牧野つくしのこととなると目の色を変える男が急いで向かった海外事業本部に牧野つくしの姿はなかった。
それならどこにいる?
司のその疑問に答えた男は牧野の上司で頭が禿げた男。
牧野が向かった先は海外事業部の資料室だと言ったが、司はこのビルのどこに資料室があるのか知らなかった。だから禿げ頭の男に言った。
「それでその資料室はどこにある?」
すると海外事業部の資料室は地下2階にある一室だと言った。
そこは地下駐車場のひとつ上のフロアで各部署の資料室があると言ったが、それは長い歴史を誇る会社ならではのデータ化されていない古い資料が山のようにある場所で、倉庫同然の場所だと言った。
「倉庫同然?」
「は、はい。ですから支社長自らが足を運ばれる場所ではございません。もし牧野さんにご用でしたら私が呼びに行ってまいります」
と言ったが司は断った。そして倉庫同然という言葉にニヤッとした。
そこは女ひとりで行くには無用心な場所とも言えるが、ここは天下の道明寺。
そこで何かが起こるはずはなく、だがだからと言って起こらないとも限らない。
だが司の恋人は腕っぷしが強い。右腕のパンチはライト級のボクサー並。右足のハイキックはムエタイの女子チャンピオンに勝るとも劣らないと言われていた。そんなキックを司が浴びたのは高校生の頃だったが、あのキックで恋に落ちたと言っても過言ではなかった。
司はエレベーターで窓のない密閉された地下2階の廊下に降り立つと海外事業部の資料室を探した。
そしてある扉の前で止るとドアノブを回した。だが鍵がかかっていて開かなかった。
だからドアをガンガン叩いてみたが、中から誰かが出てくることはなかった。
するとそこへ巡回中の警備員が現れた。
「おい。背が160位で眼がデカくて髪が肩まである女を見なかったか?」
すると警備員は、「その女性ならついさっき資料をかかえてエレベーターで上に上がりました」と言った。
司は資料室につくしが居なかったことを少し残念に思ったが、エレベーターに乗り海外事業本部へ戻ることにした。
そしてそこでつくしを掴まえ彼女の今の気持ちを確かめるではなかったが、もしかして今でも司がつくしのことを忘れ、彼女が作った弁当を他の女が作ったと信じた男に腹を立てているのではないかと思った。
そしてお前なんか知らねぇといって追い返したことも実は今でも根に持っていて、それが潜在意識として残っていたことから思念となって司の夢に現れたのではないかと思った。
「いや。だがあいつは過去を根に持つような女じゃない。それに類にしたってそうだ。あいつは俺たちにとってはダチ以外の何ものでもない」
と、ひとりごちたが、それでも類にしても、まだ心のどこかに牧野に対する思いを秘めていたとしてもおかしくない。つまり牧野と同じで意識の奥深くに眠らせている思いがあるということ。だからそんな二人の思いが司の夢に現れたとしたら、いつかそれが現実になるのではないかと思った。
「いや。まさかそんなことはないはずだ」
と口に出すも、それでも一度頭の中に巣食った思いは簡単には消えそうになかった。
だから早々に牧野を掴まえて本人の口から愛してるのは司だけ。という言葉を訊かなければ落ち着いて仕事など出来るはずがなかった。
だから司は、再びつくしの部署に行った。
だがそこにつくしの姿は無かった。
「牧野はどこだ?」
すると禿げの部長は、「も、申し訳ございません。一度戻って来たのですがその時、支社長がお探ししていると伝えたんですが今度は総務課へ提出する書類があるからと、つい先ほど向かったところです」
司はその言葉に、つくしが自分を避けているのではないかと感じた。
つまりそれは、司には会いたくないということ。
だが何故司に会いたくないというのか?
