大人向けのお話です。
未成年者の方、またはそのようなお話が苦手な方はお控え下さい。
*******************************
眉間に皺を寄せた様子は苦悩を表しているように見えるが、実はそれは色気を表していると言われる男に親友は言った。
「なあ司。お前は何フェチだ?」
「総二郎。お前司に向かってそんなアホな質問をするな。こいつは牧野フェチに決まってんだろ?こいつは牧野って名前だけでも表情が確実に変わる。心持ちだが口角が下がって頬が緩む。でもって気持ちが落ち着かなくなってソワソワして牧野がそこに現れるんじゃねぇかって牧野の姿を探して目が泳ぐようになる。そうなると流石の西田秘書も手に負えなくなる。だから社内で野放しとまでは言わねぇが、30分くらいなら自由にさせてもらえる。その間に牧野を見つけて構ってもらう。そうでもしなきゃ司は仕事が手につかなくなるからな。まあ、牧野にしてみれば仕事中に突然司が現れるんだから迷惑かもしんねぇけど、そこは会社の為だ。諦めもついてるっての?これも仕事の一部だって受け入れてるって訳だ」
「ふ~ん。そうか。牧野は色々と大変なんだな」
「そうだぞ?社内恋愛ってのは色々とややこしいし、面倒なこともあるぞ?もしも社内恋愛で別れてみろ。男にしろ女にしろ二度と顔を見たくないと思えるようになった相手と嫌でも顔を合わせるんだ。だから社内恋愛のリスクは二人の関係が上手くいかなくなった時だ。まあそれでも付き合ってる時はスリルがあるよな?他人行儀な内線電話をかけてみたり、暗号のようなメールを送ってみたり、社内でこっそり待ち合わせをしたり、誰もいない会議室にシケ込んでドキドキして楽しいだろうよ。たださっきも言ったように二人の関係が楽しく続いている限りだぞ?」
あきらは総二郎を前に社内恋愛について語っているが、執務デスクでムスッとした顔をした男は、そんなあきらを睨んだ。
「あきら。お前何しに来たんだ?俺と牧野が喧嘩したことがそんなに嬉しいのか?」
「いや。それは違うぞ司。俺がここに来たのは、お前が落ち込んでんじゃねぇかと思って励ましに来た。何もお前の落ち込んだ姿を見たくて総二郎を誘った訳じゃない。な?総二郎?」
あきらはそうは言ったが、いつも偉そうな顔をしている親友の落ち込んでいる顔を見に来たことは当たっている。
「ああ。そうだぞ司。俺もあきらも忙しい中、お前を慰めに来た。でもなぁ。どうしてそんなことをしたんだ?」
そして総二郎もあきらから司が落ち込んでいると言われ、見に行ってみないかと言われ足取り軽く親友の誘いに乗った。
「どうしてって、あいつが喜ぶと思ったからだ」
「あのなあ司。お前何年牧野と恋人同士やってんだ?牧野はお前の過剰な保護は嫌いだろ?付き合うなら対等じゃなきゃ嫌だって女だったろ?それなのにそんな勝手なことしてあいつが喜ぶと思ったのか?あいつの部屋の鍵を勝手に変えるなんて」
そうは言われたが、司はただつくしのことが心配だったからそうした。
何しろつい最近恋人が住むマンションのすぐ近くのマンションに空き巣が入った。
だから女のひとり暮らしにどれだけ用心しても足りないことはない。たとえそこがオートロックでセキュリティがしっかりしているマンションだとしても用心に越したことはないはずだ。
それに司に言わせれば恋人が住むマンションのセキュリティは完璧ではない。
本当ならもっとセキュリティが行き届いた場所。つまり司と同じマンション。いや出来れば同じ部屋に住んで欲しい。何しろリビングは100坪あるのだから、恋人がどんなに沢山の荷物を持ち込んだとしても充分対応できるはずだ。
それに名字を一緒にすることに躊躇いがあるなら、せめて住所だけでも一緒にしたかった。
だが道徳心が強い女は結婚してない男女が同じ部屋に住むなどとんでもないと言う。
いや。それ以前に支社長である司とつくしが付き合っていることは秘密だ。
