「….つくしか。面白い名前だ」
司は女の背後に立ち鏡の中で目を合わせるとクックッと笑った。
妖しい香りを漂わせるこの場所は男の部屋。
司は美容整形外科医として一流の腕を持つ男。
彼の元にはハリウッドの大女優はもちろん大物政治家まで大勢の人間が美しくなりたい、若返りたい。老いた姿を世間に見せたくないと訪れるが、彼らは容姿にコンプレックスがあるのではない。自分が醜いと悲観しているのではない。その姿には彼らなりの美しさや見た目の素晴らしさがあった。
それならなんのために司の元を訪れるのか。
それは隣の芝生は青いと同じで何でも他人のものはよく見えるということ。だから他人と自分を比較してより良いものが欲しいと司の元を訪れていた。
もっときれいになりたい。
もっと美しくなりたい。
若々しい姿でいたい。
ただ、それだけで自分の身体にメスを入れることを躊躇わない人間たち。
そして皆こう言う。
今以上に美しく作り替えて欲しいと__。
だから司は彼らの願いを叶えるが、それは一度でも身体にメスを入れた人間の尽きる事のない欲望。
顏の一部分を治せば、次はここを治して欲しい。ここの脂肪を取って、ここを大きくしてこの顏に合う身体を作って欲しいときりがない。
だが司は美容整形外科だ。だから彼らの望み通り手術台に乗った身体が麻酔で動かなくなれば銀色のメスを握る手は迷うことなく肉を切り骨を削る。
そして目覚めた彼らは間違いのない美しさを手に入れる。
だが出来上がった美しさは永遠のものではない。年を取ればその美しさは自然なものとは異なった形で老いて行く。そして彼らはまた司の元を訪れるが、それを悪いとは言わない。
何しろ美容整形は保険が適用されないことからの現金払い。
だから一流の美容整形外科と言われる男の洗練された腕に支払われる金額は大きかった。
そんな男は独身だが恋人はいない。それに愛人もいない。
だから男が純粋な気晴らしのために呼んだ女はコールガール。
とはいえ、その女は彼だけに用意された女。
身体に別の男の色が染み付いていない女。
男は低い声で女の名前を呼んだが、その声はセクシーで女を惹き付ける声をしていた。
そして経験を積んだ男の目が女の顏と身体をゆっくりと眺めまわしたが、それは美容整形外科医の目。
もしメスが入っていれば一目で分かる。見破ることが出来る。
だが司の前に立ち鏡を見ている女の顏にその痕跡はなったが、身体は服を脱ぐまで分からない。
つまり豊胸や脂肪吸引といったものをしている可能性はあるが、身体の線を強調しない、ゆったりとしたワンピースからその身体を推し量ることは出来なかった。
だが胸のふくらみが小さいことは見て取れた。
「服を脱げ」
そう言った司の唇の端がかすかに上を向いた。
女は言われた通り着ていたワンピースを脱いだが、下着はシンプルな白で飾り気が無かった。
司は裸になると女の身体を自分の身体で押すようにしてベッドに倒した。
男の指は長くて美しいと言われる指。
その指が女の乳首に触れ、下腹部へと滑ったが、目の前の身体にメスが入った痕跡はなく滑らかで美しい身体をしていたが、それはまさに無垢な純白といっていい身体だった。
そして処女だとういう女。
「お前。本当に初めてか?」
その言葉に女は小さく「え、ええ」と言ったがその声には戸惑いが感じられたが、もし処女が本当なら司が初めての男になる。だから緊張しているのか。
だが女の言葉を全て信じるほど司はバカではない。それに司は好きなだけ女に無理強い出来る。だから抱く前に無垢だという女に淫らなポーズを取らせてみたいと思った。
それは裸の女の身体など見慣れた男の奇妙な欲望だ。
司は女を抱き上げると風呂場に連れていった。
鏡の前に腰を据えると、両膝の上に女を座らせ、それからアスレチックジムに置かれている器具のように膝を大きく広げ薄い陰毛に隠れていたピンク色の性器を露出させたが、それは卑猥で淫靡な光景。
だから女は恥ずかしいのか。顏は紅潮し目は伏せられていた。
「なるほど。ここはそれほど使われてないように見える」
女の言葉が本当なら、そこはまだ誰も踏み入れたことがない純潔を示す薄い膜が張られている場所。目で見て確かめるには女の股の間に顏を突っ込むことになるが、そうするよりも鏡の前で自分のあられもない姿を見せる方が楽しそうだ。
だからその存在を確かめるため指を1本挿れた。
「ああっ!!」
声が上がると同時に開かれた大きな黒い瞳。
