!行け!GO!GO!
はい。アカシアもそう思います!
これだけ思いをぶつけられたら行くしかないでしょう!(笑)
え?振り回される男が見たい?さて、どうなるんでしょうねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2020.06.25 23:00 | 編集
と*様
「一晩一緒に過ごした責任を取って..」(≧▽≦)
ドラマの坊ちゃんそんなことを言っていましたか!(笑)
懐かしいですねえ。DVD見たくなります。
さて。こちらの坊ちゃん。惚れた女を手に入れることが出来るのでしょうか!
強引なところがある男ですがつくしと恋愛してもらいたいものです。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2020.06.25 23:07 | 編集
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dot 2020.06.25 23:08 | 編集
瑛*様
こんにちは^^
逃げられない状態で交際を迫られる女。
え?その立場を代わって欲しいんですか?(≧▽≦)
Σ(゚∀゚ノ)ノキャー!司に会議テーブルに追いつめられて襲われたいんですね!
いえいえ。この坊ちゃんは会議テーブルでそんなことはしません。
ただ、俺様。強引なところはあるでしょう。
そんな男に惚れられたら最後。逃げれません。
つくし。諦めなさい。でもどうしても嫌ならその立場を譲ってね。
ということですね?
了解です。つくしに伝えておきます!
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2020.06.25 23:13 | 編集
ふ**ん様
普通の人が言ったら、おまわりさんに捕まることを平気で言える男。
それが道明寺司。
いや、それにしても直球ですよね。
訊いてる方は恥ずかしい(≧▽≦)
ド派手な王子。惚れたら一直線ですからねえ。
そしてつくしはそれに何と答える?
ひとつ言えるのは、逃げても捕まるからね💛
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2020.06.25 23:19 | 編集
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