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2019
06.14

理想の恋の見つけ方 145

愛の謎が解ける。
それは、目の前にあった現実の中にいた人を思う気持ちが何であるかを理解したことだと思っている。
つくしは傷跡のせいで男性から拒絶される苦しみから逃れるために男性と距離を置くようにしてきた。だが恋人になった男性は、そんなつくしの傷跡を気にすることなく慈しむように愛してくれた。
二人の関係はまだ始まったばかりで恋人になった男性の名前を呼び捨てにすることに抵抗があった。
だからつくしが恋人のことを道明寺副社長と呼ぶと、隣に座った男は司と呼べと言った。
そして脚に劣等感を感じる必要はないと言った恋人は、つくしの手を取ると彼女が息も出来なくなるほどのキスをしたが、二人が乗ったジェットはニューヨークの空港を離陸すると日本に向かっていた。





アメリカでの滞在を終え日本へ帰ると桜子が迎えに来てくれたが、つくしを見た彼女は、
「先輩。変わりましたね?」
と言ったが、それは桜子が見た光景がこれまで目にしてきたものと明らかに違ったからだ。
日本を発つ前はどこか険しい表情に素っ気ない態度をした牧野つくしがいた。
だが今そこにいるのはごく普通の顔をしてはいるが隣に立つ男性との距離が近い女性。
そして「本当に送らなくていいのか?」と言う男性に、「大丈夫。桜子も来てくれたから心配しないで」と断った態度は柔らかいものだった。

何も帰国して早々大学へ寄る必要はないのに。と、そんな話をしたのは出発前だ。
あの時は、これは春休みを使っての渡米だが、あくまでも仕事の一環であり、戻れば新しい学生を迎えるための準備があるから空港に着いたらその足で大学に寄ると言ったから迎えに来た。
だが桜子の前に現れた牧野つくしは男性に向かって、改まった態度で「ありがとうございました。お疲れ様でした」と言ったが、その顔には照れたような表情が浮かんでいた。

そして「じゃあな」と優しい声で言って立ち去った男にも今までには見られなかった態度があった。
それは頬を寄せるようにして囁かれた別れの言葉。
だがそれは再会を約束する言葉で後に続く言葉は、また後で。
そして手のひらを背中に添えたが、他人にああいった触れ方をする日本人男性はいない。
そして向けられたセクシーな笑顔。
つまりそれは紛れもなく男女の関係を結んだ親しさだ。


「先輩。1週間のアメリカ滞在の間に道明寺副社長と何かあったんですか?」

「え?」

「だから道明寺副社長と何かあったんですかって聞いたんです。私に何か言いたいことがあるんじゃないですか?」

「何って…..別に何もないわよ?」

ポーカーフェイスが苦手な女の口ごもった言葉は、ありましたと言っているようなもので、桜子は仕方がないといった表情を浮かべ言った。

「先輩。今の先輩は誰がどう見ても普通の先輩じゃありません。先に言っておきますけど私は先輩と道明寺副社長の間に何かがあったとしても構いませんからね?それに先輩はいい大人ですから自分の行動には責任を持てるはずですし、色々と考えた末の行動を取ったんだと思います。だから___」

桜子はそこまで言ってひと息ついた。
それは、まあ、いいか。という気持ち。
そして語尾が消えた後をこう結んだ。

「先輩。良かったですね?今の先輩の顔は日本を出る時に見せた顔とは全然違います。向うで新しい何かを見つけたって顔をしています」

つまりそれは好きになる人を見つけたという意味。
思慮深くこだわりのないと言われる性格の友人が、自分のせいで脚に傷を負い心に傷を負い恋から遠ざかっていた。けれど何かに導かれるように大きな変化があって恋をすることを始めたならそれでいいと思った。
だから桜子が友人にかけた声は弾んでいた。

「先輩?男って複雑なように見えて意外と単純ですからね?」




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コメント
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dot 2019.06.14 05:48 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
恋愛上級者の桜子にすれば、つくしの変化など簡単に見分けることが出来ますからねぇ。
そして嬉しそうな桜子。
彼女はつくしが傷を負ったことに責任を感じていますので、恋を始めたつくしの行動を喜んでいるはずです。
そして一度は否定した司でしたが、彼の優しい態度にも安心していることでしょう。
男は複雑のようで単純(笑)流石桜子ですね!
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.06.14 21:46 | 編集
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