その瞳は揺れていて、指の先には処女の証と言われる膜が確かにあった。
だが処女膜は人の手によって再生することが出来る。だから本物の処女かどうか分からなかった。
けれど、今こうして鏡の前で男の手で開脚された姿は、快楽にふけった経験があるようには思えなかった。
それに司が指を挿れた瞬間、身体が強張り鏡の中の女の顏は歪んで指を締め付け、親指で神経が集まった小さな蕾を愛撫し、こすれば締め付けが強くなり更に身体が強張った。
そして漏れる喘ぎ声。
「ハアっ…」
「どうした?気持いいか?それならもっとしてやろうか?」
司は指を締め付ける場所の探索を始めたが、いっそのことこの指で膜を突き破ろうかと思うも、楽しみは後に取っておくではないが、感じやすい襞を指で弄び続けた。
するとこれまで強張っていた身体が弛緩してきたのが感じられた。
「….は…ああっ…」
指で中を掻き混ぜて抜くと同時に溢れた生あたたかい液体が手のひらまで流れ司を刺激した。
それは男のはっきりとした性欲の表れである硬くそそり立つペニス。
大きく膨らんだ亀頭。そしてその先端に光る雫。
それらが女を欲しいと言っていた。
「つくし。鏡を見ろ。ここを見ろ」
言うと女と鏡の中で目を合わせたが、広げられた足の間にあるそこは、ぬらぬらと光りピンクが艶めいていた。
「お前のここはこれから俺のものになる。ここを何度も俺が出入りしてお前は俺の女になる。今はピンクだが使えば使うほど濃くなる。つまりここは俺の色に染まってくる。
お前はきっとこれが好きになる。それからお前のここはうっ血したようになって俺を欲しがるようになる。挿れて欲しいと強請るようになる」
司は女の腰を持ち上げると、一気に素早くペニスを女の身体に収めながら座らせた。
「あぁぁ__っっ!」
膜が破られたと同時に上がる叫び声と反り返る背中。
だからその身体を掴み、容赦なく女の腰を上下させた。
「….は….あっ……あっ….」
膜の向こうにあるのは狭い胎内。
その最奥にある場所を目指し普段なら取らない体位で女を責めた。
「どうだ?感じるか?俺を感じるか?」
「…..ぁ…..っつあ….はぁぁ…….あん!ああっ!」
女は苦痛なのか。快楽なのか。
言葉にならない喘ぎ声を上げているが、司を包み込んだ胎内はねじ込まれた異物に纏わりつき濡らしていく。
「そうか。お前はこれが好きか?こうされるのが好きなんだな」
司は女の腰に手を掛け、もっと深く、さらに深く女の中へ入ろうと身体を持ち上げては引き下ろしていた。
「あっ!あっ!ん…..ああっ!」
女はすすり泣くような喘ぎ声を上げるだけで司の問いに答えることはなかったが、今は話すことも考えることも出来ないのだろう。それに鏡に映った女の顏は嫌いだとは言ってはいない。
だからもっと激しく突き上げたが、突き上げるたびに揺れる小さな胸の先端は固く尖り、脚の間から聞こえるヌチャヌチャとした水音は、一層湿り気を増しグチョグチョという音に変わった。
「ハァ….っああっ!」
「いいぞ。いい。お前の身体は俺に合うように作られてる」
事実司の身体は身体の奥から女を求める蠢きを止めることが出来なかった。
それに女の身体を持ち上げるたびに迸る液体が女のものか。それとも司のものか。そんなことはどうでもいいとペニスは飢えた獣のような凶暴さで女を突き上げ続けた。
「はぁ、ああっ!あっ!アッ、アッ!ああっ_____!」
女がイッたのが分かった。
だから司も女の悲鳴がのぼりつめたその先をのぼり、手を離すと女の顏に触れ、喘ぎ声を吸い取るように唇を重ねた。
「支社長」
司はその声に現実に引き戻されパッと瞳を開いた。
そして目の前に現れた秘書に毒づいたが、秘書は司の機嫌が良かろうが悪かろうが関係ないといった態度で言った。
「書類に目を通していただけたのでしょうか?」
「あ?ああ。全部見た」
「ありがとうございます」
秘書はそう言うと司の前に湯気の立つコーヒーを置いた。
だからそのコーヒーを口に運んだが、思った以上に熱く再び毒づいたが、秘書はそんな司に言った。
「ところで牧野様は最近ドイツ語教室に通い始めました」
「ドイツ語教室?」
それは初耳だった。
「はい。牧野様は仰いました。オリンピックが延期になったことでチャンスが出来た。この状況を前向きに捉えたいからドイツ語を習うことにしたと」
今年開催予定だったオリンピックが来年に延期になったことは周知の事実だが、何故秘書は司が知らない恋人の思いを知っている?
