好きだという気持ちが高まったのだから後悔はなかった。
だから抱かれることも自然なことに思えた。
それは今まで男性に対して臆病だった自分を変えたいという思いと、自分を好きだという男性に対しての気持ちは自分も同じだと気付いたからだ。
それにしても、高い場所から眺める早朝のニューヨークの街は、同じ大都会と言われる東京とは違い、古い石造りの建物が点在していた。そしてマンハッタン島という狭い土地に多くのビルが建ち並ぶ姿は壮観だと思った。
そしてこの部屋の主である男性を残し、ひとりでベッドを抜け出すと床に脱ぎ散らかされた服を拾い上げバスルームを使ったが、鏡に映った自分の姿にカァっとなった。
身体中のそこかしこに散らされた赤い痣が唇を使って付けられたものだとすぐに分かったが、髭で擦られて肌が赤くなることを初めて知った。
そしてそれは胸に顔をうずめられたからだが、そこから先のことは記憶が定かではない。
それに初めてだったのだから相手に従うしかなかったが、ただ相手にしがみつき、熱くて引き締まった厚い胸板を感じ、声を上げるしかなかったが、あれでよかったのか。
そして最後はしがみつき、息をつくのがやっとの状況で何も言えなかった。
いや、そうじゃない。何を言えばいいのか分からなかった。だから眠るように言われると、そのまま心地よい眠りの中に落ちた。
「でも何か言えば良かったのかも。素敵だったとか。感動したとか….」
「そうか。感動したか?」
つくしは後ろから聞こえてきた笑いを含んだ声に振り返ったが、足音を立てることなく、いつの間にか、そこにいた男はバスローブ姿だった。
そして髪は乱れていたが、その髪は癖があるにも関わらず柔らかい髪だった。
だからくしゃくしゃになった髪は好き勝手な方向に向いていたが、その髪をここまで乱したのは自分だ。
そうだ。両脚の間に男性の頭を感じるなど考えもしなかったが、確かにそんな状況はあった。
あの時の自分の手がどこにあったかと問えば、きっと彼の頭を掴んでいたはずだ。
「どうした?舌を抜かれたような顔をして?」
今のつくしは、何を言えばいいのか分からなかった。
だから実際舌を抜かれたような顔をしていたとしても、その通りだと言えた。
だがいつまでも黙っている訳にはいかなかった。だから思考を巡らせ口にする言葉を考えたが、今日はいい天気ねとでも言えばいいのか。他に思いつく言葉はなく、やはり何を言えばいいのか分からなかった。
だから「コ、コーヒーでも飲まない?私淹れるから」と言ったが、その言葉に笑われたのが分かった。
そして言葉を継いだのは相手の方だ。
「何を言ったらいいのか分かんねぇって顔をしてるが、俺たちは恋人同士になった。だから気の利いた言葉を口にする必要はない。普通にすればいい。何も気取る必要はない」
と、言われたが、初めての体験を済ませた女は、こういった場面でどう振る舞えばいいのか分からず近づいて来た相手を前に大きく息を吸ったが、鼻孔をくすぐったのは男らしい体臭。
そして頭の中に甦った光景に顔が赤らむのが分かった。
すると黙っているつくしに「どうした?言いたいことがあるなら言ってくれ」と言われ、「私の脚のことだけど_」と言い掛けたところで、「ああ。ちょっとしたかすり傷のことか」と言われ頷いたが、「いいか。何度も言ったが俺はお前の身体のどこに傷があろうと関係ない。むしろ俺が気にするのはその傷が今でも痛むのかどうかだ。もし今でも痛むなら医者に診てもらえばいい。この街には世界でもトップクラスの医者がいる。だから痛むのなら言って欲しい。すぐにでも診療の手配する」と言われ、その言葉の後に沈黙が訪れた。
暫くして小さな声で「痛いわよ」と言われた司は、そうかと言って抱きしめた。
今まで男と関係を持つことを拒んで来た女は、心の傷だけを痛みとして抱えていると思っていた。しかし実は傷跡の痛みも抱えていたのかと思うと、抱きしめる腕に力が入った。
だが、返された言葉は司が思っていたものとは違っていた。
「痛いわよ。身体中が。だってこんなことしたのは初めてなんだし、こんなに身体が痛いだなんて思いもしなかったわ。だからあまりきつく抱きしめないで」
司はその言葉に笑いそうになっていた。
それは、それこそ司が思っていたこととは違ったからだ。
そして、彼の腕の中で身じろぎした女は、司をぎこちなくだが抱き返してきた。
だから、司は牧野つくしをギュッと抱きしめたいところを、少しだけ緩めると囁きかけた。
「ああ、分かった」
司は言いながら、彼女の顔を両手で挟むと上向けた。
「その代わりキスしてくれ」
だがその言葉の通りするには彼女の背は低い。
だから司は、両腕を尻の下に回して彼女を抱き上げると自分からキスをした。

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だから抱かれることも自然なことに思えた。
それは今まで男性に対して臆病だった自分を変えたいという思いと、自分を好きだという男性に対しての気持ちは自分も同じだと気付いたからだ。
それにしても、高い場所から眺める早朝のニューヨークの街は、同じ大都会と言われる東京とは違い、古い石造りの建物が点在していた。そしてマンハッタン島という狭い土地に多くのビルが建ち並ぶ姿は壮観だと思った。
