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2019
03.25

理想の恋の見つけ方 103


「この女を甲板に連れてってちょうだい」

「理恵ちゃん。俺まさかこんなことを手伝わされるとは思ってもなかったよ。理恵ちゃんはこの人の知り合いだって言ったし、気分が悪そうだから送っていくって言うから手伝っただけなのにこんなことになるなんて思いもしなかったよ」

石田章夫はオロオロと言って理恵とつくしの顔を見比べた。

「あらそう?だって私はこの女が嫌いなんだもの。初めて会った時からそうよ。あの道明寺司の隣で真面目な顔をして立ってたこの女は昔同じ店で働いていた女とよく似ていたから、一瞬本人かと思ったくらいよ。私はその女が大嫌いだったわ。それにしても世界には自分に似た人間が3人いるそうだからあの女と牧野つくしはその中の二人なのかしらね?」

理恵は石田のお気に入りのホステスで彼女に入れ上げている。だから理恵の頼みならどんなことでも訊いてやるつもりでいた。店を出したいというならその望みも叶えてやってもいいと思っていた。
そして理恵と出掛けたレストランの化粧室で知り合いだという女性が気分が悪そうにしているからと送って行きたいと言われ、その言葉を信じ牧野つくしを車まで運び自宅まで送るつもりでいた。
だがこの家の中に運んで頂戴と言われ、明らかに誰も住んでいない家に運びこんだ時、何かがおかしいことに気付いた。
そして理恵が牧野つくしという女性を誘拐するために自分を利用したと分かった時には既に犯罪行為に加担していた。
そして理恵の言葉の中に道明寺司の名を訊き驚くと焦って言った。

「理恵ちゃん。今、道明寺司って言ったよね?もしかしてこの人あの道明寺司の恋人?だとしたら俺困るよ。だって道明寺財閥を敵に回したらうちの会社は潰れちゃうよ」

章夫の父親は大分で名の知れた建設会社を経営していて自身は後継者だ。
そして道明寺の名は例え地方だろうと関係なく強い影響力を持っている。だから目の前にいる女性が道明寺司の恋人なら、いや、これから理恵がしようとしていることが何であるかに気付くと、これ以上理恵に手を貸せば自分の身が危ないと感じ始めていた。
つまりこのままでは正真正銘自分が犯罪者になりかねないところまで来ていると気付いた。
それに理恵が行おうとしているのは、牧野つくしを夜の海に突き落とすという残忍な行為だ。そんなことをすれば命が失われることは子供でも分かる。
だからいくら理恵の頼みだとしても訊いてやることは出来なかった。

「今更何言ってるのよ。それに道明寺司なんて男。大したことないわよ」

「理恵ちゃん。ダメだよ。マズイよ。こんなことしたら_」

「犯罪者になるって言いたいんでしょ?でももう遅いわよ。だってあなたは牧野つくしを乗せた車を運転してここまで来たわ。でも安心して。目撃者はいないんだから」

真理子はそう言ったが章夫は否定した。

「理恵ちゃん…..。目撃者はいないなんて言うけど、この人はひとりで食事をしていたんじゃないよね?誰かと一緒だったよね?だからその人たちが探してるはずだ。それに今の世の中、防犯カメラがある場所は多い。それに道明寺財閥の道明寺司が相手となれば警察はどんなことでもするはずだ。だって社長の道明寺楓は警視総監と親しいって言われてる。それから訊いた話だけど道明寺司が未成年の頃に問題行動を起こしたとき、その問題を事件として扱うことなく終わらせたって話があるくらいだよ?」

地方都市に住む章夫でさえ知る道明寺司の若い頃の話。
今は一流の経営者だと言われているが、世界に名だたる道明寺家の御曹司には誰も逆らえないと言われ、10代の頃の道明寺司は英徳学園の支配者で教師といえども逆らうことなくひれ伏したと言われている。そしてモデルのように洗練された外見とは別に残虐さを持ち合わせていると言われ恐れられた。そんな話を同世代の章夫が知らないはずがない。
だが高校を卒業し、ニューヨークの大学へ進学してから変わったと言われていた。
そしてニューヨークで道明寺の経営に携わるようになると経済界のサメと言われるようになった。

「ええ。もちろん私も知ってるわ。だから面白いのよ。もしあの男がここに来るなら警察を引き連れてくるか。それとも自分ひとりで乗り込んでくるか。好きな女のためにはどんなことでもするはずよね?でもどちらにしても間に合わないんじゃないかしら?それにあの男が慌てるところを見たいと思わない?海に落ちた恋人を必死に探す男の姿がどんなものか。それに自分が大切にしているものを失う経験すればいいのよ!さあ、この女を甲板に連れてって!」












つくしは二人のやり取りを黙って訊いていた。
そして男の方が女の命令に従うことを躊躇っていることに気付いていた。
だから男に腕を取られソファから立たされたとき行動に出ることにした。
それは章夫に体当たりしてこの部屋から出ること。そしてどこか別の部屋へ逃げ込み鍵をかけ、そこで助けが来ることを待つことだ。

問題は誰が助けに来てくれるかということだが、突然姿を消した友人に桜子が警察に通報したのは間違いない。だがもしかすると道明寺司にも連絡をしたかもしれない。それは男が話していたように道明寺という日本を代表する企業を率いる男の依頼なら警察の動きも違うことを理解しているからだ。それに友人を騙した男は許せないとしても命には代えられないと考えるからだ。だとすれば桜子はあの男に連絡をしているはずだ。
そんな思いを巡らせたが、とにかく今はこの状況から逃げることを考えた。
だからつくしは男に腕を取られ部屋を出たとき、思いっきり身体をぶつけ男の手が腕から離れると甲板を走った。



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コメント
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dot 2019.03.25 07:10 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
人のよさそうな石田さん。まさか自分が犯罪の片棒を担がされているとは思わなかった。
でもそうなんですよね。真理子からすれば扱いやすい男だったということで利用されたようです。
そしてつくしは二人の会話を訊きながら、逃げるタイミングを計ったようですが、ここは海の上。そして船の中。
逃げる場所はあるのでしょうかねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.26 21:56 | 編集
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