それに仮に司のマンションと同じマンションに住むとしたら、何故一介の社員の給料で支社長と同じ高級マンションに住むことが出来るのかという疑問が生じる。
だから同じマンションに住めないなら、せめて部屋の鍵だけでもとセキュリティが高いものに変えた。
そうしたら勝手なことをしないでと怒られた。
だが司に言わせれば部屋の鍵を交換したのはリスクマネジメントを取ったに過ぎなかった。
何しろ司は曲がりなりにも道明寺ホールディングスの日本支社長であり、道明寺財閥の後継者なのだから、リスクについての心得といったものは充分理解していた。
「おい。司。いいか。牧野って女は自立心が旺盛な女だ。昔あいつ言ったんだろ?私は守られる女じゃないって。だからお前は極力あいつの意志を尊重しているはずだ。とは言え犯罪に巻き込まれる前に予防策を取ることは悪いことじゃない。だからお前のしたことが全面的に悪いとは思わねぇけど、やっぱあいつにひと言いうべきだったろ?だって出張から帰ったら玄関の鍵が変わってたらそりゃ怒るだろ?あ。司、それともアレか?もしかしてあわよくば、これを機に一緒に住もうとか言うつもりでいたのか?」
司はあきらの言葉にそうか!その手があったかと膝を叩かないまでも思った。
鍵が開かないことで司を頼ってきた女を自分の部屋に連れ帰りそのまま閉じ込めてしまう。
それも強固な鍵のかかった部屋に閉じ込める。
そうすれば、いつも最愛の人と一緒にいることが出来る。それは実にいいアイデアだと思った。
そんなことを考えている司に、あきらと総二郎は、
「それにしても司の落ち込んだ姿を見たのは久し振りだったが、いいもの見た様な気がするわ。なんかストレス解消出来た気がするぜ、サンキュー司」
と言って執務室を出て行くと、司は人をストレス解消の対象にするなと思いながら椅子に背中を預けると目を閉じた。
「部屋の扉の鍵が開かなくなったというのは、あなたですか?」
究極の鍵師と呼ばれる男は、どんなに開けることが困難な扉も簡単に開けることが出来ると言われているが仕事を選ぶと言われていた。
そんな男は180センチをゆうに超える長身に黒い服に身を包み女の前に現れたが、その服装はまるで暗闇に紛れて仕事をすることが心地いいといった姿。
だが実際はその通りで男は夜しか仕事をしないと言われていた。
だから彼の腕が使われるのは、帰宅して家の鍵を紛失したことに気付き中に入れないといった住人が殆どだ。
そして料金は時と場合によって違った。つまり言い値ということになるが、男はそれでもよければ扉を開けるといったスタンスで仕事をしていた。
「みません。鍵が鍵穴に合わないんです。何故こんなことになったのか.....。朝家を出る時はちゃんと鍵をかけることが出来たんです。それなのにどうしてなのか訳がわからないんです。それにこの部屋の鍵は普通の鍵屋さんでは簡単には開けることが出来ないと言われていて、それであなたの事を知ってお願いしたんですが、開けることが出来ますか?」
それはセキュリティを重視したマンションが特別に設えた特殊な鍵。
その鍵が何故か鍵穴に挿し込むことが出来なくなっていた。
「ええ。私はどんな鍵も開けることが出来ます。ただし料金は高いですよ?」
女は夜中に鍵屋を呼ぶのは初めてであり、いったいいくら必要なのか分かなかったが、財布の中身を頭に思い浮かべながら「お願いします」と答えた。
すると、「分かりました。それではすぐに鍵を開けましょう」と言って男は鍵を開けるための道具を取り出し鍵穴に挿し込んだ。
そして耳を扉に近づけた。するとものの数秒で開錠されたのが分かった。
「開きましたよ」
「本当ですか?ありがとうございます!助かりました。それで…あの、お幾らになりますか?」
女はそう言って鞄から財布を取り出し料金を聞いた。
「料金ですか?」
「はい」
「料金は不要だ。金は必要ない」
女はその言葉に「えっ?」と怪訝な顔をした。
金は必要ないとはいったいどういう意味なのか?
