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2015
12.13

恋の予感は突然に 2

「つくし、わかったわ。滋ちゃんにまかせなさい!つくしとは長い付き合いだもの、つくしがどれだけ真剣なのかわかったからね!」

「つくしからお願いされることなんて滅多にないんだからあたしがつくしの願いを叶えてあげる!上手くいけばつくしは来年の今頃には赤ちゃんと一緒に誕生日を迎えられるからね!」

「ありがとう滋さん。あ、あたしにバカな男を紹介して!」
つくしは目の前の滋の両手をしっかりと握りしめた。

店内は忘年会シーズンも終を迎えてはいるものの大人数のグーループが楽しそうに騒いでいるなか、滋は向かいに座っている親友が何杯目かのアルコールをぐいぐいと飲み干す様子を眺めていた。
そしてこの様子じゃぶっ倒れてしまうのではないかと心配していた。



かわいそうなあたし・・・
以前一度だけ付き合いを始めようかと考えた男性がいた。
が、その男性は若い女性とも付き合いがあった。
話しがあると言われて聞いてみれば『悪いんだけど、やっぱり女性は若い子の方がいい』
なんて言われて振られた。
男なんて!
若くて胸の大きい女の子が好きな単細胞ばっかりっ!


「つくし、あんた飲み過ぎなんじゃない?」

うん!飲み過ぎかもしれない!
でも飲む理由だったらある。
だって決めたんだから!

つくしはペーパーナプキンで口元を拭うと言った。
「ねえ、滋さん・・」
「なに?つくし?」

「あんな人がいい・・」
「え?どんなひと?」

「ほら、あれ見て?」
つくしが指をさした場所にあった大型テレビの中に映し出された男。
消音状態で映像だけが流されている画面いっぱいに男が映っていた。

「ねえ、つくし・・あんな人ってどの人?」滋はつくしの指さす方を見た。

「うんうん、あの人みたいな人。チャラチャラしてぇ・・ホストかなにかみたいに軽い人がいい・・でもちょっと顔がよすぎるのよね・・・」
つくしは首をかしげるとくすくすと笑いだした。
「つくし、どの人のことを言ってるの?」

「あ、あの頭がクルクルしてる人。なんか変な頭だよねぇ~頭クルクルなんてなんかバカっぽいよね、アハハ・・」

「男4人でチャラチャラしちゃってさっ!」 と言うと顔をしかめて見せた。


つくしは酔いがまわったのかケラケラと笑い出していた。

「ちょっと、つくし!しっかりしてよ大丈夫?」


「つくし、あのね、あの4人はねF4って言ってね・・」

「な~によそれ?エフフォ~?ってどっかのホストクラブ?」

「とにかく、頭がクルクルしてるのは道明寺司って言ってね、道明寺ホールディングスの・・」

つくしは目の前の滋の指先をギュッと握りしめた。
「滋さんっ!ん・・誰なんだか知らないけど、あたしってどうしてあんなふうなチャラチャラして薄っぺらいくらいの男性に出会わないのかな・・・バカっぽい男なのにね・・」


「つくし、あんたなに言ってんの。司がバカっぽいって?」
滋はつくしの言葉に耳を疑っていた。
司はF4のなかでも一番バカっぽいが似合わない男だ。経済誌の表紙を飾るにふさわしい男で、頭が切れるのはもちろんだが、その容姿からも注目を集める男だった。
その男はいま、テレビ画面のなかでインタビューを受けていた。
このインタビューは以前見たことがあると滋は思った。
確か数日前の映像だ。インタビュアーのくだらない質問に一瞬顔をこわばらせた司は、そんな相手をひと睨みして黙らせていた。

「ねえ、つくし、あんた本気で言ってるの?司みたいな男に本当に子供の父親になってもらいたいって・・」

「やっだぁ~滋さん違うって!父親なんて要らないのよ。あくまでも遺伝的要素だけ欲しいの。あんなふうにバカっぽい男がいいのっ! だって見るからに単純そうじゃない?細胞の数も少なそう・・・だいたいあの髪なによっ?おかしいと思わない?
顔がいいのはおまけってことで・・・あ、でも顔って遺伝するのかなぁ・・」
つくしは声をあげて笑っていた。
そしてまた目の前に用意されたグラスに口をつけると、そのままテーブルのほうへとズルズルと身体を傾けて行った。