それを考えるとモヤモヤとしたものが心に湧き上がると同時に、二日前の夜から翌日の朝にかけての記憶をたどって、自分がつくしの気に入らない何かをしたのではないかと考えた。
あの夜は激しい愛の行為で眠らせる時間を与えることはなかった。声が枯れるほど司の名前を叫ばせ、司もつくしの名前を何度も何度も呼んだ。柔らかく濡れた場所を撫でまわし、歓喜の声を上げさせ高みに押し上げると、腰を両手で掴み、脚を開かせ強く腰を押し付けた。
その瞬間司の背中に突き立てられた爪の後は今でもくっきりと残っていて、あの時の二人は互いに全てを与えあった。
そんな夜を過ごしたのが二日前。
それから会ってはいなかったが、考えてみても思い当たるふしはなかった。
だから、「牧野?何が気に入らない?俺が何かしたか?」
と、ひとりごちると、総務課へ足を向けることにしたが、今度は悠長に廊下を歩くことはせず走った。そして扉が閉まりそうになっていたエレベーターに飛び乗ると中にいた男は驚いた顔をしたが、「総務課はどこだ?」と問われるとすぐにボタンを押した。そして「こちらが総務課のフロアです」と言われエレベーターから降りると再び廊下を走った。
そして「牧野はいるか?」と言って息せき切って現れた男に総務課全員が首を横に振った。
執務室を飛び出してから1時間。
司は牧野つくしに会えずにいた。
海外事業本部からまず地下の資料室へ行き、そこから再び海外事業本部を経由して40階にある総務課へ行き、今度は見かけた者がいるという34階の都市開発本部へ行くと次は19階の物流事業本部へ行った。そして25階にある宇宙航空機本部へも行ったが会えなかった。
そして会えないまま時間が過ぎ仕方なく執務室に戻ったが、ここは自分の会社で、このビルは自分の会社のビルで、自分は支社長で、牧野つくしは彼の会社の社員で給料を払っているのは司で、そして彼は彼女の恋人だ。
それなのに何故会えない?このビルの中にいることは確かだがどうして会うことが出来ない?それはつまり意図的に避けられているということか?
そしてそれが意味するのは、司は牧野つくしに嫌われたということになる。
「まさか….類か?」
そんな思いが再び頭を過ったが、そんなことは無いはずだとその思いを追い払うように頭を振った。
その時ノックの音がした。
そして入れという司の言葉を待たずに扉が開けられた。
「支社長。よろしいでしょうか?」
何がよろしいのか。よろしくないのか。
今の司は、つくしを失うかもしれないという思いから何も考えられなかった。
そして不機嫌だった。
だから司は立ち上ると西田に背を向け窓の外に視線を向けたが、背後に聞こえた音は男の靴音ではなく軽やかな足音。
そして、「道明寺?何かあったの?西田さんから私を探してるって連絡を受けたんだけど」と明るい声と扉が閉められる音がした。
司は振り返った。
そしてそこにいる人物が誰であるか知ると司の足はその人の元へ向かっていた。
「やだ。どうしたの道明寺?」
それは司がつくしを抱きしめたから。
そしてその声は苦しそうにしていたが、それでも笑っていた。
そうだ。笑いながら「ちょっと苦しいってば!」と言った。
「どこ行ってたんだよ!」
「え?どこって仕事してたわよ?今日は忙しくて上から下まで走り回ってるんだからね?」
真面目で努力家で、当然だが司よりも小さな女は、そう言って司の腕の中から彼の顔を見上げた。
「俺はどこに行ってもお前に会えなくて、お前が類と結婚するって知ってショックでどうにかなりそうだったんだぞ?」
「はぁ?何おかしなこと言ってるのよ?どうして私が類と結婚しなきゃならないのよ?」
「どうしてって、それはだな…..と、とにかく仕事をしてたんならそれでいい」
「もう本当に道明寺は時々訳の分からないことを言うから西田さんも大変よね?」
そう言った女は、司のデスクの足もとに置かれた段ボール箱に目を止めた。
そして司の腕から抜け出し蓋の間から覗く表紙に目を輝かせると一冊だけ取り出し手に取るとページをめくりながら言った。
