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2019
10.15

金持ちの御曹司~愛すべき男のハラスメント~<前編>

大人向けのお話です。
未成年者の方、またはそのようなお話が苦手な方はお控え下さい。
*******************************






男はメガネをかければ男前があがると言われるが、司がメガネをかければキャーキャー言われることは間違いない。
だが司の恋人はメガネをかけた男をまじまじと見つめ言った。

「なんだか賢そうに見えるんだけど」

だから司は言った。

「あのな。お前の日本語は間違ってる。賢そうに見えるじゃなくて俺は元々賢いんだよ!」

そしてメガネを外す様子は萌えの対象であることは言わずもがなで、そんな男が変わらぬ日常から抜け出すために必要としているのは豊かな想像力。
その想像力を鍛えることを日々している男は、恋人と一緒に過ごした休日を思い出していた。

ふたりは、4年ごとに開催されるラグビーワールドカップの日本大会で快進撃を続ける日本チームを応援するため横浜にいた。
そしてふたりが観戦した試合は、ふたりの声援、いや日本中の熱い声援を受けて見事な勝利を収めたが、それはジャージの胸に桜のエンブレムを付けていることから「ブレイブ・ブロッサムズ(Brave Blossoms)、勇猛な桜戦士」の愛称に恥じない素晴らしい試合だった。
そして司は、そこでラグビーの試合を初めて見た恋人がラグビーのファンになったと言ったことから想像力が働いた。












それは荒廃した英徳学園高等部を舞台に繰り広げられる学園ドラマ。








「道明寺先生。我が学園は資産家の子弟の教育をする歴史と伝統を誇る学園です。
ですが中には問題児もいます。そんな生徒の親は学園に対して多大な寄付をしています。
ですから退学させる訳にはいかないんです。我々はその生徒たちが卒業するまで何をする訳でもなく時間が経つのを待つしかないんです。そんな生徒たちの集まりが女子ラグビー部です。まあラグビー部といっても実体はないに等しいといいますか…..。
とにかくあの部は学園の問題児の中でも一番と言われる牧野つくしがいます。ですがあの子は元来頭の良い子で成績も優秀でした。初等部の頃はスチュワーデスになるのが夢だと言っていました。しかし両親が離婚して父親が新しい妻を迎えるとガラリと変わりました。それはまるで規則正しく積み上がっていた積み木をくずしたようなものです。恐らく義理の母親と合わないのでしょう。生活態度が乱れ、学園でも反抗的な態度を取るようになり他校の生徒と喧嘩をするようになり不良少女とよばれるようになりました。これ以上今のような状態が続くと我が学園としても非常に困るといいますか……とにかく手を焼いている次第です」

司は、かつて企業のラグビー部に所属し全日本代表選手に選ばれたことがあったが、引退後、高校教師として別の高校で体育の教師として働いていた。
だがある日、司はひとりの男と知り合った。その男は英徳学園の校長でラグビーの大ファンであることから、司が社会人ラグビーで活躍していたことを知っていて、その経歴を是非わが学園のラグビー部で発揮して欲しいと乞われ英徳学園へ赴任することになった。

英徳学園の女子ラグビー部は、牧野つくしが中等部にいた頃に立ち上げたという部。
校長は実体はないに等しいと言ったが、司は校長が言いたいことを理解していた。
それは、かつて自分もそういった学生時代があったからだ。

部活という名で部室を占領し、酒を飲み、タバコをふかしていた。
校内でバイクを乗り回し、置いてある消火器の中身を教室中にまき散らし、窓ガラスを叩き割り椅子や机を放り出した。
だがそんな司が更生し高校の体育教師になったのは、ある男と出会ったからだ。

その男の名前は西田。
何があっても表情を変えない、笑わない男は髪を後ろに撫で付け、メガネをかけ、荒廃を極めていた司のいる高校に赴任して来ると、ラグビー界では無名で廃部寸前だった部を愛と勇気と希望を持って僅かな年月で全国優勝を果たすまでに建て直した。
そして司は、その優勝を果たした時の部員のひとりだ。

あの頃の司は危険で凶暴と言われていた。
触れれば切れる刃物のような人間で、近寄ることが出来るのは、幼馴染みの男達だけだった。
そんな司が西田と出会うことがなければ、まともな人生を歩むことはなかっただろう。

そして司は牧野つくしという少女と接して知った。
それはかつての司と同じで危険で凶暴ではあるが、彼女は翼が折れたエンジェルでありその黒い瞳の奥には輝きが宿っていることを。
そしてその瞳には何事も遣り遂げるという意志の強さが感じられた。
だから司は牧野つくしという少女を立ち直らせることに決めた。
健全な心と身体を取り戻してやりたいと思った。
愛を口移しで伝えたいと思った。
いや、身体全体を使って伝えたいと思った。

「牧野。いいか?よく聞くんだ。この世の中には様々な悩みを抱えた人間が大勢いる。お前は新しく母親になった女性との関係が上手くいかないことから反抗的な態度を取るようになった。弟は母親と暮らし父親は新しく妻になった女性に夢中だ。だから俺はお前が寂しさからそんな態度を取るようになったと思っている。そうだろ牧野?違うか?いや、違わないはずだ。だがな、牧野。寂しいのはお前だけじゃない。それにお前は愛に飢えている。だがお前はひとりじゃない。俺はお前のことが好きだ。だから俺が愛を与えてやる!」




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コメント
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dot 2019.10.15 05:59 | 編集
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dot 2019.10.15 06:51 | 編集
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dot 2019.10.15 11:01 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
盛り上がるラグビーワールドカップ!
見ていました!凄かったですね~。あの試合をふたりは見に行っていたんです。
そしてこんなお話が!(笑)
文章の中に懐かしいドラマを感じさせる言葉を散りばめてみました!
積み木をくずしてみたり、不良少女とよばれてみたり。
そしてこちらのお話は、あのラグビーのドラマをイメージしています。
つまりアカシアの頭の中に流れる曲は、あのドラマの主題歌です。

そうでしたか。あの日スタジアムの下の広場は遊水池になっていたんですね?
日にちが経つにつれ被害状況を知ることになり胸が痛みます。

司は、こちらのお話と言わず、どのお話でもつくしに一目惚れをするんです。
さあ。どんな風に愛を与えてくれるのか?
真面目な高校教師、道明寺司。
後編どうなるんでしょう(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.10.15 22:17 | 編集
切*椒様
色々まじっていることにお気づきになったんですね?(*´▽`*)
気付いた切*椒様は、きっと同世代です!
はい。つくしのスカートはロングのセーラー服です!(笑)
西田も坊ちゃんもジャージ姿でヤカンから水を飲みます!
え?最後坊ちゃんが怪しい?いつものことですから(笑)
明日は後編。どんな坊ちゃんがいるのでしょうねえ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.10.15 22:24 | 編集
ま**ん様
おはようございます^^
ラグビー。盛り上がっていますねえ。
アカシアも身体に力が入ってしまいました。
そして司はつくしとあの試合を見たようですが、そこからこんな妄想が!
ラグビー部を指導する熱血教師。
でもそこは御曹司です。行き着く先は決まってます(笑)

決勝トーナメント。楽しみですねぇ。
是非日本代表には勝ってもらいたいと思います。
応援するぞ~^^
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.10.15 22:32 | 編集
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