アメリカで一、二を争う会社の株式を遺贈されたことから、つくしの前に現れた道明寺司という男性。
その男性はボディガードだと言って彼女の傍にいることになったが、つくしはその男性の存在に困惑していた。
何しろ監視されることに慣れてない。
それにこれまで男性がいつも傍にいたことはない。
だが一番の困惑はその男性がとても魅力的な男性ということ。
つくしはこれまで男性と付き合ったことがなかった。それは男性が嫌いとか、苦手だといった理由ではない。ただ恋愛に奥手というだけで恋の仕方が分からなかった。
けれど、恋におちたと思える瞬間がそこにあった。
そしてそれは、つくしのはつ恋。
その人は癖のある黒髪に、切れ長の黒い瞳とまっすぐな鼻筋をしていた。
そしてその瞳は漆黒で何を考えているか分からなかったが、知性が感じられ時にきらりと光る瞬間があった。
「あの。道明寺さん。もう少し離れてくれませんか?」
つくしのボディガードになった男は、スーパーで買い物をする彼女のすぐ後ろにいて、その存在は場を圧していた。
つまり、買い物客の殆どを占める女性客の視線の全てが、彼女の後ろに立つ男性に向けられていて、つくしは落ち着いて買い物が出来なかった。
「牧野さん。私はあなたのボディガードです。あなたの命を守ることが私の務めです。
だから私のことは気にしないで下さい。それにいい加減私の存在に慣れて下さい」
そう言われたが恋におちた相手に慣れるなど無理だ。
そして毎日顏を合わせ3ヶ月経ったある日。住んでいるマンションの前まで送られたとき勇気を出して言った。
「あの。お茶でもどうですか?」
「お茶?」
「いえ。あのお茶じゃなくて紅茶でもコーヒーでもいいです。喉。乾いていませんか?」
司は牧野つくしの部屋に招かれた。
これはチャンスだと思った。
それは部屋の中を見ることで彼女の暮らしぶりが分かるからだ。
買い物はいつもスーパー。そこで手にした品物は値段を吟味して籠に入れる。
洋服は殆ど買わない。出かける時はバスか電車。
仕事に行く昼は、たまに伯父にご馳走した自分も好きだというハンバーガーを買うことがあるが、殆どが自分で作った弁当を持参していた。
そして外食は友人と呼ぶ女性との食事くらいで殆どすることがないという地味な生活。
だが実は部屋の中には伯父をたぶらかし手に入れた金で買った高価なものが溢れているの
ではないか。
それを確かめるため、招きを受け入れ部屋の中に足を踏み入れた。
「あの、道明寺さん。お茶にしますか?紅茶にしますか?それともコーヒーにしますか?」
司はコーヒーを、と言うと勧められたダイニングテーブルの椅子に腰を下ろしたが、そこは殆ど物が置かれていないシンプルな部屋。
だが部屋の中や持ち物に派手さはなくても高価な宝石や貴金属を持っている可能性もある。
だがそういった物はこの部屋に置かれてはいないはずだ。
それは女という生き物は大切な物は寝室に置くと決まっているからだ。
だから司は女の寝室に行かなければならなかった。
きっとそこには伯父の手元にあったはずのあの家に伝わる宝石もあるはずだから。
伯母から夫が持っていた代々家に伝わってきた宝石が無くなったと訊きたとき、あの女が持っているのだと思った。女は伯父からその宝石の話を訊き欲しいと思ったはずだ。
そして手に入れたはずだ。
だから株と一緒にその宝石も取り返さなければならなかったが、そのために出来ることは何でもするつもりでいた。
そして司は気付いていた。
それは女が自分に好意を抱いているということ。
だからその思いを利用して女から株を取り戻すことに決めたが、何もタダでとは言わない。
言い値とまでは言わないが相当の額を払い取り戻すつもりでいた。
だが自分に好意を抱いている女を抱くのも悪くないと思った。
けれど司は女という生き物を嫌悪していた。それは彼に近づいてくる女は彼の金が目当てであり、彼の心の内など考えもしないからだ。
そして司は恋愛に興味がない。だから女達が彼の前でこれ見よがしに振る舞う姿に狡猾さが透けて見えた。だが牧野つくしにはそれが見えなかった。だがそれはきっと芝居が上手いからであり、いずれどこかでボロを出すはずだ。
司は出されたコーヒーを飲み干すと、これまでどんな女にも見せたことがない微笑みを浮べた。
「牧野さん。美味しいコーヒーをありがとうございました」
そう言うと椅子から立ち上がり女の傍に行った。
そして驚いた様子で司を見上げる女の身体を抱え上げ「寝室はどこだ?」と言った。

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その男性はボディガードだと言って彼女の傍にいることになったが、つくしはその男性の存在に困惑していた。
何しろ監視されることに慣れてない。
それにこれまで男性がいつも傍にいたことはない。
だが一番の困惑はその男性がとても魅力的な男性ということ。
