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2019
05.31

理想の恋の見つけ方 137

つくしの隣に立つ男は圧倒的な経済力と権力を持つ男。
その男の姉から弟のことを考えて欲しいと言われた。
そして弟が他の誰かと付き合っているところを想像して欲しいと言われたが、そのことを嫌だと感じれば、つくしの気持ちは道明寺司に向けられていることになる。
そして頭に浮かんだのは、美しい女性と腕を組んで歩く男の姿。二人は瀟洒な建物の中に消えて行った。
その時つくしの心に浮かんだ想い。
それは___


「どうする?博物館に戻るか?」

「え?」

「ニューヨークに来たのは博物館に行くためじゃなかったか?」

そう声をかけられ隣に立つ男を見上げた。そうだ。この街に来たのは博物館に行くためであり他に目的はない。だから言われた通り博物館へ戻ればいいという思いから口を開いた。
だが出たのは博物館へ戻る、の言葉ではなく咳払い。それは意味のない行為だが口にする言葉に躊躇いがあるから出たと言えた。だからひと呼吸置いて口を開いた。
だがそれは弟想いの姉の気持ちにほだされたのではない。



「博物館にはプラネタリウムが併設されてるの。もしよかったらだけど___」

司は暫く黙っていた。
プラネタリウムに一緒にいかないか?
それは思いもしない言葉だったからだ。
それに姉がどんな話をしたにしろ、牧野つくしがプラネタリウムという暗闇包まれた場所で司の隣に座り時間を過ごそうという気になったことに驚いた。
司が彼女と一緒の時間を過ごしたいと願っても、簡単にはいかなかった。だが姉はいとも簡単にその願いを叶えてくれた。
いったい姉は何を言ったのか。だが何を言ったにしろ姉が投げたボールを彼女が、牧野つくしが受け取ったということだ。そして今度はそのボールを司に投げた。そして彼女は司の言葉を待っていた。


「プラネタリウムか。ガキの頃姉貴に連れられて一度だけ行ったことがある。そうは言っても何十年も前の話だ。それに上を見上げてぼんやりとしていたに過ぎなかったが、まるで自分も宇宙に浮かんでいるような不思議な感覚で心が休まる場所だったことを覚えてる。それから時間はあっという間に流れたってこともな」

司は遠い昔を懐かしむように答えたが、その言葉の中にはプラネタリウムに行くとも行かないとも具体的な言葉はなかった。そしてまた暫く黙ったままでいた。
だから隣に立った女は断れたと思ったのか。司の傍から離れようとした。
だから司は女の手を掴んで言った。

「行こう。プラネタリウムに」









用意している言葉とそうではない言葉の違いは何か。
だが今は黙って宇宙を旅する事に決めた。
つくしはプラネタリウムが好きだ。
海の中の動物を研究者する人間が宇宙に興味を抱くのは、宇宙も深海と同じで人類の未知なる世界という点では同じだからだ。
それにプラネタリウムは映画のように感情を伴わせるものではなく静かに上を向いているだけでいい。静かに移ろう季節のように夜更けから夜明けへと流れていく星空を黙って眺めている時間は、疲れた頭に安らぎを与えてくれるがそれが良かった。だからプラネタリウムにはひとりで行く。
だが今は隣にいる男性のことを気にしていた。
そしてここに来ようと言ったのはつくしだ。その理由はここなら二人して前を。いや顔を見ることなく上を向いていればいいからだ。
つまりここなら向き合う必要がないということだが、何故それを願ったのか。
道明寺司はつくしの傷跡を受け入れると言った。
だが全てを見た訳ではない。付き合うようになればいずれ男女の関係を結ぶことになるが、見る勇気はあるかということを訊きたかった。

そして男女の関係が生まれてはじめてのものになることを伝えることになるが、それでもいいかと訊かなければならなかった。
だから向き合うことがない暗闇を選んだ。それは面と向かって性にまつわる問題を口にすることが恥ずかしいという思いがあるからだ。
そしてこうして暗闇の中、満天の星空を見上げながら、こんなことを考えている自分が恋をしていることを、それも絶対に好きにならないと思っていた相手を好きになってしまったことを認めなければならなかった。

それにしても心が捉えられた瞬間というのはいつだったのか。
脚に傷を負い短い恋を失い、それから恋愛の真似事さえしてこなかった女の心は頑なだった。だが椿の言った、『少しでも司の事が気になる。だけど自分の気持ちが分からないなら、その時はあの子が別の誰かと付き合っていたらどう思うかを想像して欲しいの。その時もし嫌だと感じるならあなたの気持ちは司に向けられていると思うわ。つまりそれは恋だと思うの』
その言葉に隣に座った男性が他の誰かと付き合っていることを想像したとき嫌だと感じた。

つまりそれは恋。

つくしは椿の言葉で自分が恋におちたことを知った。




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コメント
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dot 2019.05.31 07:43 | 編集
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dot 2019.05.31 12:10 | 編集
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dot 2019.05.31 12:31 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
さて。つくしは自分の気持ちに気が付いたようです。
そして頭の中を巡り始めた色々。
傷跡を受け入れるといった男ですが本当に?
そして相手の顔を見ると恥ずかしいという思いから誘った博物館内にあるプラネタリウム。
つくしは自分の気持ちを伝えることが出来るのでしょうかねぇ。
急接近するのかどうか?見守って下さい。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.06.01 15:33 | 編集
ま**ん様
こんにちは^^
つくしは椿の話からやっと自分の心の裡が見えてきたようですが、これから先どういった態度に出るのでしょう。
恋が動き始めたのは確かですが、本当にやっとですね?(;^ω^)
司の気持ちは伝えられた通りです。
あとはつくし次第のはずです!
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.06.01 15:36 | 編集
イ**マ様
とうとう恋に落ちてしまった(≧▽≦)
いや、やっと落ちたと言った方が正しいかもしれません(笑)
椿お姉さんのナイスパス!
恋と気付いた女はこれからどうする?何しろ今まで司のことを否定していたんですからねぇ(笑)

プラネタリウム。いいですよね~。
そこでの二人はどうなるのでしょうねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.06.01 15:41 | 編集
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