考えていたその時、自分の前に立つ背の高い男の口元にうっすらと笑みが浮かんだのを見た。
「金は必要ないと言ったがその代わりお前が欲しい。牧野つくし。俺はお前に一目惚れをした。お前は気付かなかったが俺たちは会ったことがある。お前は道明寺グループの会社で働いているな?俺は副社長の道明寺司で鍵屋は趣味だ。俺は開かない鍵を開けるのが好きなだけだ。だがお前の部屋の鍵を変えたのは俺だ」
つくしは男が何を言っているのか、すぐに理解することが出来なかった。
だが男が言うように、つくしは道明寺グループの道明寺食品という会社で食品分析の仕事をしていた。
そして徐々に頭の中に浸透して来たのは、自分の部屋の開かない扉を開けた男性が親会社の副社長道明寺司で部屋の鍵を勝手に変えたのは自分だと言った。
そして「お前が欲しい」の意味に気付くと、たった今開けられた扉のドアノブを掴み部屋の中に逃げようとした。だがそれが間違いだった。
男はつくしの手を掴み、扉を開け、部屋の中に彼女を押し込み、素早い身のこなしで自身も中へ入ると後ろ手に鍵を閉めた。
「や、止めて!」
「何を止めるって?俺はまだ何もしてないが?」
司はククッと笑い着ていた黒の上着を脱ぎ、広く逞しい胸に張り付いていた黒のTシャツを脱ぐと床に放った。上半身裸になった男の鍛えられた肉体は世の女達を虜にすると言われる身体をしていたが、目の前の女は怯えた顔で彼を見ていた。
司は訪問した関連会社で見かけた牧野つくしに一目惚れをした。
彼が検査室のガラス窓の外を通っても、視線を向けることなく気取らない態度で仕事をしている彼女を見かけたとき恋に落ちた。
そして彼女が欲しいと思った。
だから自宅を調べると彼女が住むマンションを買い取り彼女がいない間に鍵を変えた。
つまり部屋の内部がどうなっているかも知っていた。
「や、止めて…..な、何をするつもり?」
「怖いのか?俺のことが?」
部屋の奥に逃げた女の前に立った男は、言いながらベルトのバックルを外した。
そして女が怯える姿にゾクリとするものを感じた。
「ああ…牧野。俺を怖がらないでくれ。俺はお前に一目惚れをした。だからお前が欲しい。俺はお前に触って悦びを感じたい。俺はお前の男になりたいだけだ」

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眉間に皺を寄せた様子は苦悩を表しているように見えるが、実はそれは色気を表していると言われる男に親友は言った。
「なあ司。お前は何フェチだ?」
「総二郎。お前司に向かってそんなアホな質問をするな。こいつは牧野フェチに決まってんだろ?こいつは牧野って名前だけでも表情が確実に変わる。心持ちだが口角が下がって頬が緩む。でもって気持ちが落ち着かなくなってソワソワして牧野がそこに現れるんじゃねぇかって牧野の姿を探して目が泳ぐようになる。そうなると流石の西田秘書も手に負えなくなる。だから社内で野放しとまでは言わねぇが、30分くらいなら自由にさせてもらえる。その間に牧野を見つけて構ってもらう。そうでもしなきゃ司は仕事が手につかなくなるからな。まあ、牧野にしてみれば仕事中に突然司が現れるんだから迷惑かもしんねぇけど、そこは会社の為だ。諦めもついてるっての?これも仕事の一部だって受け入れてるって訳だ」
「ふ~ん。そうか。牧野は色々と大変なんだな」
「そうだぞ?社内恋愛ってのは色々とややこしいし、面倒なこともあるぞ?もしも社内恋愛で別れてみろ。男にしろ女にしろ二度と顔を見たくないと思えるようになった相手と嫌でも顔を合わせるんだ。だから社内恋愛のリスクは二人の関係が上手くいかなくなった時だ。まあそれでも付き合ってる時はスリルがあるよな?他人行儀な内線電話をかけてみたり、暗号のようなメールを送ってみたり、社内でこっそり待ち合わせをしたり、誰もいない会議室にシケ込んでドキドキして楽しいだろうよ。たださっきも言ったように二人の関係が楽しく続いている限りだぞ?」
あきらは総二郎を前に社内恋愛について語っているが、執務デスクでムスッとした顔をした男は、そんなあきらを睨んだ。
「あきら。お前何しに来たんだ?俺と牧野が喧嘩したことがそんなに嬉しいのか?」
「いや。それは違うぞ司。俺がここに来たのは、お前が落ち込んでんじゃねぇかと思って励ましに来た。何もお前の落ち込んだ姿を見たくて総二郎を誘った訳じゃない。な?総二郎?」
あきらはそうは言ったが、いつも偉そうな顔をしている親友の落ち込んでいる顔を見に来たことは当たっている。
「ああ。そうだぞ司。俺もあきらも忙しい中、お前を慰めに来た。でもなぁ。どうしてそんなことをしたんだ?」
そして総二郎もあきらから司が落ち込んでいると言われ、見に行ってみないかと言われ足取り軽く親友の誘いに乗った。
「どうしてって、あいつが喜ぶと思ったからだ」
「あのなあ司。お前何年牧野と恋人同士やってんだ?牧野はお前の過剰な保護は嫌いだろ?付き合うなら対等じゃなきゃ嫌だって女だったろ?それなのにそんな勝手なことしてあいつが喜ぶと思ったのか?あいつの部屋の鍵を勝手に変えるなんて」