つくしはこれまで男性と付き合ったことがなかった。それは男性が嫌いとか、苦手だといった理由ではない。ただ恋愛に奥手というだけで恋の仕方が分からなかった。
けれど、恋におちたと思える瞬間がそこにあった。
そしてそれは、つくしのはつ恋。
その人は癖のある黒髪に、切れ長の黒い瞳とまっすぐな鼻筋をしていた。
そしてその瞳は漆黒で何を考えているか分からなかったが、知性が感じられ時にきらりと光る瞬間があった。
「あの。道明寺さん。もう少し離れてくれませんか?」
つくしのボディガードになった男は、スーパーで買い物をする彼女のすぐ後ろにいて、その存在は場を圧していた。
つまり、買い物客の殆どを占める女性客の視線の全てが、彼女の後ろに立つ男性に向けられていて、つくしは落ち着いて買い物が出来なかった。
「牧野さん。私はあなたのボディガードです。あなたの命を守ることが私の務めです。
だから私のことは気にしないで下さい。それにいい加減私の存在に慣れて下さい」
そう言われたが恋におちた相手に慣れるなど無理だ。
そして毎日顏を合わせ3ヶ月経ったある日。住んでいるマンションの前まで送られたとき勇気を出して言った。
「あの。お茶でもどうですか?」
「お茶?」
「いえ。あのお茶じゃなくて紅茶でもコーヒーでもいいです。喉。乾いていませんか?」
司は牧野つくしの部屋に招かれた。
これはチャンスだと思った。
それは部屋の中を見ることで彼女の暮らしぶりが分かるからだ。
買い物はいつもスーパー。そこで手にした品物は値段を吟味して籠に入れる。
洋服は殆ど買わない。出かける時はバスか電車。
仕事に行く昼は、たまに伯父にご馳走した自分も好きだというハンバーガーを買うことがあるが、殆どが自分で作った弁当を持参していた。
そして外食は友人と呼ぶ女性との食事くらいで殆どすることがないという地味な生活。
だが実は部屋の中には伯父をたぶらかし手に入れた金で買った高価なものが溢れているの
ではないか。
それを確かめるため、招きを受け入れ部屋の中に足を踏み入れた。
「あの、道明寺さん。お茶にしますか?紅茶にしますか?それともコーヒーにしますか?」
司はコーヒーを、と言うと勧められたダイニングテーブルの椅子に腰を下ろしたが、そこは殆ど物が置かれていないシンプルな部屋。
だが部屋の中や持ち物に派手さはなくても高価な宝石や貴金属を持っている可能性もある。
だがそういった物はこの部屋に置かれてはいないはずだ。
それは女という生き物は大切な物は寝室に置くと決まっているからだ。
だから司は女の寝室に行かなければならなかった。
きっとそこには伯父の手元にあったはずのあの家に伝わる宝石もあるはずだから。
伯母から夫が持っていた代々家に伝わってきた宝石が無くなったと訊きたとき、あの女が持っているのだと思った。女は伯父からその宝石の話を訊き欲しいと思ったはずだ。
そして手に入れたはずだ。
だから株と一緒にその宝石も取り返さなければならなかったが、そのために出来ることは何でもするつもりでいた。
そして司は気付いていた。
それは女が自分に好意を抱いているということ。
だからその思いを利用して女から株を取り戻すことに決めたが、何もタダでとは言わない。
言い値とまでは言わないが相当の額を払い取り戻すつもりでいた。
だが自分に好意を抱いている女を抱くのも悪くないと思った。
けれど司は女という生き物を嫌悪していた。それは彼に近づいてくる女は彼の金が目当てであり、彼の心の内など考えもしないからだ。
そして司は恋愛に興味がない。だから女達が彼の前でこれ見よがしに振る舞う姿に狡猾さが透けて見えた。だが牧野つくしにはそれが見えなかった。だがそれはきっと芝居が上手いからであり、いずれどこかでボロを出すはずだ。
司は出されたコーヒーを飲み干すと、これまでどんな女にも見せたことがない微笑みを浮べた。
「牧野さん。美味しいコーヒーをありがとうございました」
そう言うと椅子から立ち上がり女の傍に行った。
そして驚いた様子で司を見上げる女の身体を抱え上げ「寝室はどこだ?」と言った。

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コメント
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司*****E様
前後編だと思ったら今日は中編だった!(≧▽≦)
きっとそう思われたことでしょう。
明日は間違いなく後編です!(笑)
楽しんでいただければいいのですが....。
コメント有難うございました^^
前後編だと思ったら今日は中編だった!(≧▽≦)
きっとそう思われたことでしょう。
明日は間違いなく後編です!(笑)
楽しんでいただければいいのですが....。
コメント有難うございました^^
アカシア
2020.02.10 22:36 | 編集