「牧野様は小川様が話す言葉を理解したい。出来ることなら言葉を習得して来年ボランティアとして参加したいと仰いました。
それから支社長が出張から戻られた時には少しでもドイツ語で会話が出来ればと毎日のように通われているそうです。何しろ支社長はドイツ語をお話になられますので、ご自分もと思われたようです。それに支社長を驚かそうと思われたようです」
隠し事が苦手な女の隠し事が言語学習だったことは確かに驚いた。
「それに我社は手厚い福利厚生があり自己啓発を社員に勧めております。
語学習得手当が年間30万。健康増進手当も年間3万まで補助が出ます。牧野様はその語学習得手当を申請されております。ちなみにその教室の教師はドイツ人女性で彼女のご自宅が教室となっております」
と言って秘書は書類を差し出したが、そこに書かれていた住所はあのマンションの住所。
それにしてもいつも冷静な秘書は司の頭の中までお見通しなのか。
恋人の素行を気にしている男に求めていた答えを示していた。
そして恋人が理解したいと言った小川様の小川というのはドイツ語では「バッハ」。
そこにはオリンピックを楽しみにしていた恋人の気持が見て取れた。
「ちなみに牧野様が学習を始めたのは支社長がドイツへご出張される少し前からですが、さすがティーン・オブ・ジャパンの準優勝者。集中力は素晴らしいものがあります」
その言葉に恋人が心ここにあらずといった状況だったのを理解した。
何しろ恋人はこうと決めたら、それを自分のものにすることに努力を惜しまない女なのだから。
今年東京で開催される予定だったオリンピックが諸般の事情で延期になったことは残念だが、来年の楽しみが出来たと思えばいい。
それにきっとその頃には延期されることになった理由も去り世界は落ち着いているはずだ。
そう思う司の健康法は好きな人に会って、その人の笑顔を見ること。
その人と一緒に食事をして笑い合うこと。
そして、心の免疫力を高めるのは恋人の存在。
彼女がいるだけで世の中のすべてのことがバラ色に見える。
「西田。アイツを迎えに行く。車を用意しろ」
だから会ったら言おう。
『 Ich libe dich 』(イッヒ リーベ ディッヒ)
ドイツ語で愛してると。

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司は女の背後に立ち鏡の中で目を合わせるとクックッと笑った。
妖しい香りを漂わせるこの場所は男の部屋。
司は美容整形外科医として一流の腕を持つ男。
彼の元にはハリウッドの大女優はもちろん大物政治家まで大勢の人間が美しくなりたい、若返りたい。老いた姿を世間に見せたくないと訪れるが、彼らは容姿にコンプレックスがあるのではない。自分が醜いと悲観しているのではない。その姿には彼らなりの美しさや見た目の素晴らしさがあった。
それならなんのために司の元を訪れるのか。
それは隣の芝生は青いと同じで何でも他人のものはよく見えるということ。だから他人と自分を比較してより良いものが欲しいと司の元を訪れていた。
もっときれいになりたい。
もっと美しくなりたい。
若々しい姿でいたい。
ただ、それだけで自分の身体にメスを入れることを躊躇わない人間たち。
そして皆こう言う。
今以上に美しく作り替えて欲しいと__。
だから司は彼らの願いを叶えるが、それは一度でも身体にメスを入れた人間の尽きる事のない欲望。
顏の一部分を治せば、次はここを治して欲しい。ここの脂肪を取って、ここを大きくしてこの顏に合う身体を作って欲しいときりがない。
だが司は美容整形外科だ。だから彼らの望み通り手術台に乗った身体が麻酔で動かなくなれば銀色のメスを握る手は迷うことなく肉を切り骨を削る。