そうは言われたが、司はただつくしのことが心配だったからそうした。
何しろつい最近恋人が住むマンションのすぐ近くのマンションに空き巣が入った。
だから女のひとり暮らしにどれだけ用心しても足りないことはない。たとえそこがオートロックでセキュリティがしっかりしているマンションだとしても用心に越したことはないはずだ。
それに司に言わせれば恋人が住むマンションのセキュリティは完璧ではない。
本当ならもっとセキュリティが行き届いた場所。つまり司と同じマンション。いや出来れば同じ部屋に住んで欲しい。何しろリビングは100坪あるのだから、恋人がどんなに沢山の荷物を持ち込んだとしても充分対応できるはずだ。
それに名字を一緒にすることに躊躇いがあるなら、せめて住所だけでも一緒にしたかった。
だが道徳心が強い女は結婚してない男女が同じ部屋に住むなどとんでもないと言う。
いや。それ以前に支社長である司とつくしが付き合っていることは秘密だ。
それに仮に司のマンションと同じマンションに住むとしたら、何故一介の社員の給料で支社長と同じ高級マンションに住むことが出来るのかという疑問が生じる。
だから同じマンションに住めないなら、せめて部屋の鍵だけでもとセキュリティが高いものに変えた。
そうしたら勝手なことをしないでと怒られた。
だが司に言わせれば部屋の鍵を交換したのはリスクマネジメントを取ったに過ぎなかった。
何しろ司は曲がりなりにも道明寺ホールディングスの日本支社長であり、道明寺財閥の後継者なのだから、リスクについての心得といったものは充分理解していた。
「おい。司。いいか。牧野って女は自立心が旺盛な女だ。昔あいつ言ったんだろ?私は守られる女じゃないって。だからお前は極力あいつの意志を尊重しているはずだ。とは言え犯罪に巻き込まれる前に予防策を取ることは悪いことじゃない。だからお前のしたことが全面的に悪いとは思わねぇけど、やっぱあいつにひと言いうべきだったろ?だって出張から帰ったら玄関の鍵が変わってたらそりゃ怒るだろ?あ。司、それともアレか?もしかしてあわよくば、これを機に一緒に住もうとか言うつもりでいたのか?」
司はあきらの言葉にそうか!その手があったかと膝を叩かないまでも思った。
鍵が開かないことで司を頼ってきた女を自分の部屋に連れ帰りそのまま閉じ込めてしまう。
それも強固な鍵のかかった部屋に閉じ込める。
そうすれば、いつも最愛の人と一緒にいることが出来る。それは実にいいアイデアだと思った。
そんなことを考えている司に、あきらと総二郎は、
「それにしても司の落ち込んだ姿を見たのは久し振りだったが、いいもの見た様な気がするわ。なんかストレス解消出来た気がするぜ、サンキュー司」
と言って執務室を出て行くと、司は人をストレス解消の対象にするなと思いながら椅子に背中を預けると目を閉じた。
「部屋の扉の鍵が開かなくなったというのは、あなたですか?」
究極の鍵師と呼ばれる男は、どんなに開けることが困難な扉も簡単に開けることが出来ると言われているが仕事を選ぶと言われていた。
そんな男は180センチをゆうに超える長身に黒い服に身を包み女の前に現れたが、その服装はまるで暗闇に紛れて仕事をすることが心地いいといった姿。
だが実際はその通りで男は夜しか仕事をしないと言われていた。
だから彼の腕が使われるのは、帰宅して家の鍵を紛失したことに気付き中に入れないといった住人が殆どだ。
そして料金は時と場合によって違った。つまり言い値ということになるが、男はそれでもよければ扉を開けるといったスタンスで仕事をしていた。
「みません。鍵が鍵穴に合わないんです。何故こんなことになったのか.....。朝家を出る時はちゃんと鍵をかけることが出来たんです。それなのにどうしてなのか訳がわからないんです。それにこの部屋の鍵は普通の鍵屋さんでは簡単には開けることが出来ないと言われていて、それであなたの事を知ってお願いしたんですが、開けることが出来ますか?」
それはセキュリティを重視したマンションが特別に設えた特殊な鍵。
その鍵が何故か鍵穴に挿し込むことが出来なくなっていた。
「ええ。私はどんな鍵も開けることが出来ます。ただし料金は高いですよ?」
女は夜中に鍵屋を呼ぶのは初めてであり、いったいいくら必要なのか分かなかったが、財布の中身を頭に思い浮かべながら「お願いします」と答えた。
すると、「分かりました。それではすぐに鍵を開けましょう」と言って男は鍵を開けるための道具を取り出し鍵穴に挿し込んだ。
そして耳を扉に近づけた。するとものの数秒で開錠されたのが分かった。
「開きましたよ」
「本当ですか?ありがとうございます!助かりました。それで…あの、お幾らになりますか?」
女はそう言って鞄から財布を取り出し料金を聞いた。
「料金ですか?」
「はい」
「料金は不要だ。金は必要ない」
女はその言葉に「えっ?」と怪訝な顔をした。
金は必要ないとはいったいどういう意味なのか?
