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2015
11.24

まだ見ぬ恋人33

一時間後、俺は牧野が言うところの病人食と呼ばれるものを食べ終わっていた。
牧野が作ってくれるものなら文句なんてない。
どこから調達してきたのかは知らないがビールとミネラルウォーターしかないような男の住まいには不似合な食材の残りがきちんと密封されて冷蔵庫のなかにある。

つくしは司のマンションの大理石でできたカウンターを拭き終えると彼のそばへとやってきた。

司はソファに腰を下ろすとここの主は俺だと言わんばかりの態度でつくしを隣に座らせた。
そして世の中のすべての女性が心停止になるような魅力的な笑みを浮かべてつくしを見た。


・・・気になる。牧野はどうしてそんなに警戒してるんだ?
こいつに俺の考えていることがばれているとはとても思えないが・・

つくしは67キロの男に突然抱きしめられて驚いた。
同時に司が自分の身体を求めているのもはっきりとわかった。
そしてキスするたびに司が興奮しているのも感じていた。
そんなことは付き合いを始めるまえから知っていたしわかっていた。

そんなに長い時間をかけたキスじゃなかった。
それでも司の唇が離れていったとき、つくしの呼吸は乱れ瞳は潤んでいた。
つくしは口を開き司を見つめると言った。
「お願い・・道明寺・・もう一度キスしてくれる?」

つくしからキスを強請られた司はすっかり興奮していた。
今までのような甘いキスなんて出来るわけがない。
つくしのすべてを味わいたいという思いでキスをした。

つくしは司の首へと手をまわすと自分から身体を押し付けるようにしてきた。

キスはりんごの味がした・・・
食後にりんごを出されたから・・
司はつくしが欲しかった。

司はつくしの身体をソファへ押し倒した。
そしてもっと近づきたいとつくしの身体に上体を浴びせかけるようにした。
身体を押し付けたまま手探りでつくしのブラウスのボタンを探し出すと、ひとつ、またひとつと外していった。
司はその動作がもどかしくてどうにかなりそうだった。
いっそ途中でやめて引きちぎってしまおうかとさえ思ったが、そんなことをしてつくしを怖がらせたくなかった。

自分の指につくしの柔らかい肌が触れたとき、初めて会ったときからそうしたいと思っていたことをしていた。
司は目の前に開かれたつくしの白い胸元へと唇を寄せると、まるで噛みつくようなキスをしていた。
そして自分の物だという刻印のようなキスをした。
きつく、吸い付くように繰り返しキスをされ、つくしの背中はまるで持ち上げられたように反りかえり、胸があがった。

司は唇を離すと息をつき、下腹部の痛みに耐えながらつくしの上にまたがった。
そしてせわしなく自分の着ているシャツを脱ぎ捨てた。
司の身体の下でつくしが身悶えするように動いたとき身体が擦れ、司はコントロールが効かなくなりそうだった。
思わず呻き声が漏れそうになった。
司は苦しそうに息をはずませていた。

「・・道明寺・・」
自分の身体の下に横たわるつくしから名前を呼ばれただけで司の自制心の欠片は吹き飛んでいた。
「牧野・・」





牧野といい雰囲気になってきたとき、電話が鳴った。
携帯の着信音じゃない。


誰だよ、こんなときに!

邪魔すんじゃねぇよ!
そのうち切れるだろうと思ってほっといた。
が、呼び出し音は鳴りやまずに留守番機能が働いた。
マンションの電話番号を知っている人間は少ない。
悪友どもからはほとんどが携帯へかかって来る・・・が
嫌な予感がした。


≪ 司?いねぇのか?ケータイに何度かけても繋がんねぇし・・。
それよりおまえ牧野つくしとどうなってる?もうヤッタのか?
それはそうと、ミカって女がおまえの連絡先を教えろってしつこく言って来てよ。
知ってるのか?その女がいうにはいつだったかおまえとキスしたとき・・ ≫

司はつくしの上から飛び降りると慌てて電話のコンセントを引き抜いていた。


司はつくしを見た。
こいつなに考えてる?

嫌な空気が流れた。

「もう遅いから・・そ、そろそろ帰ります。」
つくしは肌蹴た自分のブラウスのボタンを下から順番にとめていった。
そして立ち上がりスーツの上着を着ると、ソファの背に掛けられていたコートを手にそそくさと部屋を出ていこうとしていた。

「ま、牧野!待ってくれ!違うんだ!」
司はつくしを追いかけた。
「牧野、違うんだ。あの電話は・・」
「お邪魔しました」
つくしは靴を履くと玄関ホールから外へと出ようとしていた。
「ま、牧野・・」
「お見送りは結構ですから・・お身体お大事に」
と、扉を開けたところで女性と鉢合わせになった。


「つかさー!ひさしぶりー。会いたかったわ!」
「だ、誰だおまえ!ど、どうやってここまで上がって来たんだよっ!」
つくしは抱き合う男女の横を通り抜け、エレベーターへと向かっていた。
「あ、おい!ま、牧野っ!待てよ!」
司は自分を抱きしめてきた女の腕を振りほどくと裸足のまま、上半身裸のままでつくしを追いかけた。
「待て!牧野、違うんだ・・」
エレベーターの前で追いついた司は言った。
そしてつくしの肩に触れようとしたが拒まれた。

「違うんだ、あんな女しらねぇ!帰るな牧野!おまえは帰らなくてもいいんだ!」
つくしは下を向いたまま顔を上げない。
「・・・看病してくれる女性がいてよかったですね・・」
と小さな声で呟いて言葉を切ると、顔をあげて司を睨みつけながら言い切った。
「さようならっ!支社長っ!」

つくしは扉の前でじっとしたままで、エレベーターが到着するのを待っている。
そして1分と経たずに到着を知らせる音と共に扉が開いた。
おい、嘘だろ?冗談だろ、牧野?

「つかさー?どうしたの?その女の子だれー?」
部屋の入口付近にいる女から声が飛んで来た。
司は部屋の方を振り返って叫んだ。
「あぁっ?うるせぇんだよっブス!黙ってろっ!」
つくしは飛び乗ったエレベーターのなか、素早くエントランスロビーを示すボタンを押した。
司が振り向いたとき、すでに扉は静かに閉じられようとしていた。

「なあ・・牧野違う・・」
「うまくいくといいですね支社長!」
つくしのその言葉が司の言葉と重なり合ったとき、扉は静かに閉まった。
司はその場に立ったまま、エレベーターが降下して行くのを見送るしかなかった。









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コメント
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dot 2015.11.24 05:35 | 編集
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dot 2015.11.24 05:37 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2015.11.24 15:27 | 編集
名無し様
そうですね、無理っぽいですよね(笑)
司君の今後にご声援をお願いします!
コメント有難うございました。
アカシアdot 2015.11.24 22:24 | 編集
た*き様
そうです、彼です。
フォローはしてくれるのか・・?
彼らとつくしとの人間関係の構築がなされていないので
説明されても信じるかどうか疑問が残りそうです。
いつもお立ち寄り頂き有難うございます。
コメント有難うございました。
アカシアdot 2015.11.24 22:41 | 編集
こ*様
この女!
誰だって思われますよね?(笑)
本当にようやく恋愛が始まったのにこれですから。
つくしの司への評価はがた落ちです。
恋人になるまでの試練は続く・・・かな?
明日は少し進展が見られる・・・かも?(笑)
コメント有難うございます。
アカシアdot 2015.11.24 22:51 | 編集
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