そして目覚めた彼らは間違いのない美しさを手に入れる。
だが出来上がった美しさは永遠のものではない。年を取ればその美しさは自然なものとは異なった形で老いて行く。そして彼らはまた司の元を訪れるが、それを悪いとは言わない。
何しろ美容整形は保険が適用されないことからの現金払い。
だから一流の美容整形外科と言われる男の洗練された腕に支払われる金額は大きかった。
そんな男は独身だが恋人はいない。それに愛人もいない。
だから男が純粋な気晴らしのために呼んだ女はコールガール。
とはいえ、その女は彼だけに用意された女。
身体に別の男の色が染み付いていない女。
男は低い声で女の名前を呼んだが、その声はセクシーで女を惹き付ける声をしていた。
そして経験を積んだ男の目が女の顏と身体をゆっくりと眺めまわしたが、それは美容整形外科医の目。
もしメスが入っていれば一目で分かる。見破ることが出来る。
だが司の前に立ち鏡を見ている女の顏にその痕跡はなったが、身体は服を脱ぐまで分からない。
つまり豊胸や脂肪吸引といったものをしている可能性はあるが、身体の線を強調しない、ゆったりとしたワンピースからその身体を推し量ることは出来なかった。
だが胸のふくらみが小さいことは見て取れた。
「服を脱げ」
そう言った司の唇の端がかすかに上を向いた。
女は言われた通り着ていたワンピースを脱いだが、下着はシンプルな白で飾り気が無かった。
司は裸になると女の身体を自分の身体で押すようにしてベッドに倒した。
男の指は長くて美しいと言われる指。
その指が女の乳首に触れ、下腹部へと滑ったが、目の前の身体にメスが入った痕跡はなく滑らかで美しい身体をしていたが、それはまさに無垢な純白といっていい身体だった。
そして処女だとういう女。
「お前。本当に初めてか?」
その言葉に女は小さく「え、ええ」と言ったがその声には戸惑いが感じられたが、もし処女が本当なら司が初めての男になる。だから緊張しているのか。
だが女の言葉を全て信じるほど司はバカではない。それに司は好きなだけ女に無理強い出来る。だから抱く前に無垢だという女に淫らなポーズを取らせてみたいと思った。
それは裸の女の身体など見慣れた男の奇妙な欲望だ。
司は女を抱き上げると風呂場に連れていった。
鏡の前に腰を据えると、両膝の上に女を座らせ、それからアスレチックジムに置かれている器具のように膝を大きく広げ薄い陰毛に隠れていたピンク色の性器を露出させたが、それは卑猥で淫靡な光景。
だから女は恥ずかしいのか。顏は紅潮し目は伏せられていた。
「なるほど。ここはそれほど使われてないように見える」
女の言葉が本当なら、そこはまだ誰も踏み入れたことがない純潔を示す薄い膜が張られている場所。目で見て確かめるには女の股の間に顏を突っ込むことになるが、そうするよりも鏡の前で自分のあられもない姿を見せる方が楽しそうだ。
だからその存在を確かめるため指を1本挿れた。
「ああっ!!」
声が上がると同時に開かれた大きな黒い瞳。
その瞳は揺れていて、指の先には処女の証と言われる膜が確かにあった。
だが処女膜は人の手によって再生することが出来る。だから本物の処女かどうか分からなかった。
けれど、今こうして鏡の前で男の手で開脚された姿は、快楽にふけった経験があるようには思えなかった。
それに司が指を挿れた瞬間、身体が強張り鏡の中の女の顏は歪んで指を締め付け、親指で神経が集まった小さな蕾を愛撫し、こすれば締め付けが強くなり更に身体が強張った。
そして漏れる喘ぎ声。
「ハアっ…」
「どうした?気持いいか?それならもっとしてやろうか?」
司は指を締め付ける場所の探索を始めたが、いっそのことこの指で膜を突き破ろうかと思うも、楽しみは後に取っておくではないが、感じやすい襞を指で弄び続けた。