「これ『花より団子』じゃない?なに道明寺この本どうしたの?ねえ、もしかして全巻揃ってるの?私この漫画のファンだったの。うわ~懐かしい!でもうち貧乏だから漫画なんて買えなくてね。優紀から借りて読んでたの」と言って笑った。
そう言えば。と司は、この漫画を西田に用意させた理由を思い出し、そして恋人の口からファンだったと訊かされたからには訊かなければならないことがあったことを思い出した。
それは、牧野つくしは、道暗寺司と花川数という男のどちらを理想の恋人と考えていたかということだ。
「なあ。牧野?」
「ん?なに?」
司の呼びかけに本をめくる手を止めた女は彼を見た。
「お前。この漫画に出てくる男。つまりクセが強い男とそうじゃない男のどっちが好きだったんだ?」
「あ。道暗寺司と花川数ね?この二人の名前って道明寺と花沢類に似てるって思ったけど、世の中にはびっくりするくらい似てる人がいるって言うでしょ?だからこの漫画の二人は道明寺と花沢類に思えて仕方がないの。だってなんだかこの主人公の女の子の家族もうちの家族とよく似てるし、それにこの女の子って__」
「牧野。いいからどっちの男が好きだったんだ?」
司は早くつくしの返事が訊きたくて言葉を遮り訊いた。
「どっちだと思う?」
笑顔で司を見上げる女は静かに言ったが、その口ぶりは彼が聞きたい言葉を知っているはずだと思った。
何故ならそれは、牧野つくしは司の顔に浮かぶ不安な表情を知っているからだ。
「私が好きだったのはクセの強い男よ」
どんな高級なデートよりも二人でいれればそれでいいという女は、司に抱きしめられると苦しい、離してよ!と言ったが司は離さなかった。
そして出来れば今日はこのままずっと抱きしめていたかった。
司は牧野つくしと一緒にいると魂が救済され精神が浄化される。
彼女のことは生きるパワースポットであり、彼女さえいれば嫌なことも辛いことも悩みも全てが解決する。
そして今はただ、あちこちに唇を付けて、その身体を味わいたい思いでいた。
そして今のこの感情はなんだ?と問われれば、ただ幸せだと答えるはずだ。

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司のその疑問に答えた男は牧野の上司で頭が禿げた男。
牧野が向かった先は海外事業部の資料室だと言ったが、司はこのビルのどこに資料室があるのか知らなかった。だから禿げ頭の男に言った。
「それでその資料室はどこにある?」
すると海外事業部の資料室は地下2階にある一室だと言った。
そこは地下駐車場のひとつ上のフロアで各部署の資料室があると言ったが、それは長い歴史を誇る会社ならではのデータ化されていない古い資料が山のようにある場所で、倉庫同然の場所だと言った。
「倉庫同然?」
「は、はい。ですから支社長自らが足を運ばれる場所ではございません。もし牧野さんにご用でしたら私が呼びに行ってまいります」
と言ったが司は断った。そして倉庫同然という言葉にニヤッとした。
そこは女ひとりで行くには無用心な場所とも言えるが、ここは天下の道明寺。
そこで何かが起こるはずはなく、だがだからと言って起こらないとも限らない。
だが司の恋人は腕っぷしが強い。右腕のパンチはライト級のボクサー並。右足のハイキックはムエタイの女子チャンピオンに勝るとも劣らないと言われていた。そんなキックを司が浴びたのは高校生の頃だったが、あのキックで恋に落ちたと言っても過言ではなかった。
司はエレベーターで窓のない密閉された地下2階の廊下に降り立つと海外事業部の資料室を探した。
そしてある扉の前で止るとドアノブを回した。だが鍵がかかっていて開かなかった。
だからドアをガンガン叩いてみたが、中から誰かが出てくることはなかった。
するとそこへ巡回中の警備員が現れた。
「おい。背が160位で眼がデカくて髪が肩まである女を見なかったか?」