滋はつくしがこれ以上アルコールを口にしないようにと、テーブルのうえのグラスを脇へと押しやった。


滋はいよいよつくしの頭がどうかしたんじゃないかと思っていた。
この友人は頭だけは良くて、勉強だけは人一倍頑張った子で、それ以外はまったく世間を知らなくてアカデミックな世界を漂ってきた人間だった。
そのうちにノーベル賞でも取るような研究成果でも成し遂げるんじゃないだろうかと言う気もする。
いくら自分が頭がいいからって、子供の父親にバカな男を求めて自分とその男の遺伝子を足して割れば、自分ほど頭のよくない子供が生まれるだなんてことを本気で考えているつくしがおかしかった。

確かにつくしは頭が良すぎて周囲から浮きまくっていたことは事実らしい。
日本に飛び級制度があれば、とっくに高校も大学も卒業していただろう。
頭が良すぎて寂しい思いもしたのは確からしい・・
子供らしい遊びも知らず、その才能を見出されたことによってひたすら勉強に励んできたのだから。
だからせめて我が子には普通の生活を送らせてやりたいと思ったのだろう。
そして、ひとりぼっちはもう嫌だと呟いていた。


滋は自分でも信じられないことを口走っていた。

「ねえ、つくし?もしもなんだけどね、あの人を紹介してあげるって言ったらどうする?」

「え?滋さん、それ本当なの?」
つくしは突っ伏していたテーブルからおもむろに顔をあげた。

「だから司を・・あの男をね、つくしの子供の父親にするために協力するって言ったらつくしはどうする?」

「滋さん、あの人を知ってるの?」
つくしは滋をまじまじと見た。
「うん・・ちょっとね・・」


滋は考えた。
司もいい加減身を固めて欲しいとおば様も言っていた。
ならちょうどいいじゃない?
司の誕生日ももうすぐ来るんだし・・・あいつももうすぐ34歳だ。
司とつくし・・・タイプは正反対の二人だけど面白いかも・・
つくしは司の好きなタイプとはちょっと・・・いや随分と違うかもしれないけどこの子だって化けることは出来るわよね?
お化粧とか着る物とかちょっと手を加えればすぐにいい女になるわよ!
この二人・・案外いいパートナーになるかもしれない・・

「つくし、あんたが本気でやるんだったら協力は惜しまないからね!」
「・・あとは・・つくしのヤル気しだいなんだからねっ!」
今日は12月28日だ。司の誕生日までまだ一カ月はある。
つくしを・・司へのプレゼントにするのもいい考えだと滋は思い始めていた。







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コメント
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dot 2015.12.13 06:20 | 編集
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dot 2015.12.13 09:03 | 編集
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dot 2015.12.13 14:02 | 編集
as***na様
いつもお読み頂き有難うございます。
司のバカっぽさを見抜いたかどうかは?なんですが
少なくとも今の段階でのつくしは司に対して何の感情も
持っていないようです(笑)
あのクルクル~なんて言って笑っています。
まだ彼を男として認識していないようですよ?
誕生日にいいことがあるといいね!司!
あっちのお話もそろそろ・・と思ってますが
ギャップがありすぎですよね(笑)
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2015.12.13 21:25 | 編集
椿**さん☆様
えへっ。滋ちゃん策士に変身です!
二人のキューピット役に徹して頂きたいと思います。
親友ですから、色々とアドバイスとか相談とかに乗ってもらいます。
でもなんだかとんでもないアドバイスをしそうです!
やはり弟の心配をするお姉さまの立場としては滋さんの手助けをして頂かなくては!
う~ん・・でも今回は出番は・・どうでしょう(笑)
更新は出来る範囲で頑張りたいと思います。
ご声援ありがとうございます。
また覗いてみて下さると嬉しいです。
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2015.12.13 21:36 | 編集
た*き様
持てる者と持たざる者の関係ですね?
各々立場が違えば隣の芝生の話しではありませんが羨ましがる心も生まれるのでしょう。
結婚はどうでもいいけど子供は欲しいって話しはよく聞きます。
育ててみないとわからないことは沢山ありますよね。
持ってみて納得できる人生ならいいのですが、そうではない・・と言うこともありますよね。
人はどこかで自分の人生に折り合いをつけて生きて行くことが必要となる時もあります。
このつくしちゃん、男は不要だけど子供は欲しいって!
限りある人生に折り合いをつける時期が来てるようです。
ある意味とてもポジティブな生き方を選んでいるようです(笑)
いつもお読み頂き有難うございます。
コメント有難うございました(^^)
アカシアdot 2015.12.13 21:54 | 編集
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