するとこれまで強張っていた身体が弛緩してきたのが感じられた。
「….は…ああっ…」
指で中を掻き混ぜて抜くと同時に溢れた生あたたかい液体が手のひらまで流れ司を刺激した。
それは男のはっきりとした性欲の表れである硬くそそり立つペニス。
大きく膨らんだ亀頭。そしてその先端に光る雫。
それらが女を欲しいと言っていた。
「つくし。鏡を見ろ。ここを見ろ」
言うと女と鏡の中で目を合わせたが、広げられた足の間にあるそこは、ぬらぬらと光りピンクが艶めいていた。
「お前のここはこれから俺のものになる。ここを何度も俺が出入りしてお前は俺の女になる。今はピンクだが使えば使うほど濃くなる。つまりここは俺の色に染まってくる。
お前はきっとこれが好きになる。それからお前のここはうっ血したようになって俺を欲しがるようになる。挿れて欲しいと強請るようになる」
司は女の腰を持ち上げると、一気に素早くペニスを女の身体に収めながら座らせた。
「あぁぁ__っっ!」
膜が破られたと同時に上がる叫び声と反り返る背中。
だからその身体を掴み、容赦なく女の腰を上下させた。
「….は….あっ……あっ….」
膜の向こうにあるのは狭い胎内。
その最奥にある場所を目指し普段なら取らない体位で女を責めた。
「どうだ?感じるか?俺を感じるか?」
「…..ぁ…..っつあ….はぁぁ…….あん!ああっ!」
女は苦痛なのか。快楽なのか。
言葉にならない喘ぎ声を上げているが、司を包み込んだ胎内はねじ込まれた異物に纏わりつき濡らしていく。
「そうか。お前はこれが好きか?こうされるのが好きなんだな」
司は女の腰に手を掛け、もっと深く、さらに深く女の中へ入ろうと身体を持ち上げては引き下ろしていた。
「あっ!あっ!ん…..ああっ!」
女はすすり泣くような喘ぎ声を上げるだけで司の問いに答えることはなかったが、今は話すことも考えることも出来ないのだろう。それに鏡に映った女の顏は嫌いだとは言ってはいない。
だからもっと激しく突き上げたが、突き上げるたびに揺れる小さな胸の先端は固く尖り、脚の間から聞こえるヌチャヌチャとした水音は、一層湿り気を増しグチョグチョという音に変わった。
「ハァ….っああっ!」
「いいぞ。いい。お前の身体は俺に合うように作られてる」
事実司の身体は身体の奥から女を求める蠢きを止めることが出来なかった。
それに女の身体を持ち上げるたびに迸る液体が女のものか。それとも司のものか。そんなことはどうでもいいとペニスは飢えた獣のような凶暴さで女を突き上げ続けた。
「はぁ、ああっ!あっ!アッ、アッ!ああっ_____!」
女がイッたのが分かった。
だから司も女の悲鳴がのぼりつめたその先をのぼり、手を離すと女の顏に触れ、喘ぎ声を吸い取るように唇を重ねた。
「支社長」
司はその声に現実に引き戻されパッと瞳を開いた。
そして目の前に現れた秘書に毒づいたが、秘書は司の機嫌が良かろうが悪かろうが関係ないといった態度で言った。
「書類に目を通していただけたのでしょうか?」
「あ?ああ。全部見た」
「ありがとうございます」
秘書はそう言うと司の前に湯気の立つコーヒーを置いた。
だからそのコーヒーを口に運んだが、思った以上に熱く再び毒づいたが、秘書はそんな司に言った。
「ところで牧野様は最近ドイツ語教室に通い始めました」
「ドイツ語教室?」
それは初耳だった。
「はい。牧野様は仰いました。オリンピックが延期になったことでチャンスが出来た。この状況を前向きに捉えたいからドイツ語を習うことにしたと」
今年開催予定だったオリンピックが来年に延期になったことは周知の事実だが、何故秘書は司が知らない恋人の思いを知っている?