すると警備員は、「その女性ならついさっき資料をかかえてエレベーターで上に上がりました」と言った。
司は資料室につくしが居なかったことを少し残念に思ったが、エレベーターに乗り海外事業本部へ戻ることにした。
そしてそこでつくしを掴まえ彼女の今の気持ちを確かめるではなかったが、もしかして今でも司がつくしのことを忘れ、彼女が作った弁当を他の女が作ったと信じた男に腹を立てているのではないかと思った。
そしてお前なんか知らねぇといって追い返したことも実は今でも根に持っていて、それが潜在意識として残っていたことから思念となって司の夢に現れたのではないかと思った。
「いや。だがあいつは過去を根に持つような女じゃない。それに類にしたってそうだ。あいつは俺たちにとってはダチ以外の何ものでもない」
と、ひとりごちたが、それでも類にしても、まだ心のどこかに牧野に対する思いを秘めていたとしてもおかしくない。つまり牧野と同じで意識の奥深くに眠らせている思いがあるということ。だからそんな二人の思いが司の夢に現れたとしたら、いつかそれが現実になるのではないかと思った。
「いや。まさかそんなことはないはずだ」
と口に出すも、それでも一度頭の中に巣食った思いは簡単には消えそうになかった。
だから早々に牧野を掴まえて本人の口から愛してるのは司だけ。という言葉を訊かなければ落ち着いて仕事など出来るはずがなかった。
だから司は、再びつくしの部署に行った。
だがそこにつくしの姿は無かった。
「牧野はどこだ?」
すると禿げの部長は、「も、申し訳ございません。一度戻って来たのですがその時、支社長がお探ししていると伝えたんですが今度は総務課へ提出する書類があるからと、つい先ほど向かったところです」
司はその言葉に、つくしが自分を避けているのではないかと感じた。
つまりそれは、司には会いたくないということ。
だが何故司に会いたくないというのか?
それを考えるとモヤモヤとしたものが心に湧き上がると同時に、二日前の夜から翌日の朝にかけての記憶をたどって、自分がつくしの気に入らない何かをしたのではないかと考えた。
あの夜は激しい愛の行為で眠らせる時間を与えることはなかった。声が枯れるほど司の名前を叫ばせ、司もつくしの名前を何度も何度も呼んだ。柔らかく濡れた場所を撫でまわし、歓喜の声を上げさせ高みに押し上げると、腰を両手で掴み、脚を開かせ強く腰を押し付けた。
その瞬間司の背中に突き立てられた爪の後は今でもくっきりと残っていて、あの時の二人は互いに全てを与えあった。
そんな夜を過ごしたのが二日前。
それから会ってはいなかったが、考えてみても思い当たるふしはなかった。
だから、「牧野?何が気に入らない?俺が何かしたか?」
と、ひとりごちると、総務課へ足を向けることにしたが、今度は悠長に廊下を歩くことはせず走った。そして扉が閉まりそうになっていたエレベーターに飛び乗ると中にいた男は驚いた顔をしたが、「総務課はどこだ?」と問われるとすぐにボタンを押した。そして「こちらが総務課のフロアです」と言われエレベーターから降りると再び廊下を走った。
そして「牧野はいるか?」と言って息せき切って現れた男に総務課全員が首を横に振った。
執務室を飛び出してから1時間。
司は牧野つくしに会えずにいた。
海外事業本部からまず地下の資料室へ行き、そこから再び海外事業本部を経由して40階にある総務課へ行き、今度は見かけた者がいるという34階の都市開発本部へ行くと次は19階の物流事業本部へ行った。そして25階にある宇宙航空機本部へも行ったが会えなかった。
そして会えないまま時間が過ぎ仕方なく執務室に戻ったが、ここは自分の会社で、このビルは自分の会社のビルで、自分は支社長で、牧野つくしは彼の会社の社員で給料を払っているのは司で、そして彼は彼女の恋人だ。
それなのに何故会えない?このビルの中にいることは確かだがどうして会うことが出来ない?それはつまり意図的に避けられているということか?
