FC2ブログ
2019
06.19

理想の恋の見つけ方 146

「それにしても彼女が拉致されることになるとは思わなかったわ」

『何もかもが筋書き通りに行くとは限らないよ。人生は紆余曲折を経てこそ生きている意味がある。だから今となっては笑い話だけどあれで良かったんだと思うよ』

「そうね。考えてみればそうかもしれないわね?だってあの子は必死になって彼女の行方を探したんですもの。だからわたくしはあの件であの子が牧野さんに対して本気だと確信したわ」

『それから以前君と食事をした時、僕は牧野君は恋愛には疎い。何故男性を遠ざけているのか分からないという話をしたと思うんだが、彼女がそうしていたのは、もしかすると若い頃に負った傷のせいなのかもしれないな。いや僕は忘れていた訳じゃないが気にしたことが無かったから、それについては何も思わなかったんだが、牧野君の足には大きな傷跡がある。
とは言え僕は直接それを見た訳じゃないんだが、それは大学生の頃モーターボートのスクリューがあたって出来た傷だよ。今思えばそれが牧野君を男性から遠ざける材料になっていた気がするんだが、君の息子は、司君は、そのことを知っても気に留めることはなかったようだ』

「そうね。報告によれば二人はニューヨークのあの子の部屋で一緒に過ごした。つまりそういうことですもの。それからあの子の姉を、娘をあの二人の元へ行かせたの。そこで牧野さんの息子に対しての気持ちを揺さぶったわ。そうすることで彼女が息子に対してどんな感情を抱いているか知ることが出来たわ」

『そうか。それにしても君がそこまでしていたとは知らなかったよ』

「あら。あなただって司が彼女をボストンへ誘った時、牧野さんの背中を押したでしょ?だからわたくしが取った行動はそれと同じ。だってわたくしたちは同じ気持ちだってことでしょ?」

『いや。だが君はやっぱり凄いよ。さすが道明寺財閥の一番高い場所にいる人間は違うね?僕が君の幼馴染みじゃなかったら、こうして口を利いてもらえるか分からないが、今の君は神社の境内で僕と遊んでいた頃の君以上に自分の考えを押し通す力があるからね?だってあの当時の君は幼くて可愛い顔をしていたが、やっぱり自分のやりたいことは、はっきりと口にしていたよ』









東京から遠く離れたニューヨークにいる楓は、幼い頃に暮らした葉山での幼馴染みであり、牧野つくしが所属する研究室の主宰である教授の副島肇との電話を終えると受話器を置いた。
そして指でコツコツとデスクを叩きながら考えていた。

ニューヨークの街の景色を一望できる場所にある道明寺ホールディングスビルの最上階にある社長室の椅子は座り心地のいい椅子。だがそれは物質的なことであって巨大な企業を統括する立場になれば、その椅子は権力を持つ者が座る椅子であると同時に責任を担う椅子だ。
だが、その椅子に座ることになる息子は、女性と付き合いはしても結婚する気がなかった。
そんな息子に対しての母としての想いは、世間に大勢いる独身の息子を持つ母親なら誰もが思うことと同じことを考えていた。
それは、早く結婚して欲しいということ。だから副島肇に息子が興味を持つような女性を紹介して欲しいと言ったが、それが牧野つくしだった。そして道明寺財団の研究助成事業に応募してきた牧野つくしと息子が出会うように仕組んだ。

楓は彼女が気に入った。
頭がいいこともだが、自分の仕事に対しての前向きな態度と自立心が旺盛なところや、芯の強い性格、言い換えれば意志が強いということになるが、それに加え堅実な生活態度は好ましかった。
そして意志が強いということは、頑固だということだが楓もそうだ。牧野つくしは、意志が強いという点は楓と似ていた。
楓は、そのことを不思議だと思った。
母性愛がないと言われた楓だったが、そんな楓と似た意志の強さを持つ女性を望んだ息子に血の繋がりを感じた。

だから楓は牧野つくしの後押しをするつもりでいたが、息子に高森開発の持っている土地を手に入れるように言ったことから事態は思わぬ方向へ向かった。
だが、母親譲りの冷酷さを持つと言われている我が子は、副社長としての仕事をこなし土地を手に入れた。
それにしても、高森開発を潰されたことを恨んだ高森元社長夫人が取った行動は不愉快だった。
けれど、頭を強く殴られたことで脳を損傷した女性がこれ以上二人を悩ますことはない。

楓は結婚していながら他の男に色目を使うような女を軽蔑していた。
それに自分の美しさばかりを強調する女は、年を取れば、わざとらしい仕草ばかりが目立つただの年老いた女になる。そんな女が息子を支えることが出来るとは考えていなかった。
そして二人がボストンへ向かうことになり、この国で何らかの進展があるものと期待をした。
だが楓は待つだけの女ではない。
成果が欲しいなら動くことが必要だ。だから娘の椿をこの話に巻き込んだ。
そして牧野つくしは、椿の言葉で自分の気持ちに気付いた。
つまり、ここまでは楓の望み通りに運んだということになる。

楓はインターコムのボタンを押した。

「近いうちに東京に行くわ。スケジュールを調整してちょうだい」




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト




コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2019.06.19 07:11 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
楓さんと副島教授。実は二人が見守っていたとは司もつくしも知らなかったでしょうねぇ。
さて楓ママ。東京に乗り込んで来るようです。
どんな展開が待ち受けているのでしょう。
楓さんの気持ちを考えれば....ということです‼
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.06.20 21:36 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top