「牧野様は小川様が話す言葉を理解したい。出来ることなら言葉を習得して来年ボランティアとして参加したいと仰いました。
それから支社長が出張から戻られた時には少しでもドイツ語で会話が出来ればと毎日のように通われているそうです。何しろ支社長はドイツ語をお話になられますので、ご自分もと思われたようです。それに支社長を驚かそうと思われたようです」
隠し事が苦手な女の隠し事が言語学習だったことは確かに驚いた。
「それに我社は手厚い福利厚生があり自己啓発を社員に勧めております。
語学習得手当が年間30万。健康増進手当も年間3万まで補助が出ます。牧野様はその語学習得手当を申請されております。ちなみにその教室の教師はドイツ人女性で彼女のご自宅が教室となっております」
と言って秘書は書類を差し出したが、そこに書かれていた住所はあのマンションの住所。
それにしてもいつも冷静な秘書は司の頭の中までお見通しなのか。
恋人の素行を気にしている男に求めていた答えを示していた。
そして恋人が理解したいと言った小川様の小川というのはドイツ語では「バッハ」。
そこにはオリンピックを楽しみにしていた恋人の気持が見て取れた。
「ちなみに牧野様が学習を始めたのは支社長がドイツへご出張される少し前からですが、さすがティーン・オブ・ジャパンの準優勝者。集中力は素晴らしいものがあります」
その言葉に恋人が心ここにあらずといった状況だったのを理解した。
何しろ恋人はこうと決めたら、それを自分のものにすることに努力を惜しまない女なのだから。
今年東京で開催される予定だったオリンピックが諸般の事情で延期になったことは残念だが、来年の楽しみが出来たと思えばいい。
それにきっとその頃には延期されることになった理由も去り世界は落ち着いているはずだ。
そう思う司の健康法は好きな人に会って、その人の笑顔を見ること。
その人と一緒に食事をして笑い合うこと。
そして、心の免疫力を高めるのは恋人の存在。
彼女がいるだけで世の中のすべてのことがバラ色に見える。
「西田。アイツを迎えに行く。車を用意しろ」
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司*****E様
なるほど。5人組の彼らの中で一番美意識が高いのがJ君なんですね。
このまま行けばいい感じで年齢を重ねることが出来るんですね?
こちらのお話の美容整形外科医になった司は人間の美しくなりたいという欲望を仕事にしていますが、彼の腕は超一流。イケメンの美容整形外科医ですが、そんな男に身体をいじられるのは、恥ずかしいという気もしそうですが、美しくなりたいという欲望の前には、司の美貌よりもその腕が一番なのかもしれませんね?(笑)
それにしても御曹司の見る夢というのか妄想は果てしないですね?(≧▽≦)
しかし、その妄想も愛していることが前提なので最後は彼女に溺れるのが御曹司の可愛いところでしょうか。
さて、オリンピックは1年の延期となりました。
今のこの状況で本当に来年大丈夫なのか不安が残るところですが、日々刻々と変化するのが今の状況です。
ある日突然特効薬が!という期待もあるのですがどうでしょうか。
とにかく今のこの状況が一刻も早く終息してくれることを願うばかりです。
コメント有難うございました^^
なるほど。5人組の彼らの中で一番美意識が高いのがJ君なんですね。
このまま行けばいい感じで年齢を重ねることが出来るんですね?
こちらのお話の美容整形外科医になった司は人間の美しくなりたいという欲望を仕事にしていますが、彼の腕は超一流。イケメンの美容整形外科医ですが、そんな男に身体をいじられるのは、恥ずかしいという気もしそうですが、美しくなりたいという欲望の前には、司の美貌よりもその腕が一番なのかもしれませんね?(笑)
それにしても御曹司の見る夢というのか妄想は果てしないですね?(≧▽≦)
しかし、その妄想も愛していることが前提なので最後は彼女に溺れるのが御曹司の可愛いところでしょうか。
さて、オリンピックは1年の延期となりました。
今のこの状況で本当に来年大丈夫なのか不安が残るところですが、日々刻々と変化するのが今の状況です。
ある日突然特効薬が!という期待もあるのですがどうでしょうか。
とにかく今のこの状況が一刻も早く終息してくれることを願うばかりです。
コメント有難うございました^^
アカシア
2020.04.02 22:28 | 編集

ふ**ん様
え?今回は激しかったですか?
伊達に101回も妄想していなかった!(≧▽≦)
しかし西田にぶった切られることが多いのが実情ですよね?(笑)
そんな中で今回は完遂したようですが良かったのか悪かったのか。
え?拝みたくなるエロい台詞ですか?(笑)
もう単なるエロ親父のような気もしますが、相変らずの御曹司を楽しんでいただけで良かったです。
それにしても暗いニュースが続く毎日です。
しかしいつか、この闇を抜けることが出来ると信じたいです。
そして選ばれている選手の皆さんのためにも、来年無事にオリンピックを開催することが出来ればと願いますが、その時このふたりはオリンピック観戦に出掛けるのでしょうねえ^^
コメント有難うございました^^
え?今回は激しかったですか?