そしてそれが意味するのは、司は牧野つくしに嫌われたということになる。
「まさか….類か?」
そんな思いが再び頭を過ったが、そんなことは無いはずだとその思いを追い払うように頭を振った。
その時ノックの音がした。
そして入れという司の言葉を待たずに扉が開けられた。
「支社長。よろしいでしょうか?」
何がよろしいのか。よろしくないのか。
今の司は、つくしを失うかもしれないという思いから何も考えられなかった。
そして不機嫌だった。
だから司は立ち上ると西田に背を向け窓の外に視線を向けたが、背後に聞こえた音は男の靴音ではなく軽やかな足音。
そして、「道明寺?何かあったの?西田さんから私を探してるって連絡を受けたんだけど」と明るい声と扉が閉められる音がした。
司は振り返った。
そしてそこにいる人物が誰であるか知ると司の足はその人の元へ向かっていた。
「やだ。どうしたの道明寺?」
それは司がつくしを抱きしめたから。
そしてその声は苦しそうにしていたが、それでも笑っていた。
そうだ。笑いながら「ちょっと苦しいってば!」と言った。
「どこ行ってたんだよ!」
「え?どこって仕事してたわよ?今日は忙しくて上から下まで走り回ってるんだからね?」
真面目で努力家で、当然だが司よりも小さな女は、そう言って司の腕の中から彼の顔を見上げた。
「俺はどこに行ってもお前に会えなくて、お前が類と結婚するって知ってショックでどうにかなりそうだったんだぞ?」
「はぁ?何おかしなこと言ってるのよ?どうして私が類と結婚しなきゃならないのよ?」
「どうしてって、それはだな…..と、とにかく仕事をしてたんならそれでいい」
「もう本当に道明寺は時々訳の分からないことを言うから西田さんも大変よね?」
そう言った女は、司のデスクの足もとに置かれた段ボール箱に目を止めた。
そして司の腕から抜け出し蓋の間から覗く表紙に目を輝かせると一冊だけ取り出し手に取るとページをめくりながら言った。
「これ『花より団子』じゃない?なに道明寺この本どうしたの?ねえ、もしかして全巻揃ってるの?私この漫画のファンだったの。うわ~懐かしい!でもうち貧乏だから漫画なんて買えなくてね。優紀から借りて読んでたの」と言って笑った。
そう言えば。と司は、この漫画を西田に用意させた理由を思い出し、そして恋人の口からファンだったと訊かされたからには訊かなければならないことがあったことを思い出した。
それは、牧野つくしは、道暗寺司と花川数という男のどちらを理想の恋人と考えていたかということだ。
「なあ。牧野?」
「ん?なに?」
司の呼びかけに本をめくる手を止めた女は彼を見た。
「お前。この漫画に出てくる男。つまりクセが強い男とそうじゃない男のどっちが好きだったんだ?」
「あ。道暗寺司と花川数ね?この二人の名前って道明寺と花沢類に似てるって思ったけど、世の中にはびっくりするくらい似てる人がいるって言うでしょ?だからこの漫画の二人は道明寺と花沢類に思えて仕方がないの。だってなんだかこの主人公の女の子の家族もうちの家族とよく似てるし、それにこの女の子って__」
「牧野。いいからどっちの男が好きだったんだ?」
司は早くつくしの返事が訊きたくて言葉を遮り訊いた。
「どっちだと思う?」
笑顔で司を見上げる女は静かに言ったが、その口ぶりは彼が聞きたい言葉を知っているはずだと思った。
何故ならそれは、牧野つくしは司の顔に浮かぶ不安な表情を知っているからだ。
「私が好きだったのはクセの強い男よ」
どんな高級なデートよりも二人でいれればそれでいいという女は、司に抱きしめられると苦しい、離してよ!と言ったが司は離さなかった。
そして出来れば今日はこのままずっと抱きしめていたかった。
司は牧野つくしと一緒にいると魂が救済され精神が浄化される。
彼女のことは生きるパワースポットであり、彼女さえいれば嫌なことも辛いことも悩みも全てが解決する。
そして今はただ、あちこちに唇を付けて、その身体を味わいたい思いでいた。
そして今のこの感情はなんだ?と問われれば、ただ幸せだと答えるはずだ。

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司*****E様
おはようございます^^
勝手に夢を見て、勝手に妄想して不安を募らせる男(笑)
本当にこの男はつくしのことになると冷静ではいられませんねぇ。
そんな司を笑っては悪いと思いつつ笑っていただけて良かったです^^
そして類に対する思いは、やはりライバル?なのかもしれませんね?