考えていたその時、自分の前に立つ背の高い男の口元にうっすらと笑みが浮かんだのを見た。
「金は必要ないと言ったがその代わりお前が欲しい。牧野つくし。俺はお前に一目惚れをした。お前は気付かなかったが俺たちは会ったことがある。お前は道明寺グループの会社で働いているな?俺は副社長の道明寺司で鍵屋は趣味だ。俺は開かない鍵を開けるのが好きなだけだ。だがお前の部屋の鍵を変えたのは俺だ」
つくしは男が何を言っているのか、すぐに理解することが出来なかった。
だが男が言うように、つくしは道明寺グループの道明寺食品という会社で食品分析の仕事をしていた。
そして徐々に頭の中に浸透して来たのは、自分の部屋の開かない扉を開けた男性が親会社の副社長道明寺司で部屋の鍵を勝手に変えたのは自分だと言った。
そして「お前が欲しい」の意味に気付くと、たった今開けられた扉のドアノブを掴み部屋の中に逃げようとした。だがそれが間違いだった。
男はつくしの手を掴み、扉を開け、部屋の中に彼女を押し込み、素早い身のこなしで自身も中へ入ると後ろ手に鍵を閉めた。
「や、止めて!」
「何を止めるって?俺はまだ何もしてないが?」
司はククッと笑い着ていた黒の上着を脱ぎ、広く逞しい胸に張り付いていた黒のTシャツを脱ぐと床に放った。上半身裸になった男の鍛えられた肉体は世の女達を虜にすると言われる身体をしていたが、目の前の女は怯えた顔で彼を見ていた。
司は訪問した関連会社で見かけた牧野つくしに一目惚れをした。
彼が検査室のガラス窓の外を通っても、視線を向けることなく気取らない態度で仕事をしている彼女を見かけたとき恋に落ちた。
そして彼女が欲しいと思った。
だから自宅を調べると彼女が住むマンションを買い取り彼女がいない間に鍵を変えた。
つまり部屋の内部がどうなっているかも知っていた。
「や、止めて…..な、何をするつもり?」
「怖いのか?俺のことが?」
部屋の奥に逃げた女の前に立った男は、言いながらベルトのバックルを外した。
そして女が怯える姿にゾクリとするものを感じた。
「ああ…牧野。俺を怖がらないでくれ。俺はお前に一目惚れをした。だからお前が欲しい。俺はお前に触って悦びを感じたい。俺はお前の男になりたいだけだ」

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コメント
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司*****E様
おはようございます^^
月曜日からこんな御曹司で本当にいいんですか?
いえでも決して坊ちゃんが月曜からこんなことを考えている訳ではありません(多分)
ただ、頭の中はいつでもつくしのことを考えている。それだけは間違いありません。
さて。司はつくしを手に入れることが出来るのか!?
後編。ちょっと長いですが楽しんでいただければ幸いです!
コメント有難うございました^^
おはようございます^^
月曜日からこんな御曹司で本当にいいんですか?
いえでも決して坊ちゃんが月曜からこんなことを考えている訳ではありません(多分)
ただ、頭の中はいつでもつくしのことを考えている。それだけは間違いありません。
さて。司はつくしを手に入れることが出来るのか!?
後編。ちょっと長いですが楽しんでいただければ幸いです!
コメント有難うございました^^
アカシア
2019.06.17 22:18 | 編集