伊達に101回も妄想していなかった!(≧▽≦)
しかし西田にぶった切られることが多いのが実情ですよね?(笑)
そんな中で今回は完遂したようですが良かったのか悪かったのか。
え?拝みたくなるエロい台詞ですか?(笑)
もう単なるエロ親父のような気もしますが、相変らずの御曹司を楽しんでいただけで良かったです。
それにしても暗いニュースが続く毎日です。
しかしいつか、この闇を抜けることが出来ると信じたいです。
そして選ばれている選手の皆さんのためにも、来年無事にオリンピックを開催することが出来ればと願いますが、その時このふたりはオリンピック観戦に出掛けるのでしょうねえ^^
コメント有難うございました^^
アカシア
2020.04.02 22:35 | 編集

ふ*******マ様
101回目のお祝いありがとうございます!
ふふふ。あぶデカもマイアミ・バイスもリアルタイムですし、スタ・ハチも知っています!
そしてジョン&パンチも!(笑)ついでに言えばナイトライダーも!
ええ。きっと、いえ。間違いなく同世代です(笑)
東京オリンピック!そう言えば以前お申込みをされたことをお話して下さいましたが、当選されたのですね?それなのに…..。
でも今のこの状況では仕方がないですよね。アカシアもあるアーティストさんのライブに行くつもりが中止になってしまいました。しかし延期公演の可能性もあるとのことで、払い戻しはせずに新たな発表があるまで待ちます。
そして御曹司シリーズもいつの間にか101回目。
わはは!確かにこの男は変態かもしれません。そして妄想に酔いしれる癖のある男ですからねえ。
そんな御曹司ですが愛していただき、ありがとうございます!
え?次は200回?無理です。無理(笑)
そしてコメントの長さはお気になさらないで下さいませ!
コメント有難うございました^^
101回目のお祝いありがとうございます!
ふふふ。あぶデカもマイアミ・バイスもリアルタイムですし、スタ・ハチも知っています!
そしてジョン&パンチも!(笑)ついでに言えばナイトライダーも!
ええ。きっと、いえ。間違いなく同世代です(笑)
東京オリンピック!そう言えば以前お申込みをされたことをお話して下さいましたが、当選されたのですね?それなのに…..。
でも今のこの状況では仕方がないですよね。アカシアもあるアーティストさんのライブに行くつもりが中止になってしまいました。しかし延期公演の可能性もあるとのことで、払い戻しはせずに新たな発表があるまで待ちます。
そして御曹司シリーズもいつの間にか101回目。
わはは!確かにこの男は変態かもしれません。そして妄想に酔いしれる癖のある男ですからねえ。
そんな御曹司ですが愛していただき、ありがとうございます!
え?次は200回?無理です。無理(笑)
そしてコメントの長さはお気になさらないで下さいませ!
コメント有難うございました^^
アカシア
2020.04.02 22:40 | 編集

ゆ***ん様
おはようございます^^
西部警察にあぶない刑事がドンピシャ(笑)
はい。アカシアも昭和生まれ。そしてリアルタイムで見ていた世代です。
タカとユージを司とあきらに置き換えてみましたが、映像が頭の中に浮かんだ!(笑)良かったです。
そして「Collector」と「いつか晴れた日に」を読んで下さったんですね?
どちらも気に入って下さりありがとうございますm(__)m
楽しんでいただけて嬉しいです。
コメント有難うございました^^
おはようございます^^
西部警察にあぶない刑事がドンピシャ(笑)
はい。アカシアも昭和生まれ。そしてリアルタイムで見ていた世代です。
タカとユージを司とあきらに置き換えてみましたが、映像が頭の中に浮かんだ!(笑)良かったです。
そして「Collector」と「いつか晴れた日に」を読んで下さったんですね?
どちらも気に入って下さりありがとうございますm(__)m
楽しんでいただけて嬉しいです。
コメント有難うございました^^
アカシア
2020.04.02 22:49 | 編集