コメント有難うございました^^
おはようございます^^
勝手に夢を見て、勝手に妄想して不安を募らせる男(笑)
本当にこの男はつくしのことになると冷静ではいられませんねぇ。
そんな司を笑っては悪いと思いつつ笑っていただけて良かったです^^
そして類に対する思いは、やはりライバル?なのかもしれませんね?
コメント有難うございました^^
アカシア
2019.05.21 22:29 | 編集

わ***ち様
もっちり弾力があるお菓子ですね!美味しいですよね~。
そして、わ***ち様にとっては想い出のお菓子!
アカシアは黒蜜をかけて更に甘さを増したものが好きです!
(和三盆の甘みが好きです)
令和になっても御曹司は絶好調!?
つくしのことになると我を忘れ立場を忘れ社内を探し回る男はどうなんでしょう(笑)
>「私が好きだったのは・・・クセの強い秘書よ!」(≧▽≦)
いいですねぇ。もしそうだったら司はどうするんでしょうねぇ(笑)
それにしても、つくしのことを生きるパワースポットだという司。
え?アカシアはそんなものではございませんよ(笑)ダラダラ書いてるだけですからね!
そしてアカシアもパワースポットが必要です(笑)
コメント有難うございました^^
もっちり弾力があるお菓子ですね!美味しいですよね~。
そして、わ***ち様にとっては想い出のお菓子!
アカシアは黒蜜をかけて更に甘さを増したものが好きです!
(和三盆の甘みが好きです)
令和になっても御曹司は絶好調!?
つくしのことになると我を忘れ立場を忘れ社内を探し回る男はどうなんでしょう(笑)
>「私が好きだったのは・・・クセの強い秘書よ!」(≧▽≦)
いいですねぇ。もしそうだったら司はどうするんでしょうねぇ(笑)
それにしても、つくしのことを生きるパワースポットだという司。
え?アカシアはそんなものではございませんよ(笑)ダラダラ書いてるだけですからね!
そしてアカシアもパワースポットが必要です(笑)
コメント有難うございました^^
アカシア
2019.05.21 22:48 | 編集

ふ*******マ様
社内を走り回る男(笑)
走り込んで来られた部署の面々は、超ビックリ\(◎o◎)/!
そして、いきなりのことで首を横に振るしかなかったんだと思います。
でも女子社員は後でキャーキャー言っているはずです。
ツカサ台風はつくしの訪問で温帯低気圧へ変わる(笑)
もうこの人は大人なのか子供なのか。どっちなんでしょうねぇ。
コメント有難うございました^^
社内を走り回る男(笑)
走り込んで来られた部署の面々は、超ビックリ\(◎o◎)/!
そして、いきなりのことで首を横に振るしかなかったんだと思います。
でも女子社員は後でキャーキャー言っているはずです。
ツカサ台風はつくしの訪問で温帯低気圧へ変わる(笑)
もうこの人は大人なのか子供なのか。どっちなんでしょうねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシア
2019.05.21 22:57 | 編集

J***i様
つくしのこととなると落ち着かないんですから、本当に困った坊ちゃんです(笑)
拍手コメント有難うございました^^
つくしのこととなると落ち着かないんですから、本当に困った坊ちゃんです(笑)
拍手コメント有難うございました^^
アカシア
2019.05.21 23:04 | 編集

s**p様
「道暗寺」そうなんです。誤字ではありません。
>ジワジワ笑いのツボが襲って来た。
御曹司はコメディ。ギャグですから笑っていただけて良かったです(≧▽≦)
でもこんな坊っちゃん本人は不本意かもしれませんね。
ゴメンね坊ちゃん。
拍手コメント有難うございました^^
「道暗寺」そうなんです。誤字ではありません。
>ジワジワ笑いのツボが襲って来た。
御曹司はコメディ。ギャグですから笑っていただけて良かったです(≧▽≦)
でもこんな坊っちゃん本人は不本意かもしれませんね。
ゴメンね坊ちゃん。
拍手コメント有難うございました^^
アカシア
2019.05.21 23:13 | 編集