そしてこの部屋の主である男性を残し、ひとりでベッドを抜け出すと床に脱ぎ散らかされた服を拾い上げバスルームを使ったが、鏡に映った自分の姿にカァっとなった。
身体中のそこかしこに散らされた赤い痣が唇を使って付けられたものだとすぐに分かったが、髭で擦られて肌が赤くなることを初めて知った。
そしてそれは胸に顔をうずめられたからだが、そこから先のことは記憶が定かではない。
それに初めてだったのだから相手に従うしかなかったが、ただ相手にしがみつき、熱くて引き締まった厚い胸板を感じ、声を上げるしかなかったが、あれでよかったのか。
そして最後はしがみつき、息をつくのがやっとの状況で何も言えなかった。
いや、そうじゃない。何を言えばいいのか分からなかった。だから眠るように言われると、そのまま心地よい眠りの中に落ちた。
「でも何か言えば良かったのかも。素敵だったとか。感動したとか….」
「そうか。感動したか?」
つくしは後ろから聞こえてきた笑いを含んだ声に振り返ったが、足音を立てることなく、いつの間にか、そこにいた男はバスローブ姿だった。
そして髪は乱れていたが、その髪は癖があるにも関わらず柔らかい髪だった。
だからくしゃくしゃになった髪は好き勝手な方向に向いていたが、その髪をここまで乱したのは自分だ。
そうだ。両脚の間に男性の頭を感じるなど考えもしなかったが、確かにそんな状況はあった。
あの時の自分の手がどこにあったかと問えば、きっと彼の頭を掴んでいたはずだ。
「どうした?舌を抜かれたような顔をして?」
今のつくしは、何を言えばいいのか分からなかった。
だから実際舌を抜かれたような顔をしていたとしても、その通りだと言えた。
だがいつまでも黙っている訳にはいかなかった。だから思考を巡らせ口にする言葉を考えたが、今日はいい天気ねとでも言えばいいのか。他に思いつく言葉はなく、やはり何を言えばいいのか分からなかった。
だから「コ、コーヒーでも飲まない?私淹れるから」と言ったが、その言葉に笑われたのが分かった。
そして言葉を継いだのは相手の方だ。
「何を言ったらいいのか分かんねぇって顔をしてるが、俺たちは恋人同士になった。だから気の利いた言葉を口にする必要はない。普通にすればいい。何も気取る必要はない」
と、言われたが、初めての体験を済ませた女は、こういった場面でどう振る舞えばいいのか分からず近づいて来た相手を前に大きく息を吸ったが、鼻孔をくすぐったのは男らしい体臭。
そして頭の中に甦った光景に顔が赤らむのが分かった。
すると黙っているつくしに「どうした?言いたいことがあるなら言ってくれ」と言われ、「私の脚のことだけど_」と言い掛けたところで、「ああ。ちょっとしたかすり傷のことか」と言われ頷いたが、「いいか。何度も言ったが俺はお前の身体のどこに傷があろうと関係ない。むしろ俺が気にするのはその傷が今でも痛むのかどうかだ。もし今でも痛むなら医者に診てもらえばいい。この街には世界でもトップクラスの医者がいる。だから痛むのなら言って欲しい。すぐにでも診療の手配する」と言われ、その言葉の後に沈黙が訪れた。
暫くして小さな声で「痛いわよ」と言われた司は、そうかと言って抱きしめた。
今まで男と関係を持つことを拒んで来た女は、心の傷だけを痛みとして抱えていると思っていた。しかし実は傷跡の痛みも抱えていたのかと思うと、抱きしめる腕に力が入った。
だが、返された言葉は司が思っていたものとは違っていた。
「痛いわよ。身体中が。だってこんなことしたのは初めてなんだし、こんなに身体が痛いだなんて思いもしなかったわ。だからあまりきつく抱きしめないで」
司はその言葉に笑いそうになっていた。
それは、それこそ司が思っていたこととは違ったからだ。
そして、彼の腕の中で身じろぎした女は、司をぎこちなくだが抱き返してきた。
だから、司は牧野つくしをギュッと抱きしめたいところを、少しだけ緩めると囁きかけた。
「ああ、分かった」
司は言いながら、彼女の顔を両手で挟むと上向けた。
「その代わりキスしてくれ」
だがその言葉の通りするには彼女の背は低い。
だから司は、両腕を尻の下に回して彼女を抱き上げると自分からキスをした。

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Comment:2
コメント
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司*****E様
おはようございます^^
あんなに頑なに司を拒否していたのに!
心の中でわだかまっていた何かが取れたことが大きいのでしょうねぇ。
そして、つくしの全てをありのままに受け入れるという男の想いは実を結んだようです。
コメント有難うございました^^
おはようございます^^
あんなに頑なに司を拒否していたのに!
心の中でわだかまっていた何かが取れたことが大きいのでしょうねぇ。
そして、つくしの全てをありのままに受け入れるという男の想いは実を結んだようです。
コメント有難うございました^^
アカシア
2019.06.10 22:40 | 編集
